ソースネクスト 【東証プライム:4344】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループの事業環境について
① 当社グループが属する市場について
a.通訳機市場について
IoT製品であるAI通訳機「ポケトーク」に関連する通訳機市場は、新型コロナウイルス感染症の影響による訪日外国人及び出国日本人数の急減に伴い、停滞した状態が続いていましたが、訪日外国人数の急激な増加を起因として、回復傾向にあります。また、海外市場においても、米国での非ネイティブに向けた多言語対応需要が拡大しており、当該市場は今後益々拡大していくものと予想しております。しかしながら、現在、通訳機市場には様々な翻訳アプリや通訳機が登場しており、当社の独自性が際立って失われた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、ソフトウェアの「ポケトーク ライブ通訳」を、主に法人向けに提供しており、様々な顧客セグメントにアプローチすることで、これらのリスク分散に努めております。
b.個人向けのパソコン販売台数等の影響について
当社グループ製品は個人向けパソコン用ソフトの比率が高いため、個人消費やパソコンの普及状況、特に個人向けのパソコン販売台数の動向に大きな影響を受けます。従って、個人向けのパソコン販売台数の伸び悩みや個人消費の冷え込みがみられた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
c.スマートフォン市場の拡大について
通信キャリア各社がスマートフォンの新製品を次々と発売しており、スマートフォン市場が今後も持続的な成長を続けていくと見込んでおります。当社グループでは、「スマート留守電」、「アプリ超ホーダイ」、通信キャリアへのアプリケーションの提供など、スマートフォン向けアプリケーションを開発及び販売しておりますが、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改定を含む通信業者の動向など、当社の予期せぬ要因によりスマートフォン市場の発展が阻害される場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 販売ルート及び販売形態の多様化について
当社グループは、消費スタイルの変化に対応するために、店頭販売だけでなく、オンラインショップや法人向けの販売、スマートフォン通信事業者などキャリア経由のアプリ販売等、販路の多様化に取り組んでおります。また、海外展開につきましては、海外子会社を通じた米国・欧州でのさらなる展開強化に加え、アジアでの販路拡大も見込んでおります。このような販路や販売方法の多様化が、想定する効果を得られない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 製品の技術革新の速さについて
IoT製品やパソコン用ソフト、スマートフォンアプリは、OS、webサービス、デバイス、通信技術等の技術革新のスピードが速いため、絶えず技術開発と機能強化に努め、他社に先駆けて新規製品やバージョンアップ版を投入する必要があります。今後も技術革新のスピードが衰えることはないと推測されるため、当社グループ製品の機能が陳腐化した場合や、技術開発及びライセンス取得の努力にもかかわらず、技術革新への対応に遅れが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ OSの動向について
パソコン用ソフトは、OSとアプリケーションソフトに区分できますが、当社グループ製品の大部分はアプリケーションソフトであり、その大部分はマイクロソフト社のOS「Windows」を前提としているため、「Windows」のバージョンアップに伴って新規需要の発生及び発売前の買い控えが起こり、業績が変動する可能性があります。また、代替OS等の登場により、現在のOS市場において圧倒的なシェアを占める「Windows」のシェアが低下する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
スマートフォンのアプリケーションにつきましては、当社グループ製品の多くがGoogle社のOS「Android」を前提としております。「Android」はパソコン用ソフトのOSよりも頻繁にバージョンアップが行なわれる傾向にあるため、当社グループ製品の新OSへの対応が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、開発委託先を含め、新OSへの対応に必要な製品開発体制を確保しております。
⑤ 競争が激しいことについて
パソコン用ソフト市場及び通訳機を含むIoT製品市場は競争が激しく、短期間で他社製品にシェアを奪われる可能性があります。
