タナベコンサルティンググループ 【東証プライム:9644】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念(創業時からの不変の志)を起点とし、「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパス(貢献価値)を掲げております。
大企業から中堅企業のトップマネジメント(経営層・リーダー)を主要顧客とし、全国主要都市10地域に常駐する業種・戦略課題・地域に精通したプロフェッショナルがチームとなり、経営戦略の策定からプロフェッショナルDXサービスによる経営オペレーションの実装・実行まで、経営の上流から下流までを一気通貫で支援しております。
この「チームコンサルティング」「一気通貫の経営コンサルティングモデル」により、トップマネジメントの「決断」に寄り添い(トップマネジメントアプローチ)、企業等の成功とその従業員・家族等の豊かさの実現のみならず、その企業等の商品・サービスを利用する顧客にも良い影響を与え、結果として社会全体・地域全体の発展にも貢献していきたいと考えております。
(2)経営環境及び中長期的な経営戦略
2025年3月期も、引き続き世界的な地政学的紛争リスクやサプライチェーンの混乱、金融引締め継続による急激な為替相場の変動等により先行き不透明な状況が続くと予想され、当社グループの主要顧客である大企業から中堅企業にも、大きな変化が求められております。パーパスの策定やサステナビリティ・DX・M&A・グローバル戦略等を組み込んだ長期ビジョン・中期経営計画の策定・推進、人的資本経営の実装、事業承継・グループ経営、ブランディング・PR、CX(顧客体験価値)デザイン、コーポレート・ガバナンスの強化等、その経営ニーズはますます多様化・専門化しております。
一方で、産業競争力強化法の一部改正により「中堅企業者」が新たに定義され、特に賃金水準が高く、国内投資にも積極的な特定中堅企業者が、認定により税制・金融面で優遇される動きがあることから、国内における中堅企業の活性化が予想されます。
このような環境下において、創業66年間で培ってきた17,000社を超える経営コンサルティング実績及び成功済みのメソッドを駆使し、企業等の経営全般を支援できる当社グループの役割は、より一層増してきていると認識しております。コンサルティング業界においては、特定の業種や機能に特化するコンサルティング企業は多く存在しますが、多様な業種の大企業から中堅企業に対し、経営戦略の策定からプロフェッショナルDXサービスによる経営オペレーションの実装・実行まで、経営の上流から下流までを一気通貫で支援できる経営コンサルティング企業は稀であり、競合他社も比較的少なく、独自のポジションを構築できていると認識しております。
以上を踏まえ、企業等の多様化・専門化する経営ニーズに応えるための経営コンサルティング領域の多角化を推進することが、当社グループの中長期的な経営戦略であります。事業会社として、戦略・経営コンサルティングを提供する株式会社タナベコンサルティングのほか、2019年以降、BtoB企業向けデジタルマーケティングを提供する株式会社リーディング・ソリューション、クロスボーダーを含むM&A全般の支援やバックオフィス部門のBPR/DX支援を提供するグローウィン・パートナーズ株式会社、ブランディングやCXデザインを提供する株式会社ジェイスリー、国内外で戦略PRコンサルティングを提供する株式会社カーツメディアワークスの4社をグループ化いたしました。今後も、引き続き積極的にM&Aを実施し、経営コンサルティング領域の開発・多角化を推進してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述の経営方針や経営環境及び中長期的な経営戦略も踏まえ、今後の当社グループの対処すべき課題については、次のとおりであります。
①グループ経営の強化
当社グループは現在、純粋持株会社である当社、事業会社として戦略・経営コンサルティングを提供する株式会社タナベコンサルティング、BtoB企業向けデジタルマーケティングを提供する株式会社リーディング・ソリューション、クロスボーダーを含むM&A全般の支援やバックオフィス部門のBPR/DX支援を提供するグローウィン・パートナーズ株式会社、ブランディングやCXデザインを提供する株式会社ジェイスリー、国内外で戦略PRコンサルティングを提供する株式会社カーツメディアワークスのTCG(タナベコンサルティンググループ)6社体制で、グループ経営を推進しております。
純粋持株会社である当社が、グループ全体の成長戦略や資本戦略をリードし、経営コンサルティング領域の多角化戦略のもと、今後もM&Aにより事業会社をスピーディーに増やしてまいります。そして、グループ横断での経営資源の最適配分・効率的活用を実施してまいります。
一方で、東証プライム上場企業に求められるトップマネジメント体制を志向しながら、サステナビリティ経営を推進していくために、各事業会社に権限を適切に委譲し、各社が迅速な意思決定や業績責任を果たす経営を通じて次世代経営者・リーダー人材を多く登用・育成し、グループ全体の人的資本価値の向上を実現してまいります。
結果、グループ全体のガバナンスは維持しつつ最大限のシナジーを発揮し、企業価値を最大化してまいります。
②中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision 2030」の推進
