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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。

(1) 経営方針

 当企業集団は、代表の変更と最近の業績動向を踏まえ、「中期経営計画の取り下げに関するお知らせ」の通り中期経営計画「2024-2026」を取り下げました。新たな中期経営計画につきましては、当社を取り巻く事業環境等を総合的に勘案し、改めて合理的に策定ができるようになった時点で速やかに公表いたします。

 新たな中期経営計画の発表までの期間におきまして、安定した財務基盤の維持と効率的な資本の運用による企業価値の向上を目指しつつ、透明性の高い情報開示及びガバナンスを徹底し、ステークホルダーから信頼を改めて獲得することを最優先の経営方針とします。こうした前提のもとで企業価値の向上を図るべく、選択と集中の事業展開による安定的成長を目指し、主力であるIT・人材紹介・官民共創コンサルティングの安定した収益基盤確立に注力しつつ、各事業分野での専門性を活かした新規市場の開拓と既存市場の深耕を進めてまいります。

(2) 経営戦略等

 当企業集団は、新たな中期経営計画の発表までの期間におきまして、以下の2点を経営戦略の中心とします。

①顧客中心主義の徹底顧客のニーズに迅速かつ的確に対応し、顧客満足度の向上を目指す。顧客との長期的な信頼関係を構築し、持続的なビジネスパートナーシップを形成する

②社会貢献と持続可能な経営ESGを重視した経営を行い、持続可能な社会の実現に貢献。CSR活動等を通じて地域社会との共生を図る

 また、上記2点を基準として、以下の3点の取り組みを進めてまいります。

①最先端IT技術の取り込みや、サービス品質を常に向上させる体制を構築することにより、革新的なソフトウエアソリューションや各種業界最高水準のサービスを提供する

②政府機関・地方自治体・民間企業との連携を強化することにより、公共サービスのデジタル化支援や地域活性化プロジェクトに積極的に参画し、社会課題の解決に貢献する

③キャリア開発支援プログラムの導入によるスキルアップとキャリアパス明確化を図りつつ、フレキシブルな働き方の推進とワークライフバランスの向上を目指すことにより、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる職場環境の整備を推進する。専門性とリーダーシップを持つ人材を育成することにより、サービスの開発・提供のみでなく透明性の高い情報開示とガバナンスの徹底を実現していく

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当企業集団は、中長期的な企業価値の向上を図るという観点から、Non-GAAP指標における売上収益及び営業利益、投下資本利益率(ROIC)、及び資本コスト(WACC)を重要視しております。

(4) 経営環境

 国際情勢や世界経済は不確実性を増す一方、国内においては少子高齢化や教育のあり方の見直し等、成長に向けて乗り越えなければならない複雑な課題が山積しております。現下の情勢において社会へ価値を創出し続けるためには、課題を主体的に捉え、国や企業・立場といった枠を超え、環境に適応できる人と人の共創が必要不可欠と捉えております。

 そのような中、当企業集団は、ITと人材事業領域のポートフォリオとソリューション、そして多様なパートナーとの共創を通じて、社会課題やクライアント企業の課題を解決し、ともに成長することを意識して事業を進めてまいります。

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① 人材採用・育成及び組織力の強化

 当企業集団は、人材を最も重要な資産として捉えております。特に国内のIT人材の需要が増しており、人材リソースの確保が難しくなってきている中、年齢等属性を問わず、ポテンシャルが高く、新しい取り組みに意欲溢れたスタッフを採用するとともに、専門分野を有するエキスパートの採用を強化しております。

 更に、グループ内の適材適所への配置を柔軟に行い、グループ全体の生産性・機動性を高め、社内全体の士気向上、従業員のモチベーションアップ、ひいては組織力の強化に取り組んでまいります。

② M&Aや事業提携による成長

 当企業集団は、飛躍的・継続的な成長と競争優位性を確保するとともに、次の効果創出を目的としたM&Aや事業提携を実施してまいります。

(ⅰ) 持続的な成長の柱となりうる新規事業ドメインへの参入

(ⅱ) 顧客基盤の獲得、既存サービスのシェア拡大

(ⅲ) 新たなノウハウや技術の獲得、サービスラインナップの充実によるサービス力の強化

(ⅳ) 有能な人材の補強、体制の強化

③ 積極的な投資と財務の強化

 継続的成長のための投資を進める当企業集団において、必要な資金の確保と財務体質の強化が重要となっております。これまでの投資による事業からの利益確保と投資のバランスを常に意識しながら、当企業集団全体の財務力の向上のため、各事業ごとの事業性評価とそれに対する細かなPDCAサイクルの実施及び金融機関との関係強化等に努めてまいります。

(6) 事業別の課題

DX事業

(ⅰ) 技術開発リソースの確保

 DXによる課題解決等、ITニーズはますます増え続け、対応に必要な技術力は高度化する一方で、国内におけるIT人材不足により、生産力確保のための人材獲得がますます困難になってきております。これに対し、自社でのIT人材の採用機能を強化しつつ、ニアショア開発及びオフショア開発拠点を増やすことにより、開発リソースの確保に努めております。また、IT技術の適用・応用先として、社会課題解決型のDX案件が増えてきており、自身の開発が社会貢献につながることで、意識の高い技術者が集まるようになってきており、優秀な人材の採用が進んでおります。