市場競争力を維持するためには、常に既存製品をバージョンアップして市場へ投入すること、新規性の強い製品や差別化された製品、市場に求められる製品を企画・開発し、市場創造や市場細分化によって利益を追求すること、効果的な広告宣伝を実施することが重要です。当社グループの主要製品の1つであるセキュリティソフトは競争が激しい分野であり、2006年に年間更新料のかからない「ZEROウイルスセキュリティ」を、2011年に世界最高レベルの技術を持つBitdefender社製のエンジンを搭載し、製品の更新料を0円にした「ZEROスーパーセキュリティ」をそれぞれ発売することで新しい市場、他社との差別化を図りました。しかしながら、当社グループが既存製品の市場対応、または新製品による市場創造もしくは市場細分化を適切に進めることができなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、個人向けパソコン用ソフトの販売価格は、当社グループが業界に先駆けて税込1,980円から4,980円を中心とした低価格帯の製品を発売しておりますが、この価格体系に追随する企業もあり、今後パソコンソフトウェアメーカー間、または家電量販店をはじめとする各小売店間の競争激化等により製品単価が下落する可能性があります。将来、このような価格競争により製品の販売価格の引き下げを余儀なくされた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、通訳機を含むIoT製品については、国内大手企業はもちろん、世界規模で展開する多種多様な業種の企業が参入する市場であり、製品の開発、販路の拡大、広告宣伝等において他社への優位性を保つことができない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)当社グループの経営方針について
① マーケティングの重要性について
個人向けのソフトウェア・ハードウェア市場においては、個人消費に対するマーケティング活動が極めて重要であると考えております。当社グループのマーケティング手法の特徴としては、以下のようなものがあります。
a.パッケージデザイン
当社グループは、パッケージデザインを店頭のマーケティング手法として重視しております。パッケージデザインは内製化されており、パッケージデザインを中心として、統一的にチラシ、広告、販促品、webのデザイン等を決定しております。当社グループでは、マーケティングに効果的なパッケージデザインを制作できる優秀なデザイナーの確保が重要と考え、注力しておりますが、優秀な人材を引き続き確保できない場合には、マーケティング活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
b.店頭市場での大型展開
当社グループでは、製品の店頭露出の向上を重要なマーケティング手法の一つと考えており、家電量販店等、小売店の店頭における当社グループ製品の特設コーナー設置等に努めております。小売店の店頭スペースを利用したマーケティングには一定の効果があるものと考えておりますが、想定する効果を得られる保証はなく、また、想定する効果を得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
c.ブランド資産と顧客資産
当社グループは、web広告やテレビコマーシャル、雑誌広告等の広告宣伝を効果的に活用することによりソフトウェア・ハードウェアメーカーとしてのブランドの確立に努めてまいりました。また、近年ではタクシー広告等、対象顧客にマッチした広告配信も活用しております。こうした広告を入り口として、多数の製品ラインナップを取り扱うことにより様々な消費者の囲い込みを実施しており、当社グループの登録ユーザーは1,800万人を超えております。
当社グループでは、これら無形資産であるブランド資産や顧客資産の活用により、より有利なマーケティング展開が望めるものと考えておりますが、実施するマーケティング活動が想定する効果を得られる保証はありません。広告宣伝費及び販売促進費は、これらの支出が業績の向上に寄与するものと考えておりますが、想定する効果を得られる保証はないため、想定する効果を得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 企業イメージ及び製品イメージの重要性について
個人向けのソフトウェア・ハードウェア市場においては、企業イメージ及び製品イメージが重要であり、効果的な広告宣伝や顧客サポートの充実が必要であると考えております。したがって、製品の不具合や瑕疵が発生した場合、または現時点においては予期し得ないユーザーからの訴訟やクレーム等が提起された場合には、企業イメージ及び製品イメージが低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは製品開発・生産の各工程における検査を徹底することで、不具合や瑕疵が発生しないよう努めております。
③ 当社グループが推進する「ZERO」戦略について
当社グループの主力製品である「ZERO」は、端末固定・期限なしのウイルス対策ソフトで、用途や予算に合わせて「ZEROウイルスセキュリティ」「ZEROスーパーセキュリティ」をラインナップしております。最初にインストールした端末が破損するまで、あるいはOSの求めるスペックを満たせなくなるまで、最新版を提供しますが、想定を超えるアフターコストが発生した場合は、利益にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
④ IoT製品について
「ポケトーク」をはじめとするIoT製品は、当社が従来取り扱っていたソフトウェア製品と比較して部品等の生産にかかるコストが高額となります。したがって、当初見込みと比較して需要を大きく見誤った場合には、生産や保管、廃棄コストの増加等、利益にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、自社製品の在庫について適正水準の維持に努めております。
