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企業概要

 当社では、循環型社会へ貢献する当社ビジネス『リバリュー』と『テクノロジー』をかけあせることで持続可能な成長を目指しております。持続可能な成長のためには事業活動を通して社会問題の解決に貢献することが重要であると考えており、この考えに沿ってリスクと機会の特定と目標を展開することで、戦略的なサステナビリティの推進を図ります。

ガバナンス

 当社では、取締役上席執行役員COOを責任者とする「ESG経営推進室」を設置し、ESG経営全般に関連する全社横断的な方針・取り組みを検討、推進いたします。

ESG経営推進室では、環境、社会、ガバナンスに関する事項が、当社の事業活動に与える影響について考察を行い、必要なデータを各部署より収集・分析し、その対応方針や施策の策定と進捗管理を行います。

 ただし、サステナビリティ関連事項において特に重要、かつその事項の専属部門が存在する場合は、当該部門がこれらを担当します。たとえば、人的資本に関する事項は人事部が、サステナビリティ開示に関する事項は経営企画室が担当しております。

 サステナビリティ施策の進捗状況については関連部署への定期的なモニタリングを行い、年に2~3回取締役会に報告を行い、事業活動や財務に重大な影響を与える事項については対応方針や施策を審議・決議いたします。

 当社は今後もサーキュラーエコノミー型事業を軸にグローバルを視野に入れた多種多様な人材が活躍できる場を提供し、エンゲージメントの取れた企業風土と法令の遵守、コーポレート・ガバナンス体制を強化し、持続可能な企業成長を目指してまいります。


戦略

 当社の事業は、カメラ、時計、筆記具、自転車という、時代や国境を超えた価値を持つ新品と中古品を、インターネットというフィールドの利便性を最大限に活かし、適正価格で取引いただくビジネスです。価値ある中古品がお客様のお手元に届けされることは、中古品の廃棄や新商品の製造と比較して、環境負荷が格段に軽減されることとなります。当社はこの「モノ」の価値を見極め、買取・販売することで、循環型社会に大きく貢献するプロセスを「リバリュー」と呼び、サステナビリティ戦略として最重要視しております。

 循環型社会に向けた「リバリュー」の入口は、商品が新品として販売される時であり、当社はお買い求めいただいた商品のお買い替え時に、再び当社をご利用いただけるよう、お客様にご納得いただきやすい買取価格をAIにより算出している他、総合補償システムの「安心サービス」や、フォトシェアリングサイト「EVERYBODY×PHOTOGRAPHER.com」をはじめとした、商品のある生活を充実させるサービスの展開を行っております。

 その上で、お客様にご愛用品の下取で、魅力ある下取価格とサービスを提供することで、ひとりでも多くのお客様を循環型社会における消費スタイルへ誘導していくことが「リバリュー」の行き着くところと考えております。

 この考え方のもと、当社は2023年6月に、サステナビリティ戦略として以下の3点を推進することを決定しております。

1.循環型社会の拡大に貢献するビジネスの拡大

 当社の事業拡大そのものが、循環型社会の拡大に直結しているとの考えのもと、中長期の事業計画に高くコミットメントいたします。

 新品の販売に始まり、下取を経て中古品を流通させる「リバリュー」の一層の促進によって、

• 中古品の廃棄や新製品の製造と比較し、環境負荷が一段と小さいお買い物手法の提供

• メンテナンス技術の向上、アフターサービスや補償サービスの拡充で、中古品の価値を高め、製品寿命を延ばすことに貢献

• 中古品の購入をインターネット等で訴求することで、循環型社会の啓蒙に貢献

 などの効果が生まれるため、これをサステナビリティ戦略として推進します。

 あわせて、事業計画の策定や新規事業の検討においては、対象とする商品・サービスが「リバリュー」を通じてサステナビリティな社会形成に貢献するものであるかを、検討に含むこととしております。

2.直接・間接的な温室効果ガス排出量・廃棄物の削減

 当社のEC事業はその特性上、製造工程を有さず、調達、梱包、出荷物流における環境負荷の低減が、サステナビリティ戦略上、特に重要となってまいります。当社ではまず、自社内プロセスにおける温室効果ガス排出量・廃棄物の削減に、精力的に取り組み、実質的な排出量ゼロ(ネットゼロ)を期限付き目標に基づき達成することとしております。既に環境への配慮として、梱包資材をFSC認証の商品パック、段ボールパッケージや、バイオマスマーク認定のビニール手提げ袋、ポリエチレン袋、梱包テープ等への切り替え、電力消費量削減を目指した設備交換等を進めておりますが、ネットゼロの実現に向けた一段と本質的な施策を、今後は検討してまいります。