(ⅱ) 技術力の向上

 IT技術の進化・発展はめざましく、あらゆる領域の技術力習得は困難な中で、特定領域の技術力への偏りは応用力や柔軟性の低下を招いてしまいます。これに対し、新たな事業領域へのIT技術の適用においては、新たな技術力習得の機会が得られることが多く、ノウハウや経験も蓄積されます。そのため、当社が持つ事業ポートフォリオをはじめ、あらゆる事業領域に対するDX案件を獲得しながら、常に技術力向上に努めております。

(ⅲ) 共創による案件の創出

 IaaSやPaaSといった、クラウドにおける開発環境の進歩が進み、当社の事業領域であるSaaS業界において、新しいサービスの開発とサービスインまでのハードルは下がり、開発スピードが速くなってきています。そのため、競争が激化していくことにより、便利なサービスから過剰なサービスが低価格で提供される中、継続的な売上成長を実現するためにも、大型案件を獲得していく必要があります。一方で一時的な大型案件は大規模な開発体制が必要であり、リスクが拡大します。

 これに対し当社では、クライアント企業の成長が当社の成長にもつながる共創案件の拡大を意識しております。共創案件は、共同開発の形にすることで初期の開発売上は減少するものの、ともに事業を創出し成長することを前提としてその成果を共有するため、継続的な売上成長につながります。

 当社グループが社会課題解決型DXを進めると同時に、グループ全体のヒト・モノ・カネ・情報に関する事業セグメントと連携することで、競合他社では獲得しにくい大規模で良質な案件を獲得することが可能となり、今後の継続的な成長につなげることに注力しております。

② 人材事業

 人材事業においては、企業の人材採用活動でこれまで直接対面だった説明会や面接がオンラインになる等形態が変化してきている一方で、採用決定後のミスマッチを最小限にするために、企業と学生の双方において対面での開催を望んでいる声もあります。当社では、従前の採用支援や関連イベントの企画運営支援にとどまらず、女子学生に特化した採用支援『女子キャリ』事業にも注力し、近時の女性活躍推進の流れを受けた顧客企業の取り組みを採用の面から支援してまいります。また、中途採用領域への進出により、事業領域の拡大を進めてまいります。

③ EC事業

 EC事業が属するトレーディングカードゲーム(TCG)業界は引き続き活況が続いております。一般社団法人日本玩具協会の発表によれば2023年度のTCG市場規模は2,774億円(前年比+18.1%)に達しました。TCG業界の歴史は浅く、30年程度となる中、親子で遊ぶ等2世代型の遊びになっていることに加え、代表的なタイトルであるポケモンや遊戯王をはじめとしてスマホゲームの広がりに伴ってTCGへの新規流入が続いており、ユーザーの裾野が広がっております。

 そのような状況下で、ユーザー向け買取・販売・攻略サイトのフロントエンド、バックエンド、そして物流拠点のフルフィルメント関連システムすべてを内製化していることによるシステムの拡張性、柔軟性を活かし、画像認識技術等のテクノロジー導入検討を行うとともに、最新のUI/UXの継続的な向上を図っております。優秀なエンジニアの獲得に一層注力し、新たなテクノロジーの導入に取り組んでまいります。また、国内TCG市場においては海外ユーザーからの需要は益々旺盛であり、足元の為替環境下も相俟って更に活況を呈しております。このような海外ユーザーニーズに対しても、ネットショップという利点とテクノロジーカンパニーとしての特徴を活かし、ユーザーの裾野を広げてまいります。

④ 金融事業

 当社は、人の安心・安全及び暮らしの豊かさを提供するために、金融事業は必要と考えております。保険サービスは、日常生活で発生するリスク(危険)に備えるもので、その加入者からの情報のデータベース化は進み、新たな保険商品の開発・設計等に活用されています。

 これに対し、当社が参入したペット保険事業では、保険料収入及び契約件数について、競合他社に負けない保険商品の提供を目指しており、今後については、保険料収入の増加とロスレシオ(損害率)の改善に軸足を置き、収益性・成長性・健全性の確保に取り組んでまいります。

⑤ インキュベーション事業

 当企業集団の持続的な成長と企業価値向上につながるM&A等の投資活動、及び新規性のある事業やサービスの開発に向けたインキュベーションに取り組んでおります。

 国内のM&A実施の件数が増えてきている中で、体制が整っておらずM&Aを実施したくてもスムーズに進められていない企業もあります。そのような中、当社自身が実施するM&Aだけではなく、M&Aニーズのある企業のサポート・コンサルティング、実行支援を行うサービスを進めております。

 また、国内に限らず海外においても、共創による社会的意義のある事業の創出を推進している企業が増えてきている傾向があり、当社グループでは社会課題解決を意識した新しい官民共創の形態から派生する新規事業や、直接的な当社グループ内での新規事業開発、更には国外への展開にも取り組んでおります。

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