また、IoT製品の欠陥による品質の問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む。)に対して、当社グループは、生産物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を引き起こし、当社グループの事業・業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは製品開発・生産の各工程における検査を徹底することで品質の問題が発生しないよう努めております。
⑤ 海外での活動について
当社グループは、国内外を問わず優れた技術や製品を発掘し、国内を中心にパソコンソフトウェアやスマートフォンアプリを企画・開発・販売してまいりました。
2012年にはアメリカ、2019年1月にはオランダにそれぞれ海外子会社を設立しており、「ポケトーク」のグローバルでの販路拡大を推進しております。
しかしながら、海外で活動していく中では、各国の法令、制度、政治、経済、為替等を始めとした様々な潜在的リスクが存在します。特に欧州においては、企業の社会的責任を求める風潮が強まっていることで、消費者の関心や適用を受ける法規制の変化によって、当社グループの事業活動費の増加、事業活動の制約及び当社グループの評判への悪影響につながる可能性があります。
また「ポケトーク」を始めとするIoT製品については、今後一層グローバルに事業を展開していくことになるため、広告、販売促進、消費者保護、輸出入要件、腐敗防止、反競争的行為、環境保護、プライバシー、データ保護、コンテンツや放送規制、課税、為替管理だけでなく、個人情報の収集、使用、保有、保全及び移転に関する法規を含む多数の国・地域の法規制の適用を受けます。これらの法規制を遵守することは事業活動に負担をともない、想定以上の費用が発生する可能性があります。さらに、これらの法規制は、継続的に変更される可能性があり、その遵守や事業遂行にかかる費用が増加する可能性があります。このような変更が、消費者にとっての当社製品の魅力の低下、新製品の導入の遅延、あるいは当社グループの事業方針の変更や制約に結びつく可能性があります。
また、当社グループは、当社または提携先が製造拠点を有する中国やその他のまた国・地域で、IoT製品の製造開発をしており、これらの国・地域おける法規制の変更、労働法、労働政策の変更は、当社製品の製造と出荷の中断、対象地域における人件費の急激な上昇や熟練従業員の不足を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループ、従業員、提携先、第三者サプライヤーが法規制に違反すると、当社が罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、当社グループの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。加えて、企業の社会的責任や調達活動に対し、全世界的に規制当局や消費者の注目が高まっており、これらの事項に対する情報開示の法的規制も強化されております。「ポケトーク」等、IoT製品の製造には多くの部品や材料を使用しており、それらの部品や材料の供給を第三者サプライヤーに依存しているものの、当社は、第三者サプライヤーの調達活動や雇用環境を直接的には管理していないため、これらの領域における規制の強化もしくは消費者の関心の高まりによって、法規制の遵守にかかる費用の増加や当社グループの評判への悪影響が発生する可能性があります。当社グループでは、主要な調達先に対して、人権尊重や環境への適切な対応を定めた当社グループ行動規範への賛同及び遵守を求める書面への署名取得を実施しており、これらの問題が発生しないよう努めております。
(3)最近5事業年度の業績の変動要因について
当社グループの最近5事業年度の業績は、売上高、経常損益並びに当期純損益に変動が生じております。各事業年度の損益の主な変動要因は、以下の通りです。
2020年3月期 (連結) | 2019年12月に新型「ポケトーク S」を発売しました。カメラ翻訳などの新機能を追加した本製品は国内外での認知も高まり、売上が拡大しました。パソコンソフトは「平成」から「令和」へ改元されたことで年賀状ソフトが好調に推移し、創業以来過去最高となる売上高となりました。しかしながら「ポケトーク W」の自社オンラインショップ専売に伴う返品調整引当金の計上や、販促費等の増加により、営業利益、経常利益、当期純利益は前期実績を下回りました。 |
2021年3月期 (連結) | 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により「ポケトーク」の海外旅行者やインバウンド向けの需要が減少し、売上も大きく影響を受けました。「ポケトーク」は語学学習への訴求へ切り替えると共に「ミーティングオウル」やパソコンソフト等のテレワーク関連製品の取扱を早急に拡充することで事業多角化を強く押し進め、営業利益は前期実績を上回りました。また、中国の持分法適用関連会社による投資損失が発生し、経常利益、当期純利益は前期実績を下回りました。 |
2022年3月期 (連結) | 新型コロナウイルス感染拡大の影響長期化により、国境をまたぐ人の往来が回復せず、日本におけるAI通訳機「ポケトーク」の需要が停滞し当社業績は大きな影響を受けました。当該影響長期化、PC出荷台数など関連市場の下落、前期テレワーク特需の反動減の影響により、家電量販店チャネル及び自社オンラインショップチャネルの業績が大きな影響を受けました。結果売上高が前期実績を下回りました。製品評価損や投資有価証券の減損なども行なったことにより、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しました。 |
