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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、『人の気持ちをつなぐ』ことをミッションとし、音楽・映像・書籍・一般商材などのデータベースを開発し、主にインターネットを通じ「レコメンドサービス」「パーソナライズサービス」「検索サービス」「アナリティクス(データ分析)サービス」「データ提供サービス」などデータ関連サービスを提供しております。

 今後の社会においてAIがますます普及されることが予想されますが、効率性、安全性、生産性などを追求し社会を豊かにする一般的なAIとは異なる当社独自の「感性メタデータ」を活用した「人間の複雑な感性や感情を理解する感性AI」の技術開発および実用サービス開発をより積極的に進め「心を豊かにするAI」を発展させてまいります。また生成系AIの発展は今後ますます社会の変革を促す可能性がありますが、そのような環境においては、移ろいやすく曖昧なその瞬間(モーメント)の人の感情に寄り添うような技術はより重要になります。それら環境でより本質的に社会の役に立てるよう、当社が提供する現在のデータ関連サービスの継続的な品質向上や新たな付加価値サービスの開発を進めます。当社はエンターテイメントから学んだ様々な人間の感情、シチュエーション、ライフスタイル、人間関係、感性などを活用した独自のマーケティングサービスを展開してまいります。

 今後、あらゆる業種業態、サービス、ブランド、個人やクリエイター、アーティストがそれぞれの垣根を越えて協力しあい、企業と個人がボーダーレスに共同で、製品・サービス開発、マーケティング、広告などのコミュニケーション活動を行なう世界がやってきます。それらは、人、商品、サービス、ブランド、作品が持つ、共感の繋がりによって実現すると考えられます。当社は、独自の人の感性や感情を科学し、理解する技術を活用し、たくさんの多様な共感が繋がる世界を実現いたします。その結果として、企業にとってもクリエイター、アーティストにとっても、生活者にとっても新たな気づきや協調(コラボレーション)が連鎖することで、当社ミッションである人の気持ちが繋がる心豊かな平和な世界への貢献を目指します。

 ① 『人の気持ちをつなぐ』ことに役に立つ価値あるサービスを確かなモノづくりにて実現するために、新しいテクノロジーが切り開く可能性を信じ、研究開発とデータ開発を重視します。

 ② 常にユーザー視点、顧客価値を大切にし、真に価値のあるオリジナリティの高いサービスの実現へ向けサービス開発を続けます。

 ③ エンターテイメントが生む様々なエモーション、シチュエーション、オケージョンをデータベースとして解釈し、人間の多様な創造性、想像力を科学する技術を開発します。

 ④ より一層の心が豊かな社会の実現に向けた価値ある新しいサービスを生み出す技術力と企画力を育成し続けるために、多様性と自主性に富む人材の採用・育成、成長への環境づくりに努めます。

 ⑤ 当社の企業理念や志を共有する従業員、取引先、株主などと共に成長し、貢献します。そのための企業文化を育てます。

 これらを継続的かつ長期的かつ日常的に行うことで、その結果として、収益力の向上、持続的な成長を実現させることが、人それぞれの思い、こだわり、感性や感情を大切にし、思いやりと多様性に溢れる豊かな社会への貢献となり、一層の企業価値の向上に繋がるものと考えております。

(2)中長期的な会社の経営戦略

 生成AIはじめ様々なAIのさらなる社会への実装、量子コンピュータによる情報処理能力の大幅な向上、インターネットの高速化やクラウドサービスの発展、日々膨大に積み上がる行動データなどを背景に、データサービス関連市場は成長を続けます。そのような中で、人類にとって有用な技術の一つとして、感性や感情を解釈するテクノロジーが上げられます。当社はこの関連データ技術開発に長期的に取り組んでいくことで、社会にとってなくてはならない会社の一つになることを目指しています。

 また足元では、従来広く利用されてきたクッキー(個人のインターネットサービス閲覧時の行動履歴)の利用が制限されるクッキーレスの時代がやってまいります。

 そのような環境の中で、企業やサービスの提供者にとっては、従来クッキーなどで補ってきた大量の第三者データが利用できない状況が起こります。その際には、各企業・サービス事業者が、外部データの量に頼ることなく、今後自らの「データの質」をより高めていく必要性が高まります。自社が保有する「データの質」を向上させることで、各企業・サービス事業者は顧客満足の最大化を図ることが重要になります。

 またインターネット広告においても、従来の短期的な成果獲得を目的としたものだけでなく、中長期にわたって生活者と信頼関係を築くことを目的とした広告がより普及する可能性があります。