3.サステナビリティ情報の積極開示と、イニシアティブ等への参画および署名

 当社は気候変動問題をサステナビリティ経営上の重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。このような認識のもと、当社はサステナビリティ社会の実現に向け、積極的な情報開示を行ってまいります。あわせて、当社の経営理念、ビジョン、事業内容、行動規範等と、共通する価値観のもとにあるイニシアティブ等へは、積極的に参画、署名等を行います。

 この一環として当社は、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の質問書に対する回答を通じた情報開示を実施しております。また、2023年4月には経済産業省・環境省・金融庁が主導するTCFDコンソーシアムにも参加し、気候変動に関するリスクが事業や経営成績に与える影響・対応策について、TCFDの提言に基づき分析を行い、開示を行っております。

 環境問題以外のサステナビリティ課題に対しては、これまでも「一般社団法人障がい者自立推進機構」による「パラリンアート」のオフィシャルパートナー、写真・映像に係わる文化や芸術振興を目的とし「東京都写真美術館」の支援会員等を通じて、サステナビリティな社会の実現に貢献する取組を推進しておりますが、2023年5月には「国連グローバル・コンパクト」に署名、参加承認され、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、腐敗の防止の4分野10原則を、サステナビリティ戦略に組み込むことといたしました。これにより当社は、環境に加え、人権、不当労働排除、腐敗防止に関する取組や開示を包括的に推進することとなります。

 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社は経営理念で「企業は社員と社会に対し、夢を与え続け」ることを存在価値としつつ、「やる気こそ会社発展の原動力」と掲げております。この考えのもと当社では、中長期目標の実現に向けたビジョンとして「4つのシンカ」と「バリューチェーン・シナリオプランニング」を掲げております。

 この2つのビジョンは、従業員エンゲージメント強化を進めることで、「ムダ・ムリ」をなくしたスリムな経営と、社員の成長とともに会社の成長を目指すというものです。2つのビジョンをすべての取組と行動目標に紐づけることで、経営理念に基づいた事業発展を目指しております。

「4つのシンカ」では、①最新のテクノロジーによるサービスの拡充を追求する「進む価値」の“シンカ”、②顧客のロイヤルカスタマー化のためのスタッフの専門性向上及びECサイトの質の向上を追求する「知識を深める価値」の“シンカ”、③ブランディング確立のための品揃え、お客様本位の対応、アフターサービス向上等を追求する「真実の価値」の“シンカ”、④新たな取り組みのために常に想像力を培い、チャレンジすることを追求する「新しい価値」の“シンカ”を掲げております。この4つのシンカは、ひとつに偏ることなく枝葉を伸ばし、しっかりと根をはっていくことで大樹となるものと考えており、すべての従業員が高い価値提供を行えるようになることで、事業を発展させ続けるものというビジョンを掲げております。

「バリューチェーン・シナリオプランニング」は、サプライチェーンの有事対応を想定したソリューションに由来する考え方です。当社ではこの元来の概念を昇華させ、「Digital(省人化による原資の分配)、Agility(ジョブローテーション、スキルアップ)、Resilience(メイン事業の柔軟な投資)、Solidity(オペレーションの標準化、重複業務の削減)」の4要素を、ビジネス変革の原動力になるものとして掲げております。

「4つのシンカ」と「バリューチェーン・シナリオプランニング」が、人的資本の領域で徹底されると、当社はビジネス変革にて、①それぞれの領域での「仕組み化」が徹底される、②従業員ひとりひとりの対応領域が極限まで拡大される、③ビジネスが機動的、かつしなやかさを持つものとなる、という効果が期待できます。

 これにより、当社は最小限の従業員数でビジネスを推進でき、ECビジネスモデルの特徴である「売上高拡大に固定費増加を伴わないため利益拡大しやすい」という財務的価値の獲得にもつながるものであるため、当社はこの2つのビジョンの追求を、人的資本経営の根幹と位置付けております。この人的資本への投資を通じて、1人当たりの売上高、利益を増加させつつ、1人当たりの報酬額増加も目指すサイクルを回し、ヒトと事業のバランスの取れた発展を目指してまいります。


 このビジョンを達成するため、当社では、以下の4点を推進いたします。

1.経営戦略と人材戦略の連動強化

「4つのシンカ」、「バリューチェーン・シナリオプランニング」という2つのビジョンを、全役員・全従業員のすべての取組と行動目標に紐づけます。半期に1度、全従業員が、すべての取組・行動目標が、経営戦略、事業戦略に沿っているかを振り返ることで、戦略の浸透を徹底させます。