2023年3月期 (連結) | 新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中ですが、各種制限の段階的な緩和、今後の更なる需要回復への期待が高まり、AI通信機「ポケトーク」の販売数量が増加しました。また、当社主力のソフトウェア事業以外に市場開拓をした「360度webカメラ」「AutoMemo」も売上高を順調に伸長しております。売上高の増加および既存のコスト最適化を図りましたが、今後の景気回復を見据えて人件費および広告宣伝費は投資を行ったことで、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しました。 |
2024年3月期 (連結) | 新型コロナウイルス感染症が収束し、訪日外客数の回復によってインバウンド需要が急速に拡大したことにより、AI通訳機「ポケトーク」の販売数量が前期比で増加しました。また、米国において非ネイティブに向けた多言語対応需要の拡大等により、POCKETALK Inc.(米国)では、営業利益の四半期黒字化を達成いたしました。ソフトウェア及びIoT製品においても、機能の拡充や法人向け販売の拡大等によって好調に推移し、単体業績では営業利益が黒字化いたしました。一方で、今後の「ポケトーク」事業拡大のための投資を進めていることから、連結業績では、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しました。 |
(4)特定の取引先等への依存について
特定の業務委託先への依存について
当社グループは、開発業務、生産及び物流業務、顧客サポート業務等について、特定の第三者に委託しております。管理方法が間接的であることから、コスト管理が十分に行なえず委託業務に係る費用が上昇する可能性や、現状の契約関係を維持できなくなった場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、委託業務の進捗管理、品質管理、コスト管理等の業務管理を徹底することで費用の管理やサービス内容の維持に努めており、既存の業務委託先との契約関係は今後も維持できると考えております。
a.開発業務の他社への依存について
当社グループ製品のプログラム開発及びIoT製品の製造開発は、他社の開発力に依存している部分があります。当社グループでは、開発期間が短く、かつ、高い品質を確保できる開発委託先を選定しておりますが、これらの要求を満たすことのできる開発委託先は限定されております。また、各開発委託先により技術的な得意領域が異なっており、これをうまく組合せることにより製品化することも重要です。現状のような開発委託先の確保や組合せができなかった場合には、製品開発体制や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、開発委託先との関係強化に努めつつ、当社グループの要求を満たすことのできる新たな開発委託先の開拓、選定、確保に努めております。
b.生産及び物流業務の他社への依存について
当社グループの生産及び物流業務は、開発や年間の生産スケジュールとかかるコスト等のバランスを鑑みて、それぞれに最適と思われる他社に委託しております。当該業務の委託先の切替えは可能と考えておりますが、切替えには一定の期間とコストを要するため、現在の委託先が受託しきれないほどの急激な委託業務の追加が発生し代替先の確保が図れなかった場合には、当社グループの業務運営や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、委託業務の進捗管理を徹底することで、急激な委託業務の追加にも対応できる体制を確保しております。引き続き関係強化に努めつつ、当社グループの要求を満たすことのできる新たな委託先の開拓、選定、確保と育成準備に取り組んでおります。
c.顧客サポート業務の他社への依存について
当社グループでは、顧客サポートサービスとして、製品の使用方法や不具合に関する問合せを専用ダイヤルによる電話及び電子メールで受け付けております。本業務の一部は外部へ委託していることから、切替えには一定の期間とコストを要します。また、現在の委託先が受託しきれないほどの急激な委託業務の追加が発生し代替先の確保が図れなかった場合には、当社グループの業務運営や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、委託業務の進捗管理を徹底することで、急激な委託業務の追加にも対応できる体制を確保しております。引き続き関係強化に努めつつ、当該業務の委託先の切替えができるよう準備を整えております。
(5)返品及び在庫について
当社グループは、契約書上に定める一定範囲において、家電量販店をはじめとする各小売店、流通代理店等より、一定の条件で当社グループ製品の返品を受け入れております。そのため、当社グループでは返品されると見込まれる製品について売上高及び売上原価相当額を認識せず、返金負債及び返品資産を計上しております。家電量販店等の在庫水準の方針転換等により当初の見積もりを超える返品を受け入れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、実売状況の把握や適正出荷に努めており、現在返品は低水準を維持しております。また、技術革新やバージョンアップ等により製品が陳腐化した場合には、大量の返品並びに製品評価損、製品廃棄損が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、返品された製品を含む自社製品の在庫について、適正水準の維持に努めております。
