企業スカパーJSATホールディングス東証プライム:9412】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営理念

 当社グループを取り巻く競争環境が大きく変わりつつある中、この変化をチャンスととらえ、加速するデジタル社会の進展とあらゆる空間におけるビジネスフィールドの拡張を見据え、当社グループの果たすべき役割を定めたグループミッションを掲げています。

Space for your Smile
不安が「安心」にかわる社会へ
不便が「快適」にかわる生活へ
 好きが「大好き」にかわる人生へ

Space for your Smileには、私たちの目指す世界が描かれています。宇宙も、空も、海も、陸も、家族が集うリビングも、ひとりの自由な場所も、これらすべてのSpaceが笑顔で満たされるように。日常のちょっとした幸せから、まだ見ぬ未来の幸せまで、ひとりひとりの明日がよりよい日になっていく、そんな世界を創りつづけます。

 このグループミッションを、持続可能な社会に向けた活動を進めるための「サステナビリティ方針」としても掲げ、社会的課題を解決すると共に企業価値の向上に努めてまいります。

(2) 経営環境

 宇宙事業では、船舶・航空機向けの移動体衛星通信や多岐にわたる分野での衛星データ利活用の需要が拡大しております。また、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格的に開始され、価格及びサービスの競争が激化する等ビジネスの環境が大きく変化しております。

 メディア事業では、有料放送市場でのマイナス成長や動画配信サービス市場での事業者の合従連衡やサービス間の連携もみられる等、厳しい市場環境が続いております。

(3) 経営方針・経営戦略

<経営方針>

 当社グループは、中長期的に目指す姿や社会へもたらす価値の実現に向けた道程を示す価値創造ストーリーを策定しております。宇宙事業とメディア事業共通のビジネスモデルである「集める・届ける・拡げる」の追求により、変化する環境を捉えながら、既存ビジネスの延長線上にとどまることなく、事業領域を拡げ成長を実現し、目指す姿の「宇宙と地球のあらゆる情報・感動をつなげる」「親会社株主に帰属する当期純利益250億円超(2030年度)」の達成を目指してまいります。これらのプロセスによりグループミッションでありサステナビリティ方針でもある「Space for you Smile」を体現していくことが、当社グループが社会へ提供する価値創出であります。


<経営戦略>

 中長期的な価値創造に向け、当社グループは「既存事業の収益性強化」「新領域事業の展開」「人的資本強化」「経営基盤拡充」という4つの大きな柱から構成される経営戦略を掲げております。事業推進に関わる「既存事業の収益性強化」「新領域事業の展開」では、宇宙・メディア両事業において、以下を推進してまいります。

   (宇宙事業)

30年以上にわたり培ってきた宇宙・衛星サービス分野での経験を活かし、全ての空間を対象とした革新的な通信ネットワーク及び地球規模のデータ収集ネットワークを構築し、超スマート社会の実現に貢献してまいります。既存の通信関連事業(国内衛星通信、グローバル・モバイルビジネス)では、お客様の多様なニーズに柔軟に対応し、成長市場に向けた高速かつ大容量の通信サービスの提供を拡大・強化してまいります。スペースインテリジェンス事業では、パートナー企業と連携し、様々なデータを活用したサービスの開発と販売活動を推進してまいります。開拓領域では、新たな技術を用いたサービスの事業化に取り組み、事業領域の更なる拡大にチャレンジしてまいります。

(メディア事業)

 衛星放送・動画配信ネットワークを持つプレイヤーとしての確固たるポジションを維持しながら、人と人、企業、社会をつなぐプラットフォームとして多様で創造性豊かな社会の実現に貢献してまいります。既存の放送・配信事業では、生産性の向上を図りつつ、中長期的に放送・配信を複合したプラットフォーム事業展開を推進してまいります。FTTH事業では、販路における顧客接点を強化する等、引き続き拡大に向けた取組を強化してまいります。開拓領域では、ファンの体験を拡張する等、新たな収益源の確立を目指してまいります。


