企業兼大株主タカミヤ東証プライム:2445】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社グループは、仮設機材等の提供を通じて質の高いサービスを広くお客様に提供し、事業を通じた社会貢献を果たすことを目指しております。また、常にお客様のニーズにお応えするために新商品の開発及びサービスの向上に努め、新しい価値を提供し続けることにより、当社グループのさらなる発展を図ってまいります。社会、株主、そして従業員に対して信頼と期待に応え、事業の永続的な企業価値向上を目指してまいります。

(従来のビジネスモデルから仮設業界のプラットフォーマーへトランスフォーム)

 当社の永続的な発展は、あらゆるステークホルダーに対して有益となります。当社事業の成り立ちは、建設用仮設機材、いわゆる足場を建設会社や足場施工会社(鳶業者)に対してレンタルすることでした。仮設機材レンタル事業の拡大は、保有賃貸資産の増加により、成すことができます。一方で、賃貸資産の取得には資金が必要となり、収益を求めひたすらにバランスシートを拡大することは、財務の健全性を失い、企業成長を妨げる要因となるだけでなく、事業の存続を危めることにもつながります。

 そのような中で当社グループは、収益増加に伴いバランスシート拡大させるビジネスモデルから、バランスシートの拡大に頼らず収益増加を実現させる新たなストックビジネスへトランスフォームすることを決意しました。

(トランスフォームに至った背景)

 当社の主要取引先である建設業界は、国内建設投資の増減に左右され、建設投資は国内景気によって大きく影響を受けます。そのような事業環境においては、積極的な受注活動による案件の獲得が至上とされる風潮があり、当社グループもその状況下にありました。一方で、海外紛争やサプライチェーンの断裂、原油エネルギー価格の高騰、日本国内においては数十年ぶりの円安水準となり、急激な物価高騰、業界においては、建設資材コストの上昇、さらには生産年齢人口の減少、インフレ対応の政府政策として賃上げが促され、人件費の高騰による人材確保もままならず、事業会社において従来以上に経営リソースを割かれる機会が増えてまいりました。このような環境下において、当社グループは、景気動向・建設投資額の増減に左右されやすい、言わばフロー型となった従来のビジネスモデルから脱却し、着実・安定的に収益を確保できるストックビジネスへのトランスフォームに取り組んでまいりました。当社グループが掲げるストックビジネスは、当業界では画期的なプラットフォームビジネスです。

(仮設業界におけるプラットフォームビジネス)

 主要な取引先である建設業界において、経営リソースの消耗が課題となっていることを発見し、当社グループは、自らの事業基盤であるレンタル事業のインフラを取引先に開放、共有することで、相互に経営リソースの損耗を防ぐ革新的なビジネスモデルを提唱しました。

 プラットフォームビジネスの一例として、当社が提供する「OPE-MANE(オペマネ)」があります。

 顧客が所有する仮設機材を当社のプラットフォームに預け入れることにより、仮設機材の整備や入出庫業務、品質保全など、当社グループが50年以上の実績を持つ仮設機材インフラで管理することが可能となります。OPE-MANEユーザーは、仮設機材所有者としてこれらに経営リソースを割くことなく、所有を継続することができます。同サービスでは、当社グループの強みとなる全国29箇所(2024年3月時点)から、必要な時に自由に取り出し、利用できることも魅力の一つです。

 このように顧客にとって「儲かる」、「助かる」プラットフォームを提供し、一方で当社グループは、インフラを共有することで単位当たりの収益性が向上、設備等の生産性も向上することで、保有する資産を効率的に運用することが可能となります。利用する取引先、提供する当社グループ双方に大きなメリットを生む、仮設業界において画期的なビジネスモデルこそ、当社が提唱するプラットフォームビジネスです。

 サステナブルな成長に欠くことのできない安定的なキャッシュ・フローを確保するため、また、景気循環に左右される業界環境において、様々な変化に柔軟に対応できるビジネスモデル、プラットフォームビジネスの構築を積極的に推進してまいります。

(2)経営環境

 日経平均株価が史上最高値を記録するなど、日本経済は緩やかな持ち直しの傾向が見えてまいりました。その一方で、ウクライナ情勢の長期化やイスラエル情勢等の不安定な世界情勢の影響による原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、円安に起因する輸入価格高騰による物価上昇や、日銀によるゼロ金利解除など金融市場の変動等の下振れリスクが懸念されるなか、経済環境は、先行き不透明な状況であります。

(市場環境)

 当社グループの主要な取引先である建設業界では、2024年問題をはじめとした労働時間に関わる労働制限や資源価格原油高やエネルギー価格の高騰、日銀金融政策の見直しによる金利上昇など経済面における影響が強く、建設コストの上昇に強く表れる可能性があります。