(6)知的財産権について
① 第三者の権利使用について
当社グループがすべての著作権を保有している製品以外に、プログラム(製品内で使用するエンジンを含みます)、キャラクター等の全部又は一部について、第三者からライセンスを受けた製品があります。
通常ライセンス契約や販売契約には有効期限があるため、契約期間終了後においても引き続きライセンスや販売権を付与される保証はありません。また、当該契約の更新時において、ロイヤリティーが増加すること等の理由により当社グループ自らの判断で当該契約の更新を行なわない場合もあります。このような場合には、当該契約を前提としていた開発計画や販売計画が変更又は中止となる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループではライセンスの取得に際し、ロイヤリティーを販売数量に応じて支払う完全従量料金化を推進しておりますが、最低保証料の名目で一定金額のロイヤリティーを販売に先立って支払う場合があります。このような場合には、ロイヤリティーの支払い時に当該金額を前渡金として資産計上し、見込販売数量に基づき償却しております。従って、見込販売数量と実際の販売数量との間に大幅な差異が生じた場合には、追加償却による損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、ライセンス契約や販売契約を締結するに際し、ロイヤリティーや販売数量、独占・非独占の区別だけでなく、契約期間についても重要な契約条件と捉え契約締結交渉を行なっております。また、当社は、契約締結後もライセンス契約においては、ロイヤリティーの算定が契約に準拠して適切に算定され、支払われていること、また適切なロイヤリティー報告を妨げ得る事象(契約書の不備、社内の管理体制の不備など)がないこと等を、販売契約においては、リベート、特別値引き、在庫管理、返品などが契約条件を遵守した形で実施されていること等を随時確認しております。
② 知的財産権の確保について
当社グループが販売する製品の名称につきましては、その主力製品のほとんどについて商標登録を行なっております。他社製品との識別性を高めること、広告宣伝などのマーケティング施策の有効性を高めるという観点から商標権の重要性は非常に高いと認識しております。そのため、商標登録にあたっては、製品化の段階でブランド部門の意見も踏まえて複数の製品名称候補を出し、商標登録可能性を確認の上、製品名称として決定するというプロセスを通しています。商標登録後は、登録した商標権の存続期間、地理的な範囲、指定商品・役務の区分等を適切に管理しており、登録商標の利用状況を定期的に見直し、商標権の適切な利用管理に努めております。
また、IoT製品に関しては製品の設計、開発段階から弁理士等の知的財産権に関する専門家の監修を受けブレスト会議を通じて特許、実用新案、意匠権の出願検討及び出願が必要となった場合には、その出願手続を行なっています。
これ以外の技術やビジネスモデルについても、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作権等での保護が必要であり、それらの対象となる可能性があるものについては取得を目指しておりますが、必ずしもかかる権利を取得できる保証はありません。当社グループの技術、ノウハウ等が特許権等として保護されず他者に先んじられた場合には、製品の開発や販売に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 他者の知的財産権の侵害について
当社グループでは、製品名称については商標調査、製品の機能やデザイン等については特許・意匠調査を、顧問弁護士・弁理士など専門家の助言を得ながら実施し、他者の権利侵害とならないようチェックする体制を敷いております。現在において当社グループ製品による第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しておりますが、昨今顕著である技術革新に伴い、当社グループの認識していない知的財産権の成立により、当社グループの製品が第三者の知的財産権に不時に抵触するなど、 今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、かかる事態が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下並びに製品の販売中止等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)関連法規制について
