ズーム 【東証スタンダード:6694】「電気機器」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、自分の想いをどんな形であれ表現し、自分らしく生き、人々と交流することが人生をより豊かにすると考えます。このような人々を表現者(クリエイター)と位置づけたうえで、当社は「世界中の人々を表現者にする」企業となることを目指します。
そのために、「クリエイターに品格を伴った価値を提供するという、利他的な動機を基にした行動」という規範のもと、創作活動を加速させる魅力的なクリエイティブオーディオ機器の開発を推し進めるとともに、より多くの人々に当社を認知してもらい、かつ既存顧客の満足度を高めるべく、ブランド価値の向上に努めます。
また、適正で安定した利益還元によって株主の期待に応えるとともに、技術革新に対する投資を積極的に行います。更に、コンプライアンス、透明性、環境への配慮を重視することで企業の社会的責任を果たしてまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、持続的な成長と適正な利益の確保のための指標として売上高及び営業利益を、また、資金の効率的な運用を実現するための指標として株主資本利益率(ROE)及び投下資本利益率(ROIC)を、重要な指標と考えております。
(3) 経営環境
当社グループが属する楽器関連機器業界においては、コロナ禍におけるリモートワークやステイホームの浸透によるライフスタイルの変化による堅調な需要は一巡し、ロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の高騰及びインフレの加速、半導体の供給不足や物流網の混乱により、先行き不透明な状況が続いておりました。しかしながら、現在は半導体の供給遅延は大幅に改善、スポット購入によるコスト増も大幅に削減され生産納期への影響もほぼ皆無となっており、ポストコロナと言われる中、クリエイターエコノミーの発展や生成AIの台頭などを新たなビジネスチャンスと捉えると同時に、事業における生産性の改善を図る絶好の機会と捉えております。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、中長期的な経営ビジョンとして、「“進化”と“挑戦”によりより多くの自己表現を支える」を掲げ、当社製品のターゲットユーザーを楽器の演奏をするミュージシャンに限定せず、広く創造活動をするクリエイターと位置づけることにより、製品カテゴリーを拡げることで成長シナリオを描いております。一方で、ハンディオーディオレコーダー、マルチエフェクターやデジタルミキサーといった既存の製品カテゴリーにつきましても、引き続き新製品を投入し、持続的な成長を目指してまいります。すなわち、製品カテゴリーを入れ替えていくのではなく、実績ある従来製品で安定した事業基盤を確保しつつ、新たな製品カテゴリーを加えていく、という経営戦略を掲げております。
加えて、開発標準化・最適化や効率的なプロモーション活動による利益率向上、部品納期短縮と販売子会社との連携強化による在庫最適化がもたらす回転率向上、AIやDXを活用した生産性向上という3つの効率化により、収益率を強化します。
また、2021年1月に株式会社フックアップ(以下、フックアップ社)を子会社化したことにより、音楽用電子機器のディストリビューション・ビジネスを営む基盤が、日米欧に揃いました。ズームブランドの成長に加えて、第二の収益の柱として育成してまいります。M&Aを含めた成長のために必要な投資については、継続的に実施していく予定であります。
当社は、上記方針を踏まえ、2024年度から2026年度までの中期経営計画「第4次中期経営計画2024-2026」を策定しております。当該中期経営計画において、2026年度の数値目標を、売上高220億円、営業利益22億円と定めました。また、資本効率性の指標としてROE10%以上、ROIC10%以上、PBR1倍以上を目標として設定いたしました。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当面は不透明な外的要因が続くことを前提に、安定的、持続的に事業を拡大するため、下記のような課題に優先的に取り組んでまいります。
① 不透明な景況感
世界的なインフレ傾向は沈静化の傾向がみられるものの、中東紛争の激化、金融不安、貿易の分断化など、景気の下振れリスクが残っており、不透明な景況感が続いています。当社においては原材料価格高騰によるコスト上昇圧力はそれほど高くなく、在庫も適正レベルを維持できておりますが、2023年下半期では北米の販売が伸び悩むなど、景況感の影響を受けております。
この不透明な景況感にあっても新製品は確実に売上に貢献するため、開発の効率化とマーケティング効果の最大化を図り、更に納得感のある価格と利益率の高さを両立させるために、クリエイターが期待する機能の本質を見極め、そこにフォーカスしたイノベーティブかつシンプルな商品の開発に取り組んでまいります。
② 人材の確保と育成
有効求人倍率は1.3倍とバブル景気時並みの高さが続いており、超少子高齢化により生産年齢人口は減少の一途を辿っております。理系学部を主体としていた新卒採用の間口を芸術学部にも広げ、インターンシップや座談会の開催など、学生との接点を増やす事で優秀な人材確保に努めてまいります。
同時に、海外子会社への出向も視野に入れたジョブローテーション、次世代リーダー育成プログラム、フィロソフィー浸透活動といった社内育成プログラムや、大学院派遣といった外部プログラムを実施し、人材の育成と経営理念の浸透に取り組んでまいります。
③ 地政学的リスク
台湾有事のリスクや、中国原産品の米国輸入に対して課せられる追加関税(トランプ関税)の継続など、生産の大部分を中国で行う当社にとって、中国や米中関係に纏わる地政学的リスクは重要な課題です。2021年から2023年に開発した商品の約半分は東南アジアにおいて生産されているものの、東南アジア生産が全体に占める割合は一割強(価格ベース)にとどまります。
トランプ関税がかかる製品群を優先とし、東南アジアにおける生産の割合を引き続き増やしてまいります。
また、ソフトウェアによるサービスなど、地政学的リスクの影響を受けやすいハードウェア販売以外のビジネスモデルの構築を検討してまいります。
④ 競合企業
特に中国の新興企業が成長してきており、当社の事業ドメインへも参入しております。新規企業の参入は市場を活性化する側面があるものの、シェアを奪われるリスクもあります。
当社が長年培ってきたコストパフォーマンスの高い商品を実現する技術に磨きをかけるとともに、全ての商品に継続して世界初の要素を取り入れることで、他社との圧倒的な差別化を図ってまいります。
また、クリエイターに選ばれる企業になるために、世界的な認知度の向上と顧客ロイヤルティの向上に努め、ブランド価値を高めてまいります。
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