 国内建設投資は、原油高や建設資材の高騰、技能労働者の不足による工事の遅れや延期が見られ、先行きが不安定な状況が続いておりますが、国土強靭化計画等を背景とした全国的な社会インフラの改修工事など底堅さが見られます。需要が堅調な倉庫・物流施設に加え、整備新幹線、半導体工場の新設やAIの普及によるデータセンターの建設が計画されていることなど民間設備投資の堅調な動きが期待できます。

(リスクと機会)

リスク

機会

・建設コストの上昇、2024年問題の労働者不足による工事遅延や延期

・運送業2024年問題で輸送トラック供給が逼迫

・経済環境の悪化による民間設備投資の減退

・脱炭素政策で従来型電力プラントが廃止され、定期メンテナンス需要が喪失

・コンクリート橋のプレキャスト化推進による大型支保工需要の減少

・労働者不足による機材整備人員確保が困窮

・過度な円安進行による原材料、部材仕入価格の上昇

・日銀の金融政策変更による金利上昇で利払いが増加

・プラットフォームへの投資で有利子負債が増加、利払い負担の増加

 

・労務者不足等で経営リソースが不足するため、顧客からの当社プラットフォームへの期待度が高まる

・労働安全衛生規則の改正による次世代足場の需要が増加

・大規模災害に関連するインフラの再整備

・リニア中央新幹線開業時期の取り戻し

・AIの急速な普及による半導体需要とエネルギー需要の高まりに関連する投資の増加

・北海道新幹線関連工事の発注

・改正区分所有法の施行によるマンション建替えの促進

・資本コストと株価を意識した経営への取り組み促進で、当社グループのプラットフォームが注目される

・技術進歩により当社事業領域においてAI、DXの活用範囲が広がる

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と中長期的な会社の経営戦略

[中期経営計画 2024-2026ビジョン]

 タカミヤプラットフォームとDXで新たな価値を創造し、業界初の足場プラットフォーム企業へ

 当社グループが提供するタカミヤプラットフォームは、「儲かる」「助かる」そして「喜ばれる」魅力的なサービスへと磨き上げられ、多くの方から選ばれ、相互に収益を拡大、発展成長をもたらします。タカミヤプラットフォームは、当社グループの働き方が根本的に変わる、DXを取り込んだ新しい業務スタイルによって従業員や関係取引先、さらには株主・投資家からも選ばれ、共に発展していける業界に欠かすことができない「エコシステム」となることを目指しております。

[中期経営計画基本方針]

(プラットフォームビジネスの確立・定着による収益基盤の確立)

 プラットフォームビジネスは、利用者の囲い込みとリカーリングによって収益が成り立ちます。利用者のインサイトを分析し、魅力的なサービスへと磨き上げることで累積顧客を増加定着させ、リカーリングによる安定収益の確保を目指します。

(DXと人的資本投資による成長基盤の確立)

 積極的なDX投資によって、プラットフォームの顧客利便性と当社グループの生産性の双方を向上させます。当社グループの成長基盤を支える人財に対する人的資本投資に力を注ぐことで、プラットフォームの付加価値向上と盤石な成長基盤の構築を目指します。

(海外事業における収益向上)

 海外事業子会社は、経営基盤が整備され、収益回収と事業拡大フェーズに移行します。海外子会社があるフィリピン、ベトナム、韓国の他、グローバルな需要に対応できる体制を整え収益の向上を目指します。

(資本コストと株価を意識した経営の浸透)

 事業の成長投資が先行するため、有利子負債の増加が見込まれます。有利子負債に限らず資本の効率運用を当社グループに浸透させることで、投下資本利益率の水準を高め、企業価値向上、株主・投資家にとって魅力的な企業を目指します。

[課題・重点施策]

 このような環境下において当社グループがビジョン実現のために掲げた基本方針をもって事業を推進してまいります。当社グループが認識した課題に対して、以下の重点施策をもって中期経営計画の実現、事業成長を目指します。

(OPE-MANE利用者の拡大)

 プラットフォームの主力サービスである「OPE-MANE」は、プラットフォームの基礎となる顧客基盤を確保する重要な役割を担っています。この利用者を中心に、その他のサービス利用が促進されるため、土台となるOPE-MANE利用者の獲得は重要な課題として認識し、利用者拡大を推進いたします。

(顧客サービスの基幹となる管理物流機能の整備・拡充)

OPE-MANE利用者の利便性を担保するうえで、預り資産の管理運用はサービスの中核を担っています。時間経過と共に増加する預り資産、不足機材を補う賃貸資産の保有増に対応するため、資産を効率よく稼働させる整備体制、利便性を高める好立地へのBase(機材管理物流拠点)の開設は、プラットフォームの魅力を高めるうえで重要であると認識しております。

(顧客の信頼獲得のための安全・安心の可視化)