 理念・ビジョンへの共感は「4つのシンカ」、「バリューチェーン・シナリオプランニング」を強化することで推進できると考えており、経営理念に基づいた「実績に対し、適切な利益配分がされなくてはならない」を徹底します。

2.人材の採用と育成

 前例のない物事(新価)や仕組み化(進価)への挑戦には、小売、EC業界の専門性を高めることと合わせ、組織としての変化対応力、変化創造力を高めることが重要であると考えております。当社の向き合うEC業界は、VUCA時代において特に変化の速い業界であり、ひとりひとりの人材においても、未経験業務に対する「伸びしろの高さ」を求めております。

 したがって、当社の定める変化対応・創造力の基準を満たしていれば、配属先の予定業務における知識、スキル、経験の要件を満たしていない場合でも、積極的なポテンシャル採用を行っております。また、キャリアチェンジを促進する制度によって、従業員の変化対応・変化創造力を積極的に高めることを目指しております。

3.多様性の向上

 当社は、多様性を通じた新事業・新価値創造を目指すべく、性別を限定しない平等な組織構築、グローバル人材の採用を目標値を定めております(デモグラフィック・ダイバーシティ)。この一環として当社は「国連グローバル・コンパクト」への加盟を行っており、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、腐敗の防止に関わる10の原則に賛同し、その実現を図ることで、多様な人材が価値創造を行う環境を整える取組を行っております。また、上述「2.人材の採用と育成」の観点と合わせ、保有スキルの多様化(タスク・ダイバーシティ)を推進し、従業員の多様性を価値創造の根源と考えております。

4.働き方改革

 従業員の働き方改革を一層進めます。20時以降の残業を原則禁止し、業務上やむを得ない事由がある場合においても、担当取締役の決裁を必要とすることで、優先度に基づく業務の取捨選択を徹底し、生産性の高い働き方を推進しつつ、多様性の維持向上にも貢献します。

リスク管理

 サステナビリティ経営に関するリスクマネジメントは、ESG経営推進室が情報収集を行い、当社への影響が大きいリスクを定量・定性の両面から評価、重要リスクを特定しております。当社経営に重大な影響を与えると判断された事項に関しては、関連部署から抽出されたその他リスクとともに経営会議及び取締役会へ集約をし、取締役会にて審議・決議を行っております。

 また、ESG経営推進室より各事業部に対して、リスク対応について適宜指示及び支援を行うことで、全社横断的なリスク管理体制を整えております。

 ただし「ガバナンス体制」と同じく、サステナビリティ関連事項において特に重要、かつその事項の専属部門が存在する場合は、リスク対応は当該部門が当たります。

 当社ではまず、2021年に開催されたCOP26で「将来的な気候変動問題を左右する分岐点」とされた「2030年」を想定し、4℃シナリオおよび1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオ)を参考に定性・定量の両面から、リスクと機会を考察、今後の対応を策定しております。

分類

カテ

ゴリ

評価項目

考察結果

分類:
リスク・機会

財務的影響

時期

4℃

1.5℃

政策

法規制

カーボンプライシングの導入

カーボンプライシング導入やGHG排出規制に関わる法案が事業活動全体に影響し、操業コストが増加する。

1.5℃:リスク

中期

電力価格の変動

エネルギーコスト上昇に伴う操業コストが変化。

4℃:機会
1.5℃:リスク

再生可能

エネルギー使用

再生可能エネルギー使用における電力価格の低下

1.5℃:機会

プラスチック

規制

プラスチック使用・製造に対して法規制がなされた場合、対応コストが発生。当社においては、梱包材を環境配慮型資材に変更しており同規制による影響は軽微であると分析しております。

4℃:リスク
1.5℃:機会

化石燃料の

価格上昇

GHG削減義務が強化された場合、エネルギーコストが上昇し、商品配送会社が配送料に追発生コストを転嫁した場合、商品配送コストが増加。

4℃:リスク
1.5℃:リスク

省エネ政策

不動産のZEB化が義務となった場合、対応費用が入居オフィスや各店舗の賃料増加に繋がる。

1.5℃:リスク

市場

顧客行動変化

循環型社会が拡大し、消費者の環境意識も高まった結果、リユース品への需要が増加する。

1.5℃:機会

省エネルギー製品をはじめライフサイクル全体でのCO2排出量が小さい製品に対する販売機会の拡大。

1.5℃:機会

評判

顧客・投資家からの評判変化

環境への取り組みが不十分であったり、環境情報の適切な情報開示がなされない場合、顧客・投資家からのレピュテーションリスクが発生。

4℃:リスク
1.5℃:機会

急性

異常気象の

激甚化

(台風、洪水、高潮等)