「人的資本強化」では、  各事業のコア領域への積極的な人的資本投下や人と組織の活性化を図ります。詳細につきましては、「第2 事業の状況」の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」に記載しております。

「経営基盤拡充」では、経済価値向上と社会(環境)価値向上の両立による成長実現に向け、サステナビリティ経営の深化を図ります。また、公共性の高い事業を営む企業としてコーポレート・ガバナンスの向上による経営の透明性を確保します。同時に、コンプライアンス・リスクマネジメント・個人情報保護・情報セキュリティマネジメント等、事業を支える経営基盤のさらなる強化を図ります。詳細につきましては、「第2 事業の状況」の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」、「第2 事業の状況」の「3 事業等のリスク」、「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2024年度の連結業績目標は以下のとおりです。
 営業収益             1,233億円
 営業利益               258億円
 経常利益              262億円
 親会社株主に帰属する当期純利益   180億円
 EBITDA                       460億円

(注)EBITDAは、親会社株主に帰属する当期純利益、法人税等合計、支払利息、減価償却費、のれん償却額の合計として算定しております。

(5) 対処すべき課題

 宇宙事業及びメディア事業において、近年のデジタル技術の急激な進化に伴い事業環境が変化していく中で、既存サービスの顧客維持や成長市場の需要の取り込みのための各種施策のほか、M&Aや事業提携にも積極的に取り組み、収支構造の改善及び事業領域の拡大を図ってまいります。

(宇宙事業)

 世界規模で宇宙産業市場が拡大する一方、新たな事業者が宇宙ビジネスに参入し、大規模な低軌道衛星コンステレーションによる通信サービスが本格開始される等、衛星通信事業においては競争が激化しております。

 このような競争環境下において、以下に示す取り組みを推進することにより事業領域を拡大し、宇宙事業の持続的な成長を目指してまいります。

① 通信関連事業

 国内衛星ビジネスにおいては、既存顧客に対する通信回線サービスの長期契約更新の提案に加え、衛星機器や当社グループの地上局設備を活用したサービス等を合わせて提供していくことで、国内衛星通信事業の基盤を強化してまいります。後継衛星についても、ビームや帯域に可変性を持たせたデジタルペイロードを採用する等、新しい技術を積極的に活用し、お客様の多様なニーズに柔軟に対応してまいります。

 また、「宇宙基本計画」などに基づき、安全保障分野を含む政府主導のプロジェクトへの参画、政府系衛星の運用、観測・監視サービスなど、30年以上にわたる衛星通信事業を通じて培ってきた知見を活かした新たなサービスの提供を検討し、積極的に活動領域を拡げてまいります。

 グローバル・モバイルビジネスにおいては、運用中のハイスループット衛星及び今後投入予定のフルデジタル衛星を活用し、船舶・航空機でのインターネット利用等の成長市場に向けた高速かつ大容量の通信サービスの提供を拡大することにより、競争力の強化と収益の拡大を目指してまいります。また、衛星カバレッジの拡大や、通信容量の増強に向けた海外事業者との連携やM&Aについても検討を進め、アジア・オセアニア地域を中心に海外における営業展開を強化してまいります。

 さらに、未来社会が求める様々な通信要件に応えるため、パートナー企業と連携しながら、静止衛星に非静止衛星などを加えた多層的な通信ネットワークの構築を目指してまいります。

② スペースインテリジェンス事業

 地球観測衛星事業者等との業務提携を推進し、衛星画像販売サービスを強化することにより、収益の拡大を目指してまいります。また、パートナー企業とも連携しながら、地球観測衛星から得られる画像や位置情報等の様々なデータを活用したサービスの開発と販売活動を推進し、安全保障や防災分野に加え、金融、保険、農林水産、物流等、新たな市場の開拓に取り組んでまいります。

