ジャフコ グループ 【東証プライム:8595】「証券業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度は、不安定な世界情勢、原材料・エネルギー市況及び急激な円安による物価高等を背景に、当社を取り巻く事業環境は引き続き不透明感がありました。
一方で、日本でも有望なスタートアップや次世代を担う若い起業家が台頭しています。テクノロジーの進化、価値観やライフスタイルの変化は、新しいビジネスへの投資機会を創出し、社会課題解決が期待される投資先に対しては強い追い風になっています。
政府も2022年に発表した「スタートアップ育成5か年計画」に基づき、人材、資金、ビジネス環境など様々な支援策を推進しています。
また、バイアウト投資の事業環境についても、M&Aの増加や中小企業の事業承継に対する政府の継続的な取り組みなど前向きな動きがあります。
当社は創業以来、時代をリードする起業家とともに歩んできました。当社には、経験を積み重ねてきた多くのキャピタリストに加え、企業成長を促進するための豊富なリソースとネットワークの蓄積があります。単なる投資家としてではなく、「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から経営に関与します。起業家とともに事業の成長にコミットし、企業価値を高めていきます。
2018年からパートナーシップモデルを導入し、トップキャピタリストとしてファンドの運用責任を負うパートナーを中心としたフラットな組織作りを行っています。
SV6ファンド以降は、パートナーと従業員が当社とともに出資することで、個人としても運用リスクを負いながら、ファンドパフォーマンスと個人の貢献に連動した成果報酬を享受していきます。従来からの当社の強みである組織力にも磨きをかけており、投資先への経営関与を通じて、ファンドパフォーマンスの一段の向上を目指します。
(1)会社の経営の基本方針
当連結会計年度は設立50周年の節目の年でした。2023年2月のパーパスの策定、公表に引き続き、当連結会計年度では2023年10月にバリューの改定を行い、社内プロジェクトを立ち上げて役職員に対しその周知と浸透に取り組みました。
①当社のパーパス(存在意義)
「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」
当社は長年にわたる投資経験の中で、「投資の継続が、持続可能な社会を実現する」ことを信じ、企業・起業家の新たな挑戦に対し投資を続けてきました。地球環境やグローバル経済を取り巻く問題がますます複雑化する中、当社は、まだ見ぬ価値を生み出す挑戦に果敢に投資し、その成長にコミットすることにより、新たな成長への循環をつくりだし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
②当社のミッション(使命)
「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」
当社は設立以来、様々な革新的製品やサービスを生み出す起業家を支援してきました。世の中に必要とされる新事業の創造にコミットすることで、ステークホルダーの皆様とともに新しい時代を切り開くことが当社のミッションです。当社はパーパスの実現を目指す中で、設立時から変わらぬ想いをミッションに掲げ、取り組んでまいります。
③バリュー(行動指針)
・「当事者たる覚悟でやり抜く」
私たちにとっての未上場投資は、投資先企業・ファンド出資者・株主との共同事業です。その使命を担いつつ、人生を懸けた事業創造・成長に挑む起業家・経営者と向き合うには、誰よりも強い覚悟と意志を持った当事者であるべきと考えています。何事も主体的に、自らの想いを原動力としながら、いかなる挑戦・困難に対しても責任を持ち、諦めず最後までやり抜きます。
・「より早く、より深く、より高みへ」
世の中が急速に変化する中、常に高い成果を出し続けるためには、自らに限界を作らず成長し続けることが重要です。 常に先を読んで動きつつも、物事の本質を捉えて徹底的に考え尽くすことで、より高みを目指して自らを追求し続けます。
・「多様な強みで共創を」
今よりも大きな価値や、全く新しい価値を生み出すためには、社内・社外のさまざまな強みを掛け合わせることが必要不可欠です。 異なる経験・価値観・知恵を持つメンバーを尊重し、互いの力を引き出し、発揮し合うことで、次なる成功を共に実現する強い組織を創っていきます。
・「開拓者たれ、真摯であれ」
日本でベンチャーキャピタルの知名度がまだ低かった時代から、私たちは世の中の荒波に何度も揉まれながらも、開拓者たる想いで独自のスタイルを築いてきました。私たちはこれからも強い開拓の意志を持ちながら、正々堂々と真摯に、これまでと変わらずに新たな市場を切り拓く思いで挑戦し続けます。
多様なバックグラウンドを持つ社員が増加する中、行動指針としてのバリューを全社員の共通認識とし、組織をより強くしてまいります。
④パーパス/ミッション実現に向けた方針と戦略
当社は、ファンドを通じたベンチャー投資とバイアウト投資によりパーパス/ミッションの実現を図ります。