当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行なっています。当社グループが適用を受けうる法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制、電気通信事業、電波、電気製品の安全性に関する法規制、犯罪による収益の移転防止に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、並びに輸出入に関する法規制等があります。当社では、法務部主導で各種法令及び法令に基づくガイドラインの改正のモニタリングを外部専門家の協力を得ながら定期的に行なっております。しかしながら、全ての法令及びガイドラインの改正を追い、全ての法令違反行為を未然に防ぐことは困難な場合があります。例えば、より厳格な法規制が導入されたり、当局の法解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点等から当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を遵守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。
さらに、当社グループは、販売方法の一つとして、インターネットを通じた消費者に対する直接販売を行なっております。それに伴い「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の各種法令や監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けております。こうした法令等の制定や改正、新たなガイドラインや自主的ルールの策定又はそれらの改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受け、又は既存の規制が強化された場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、当社グループの事業、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社グループが、これら法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、行政指導、公表・課徴金等の行政処分、行政罰または損害賠償の対象となり、また当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、年に1回行うコンプライアンス研修で関連法規制等に関する教育、テストを全従業員対象に実施しています。またテスト以外には、法務部門が主催する弁護士及び法務部員による関連法規の勉強会を随時行なっております。
さらに、新たな業務フローを構築する場合は、事前に弁護士を始めとする専門家や官公庁窓口に相談し、法規制等の違反がないよう努めています。このような施策により、従業員の法令違反や社会規範に違反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
(8)個人情報保護について
① サービスの提供に伴う個人情報漏洩の危険性について
当社グループは、サービスの提供にあたり会員情報等の個人情報やその他の機密情報を取得し、利用しています。当社の個人情報の取り扱いについては、個人情報責任者を任命し、個人情報保護方針、個人情報保護規程及びその他細則を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを極めて厳格に管理しております。日本においては、令和2年度個人情報保護法の改正に対応するために、当社グループが取得保持している個人情報の内容を改めて精査し、遵法体制を整え全社横断的にセキュリティ委員会を設置し、個人情報のみならず、その他の機密情報を含めた情報管理全体において、従業員を対象として社内教育を充実させ、社内の意識を高めるよう努めております。特に個人情報の取り扱いが多い自社webサイトシステム、及び関連部署を中心として、セキュリティ対策を強化しており、第三者機関による審査を受け、「ISO27001」(注)の認証を受けております。しかしながら、個人情報や機密情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。なお、適用される諸外国の個人情報保護法制についても必要な対応をしています。
(注)「ISO27001」は、個人情報を含む情報資産全体を保護し、利害関係者の信頼を得るセキュリティ体制の確保を目的とする第三者適合性評価制度の基準となる規格です。
② 特定の業務委託先における機密情報漏洩・個人情報漏洩の危険性について
当社グループでは、機密情報を取扱う業務については、信頼のおける業務委託先を選定したうえで、秘密保持契約を締結しておりますが、情報管理の徹底にもかかわらず、万一、業務委託先において機密情報の漏洩や不正使用等が発生した場合には、信用の失墜によって当社グループの事業運営や業績に影響を与える可能性があります。また、顧客サポートや商品発送業務等、ユーザー情報(個人情報)を業務委託先に預託して運営する業務については、適切な管理を行う業務委託先を選定したうえで、定期的に当社グループにてチェックシートを用いて業務委託先のセキュリティ監査を実施するなど個人情報が漏洩しないような厳重な体制をとっております。ただし情報管理の徹底にもかかわらず、万一、業務委託先において個人情報の漏洩が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(9)サイバーセキュリティについて
