企業ダイサン東証スタンダード:4750】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、創業以来「新しい足場文化と安全文化の創造」を理念に掲げ、単に「安全・安心」だけでなく「感動」も提供できるサービス会社として社会に貢献することを経営の基本方針としておりましたが、2024年4月21日付で新たに企業理念と経営の基本方針とパーパスを設定いたしました。

 企業理念「私たちは志を高く持ち常に未来を創造し、社会の持続と発展に貢献します」について、当社のコア事業である建築向け足場の生産・販売と足場の施工サービスは、ともに“仮設資材”の提供であり、使用される現場において常設されることはありません。しかしながら、建物を作る上では欠かせない資材であり、建物自体の品質や働く方の安全・安心を大きく左右する存在でもあります。そのため、当社で働くすべてのスタッフが、現場の安全を守る強い志を立て、お客様への対応や技術の向上に努めることで、快適で持続可能な社会の実現に貢献できることを理念としております。

 基本方針「ファーストなサービスを心から」については、当社グループ全体で掲げている方針であり、グループに所属するすべてのスタッフが、“心から”お客様に向き合い、最大限の技術と品質を提供することを表しており、行動の結果としてお客様からいただける“ありがとう”が、さらなる企業価値を創造し、業界の地位向上にもつながっていくと考えております。これからも常にお客様ファーストで物事を考え、感謝いただけるサービスを提供してまいります。

 パーパス「人と現場を守り抜く」については、当社が提供する商品・サービスをご利用いただくお客様の安全と未来を守り抜くという考えのもと定めております。現場という言葉には、建設現場だけでなく社会全体の職場環境の意味が含まれております。建設業に従事するすべてのお客様や当社スタッフ・社会全体に対して、働きやすくやりがいのある魅力的な職場環境を提供していくことで、当社の継続的な成長と高収益を実現し、企業価値向上を図りながらステークホルダーとも価値共有することを目指してまいります。

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、事業を継続的に発展させていくためには、売上高を増加させ、適正な利益確保を図っていくことが必要であると考えております。また、成長のための財政基盤を強化する観点から営業外の活動も重視し、「売上高経常利益率」を重要な経営指標として捉え、その向上を図る経営に努めてまいりました。なお、49期より新たな経営指標として、人的資本への投資に関する指標を追加することといたしました。これは、当社グループ事業は“ヒト”を源泉とする事業を主体としており、人的資本への投資と、その生産性の向上を追求していくことが、足場業界だけでなく建設業における各種課題の解決に繋がると考えているためです。具体的な指標につきましては「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)指標及び目標」の通りであります。

(3)経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境について、日本国内では今後さらに若年層の減少と高齢化が進み、単独世帯の増加が見込まれており、当社に関連の深い住宅業界については、新築の戸建てに対する建設需要が更に減衰していく予測もあります。一方、リフォームに対する需要は中長期的に微増していく傾向と予測されます。また、建設業全体において、従事する労働者は減少を続けており、全産業と比べても高齢化が進行しておりますが、足場施工の業界においても人手不足と高齢化が重要な課題となっています。原材料価格の高騰や賃金アップによる人件費及び採用コストの増加に加え、いわゆる運送業の2024年問題等も相まって仕入コストが高騰しており、売価へ転嫁するインフレ傾向が表面化すると予想されます。

 このような中、2024年4月の労働安全衛生規則改正を受け、建設現場における足場の仕様が厳格化されたことから、1現場あたりの部材数が増加しています。これに伴い作業時間も増加するため、労務費が上昇し、住宅業界における足場施工業者の淘汰が進むと想定されます。

 国際的にも一部の国では労働者不足が問題となっており、在外子会社のあるシンガポールについては、シンガポール人の雇用を守る目的で外国人労働者の採用可能枠が設けられており、過去数十年間に何度も改正による厳格化が行われております。直近では2024年1月に改正されており、日本国内同様に労働者不足が進むと想定されます。

 また、各国の経済発展が進む一方で、地球規模での資源枯渇リスクが高まり、環境保護への関心がさらに強くなることで、今後、資源の循環型社会の形成に向けて、3Rやシェアリングなどの取り組みがより進むものと考えられます。