 あわせて、エンターテイメントにおいても、日本の音楽・映像などのコンテンツがより世界中で体験されるグローバル流通への期待もより高まっていきます。

 当社は、音楽・映像・書籍・テレビ・イベントなどのエンターテイメント分野において国内随一のデータベースをより拡充し、独自の感性AIと連携しインターネットでのエンターテイメント体験機会の増加に貢献してまいります。あわせて、当社データの利活用範囲をインターネット上に留まらず、コンテンツ制作、ライブ、グッズ(マーチャンダイズ)など、リアルな体験機会の領域にも広げてまいります。合わせて、感性メタデータをはじめとして各種メタデータの整備を一層進めたうえで、日本のコンテンツの国際流通の拡大にも寄与してまいります。

 そのうえで、感性メタデータの開発・提供をエンターテイメント分野のみならず美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など暮らし全般の非エンターテイメント分野にまで広げ、ライセンス提供先を流通業界、製造業界、小売業界、美容業界、旅行業界、飲食業界、広告業界、不動産業界、金融業界などに展開してまいります。そのプロセスとして、独自の感性ターゲティング広告サービス「Trig’s」を広げ、日本国内におけるPMP(Private Market Place)といわれるブランド・サービスの共感を繋ぐ広告サービスとして、様々なメディアや企業の信頼性と収益性の向上に貢献してまいります。またそれらエンターテイメント分野とマーケティング分野でのデータサービスでの活動を通じて、人の感情をはじめ流行性、社会性、作品性、普遍性などを学習し、独自の感性メタデータと感性AIの技術開発を促進させます。

 その先には、個人と企業とクリエイターやアーティストが垣根を越えて「共感を軸に協創するプラットフォーム」の構築があります。

 そこでは、エンターテイメント・テクノロジーと感性マーケティングの連携を実現し、その連携において「ブランドパートナーシップ」「クロスプロモーション」「コラボレーション・クリエイティブ」など、生活者、企業、クリエイターとの感性や感情における繋がりを起点としたコミュニケーションサービスを展開します。

 生成系AIの進展によりAIと社会、AIと人間との関わり合いは、新たな時代に入ります。この新たな時代においては、生成系AIが出す「結果」に対するアノテーション(注釈)が非常に重要になりえます。また生成AIが出す結果の曖昧さや不確実さの回避は重要な解題であります。また膨大に生成され増加するメタデータの体系化、構造化はますます重要になります。当社独自のメタデータソリューションと感性AIは、今後の生成系AIが生む様々な功罪に価値ある責任を果たすことが使命となります。

 あわせて特定分野に用途を絞ることでよりきめ細やかなサービス体験を実現する用途特化型AIの開発を進め、新たな人と機械のコミュニケーションの可能性を追求します。具体的には今後、MaaS、自動運転など自動車を取り巻く世界が大きく変わることが想定されており、その中で、当社の感性AIが、自動車などを通じた「人の移動体験の付加価値向上」を行ないます。

 感性AIを通じて、人と機械とのインターフェイス(やり取り)において、曖昧さ、文脈、感覚、雰囲気なども解釈し得る、より人同士のやり取りに近くなる技術を開発します。その上で、長期的には、国内のみならず海外も含め一人でも多くの利用者を増やしていくことで、当社のミッションである世界中の『人の気持ちをつなぐ』ことに寄与していきます。

 それらの実現のために、当社独自の人の感性や感情を体系的に情報化したオリジナルデータベースの開発およびそのデータを利活用するデータ関連技術の開発を進めてまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、感性データ関連技術を活用した新しいサービスの開発、品質向上を継続的に行い、より多くの皆様に当社独自の人の気持ちが繋がるサービスを提供し、顧客満足度の向上を図ることが当社の企業価値の向上に繋がると認識しております。そのための経営指標として「成長性」と「収益性」を重要な経営上の指標としております。

 当社の中期的な経営指標として、社会により深く役に立ち、かつ独自性が高い事業の指標として「売上総利益率60%以上」を目標としています。それらを達成するにあたり、当社データ関連サービス技術の事業モデルにおいて一時的な受託開発・運用モデルではなくユーザー数の拡大が直接的な収益拡大に繋がる事業モデル、月々の継続的な収入となるサブスクリプション(定額制)事業モデル、当社が独自に開発した感性データベースを最大限活用したIP事業モデルなどのライセンス型ビジネスモデルへの転換を進めております。

 中期的な経営指標として「売上成長率年間15%以上」を目標としております。

 またあわせて、「ライセンス型ビジネスモデルの売上構成比」「新規ライセンス提供数」「月間ライセンス提供数および額」「売上に占める研究開発費やデータ開発などの先行投資額比率」の管理にも取り組んでまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 インターネット関連、データ関連、AI関連分野の技術革新、生活者や企業の目的や嗜好の多様化、新規参入など変化の激しく起こりうる事業環境の中で、当社が長期的に持続可能な成長を見込み、経営戦略を確実に遂行していくために、以下のような課題に対処してまいります。