③ 開拓領域

㈱Space Compassほかパートナー企業と連携しながら、HAPS(高高度プラットフォーム)を用いた通信ネットワークと、光通信技術や宇宙コンピューティング技術を取り入れた宇宙空間でのICTインフラ基盤の構築を目指してまいります。宇宙デブリ除去事業、衛星量子鍵配送等、新たな技術を用いたサービスの事業化に取り組み、事業領域の更なる拡大を目指してまいります。

(メディア事業)

メディア事業においては、国内外の動画配信サービスとのコンテンツ獲得及び顧客獲得の競争激化や国内配信事業者による合従連衡の動き等、市場環境が激しく変化しており、従来の延長線上にある各種施策だけではスカパーサービスの加入者数の減少を免れない状況にあります。このような競争環境下において、以下の展開を着実に推進することにより、収益性の改善及び新たな収益の獲得を図ってまいります。

④ 放送・配信事業

 加入基盤の維持・拡大には、魅力的かつ差別化されたコンテンツが揃っていることに加え、様々なコンテンツジャンル毎にファンの嗜好に合わせた「ファン・マーケティング」を実践し、「スカパー」ならではの顧客体験を継続して提供することが重要となってまいります。放送契約者向けの無料配信サービス「スカパー番組配信」や、グッズやイベント等のリアルサービスを充実し、お客様にスカパーに触れていただく機会を増やし、長期間にわたりサービスを楽しんでいただけるよう取り組んでまいります。

 テレビ1台分の料金で3台まで追加料金なしで50チャンネルが見放題となる「スカパー!基本プラン」の契約件数は順調に増加し、2024年3月末時点で741,678件に達しました。家庭内の複数の部屋で視聴人数・視聴時間が増加することで、解約率の抑制や他商品の追加契約の促進につながっております。「ファン・マーケティング」によって興味を持たれたお客様にも「スカパー!基本プラン」をお勧めしてスカパー!ライフを長く楽しんでいただけるよう各種施策を検討・実行してまいります。

 プロ野球においては、2024年シーズンもセ・パ全12球団公式戦を中継します。「プロ野球セットアプリ」の機能を充実させ、スマートフォンでもより快適にお楽しみいただけるように努めてまいります。その他のスポーツジャンルにおいても、引き続きファンの皆様の期待に応えられるよう、サービスの拡充に取り組んでまいります。

 また、採算性や将来性の観点からこれまで実施していた施策を見直していくことで、コスト削減及び生産性の向上を図ってまいります。

 さらに、将来的なコネクテッドTV領域での事業参入に向けた準備を推進し、中長期的に放送・配信を複合したプラットフォーム事業展開を推進してまいります。

 また、放送・配信事業での収益拡大に向け、国内外の配信サービスを展開する事業者を支援する「メディアHUBクラウド」の受注拡大に取り組んでまいります。

⑤ FTTH事業

 ご家庭内のインターネットブロードバンドサービスの中心となっている光回線において提供している地上波デジタル・BSデジタル等の再送信サービスは、様々なケーブルテレビ事業者様との協業も含め、引き続き提供エリアを拡大しながら拡販を図ってまいります。FTTH事業販路における顧客接点も強化し、新規の多チャンネル加入獲得やアップセル等、放送事業の基盤維持に向けても取り組んでまいります。また、有料放送市場の維持・発展に向けて、ケーブルテレビ事業者様向けパススルー方式による視聴鍵管理機能の提供に取り組んでまいります。

⑥ 開拓領域

 新たな収益源の確立のため、メディア・エンターテインメント業界でのWeb3関連事業やリアルイベント等を通じて、ファンの体験を拡張するべく様々な取り組みを推進してまいります。

 また、コンテンツデータベースの構築等、映像コンテンツ業界のDX推進に貢献すべく、総合ソリューションサービスの提供に向けた取り組みを進めております。これらにより、従来のBtoCの取り組みだけでなくBtoBの面においても新たな事業の確立を目指してまいります。

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