 プラットフォームで預かる資産(仮設機材)は、利用者の所有物であり、それらの減価減耗は、顧客の損失になると同時に当社グループへの信頼の失墜につながります。ゆえに預り資産の管理を透明化し、所有者が常に状態を把握できるよう可視化に努めることは、プラットフォームでの顧客資産の保全並びに信頼獲得に寄与いたします。また、ここでの取り組みが当社グループの生産性向上につながります。

(適正価格による付加価値サービスの提供)

 従来仮設機材業界において、安全性や品質について多くを求めず、兎角、サービスの無償提供や価格競争に陥りがちでした。当社グループは、足場の階高を高めることで安全、効率的に作業できる作業用足場を提供し、また、仮設工業会認定以上の品質基準をもって機材の提供を行っています。また、一部義務化されている3D図面の自動生成など高付加価値サービスを提供することで、顧客が納得のいくサービスを提供し、その対価を適正価格にて供給することが業界の質的発展に寄与するものと認識しております。適正価格での提供は、顧客満足度をさらに高めるサービス開発に寄与するものとして、顧客の理解を得ながら継続して取り組んでまいります。

(海外拠点(フィリピン、韓国、ベトナム)の収益向上と、その他需要国への対応)

 国内建設市場は、労働者不足などの影響で建設会社が選別受注し、工事量が平準化されつつあります。当社グループは、この状況下でプラットフォームにより安定収益を得るとの方針のもと事業を進めております。一方、海外において収益拡大を計ることも進めております。諸外国では、不安定な社会情勢や大規模災害、新興国での開発など当社グループとしては手つかずの市場があり、それら需要を収益化するための体制の整備が必要と認識しております。

(アグリ事業の抜本的な変革による収益基盤の構築)

 仮設以外の事業部門の育成として、農業分野へ進出いたしました。新型コロナウイルス拡大の影響等で就労者不足となった農業は、厳しい環境に置かれています。一方で、食糧自給率を高めようとの政府の政策やアグリビジネスベンチャーの台頭により、生産性の高い高付加価値農業が広がっています。当社グループは、これらベンチャー企業等との連携によって、事業拡大を目指し、埼玉県羽生市にTAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(以下、「TAP」という。)を開設いたしました。多くの企業を招き、TAPにて先端農業の取り組みを発信することで、当社ブランド製品や参画企業の製品の周知拡販を目指します。

(付加価値向上のための人的資本、DXへの積極投資)

 当社グループでは、DXによりプラットフォームの高付加価値化に努めています。この高付加価値を生み出すDX・IT人材に対しての投資を積極的に行います。初任給の改定、フレックスタイム制の導入やみなし残業時間の段階的な見直し、教育研修への積極的な投資を実施することで、従業員とのエンゲージメントを高めます。加えて、DX投資により業務改革や顧客サービスの付加価値向上を目指してまいります。

(WACCを上回るROICを実現するためのKPI導入)

 当社グループの過年度におけるROICは、WACCを下回っております。資本効率の改善、株主・投資家からの期待に応えるため、ROIC改善は重要課題であると認識しております。ROIC改善のため、当社グループ各社、各部門において、営業利益率と投下資本回転率を向上させる施策を検討し、各施策にKPIを設定してROIC経営の浸透と数値改善を目指します。

(4)目標とする経営指標

 当社は、毎期の業績目標を着実に達成することが企業価値の増大に繋がると考えております。そのため、2025年3月期の連結業績目標の達成に注力してまいります。

 中長期的な事業成長を目指す当社といたしましては、安定的な株主還元と成長投資をバランスよく安定的させるため、事業成長と併せて、生産性向上、資本コストと株価を意識した経営を浸透させてまいります。そのため、売上高営業利益率及び投下資本回転率について、それぞれの数値目標を分解し、業務ごとにKPIを設定、実施することで投下資本利益率(ROIC)の向上、グループ内への浸透を目指してまいります。

(中期経営計画数値目標)

 

 

2024年3月期

中期経営計画

2024-2026

業績指標

連結営業利益

3,404百万円

6,100百万円

財務指標

売上高営業利益率

7.7%

10.0%以上

 

ROE

9.1%

10.0%以上

 

ROIC

4.3%

4.3%以上

プラットフォーム指標

OPE-MANE利用者数

61社

累計500社以上

(投資計画)

 

 

中期経営計画

3ヵ年累計

(百万円)

投資計画

賃貸資産投資

17,200

 

Lab・Base投資

14,650

 

DX・人的資本投資

3,900

 

合計

35,750

(セグメント売上高)

 

2024年3月期

(百万円)

中期経営計画

2027年3月期

(百万円)

プラットフォーム事業

12,678

販売事業

12,597

12,368

レンタル事業

28,214

31,198

海外事業

7,897

10,388

 注)プラットフォーム事業は、販売事業とレンタル事業の両事業から、プラットフォームサービスによる収益を抽出し、プラットフォーム事業として開示いたします。

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