①優秀な人材の確保、育成

 継続的な成長の原資である人材は、当社にとって、最も重要な経営資源と認識しております。当社の技術開発力や企画力およびサービス運営力を維持し、継続的に発展、強化していくために、優秀な社員を継続的に雇用し、その成長の機会を提供すると共に事業規模を拡大させていくための人材を獲得する必要があります。

 人的基盤を強化するために、全役職員を対象としたクレド(行動規範)など企業文化の熟成、採用体制の強化、新入社員・中堅社員・管理職向けなど段階に応じた教育・育成、研修制度、人事評価制度、より弾力的な報酬制度、多様な働き方を実現する勤務体系の充実など、各種施策を進める方針であります。

②開発・品質管理体制の強化

 当社が開発を手掛けるアプリケーション、データベースおよびサービスは、技術革新の中で、開発内容が複雑化する可能性があります。また、ライセンス事業モデルの中でも顧客においては、開発スピードのさらなる向上やコストの軽減、高付加価値化を求めてくることが想定されるため、これらへの対応力の強化が必要となります。

 このため当社では、企画営業部門と開発部門における連携面での見直し、開発・運用ルールの統一化、自社開発ツールの構築、開発体制の一体化など全社的な技術資産の共有を行うことで、開発・品質管理体制の一層の強化を図っていきます。

③収入モデルの多様化

 現在の当社の主な収入モデルは、ライセンス収入モデル、開発収入モデル、運用収入モデルなどであります。

 現在主力であるライセンス収入モデルの多様化を一層進めてまいります。

 低い金額でライセンス提供可能なライト版ライセンス、初めは無料で提供するフリー版ライセンス、付加価値向上に合わせたアップグレード版ライセンス、また当社サービスの外部の代理店による販売などのエージェント型ライセンスなど収入モデルの多様化に一層取り組んでいきます。

 さらに、当社感性メタデータ、感性AI活用の収入モデルとして、利用成果に応じて権利の一部を共有するIP(知的財産を活用し収益を得る)事業モデルの構築に取り組んでまいります。

④内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの充実

 当社では継続的な成長を実現していくために、事業規模に応じた内部管理体制の充実が不可欠であると認識しております。金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価へ対応すべく、業務の適正性や効率性、財務報告の信頼性の確保に努める必要があります。

 今後も事業規模の拡大に合わせ管理部門の一層の強化による内部管理体制の整備を図るとともに、会議体および職務権限の見直しや社外役員の積極的な導入など、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組む方針であります。

⑤インターネット関連技術・サービスなど企業との連携

 今後、国内外のインターネット技術やサービスは、ますます連携や融合されていくことと予想され、当社はこの流れへの対応力の強化が必要となります。

 このため、当社ではデータベース、アプリケーションそしてストリーミング開発を通じ、通信事業者、デバイスメーカーやインターネット関連企業およびサービス提供企業との連携や権利元との調整などアグリゲーション力を強化していく方針であります。

⑥営業体制およびコンサルティング能力の向上

 既存事業のエンターテイメント分野向けデータサービスから新規事業の感性マーケティング分野へのデータサービスまで事業領域が広がる中で、営業人員および営業体系の強化、提案時または案件成立後のサポートともいえるコンサルティング能力の向上がより一層必要となります。業界経験者の採用、若手人材の育成、またエンターテイメント分野と感性マーケティング分野にまたがる営業とコンサルティングを可能とするスペシャリストの採用などを通じて、体制の強化、能力の向上に努めてまいります。

(5)その他、会社の経営上重要な事項

 大株主との取引等

 当社は、KDDI株式会社より出資を受けており、当事業年度末において同社は当社の議決権の9.8%を保有する大株主となっております。当社は同社へインターネットサービスにおけるデータベースやアプリケーションの開発・提供などを行っております。なお、同社との取引条件につきましては、同社以外の取引先と同様に、価格交渉などの手続きを行った上、その都度決定しております。また、当社はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下「CCC」といいます)より出資を受け、当事業年度末において同社はKDDI株式会社と同数の当社株式を保有しております。当社は、今後のマーケティング分野への展開を目指しCCCグループと当社のデータベースを連携させるため、共通基盤データベースの開発およびその利活用に引き続き取り組んでおります。なお、CCCグループとの取引条件につきましても同社以外の取引先と同様に、価格交渉などの手続きを行った上、その都度決定しております。

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