スターゼン 【東証プライム:8043】「卸売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「食の感動体験を創造することで世界中の人々と食をつなぎ続ける」「スターゼンと取引をしてよかったといわれる会社にしよう」「スターゼンで働いてよかったと思える会社にしよう」「仕事を通じて自ら成長しよう」を経営理念として掲げており、人々の食生活の向上に資するべく、創業以来、食肉卸売業を中核として様々な機能を強化してまいりました。
人々の豊かな食生活の実現に一層貢献するべく、グループ一丸となって食肉関連製品の安定供給と、多様化が加速する食への要望に的確に応えうる商品提供の実現に取り組んでまいります。
また、人々の生活に欠かせない「食」を扱う企業として、環境・社会・経済を巡るさまざまな課題解決に「食」を通じて取り組み、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(2)経営環境及び経営戦略(対処すべき課題)
①経営環境
新型コロナウイルス感染症の5類移行による社会経済活動の正常化と円安に伴うインバウンド需要のさらなる回復が期待されます。一方、地政学的リスクの長期化やOPECプラスの減産継続等で原材料・エネルギー価格が高止まりする中、可処分所得の低下に伴う消費マインドのさらなる冷え込みが懸念され、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
②中期経営計画
当社は、10年後の想定される市場規模やスターゼングループの将来あるべき姿などから実行施策、計画数値を策定するバックキャスティングを採用した3ヵ年の中期経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)を2023年度より実行しております。
本中期経営計画では、「収益構造の再構築とサステナブルな事業運営」をテーマに掲げ、2024年3月期からの3年間を当社が長期的発展を果たし社会に貢献し続けるための礎の期間と位置付けております。国内のビジネスをより強いサプライチェーンに再構築するとともに、海外事業や国内成長市場への販売拡大等の新たな収益基盤を築いてまいります。併せて、環境・社会・経済をめぐるさまざまな課題解決に「食」を通じて取り組み、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めてまいります。
a.基本戦略について
方針 | 基本戦略 |
新規事業への挑戦 | (イ)海外事業の積極展開 ・スターゼン営業モデルの海外展開や海外における食肉調達力強化など (ロ)国内成長市場へのアプローチ強化 ・DtoCチャネル強化や成長市場への当社の強みを生かした商品提案など |
国内事業改革 | (ハ)国内事業の効率化 ・製造・販売・物流拠点の再整備など (ニ)高付加価値商品の取り組み ・スターゼンNo.1商品、Only1商品の強化など |
サステナビリティ経営と | (ホ)社会課題への対応 ・GHG削減、アニマルウェルフェア研究、代替肉の取り組み強化など (ヘ) DX、業務プロセス改革 ・基幹システム刷新、業務・実績の見える化及び働き方の効率化など |
b.計画数値について
DX、業務プロセス改革のための先行投資による償却負担が一時的な経常利益の押し下げ要因となるものの、海外事業、高付加価値商品の構成比増により中期経営計画最終年度は売上高4,400億円、経常利益100億円、EBITDA120億円を計画。
[ご参考:中期経営計画策定時点の直近3年業績](下線は過去最高実績)
2021年3月期実績 : 売上高 3,492億円、経常利益 86億円、EBITDA 94億円
2022年3月期実績 : 売上高 3,814億円、経常利益 91億円、EBITDA 98億円
2023年3月期実績 : 売上高 4,251億円、経常利益 102億円、EBITDA 110億円
c.その他定量目標
ROICの維持・向上(5.5%以上)、ROEの維持・向上(8%以上)と自己資本比率の維持(40%以上)を骨子とした計画といたします。
(イ)投資計画
中期経営計画期間(3年)合計で約400億円の投資(新規340億円、維持更新60億円)
・海外事業の積極展開 約60~120億円
・国内事業の効率化 約110億円
・高付加価値商品の取り組み 約60億円
・DX、業務プロセス改革 約50億円
・維持更新投資 約60億円
(ロ)財務基盤の安定化: DER(負債資本倍率)1.0以下
※ROIC=(税引後営業利益+持分法投資損益)÷(有利子負債+純資産)
なお、現状のスターゼングループのWACCは4%程度
③優先的に対処すべき課題
第86期は、「収益構造の再構築とサステナブルな事業運営」をテーマに据えた現中期経営計画の2年目となり、「新たな経営理念とブランド・ビジョンの浸透」というテーマのもと、グループ社員が一丸となり、以下の課題に取り組んでまいります。
a.新規事業への挑戦
訪日外国人の増加により日本の食文化の認知度が世界で高まり、和牛の輸出拡大が期待されています。当社グループでは輸出認定工場を複数有し、和牛をはじめとした日本産食肉を51の国と地域に輸出可能であり、そこに在籍する部分肉製造マイスターの資格を有する技術者が、海外のマーケットに合わせた商品づくりに取り組んでいます。
また、国内得意先企業の海外進出意欲が旺盛であることから、当社の海外拠点が現地パートナーとも連携しながらお客様の海外での食肉調達ニーズに応えてまいります。
国内市場においては、高齢化社会の進展により介護食など高齢者向け食品市場が拡大しています。慢性的な人手不足により調理現場におけるプロセスの簡素化が求められている中、当社は大手給食企業と簡便性介護食の製造に取り組み、高齢者のニーズに応える商品開発を進めます。
b.国内事業改革
お客様のPB商品に対する開発スピードや要望レベルが年々高まる中、当社はマーケティング、商品開発、販促企画を担う機能を一つの組織に集約しました。消費者のニーズに応える開発力やスピードを高めることで、お客様にとって価値ある商品の開発に注力します。
また、世界各国、日本全国から調達、加工・製造し、商品をお客様にお届けするという当社ビジネスモデルにおいて、物流は最も重要なファクターの一つであり、物流の2024年問題への対応は大きな課題です。当社では、国内の幹線物流の再編成や社内受発注ルールの厳格化、中継物流拠点の整備、パレット輸送を視野に入れた段ボールの規格変更、デジタル技術の活用によるトラック毎の積載率の分析などに取り組んでいます。また、川崎市東扇島地区と兵庫県伊丹市に2つの拠点を新設することで、保管能力の増強による物流の効率化と作業効率の向上を実現します。
c.サステナビリティ経営と経営基盤強化
当社は、2022年2月、持続可能な社会の実現のために中長期的に取り組むべき「重要課題」を特定しました。当社が掲げる経営理念「食の感動体験を創造することで世界中の人々と食をつなぎ続ける」の実現に向け、社会課題の解決に取り組んでまいります。
既に、太陽光パネルの設置や上述の物流効率化等により、温室効果ガス(GHG)の削減に努めていますが、今後は牛由来のメタンガス排出量の削減にも重点的に取り組みます。現在、味の素㈱と当社関係農場の北海道はまなか肉牛牧場㈱においてアミノ酸を飼料に加えることにより、メタンガスを削減する取組みについて検証を開始しています。
また、アニマルウェルフェアの取り組みとして、茨城大学と日本の農場における最適なフリーストールの研究を進めます。
当社は、持続可能な社会の実現に向け、食を通じて社会課題の解決と企業価値の向上に取り組んでまいります。
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