中長期的に持続的成長及び企業価値の向上を加速させるために、「One&Only 世界で唯一無二の新しい経営コンサルティンググループ TCGの創造」をスローガンとした中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision 2030」を推進しております。中期経営計画の最終年度である2026年3月期目標としての売上高150億円・営業利益18億円・株主資本当期純利益率(ROE)10%・従業員数800名を実現するべく、以下の5点を成長モデルと設定し、推進してまいります。
a.トップマネジメントアプローチで大企業から中堅企業向けに圧倒的な競争力を持つ一気通貫の経営コンサルティングモデルを強化するために、「プロフェッショナルDXサービス」(デジタル技術で現場における経営オペレーションを支援)を拡大する。
b.経営コンサルティング領域の開発・多角化のために、手元現預金10億円以上を活用し、積極的な成長M&A投資を実施する。
c.商品・サービスの契約継続率70%以上(Life Time Value)を実現するために、顧客体験価値を重視したデジタルマーケティングやCRM、クライアントサクセスを推進する。
d.経営コンサルティング領域の開発・多角化に伴い、コンサルティングチーム及びチームを率いるパートナーリーダーシップを100以上に拡大する。
e.グループ全体の人的資本価値を拡大させる「TCGアカデミー」(企業内大学)のカリキュラム・コンテンツ(学部)を充実させる。
③経営コンサルティングバリュー(専門価値)の強化
大企業から中堅企業の多角化・専門化する経営課題を解決するための経営コンサルティングバリュー(専門価値)を強化し、全国、そしてグローバルに展開してまいります。領域別の強化すべき経営コンサルティングバリューは、以下のとおりであります。
a.ストラテジー&ドメインコンサルティング
「長期ビジョン・中期経営計画(ビジネスモデル)の策定・推進」を主軸に、「グローバル戦略」「地域活性化戦略」「ESG・サステナビリティ対応」等、また「行政/公共コンサルティング」を強化していく。
b.デジタル・DXコンサルティング
「DXビジョン&IT化構想の策定」を推進していくとともに、アライアンスネットワークを拡大することにより、ERP導入やCRM・デジタルマーケティング等、経営オペレーションの実装・実行における業種別のプロフェッショナルDXサービスを拡充・強化していく。
c.HRコンサルティング
「戦略人事」「アカデミー(企業内大学)設立」「HR KARTE(人材アセスメントツール)」等、人的資本価値の向上を実現するトータルコンサルティングサービスを拡充・強化していくとともに、経営者人材を育成するトップマネジメントプログラムも拡大していく。
d.ファイナンス・M&Aコンサルティング
顧客の企業価値向上のために、「企業価値ビジョン」「ホールディングス化・グループ経営」に加えて、「MIRAI承継」(M&A仲介やFA等による事業承継支援)や「戦略×成長M&A」(ビジョンや戦略を実現するM&A支援)を推進していく。
e.ブランド&PRコンサルティング
「ブランド構築」「Global PR Wire」(海外プレスリリース配信)「クリエイティブ」等の重点サービスを推進していくとともに、ブランディング・戦略PR領域での新規サービスを開発し、業種別に専門特化したチームも設計していく。
④コーポレート戦略
a.プライム上場企業として、さらなる企業価値の向上を実現していくための株式・資本政策を推進していく。
b.サステナビリティ経営を実現していくために、統合報告書等を通じてパーパス&バリューや価値創造、マテリアリティ(社会課題の解決と持続可能な発展に向けた重要課題)等を広く発信し、その取り組みを推進していく。
c.DX認定事業者としてスマートDX投資を推進することにより、グループ各社のバックオフィスオペレーションを効率化し、より一層の生産性向上を実現していく。
d.コーポレートブランディングや、商品・サービス、コンサルタント等の戦略PRを推進することにより、「One&Only 世界で唯一無二の新しい経営コンサルティンググループ」というブランドポジションを確立していく。
e.多様な人材がお互いを知り、尊重し合い、より活躍できるためのオフィス環境投資や健康経営等を積極的に実施するTD&I(タナベ ダイバーシティー&インクルージョン)を推進していく。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが、経営コンサルティングの提供により企業等の持続的成長に貢献し、延いては社会全体・地域全体の発展にも寄与していくこと、そして当社グループ自身も持続的成長及び中長期的な企業価値の向上を実現していくうえで、売上高成長率と営業利益額及び売上高営業利益率の向上を目標としております。また、売上高成長率の向上を推進する従業員数の増加も目標としております。そして、安定的な利益確保により有事にも動じない高い安定性を備えた最適資本構成を実現し、そのうえで中期経営計画において目標としているROE(株主資本当期純利益率)10%を実現してまいります。結果、成長性・収益性・効率性のバランスが取れた企業を目指してまいります。
そのために、「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」「ROE」「従業員数」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高は127億39百万円、営業利益は10億9百万円、売上高営業利益率は7.9%、ROEは5.8%、期末従業員数は600名でした。引き続き、これら指標の改善に向けて取り組んでまいります。
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