ステラファーマ 【東証グロース:4888】「医薬品」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
企業理念『ひとりのかけがえのない命のために、ステラファーマは世界の医療に新たな光を照らします。』
当社は、「ひとりのかけがえのない命のために」それぞれの使命を実行することを行動指針の基盤とし、「世界の医療に新しい光を照らす」ことを経営目標の策定方針として企業理念に掲げております。
この企業理念を実現するため、当社は会社設立時よりBNCTの実用化に取り組んでおり、がん患者へ新たな医療の選択肢を提供することを、経営の基本方針としております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、新規医薬品の上市を目指して研究開発を先行して行う、いわゆるバイオベンチャー企業であり、2020年3月に、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、ステボロニン®の製造販売承認を取得いたしました。また同年5月からステボロニン®の販売を開始しております。
当面の経営上の目標は、新たな医療としてBNCTの認知度を向上させることによる上市後の安定的な収益の獲得及びそれに伴う事業基盤の確立であります。
従って、当社は、ROEのような利益を基準とした経営指標を目標とせず、売上高の増加割合すなわちBNCTの実施症例数の伸長を、目標の達成状況を判断するための主要な経営指標として事業活動を推進する計画であります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、ステボロニン®を事業基盤とすべく国内では適応疾患の拡大を図り、さらに米国、欧州及びアジアを中心にグローバルに事業を展開していき、新たながん治療の選択肢として各国にステボロニン®を提供することを中長期の経営戦略としております。
適応拡大については、主にBNCTの臨床研究データが豊富な疾患や未だ有効な標準的治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ、いわゆる「Unmet Medical Needs」の分野での適応拡大を目指し、CSRの観点からも社会に貢献していく方針であります。
また、海外展開においては、グローバルの製薬企業等をパートナー企業として提携し、導出モデルをとることで上市までの期間短縮を図る方針であります。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が属する製薬業界は、国内における市場規模は横ばいで推移しつつも、がん患者数はなだらかな増加傾向を示しております。高齢化社会を迎えている日本では、医療費の増加とともに今後も一定の市場規模を維持していくことが予測されます。
また、海外では当社が属するがん治療の分野においては、新薬承認及びオーファンドラッグ(希少疾病医薬品)の増加等により米国を始めとした主要な市場での伸長が予測されております。
がん治療の分野においては、新薬の研究開発が盛んに行われており、潜在的な競合相手に先行するためには、開発から承認に至るまで開発計画を遅延することなく迅速に進める必要があります。
このような経営環境の下、当社が対処すべき主な課題は、次のとおりであります。
① 適応疾患の拡大
当社は、2020年3月に、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、ステボロニン®の製造販売承認を取得するに至りました。現在、頭頸部癌以外の疾患では、再発高悪性度髄膜腫(医師主導治験により実施)、血管肉腫を対象に臨床試験を実施しており、悪性黒色腫の開発は第Ⅰ相臨床試験で対象とした疾患から適応を広げることも含めて、今後検討していく予定です。再発高悪性度髄膜腫、悪性黒色腫及び血管肉腫も国内では同様に希少がんとされております。その中で、厚生労働省より2023年12月に切除不能な皮膚血管肉腫を予定される効能・効果として希少疾病医薬品の指定を受けました。また、既に国内第Ⅱ相臨床試験を完了している再発悪性神経膠腫に対しては、その結果を用いて承認申請を行う当初方針を変更し、初発悪性神経膠腫への適応拡大も視野に入れ、再検討することとしており、2024年1月には国立大学法人筑波大学が実施する初発膠芽腫を対象とした第Ⅰ相医師主導治験が開始され、当社は当該治験の実施に協力しております。
治験の実施においては、開発体制の強化と開発資金の獲得を滞りなく進め、スケジュール管理の徹底等によって開発計画を着実に実施し、早期承認を得ることを目指してまいります。
② 海外展開の推進
日本で承認を得た疾患を対象に、米国、欧州及びアジアを中心とした海外市場への展開を計画しております。海外展開において、早期の上市を目指すには、地域ごとに異なる医薬品の製造販売承認に係るレギュレーションを熟知しているパートナー企業との提携が必要不可欠であると考えられます。当社は、海外展開において信頼できるパートナー企業をいち早く選定し、関係構築及び連携を推進してまいります。
海外第1号案件である海南島プロジェクトについては、医薬品の品質を確保した輸送体制を確立するとともに、現地パートナー企業と協力して必要な許認可を遅滞なく取得し、BNCTセンター稼働後に速やかに治療が行える準備を進めます。
③ 新規パイプラインの拡充
医薬品事業においては、開発パイプラインの充実度が将来の利益貢献に大きく影響することから、新規パイプラインの拡充が重要となります。この点、当社では、BNCTの新規パイプラインとして胸部にある複数の癌腫を対象とした胸部悪性腫瘍の開発にも着手し、臨床試験の実施に向けて当局との相談を含め、世界初となるバスケット型のBNCT治験の準備を進めております。また、BNCTに関連する新規パイプラインの拡張策として、「18F-FBPA-PET」の開発に取り組んでおります。18F-FBPA-PETによる体内でのボロファラン(10B)分布の可視化は、BNCTへの適応の検討を容易にするなどのBNCTとのシナジー効果が期待されることから、世界初となるBNCTの胸部悪性腫瘍に対する治験開発計画に組み込む計画を進めております。当社は、限りある経営資源を有効に活用し、長期的な成長戦略に基づいた新規パイプラインの拡充を実施してまいります。
④ 財務体質の強化
当社のビジネスモデル上、開発パイプラインが上市され収益化する前に多額の研究開発費用が先行して発生するため、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスとなる可能性があります。そのため、早期の黒字化とともに財務体質の強化が課題であると認識しております。今後は研究開発活動の適切なコントロールに加え、金融機関からの資金調達や新株発行等により、更なる財務体質の強化に努める方針であります。
⑤ 優秀な人材の獲得及び育成
当社は、現在、小規模の組織で事業運営を行っておりますが、今後のグローバル展開のためには、製薬業界に通じた経験や知見等を有する優秀な人材を採用し、営業体制、開発体制及び管理体制を整備していくことが重要であると認識しております。また、採用活動を進めるとともに、教育訓練も重視して取り組み、企業と従業員がともに成長していくことができる体制の構築に取り組んでまいります。
⑥ 安定供給の維持・確保
治療を必要とする患者のもとに高品質な医薬品を安定的に供給することは、医薬品メーカーにとって最も重要な使命の一つであります。当社は、厳格な基準による製造管理・品質管理を行うとともに、需要予測の精査及び適正在庫の確保を通じて、安定供給の維持・向上を図っておりますが、棚卸資産のうち、特に原材料は現状においては代替品の無いものとなっていることから、災害時においても安定供給を維持できるように、原材料のセカンドソース化や相当期間分の販売に対応できる在庫数量の確保に取り組んでまいります。
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