(4)会社の対処すべき課題と中期経営計画

①会社の対処すべき課題

 当社グループでは、これからの経営環境を踏まえ、以下の課題を掲げております。

<住宅業界の足場施工業者不足と新築戸建て着工戸数の減少に対する対応>

 先述した経営環境でも触れたように、2024年4月の労働安全衛生規則改正を受け、住宅業界における足場施工業者の淘汰が進むことで、住宅業界の足場施工業者不足に陥る可能性があります。また、当社の開発したビケ足場は、住宅向け足場のトップブランドとして市場に定着したことから、低層向けの足場として使用されることが多いですが、長期的には戸建住宅の建設需要が減少していくものと予測されます。これに伴い、住宅業界でのシェア拡大と新築戸建て以外の案件へのシフトが求められています。

<足場の施工効率向上と施工スタッフの高齢化への対応>

 足場施工に関する一連の作業は、ほとんどが手作業で、作業効率の向上に限界があり、また、体への負担が大きく、高齢での作業従事が困難であることから、作業者の負担を軽減し、より効率的に働くことが求められています。

<足場施工技術の向上による安全な社会への貢献>

 社会の安全と高品質なインフラのために足場の果たす役割は大きいものと考えております。グループ内においては、国内外で対象とする施工現場が異なりますが、さらに安全な社会の実現に貢献するため、足場の施工技術向上が求められています。

<IT技術の活用による業務効率化>

 当社では、足場施工サービスを提供するため、施工スタッフ、足場部材、車両などの資源管理や取引先の管理を基幹システムにより効率化していますが、現場毎に必要な足場計画図の作図や足場資材の在庫管理など、未だ多くの作業が人手により行われていることから、IT技術を活用した業務効率化の実現が求められています。

<多様な人財の獲得と働き方改革>

 建設業全体での就業者数は減少を続けており、特に建設技能者の採用状況は厳しさを増していることから、様々な雇用形態、魅力的な労働環境等を整備し、多くの人財を確保すると共に、安心して一生涯働ける会社になることが求められています。

<グローバル人財の育成>

 今後、グループとしてアジア圏内でのビジネスを展開してまいりますが、そのためには語学力、コミュニケーション能力の基礎的なスキルの習得だけでなく、様々な環境へ対応できるチャレンジ精神旺盛な人財の育成がグループ内で求められています。

<物価高騰による資材調達方法の変化に対する対応>

 物価高騰の影響を受け、部材購入時の資金負担などの観点から、足場部材の調達方法の変化が予想されます。足場部材の購入を控え、レンタルでの部材調達を考えられるお客様も多く、柔軟なレンタル体制の構築が求められます。

②第3次中期経営計画の総括と第4次中期経営計画の概要

 当社グループでは、2022年4月期から2024年4月期までの3連結会計年度を期間として設定した『第3次中期経営計画』に続き、新たに、2025年4月期から2029年4月期までの5連結会計年度を期間とする中期経営計画を『第4次中期経営計画』と定めました。前中期経営計画の総括と新中期経営計画の概要については、以下の通りになります。

<第3次中期経営計画の総括>~2022年4月期から2024年4月期~

 当社グループでは、当連結会計年度を最終年度とする第3次中期経営計画として「ヒト創りとデジタル技術の共進」を方針に掲げ、将来を見据えた収益性の高い事業構造への転換を進めてまいりました。最終年度である当連結会計年度においては、適正価格受注に向けた値上げ交渉や施工パートナー企業との連携強化、次世代足場「レボルト」の認知度向上に向けたレンタル事業の拡充、足場の組立て等作業主任者等の技能講習提供を推進したほか、新たにデジタル事業部を発足し、社外向け業務改善ツールやデジタル商材の販売、社内向け議事録自動生成アプリ開発など、生産性向上の取り組みを進めました。海外事業においては、シンガポール子会社の現地日系大手顧客の獲得を行うなど、受注基盤拡大にも成功しております。また、人材定着・確保の観点から「ES(従業員満足)ファーストのガバナンス体制構築」に基づき、オープンバッジ制度を活用した社内教育等、人的資本への投資を行い、給与・手当制度の見直しを実施いたしました。

<第4次中期経営計画の概要>~2025年4月期から2029年4月期~

 今後の経済動向につきまして、地域紛争による国際情勢不安や各国首脳選挙、人口減少や不動産不況等に伴う中国経済の失速及び原材料価格の高止まり、米国経済の底堅さに伴う高金利政策の長期化等、依然として先行きは不透明な状況にあります。また、国内では賃金アップによる人件費及び採用コストの増加に加え、いわゆる運送業の2024年問題等も相まって仕入コストが高騰しており、売価へ転嫁するインフレ傾向が表面化すると予想されます。2024年4月の足場に関する法改正に伴い足場仕様が厳格化していることから、特に低層住宅分野を中心に影響を受けると考えられます。更に、少子高齢化に伴う人口減少や熟練技術者の引退による労働者不足が想定され、人材確保に向けた取り組みが益々重要となっています。