当社は、当社が販売するIoT製品を通じて、当社製品の品質向上、顧客の動向分析を目的として、位置情報・使用履歴等の重要なユーザー情報を取得しております。当社グループでは、安全に安心して利用できるサービスをユーザーに提供するため、中長期的な視点で全社を挙げて情報セキュリティの向上に取り組んでいます。しかしながら、これらの取り組みが及ばず、業務上の人為的ミスや故意による不法行為、災害等によるシステム障害、マルウェア感染や標的型攻撃等のサイバー攻撃、システムや製品等の脆弱性等により、情報漏洩、データの破壊や改ざん、サービスの停止等の被害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるだけでなく、当社グループの信用失墜につながる可能性があります。
当社グループでは、日々高度化するサイバー攻撃等の脅威に備え、必要な対策を取るべく必要十分な費用の確保に努めています。しかしながら、想定以上にサイバー攻撃等の脅威が発生した場合には追加費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)管理体制について
① 内部管理体制について
当社グループは、取締役及び監査役計11名、従業員163名(2024年3月末日現在。うち5名は臨時従業員となります)の組織であり、管理体制も現状の組織規模に応じたものとなっておりますが、人員の確保及び育成並びに管理体制の強化が順調に進まなかった場合は、適切な組織対応ができず、業務に支障をきたす可能性があります。当社グループは、今後の事業拡大と業務量の増加に備え、人員の増強と管理体制の一層の増強を図る方針であります。
② 人材の確保について
当社グループの競争力は、製品の企画及びマーケティングに依存しております。今後とも継続的な成長を維持するためには、優秀な企画要員及びマーケティング要員の確保並びに育成が重要となります。しかしながら、このような人材の確保は、労働市場における人材そのものの希少価値が高いため困難な状況にあり、また、比較的小規模な組織であるために人材育成体制が十分ではない可能性があります。さらに、市場の早い変化に対して人材確保と育成強化が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、今後とも人材確保及び育成を経営における重要課題の一つと捉えて努力して参ります。
③ 情報セキュリティに係るリスクについて
当社グループは、業務遂行上、顧客に関する様々な機密情報を取り扱う機会が多いことから、当社グループのサービス提供に必要なコンピューターネットワークを始めとする情報システムのセキュリティ強化を推進しております。しかしながら、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、コンピューターウイルス、自然災害、急激なネットワークアクセスの集中等により、重要データの漏洩・棄損、コンピュータープログラムの不正改ざん等の損害が発生する可能性があります。また、想定を超える事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社グループではそのような事態を防ぐべく、社内のシステム部門を中心にISMSに準拠した情報セキュリティシステムの構築やサーバーのクラウド移行による集中アクセスの負荷分散など情報管理体制の強化に努めております。
(11)自然災害、感染症等について
当社が事業活動を展開する地域において、想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、テロ、戦争その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、当社グループや主要取引先の事業活動の停止または事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)環境・社会に関するリスクについて
当社グループは、持続性の観点から環境・社会に関するグローバルな課題への対応と解決を経営上の重要課題の一つとして位置付け、サステナビリティ関連方針(人権方針、環境方針、及びソースネクスト・グループ ビジネスパートナー行動規範)を制定するとともに、サステナビリティ課題の特定を進めております。
具体的な運営については、サステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティに関する方針の策定・見直しなどの取り組みを推進しております。しかしながら、こうした取組みが不十分である、もしくは不十分とみなされた場合、社会的評価の低下等につながり、将来の当社グループの財政状態や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)訴訟等に関するリスクについて
当社グループは法令遵守を重視した事業活動を行っておりますが、取引先企業等を相手方とする各種クレームの発生、訴訟、係争、またこれらに起因する損害賠償請求の当事者となる可能性があります。これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたす恐れがあり、万一、当社グループに不利な司法判断等がなされた場合には、当社グループの経営成績及び社会的信用に悪影響を与える恐れがあります。このため、当社グループは社内規程を整備し、コンプライアンス体制の強化・推進と各種クレームの発生、訴訟、係争等の発生可能性の低減に取り組んでおります。また、各種契約の締結においては法務部門による確認を行っているほか、顧問弁護士と必要に応じて迅速に相談できる体制を整備しております。
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