シノプス 【東証グロース:4428】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「われわれは在庫に関わる“人”、“もの”、“金”、“時間”、“情報”を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する。」を基本理念に掲げ、「世界中の無駄を10%削減する」というビジョン達成のために、小売業・卸売業・製造業の流通三層の在庫を最適化するための流通業向けAIサービス「sinopsシリーズ」を提供しております。
(2)経営環境
当事業年度におけるわが国経済は、資源及びエネルギー価格の高騰等による物価高、地政学リスクや不安定な為
替相場等、依然として不透明な状況が続いております。一方で、社会全体の変革を目的としたDX(デジタルトラン
スフォーメーション)推進が浸透しつつあり、小売業は益々多様化する消費者ニーズへの対応が求められており、
業務効率化のためのIT投資は今後増加していくものと予想されます。さらに、物流業界での「2024年問題」や、持
続可能な開発目標(SDGs)の採択に基づいた食品ロス削減運動も社会課題としての対応が急がれております。その
ため、バリューチェーンの最適化・食品ロス削減に貢献できる当社の需要予測・自動発注サービスに対するニーズ
が高まっております。
(3)経営戦略等
当社は、食品スーパーマーケット向けの導入実績が数多くある強みを活かし、需要予測型自動発注からDeCM全体の需要予測活用DX(注1)へ事業拡大することを目指します。食品スーパーの需要予測・在庫情報を卸・メーカーとデータ連携することで、食品スーパー向けには店舗業務の生産性を向上させるサービス、卸・メーカー向けには物流や生産計画を最適化するサービスを提供します。
①食品スーパーマーケットを中心とした食品小売業のシェア率40%(注2)を実現する。
②卸売業の物流を最適化する。
③製造業・原材料/包装資材業の生産計画を最適化し、「sinops」で食品流通業のディマンド・チェーン・マネジメントを実現
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社が目標とする経営指標は、シェア率、ARR(注3)、売上高、営業利益の4指標であります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、以下を重要な経営課題と認識しております。
①新規ユーザー獲得
事業領域拡大には、小売業の需要予測・在庫情報がコア技術として必須となるため、引き続き小売業のシェア獲得を目指して、需要予測型自動発注サービスに注力してまいります。特に注力している食品スーパーマーケット向けのシェア率は36.1%となり、2023年には食品ロス削減ソリューション市場シェア1位(注4)を獲得しました。この高いシェア率を活用し、他社とのサービス連携も進めております。
②既存ユーザーのアップセル・クロスセル
既存顧客がsinopsの導入効果を高め続けられるよう、従来のサポート体制に加えて顧客満足度向上に向けた施策を強化します。また、AI値引・惣菜・客数予測といった需要予測活用DXサービスを提供することでsinopsの付加価値をさらに高めてまいります。
③食品DeCMの構築
2023年はDeCM実現に向けて、伊藤忠商事株式会社と合同で「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」サービスを提供開始しました。機能の1つである「特売リードタイム長期化サービス」について、実証実験を既に実施している複数の小売業への2024年中の正式展開を目指します。今後、食品バリューチェーンの最適化に向けて、小売業の需要予測データをコアとして、複数のサービス展開や対象の商品カテゴリの拡大を進めてまいります。
④中長期成長に向けてコア技術を活用した事業領域拡大
食品DeCMの構築に限らず、中長期的な成長を維持するため、新市場獲得のための事業領域拡大を進めます。食品スーパーの人時改善を行うDXサービスを2023年から研究開発しており、需要予測・在庫管理情報を活用することで、さらなる人時改善サービスを提供できるよう中長期の事業として推進を開始しました。また、まずは食品向けDXサービスに注力しますが、食品スーパー以外の業態にもDeCMを拡大できるよう備えてまいります。
⑤サステナビリティ経営の推進
sinopsによる在庫最適化に取り組むことで、SDGs目標12「つくる責任・つかう責任」で謳われる食品ロス削減をはじめとした、サプライチェーン全体の無駄を削減します。また、東京都市大学との共同研究で、「小売業におけるsinops活用による食品ロス削減が環境に与える影響」を調査しています。sinops事業を推進することで、地球環境の維持・向上及び持続可能な社会の実現に貢献します。
(注1)DeCM全体の需要予測活用DXとは、需要予測・在庫情報データをサプライチェーン全体で活用することで、小売業務の深化やディマンド・チェーン・マネジメントの実現など、流通三層の最適化を目指すものです。小売業では値引きや勤怠管理など多岐にわたる業務を需要予測・在庫情報データをコアとして最適化します。卸売業・製造業では、需要予測・在庫情報データを活用することで、在庫・物流・生産計画を最適化します。
(注2)シェア率は、以下計算式で算出しております。
シェア率(%)=「sinops」導入企業の年間売上高計÷ターゲット企業の年間売上高計
※ターゲット企業とは、ダイヤモンド・チェーンストア「日本の小売業1000社ランキング」に掲載されている売上高400億円以上の小売業(百貨店、コンビニを除く。)。
(注3)Annual Recurring Revenueの略語。2023年12月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍にして算出。MRRは対象月の月末時点における有償契約ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。
(注4)株式会社富士キメラ総研が2023年8月8日に発刊した「2023 SX/GXによって実現するサステナビリティ/ESG支援関連市場の現状と将来展望」の「需要予測や自動発注ツールを対象とした食品ロス削減ソリューション市場」においてシェア1位(2022年度実績)を獲得。
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