 これら国内外の経済見通しを踏まえ、当社グループでは次期より始動する第4次中期経営計画において、「Reborn」の方針の基、3つの重点戦略を設定しました。

<目標数値>

 当社グループでは、中期経営計画の最終年度である2029年4月期の連結売上高、連結営業利益の目標を以下の通り設定しております。

<3つの重点戦略>

①コア事業領域の深化

 当社のメイン事業である足場施工サービス事業、製商品販売事業、海外事業をコア事業領域と定め、業界の新スタンダードや規範づくりの先導・普及、新しいレンタルシステムの構築等に取り組んでまいります。海外事業においては、適正な施工人員枠の確保と戦略的な配置、エンジニアリング会社としての高付加価値化、受注構成見直による収益性向上に取り組んでまいります。生産性・技術・品質の差別化を図り、より高付加価値のサービス提供により業界をけん引する存在となることを目指します。

②新たな収益事業の創造

 デジタル・IT技術を活用した建設業界の生産性向上のためのプロダクト開発や販売や新住宅用足場の開発、東南アジアを中心とした海外人材の育成など、コア事業領域における課題の解決に向けたノウハウ・技術の探索・活用により、新たな収益事業を創造し、社会を変革するサービス・価値提供の実現を目指します。

③経営基盤の強靭化

 コア事業領域の深化と新たな収益事業の創造を推進するため、経営環境の変化へ柔軟に対応できる強靭な経営基盤を構築してまいります。従業員エンゲージメント向上に向けた新人事評価制度の導入やデジタル技術活用による業務負担軽減、管理コスト削減を進めるほか、製品の製造・生産における優位性を高めるため、海外パートナーとの共創体制によるサプライチェーンの構築に取り組んでまいります。

 これら3つの重点戦略を推し進め、建設業界へのイノベーション創出を通じ、継続的な事業拡大と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。また、次期につきましては、引き続き施工サービス事業における適正価格受注や低層住宅業界を中心とした受注基盤の拡大、レンタル事業ネットワークの拡大を進めるとともに、シンガポールプラント市場でのエンジニアリング事業拡大、グローバル人材の将来を見据えた労働環境の整備、生産性向上を目的とした部材の開発およびデジタル事業展開のための受諾開発・デジタルコンテンツ開発、教育事業・SES事業の拡大などにも取り組んでまいります。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループとして、優先的に対処すべき事業上の課題は、国内外とも現場で従事するスタッフの採用を増やすことと捉えております。財務上の課題としても、対象とするスタッフの採用と処遇向上に掛かる財源を優先的に確保することであると考えております。なお、課題に対する今後のセグメント別の取り組みは以下の通りです。

①施工サービス事業

 施工サービス事業においては、施工スタッフの雇用維持と採用強化のため、給与を含むさらなる待遇向上に努め、施工技術、安全衛生、業務効率化などの品質強化に関わる教育への投資を増やすほか、将来の体力的な不安を解消するためにも、足場施工以外の職務が提供できる体制創りに取り組んでおります。また、当社への就業を希望する特定技能外国人と外国人技能実習生を増加させることが、施工力強化に繋がるものと考えております。

②製商品販売事業

 製商品販売事業については、施工力が必須となる足場施工サービスだけに頼らず、足場部材のみレンタルする事業を推進するために、貸出用資材の生産と社内への投入を進めるほか、これまでに仮設資材の取引を通じて協力関係を築いてきた外部の足場施工会社への販売量を増やすために関係力を強化し、生産性向上に繋がる商品や仕組みを提供する事で、外部の足場施工会社の施工力を増強できる取り組みを推進しております。

③海外事業

 海外事業について、在外子会社のあるシンガポールでは、日本国内と同様に、海外からの労働力確保が進むものと考えております。また、シンガポール人の雇用を守る目的で外国人労働者の採用可能枠が設けられており、過去数十年間に何度も改正による厳格化が行われ、直近では2024年1月に改正されております。シンガポール人と外国人労働者をバランスよく採用し、施工力の強化を推進しております。

 また、当社グループの経営環境として、地政学的リスクに起因する各種資源の世界的な物価高と円安進行など、先行き不透明な状況が続くものと想定していることから、引き続き主要取引行との連携を強化し財務基盤の強化を図るとともに、厳格な予算統制を行ってまいります。

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