異常気象の増加に伴い、サプライチェーンの寸断による商品調達の遅延や事故が発生。
 
なお、弊社各拠点に関しては、ハザードマップを基に分析を行い、洪水等の異常気象による被害は最小限となることを把握しております。

4℃:リスク
1.5℃:リスク

短期

指標及び目標

 当社では事業活動において、環境への影響を測定・管理するための指標として温室効果ガス排出量を採用しております。まずは自社からの排出量削減を推進し、2030年度までに、Scope1,2における温室効果ガスの実質排出量ネットゼロを目指します。また、Scope3における温室効果ガス削減に向けては、サプライヤー様からの排出量についても当社の課題と捉え、環境配慮のお取組みをされているサプライヤー様を優先し取引を行うなど、環境に配慮した事業展開を行ってまいります。Scope3における排出量削減目標については、当社の事業拡大に伴う循環型社会への貢献と、売上高拡大に伴う排出量増加分のトレードオフを鑑みつつ、2023年度内に具体的な数値目標を策定する予定です。

No.

環境

2020年度排出量

2030年度排出量目標値

1

Scope1

0

0

2

Scope2

267.3 t-CO2

0

3

Scope3

197,405.7 t-CO2

(2023年度中に策定)

 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、

 指標及び目標

 人的資本経営に基づく戦略推進のための指標と目標は、以下を設定しております。

No.

戦略

指標名

2023年3月期

2026年3月期目標値

1

経営戦略と人材戦略の連動強化

2つのビジョンをすべての取組と行動目標に紐づけ

4つのシンカ指標

(注)1

1人当たり売上高

176百万円

220百万円

1人当たり年収

5,869千円

(注)2

2

人材の採用と育成

知識、スキル、経験の「伸びしろ」を最大限に引き出す採用と育成

ポテンシャル採用の比率(注)3

50%以上

年間キャリアチェンジ実施率

(注)4

10%

20%以上

3

多様性の向上

性別・国籍にこだわらない平等な雇用

採用した労働者に占める女性労働者の割合

43%

45~55%

外国籍人材の従業員数(注)5

1名

7名

4

働き方改革

システム化等による労働時間、残業の削減

1人当たりの月平均残業時間

10時間

10時間未満

有給休暇消化率

91.8%

95%以上

(注)1.「4つのシンカ指標」につきましては、「進価」、「深価」、「真価」、「新価」のうち、目標設定において社員がどの「シンカ」を選定しコミットメントを行っているかという比率や、行ったコミットメントへの達成率をモニタリングしてまいります。一方、従業員が業務において向き合う個々の課題と「4つのシンカ」別の目標設定における設定比率の間に正解は存在しないことから、目標値を定めない指標として運用し、経営課題と照らし合わせながらモニタリングを行ってまいります。


 たとえば2022年度において「4つのシンカ」の目標設定において「新価」を選択した社員が25%と4分の1を超えております。

 この指標の活用例としては、新領域を切り拓く「新価」の目標設定が全社的に疎かになっていないことを、本指標を通じてモニタリングすることによって、既存事業、既存市場、既存手法からの利益獲得にとどまらない新たな課題への取組が、目標設定ベースで担保されているかの振り返りを行っております。目標設定比率や目標達成率は、職位、所属等の切り口を変えて分析を行っており、必要に応じてドリルダウンを行うことで、マクロ・ミクロ両面の観点から、従業員が必要な課題に対処しているか等のモニタリングを行っております。

 あわせて、人材育成、採用の際は、これらの指標を踏まえた人材育成計画や求人票における人材要件の策定等を行う他、部門における業務優先順位の判断に活用するトライアルも実施しております。

   2. 1人当たり年収は、株主還元との適切なバランスを鑑みつつ向上を目指すものであるため、2026年3月期目標値は設定せず、重要指標としてモニタリングを行います。

   3.「ポテンシャル採用の比率」は、当社の定める変化対応・創造力の基準を満たす人材です。この基準を満たしている場合は、配属先の予定担当業務に必要な知識、スキル、経験を有さない場合でも、積極的に採用します。

   4.「年間キャリアチェンジ実施率」は、人材育成計画に基づく人事異動対象従業員のべ人数を、1年間の平均従業員数で除した比率です。

   5.「外国籍人材」には、日本国籍保有者であって、出生から雇用開始時までの大半を外国で過ごした者や、日本語以外の言語をネイティブとする者等は、対象に含めることがあります。

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