この際、起業家やファンド出資者に対するコミットメントをより明確にするべく、設立以来培ってきた組織力に加え、個人を主体としたパートナーシップモデルを導入することで、競争力を高めていきます。
また、当社の事業の本質はESG投資の考え方に強く合致するものであり、社会課題を解決する有望企業の発掘、投資後の対話を通じた成長支援、そしてEXITに至るまでの過程にESGの観点を取り入れていきます。投資先の事業成長を通じてサステナビリティの実現に貢献し、当社の競争力と企業価値を高めていきます。
さらに、パーパス/ミッションの実現に向け、当社は下記の取り組みを進めています。
・厳選集中投資と経営関与
新事業を創造するために、ポテンシャルの高い投資対象を絞り込み、大胆に投資を行います。投資先企業に対し影響力のあるシェアを確保し、投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進します。
・ファンドパフォーマンスの持続的向上とリスクマネー供給の拡大
十分な投資資金を獲得するには、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させ、安定的にファンドの外部出資者を確保することが不可欠です。投資先企業の成長を通じて得たリターンを、ファンド出資者・株主と分かちあい、新ファンドの募集に繋げることで、リスクマネーの循環・拡大をもたらします。
・「CO-FOUNDER」としてのジャフコ
事業の立ち上げ局面では、投資家である以上に「CO-FOUNDER≒共同創業者」であることが求められます。当社が設立来獲得してきた精神や知識、経験を継承・発展させ、当社及び個々の従業員が
「CO-FOUNDER」として活躍できる組織を目指します。
(2)会社の対処すべき課題
当社の現在の対処すべき課題は以下のとおりです。
① 厳選集中投資の更なる進化と投資先の企業価値向上に向けた取り組み強化
② 投資パフォーマンス(投資倍率)の向上
③ ファンド募集力の向上
④ 多様な人材の採用と育成
⑤ 強固な財務基盤の一定維持
当社は2022年12月に公表した「企業価値向上の基本方針」における中長期的目標の達成に向けた取り組みを通じて、これらの課題に対応していきます。
●企業価値向上の基本方針
当社は、株主の皆様の利益拡大に繋がる企業価値向上を目指し、成長戦略の推進と、純資産の圧縮による資本効率の向上を進めることを基本方針とします。
1)成長戦略の推進
投資運用力とファンド募集力が当社の利益の拡大の両輪であり、これらの活動を組織基盤が下支えします。
(投資運用力の向上)
当社は2010年以降、厳選集中投資と経営関与を投資方針に掲げ、有望な投資先を早期に発掘し、投資後の成長に能動的に働きかけることで、キャピタルゲインの最大化とファンドパフォーマンスの向上を図ってきました。
今後、投資運用力の更なる向上を目指し、投資の各プロセスにおける厳選集中投資と経営関与への取り組みを次のようにいっそう進化させます。
・投 資:成長ポテンシャルの高い企業を早期に開拓し、リード投資家として投資実行
・成長支援:投資後の事業開発や体制整備での深い関与、様々な経営資源を投下して投資先の成長角度を向上
・EXIT:深い経営関与を通じて企業価値を最大化するIPOや発展的なM&Aを実現
(ファンド募集力の強化(外部出資の拡大))
安定したファンドパフォーマンスに加え、規律と透明性の高い運用と、投資家のニーズに応じた情報提供を行います。これにより、既存の投資家からの継続出資を受けるとともに、ファンドの社会的・経済的意義に共感する新規投資家層を獲得し、外部出資額を増やします。
(組織基盤の強化)
継続的な新卒採用・知見伝承と、専門領域におけるスペシャリスト採用を併用した当社独自の採用・育成モデルで、投資運用力の根幹であるキャピタリストを生み出し続けます。
同時に、投資プロセスを一気通貫で支える組織体制をさらに強化し、個人に過度に依存しない投資運用力の持続的な向上に取り組みます。
2)資本効率の向上
今後は、新設ファンドサイズを対象マーケットに合わせて段階的に拡大させる一方で、当社の出資比率は段階的に低減させ、中長期的には、新規ファンドへの当社出資比率を20%とすることを目標とします。
これにより、必要資金を一定額に抑え、営業投資有価証券残高を維持しながら、高い水準のキャピタルゲインを得ることを目指します。投資運用会社として安定的に運用報酬を得るとともに、高い収益性を継続的に上げることができる、独自の投資運用業の姿を追求していきます。そして、当社の株主還元の方針に基づいた施策の実施とあわせて資本効率の向上を図ります(当社の株主還元の方針は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載した「株主還元についての方針」をご参照ください)。
3)中長期的目標
前述の「企業価値向上の基本方針」で当社の中長期的目標として掲げた指標は以下の図のとおりです。これらの指標達成に向けて引き続き取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営を行っていきます。
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