企業兼大株主シスメックス東証プライム:6869】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは既存の体外診断領域の拡充を図ると共に、個人毎の特性に応じた個別化医療の推進と、より患者さんの近くで検査を提供するプライマリケアの推進に取り組んでおります。

 個別化医療においては、医薬品の投与に関わるコンパニオン診断薬の開発や、血液等の体液からより多くの情報を得るためのリキッドバイオプシー技術の開発に取り組んでおり、プライマリケアにおいては、患者負担の少ない検査法の樹立や、装置の小型化、操作性の向上を目指した開発等に取り組んでおります。

 当連結会計年度における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。

(1) 2022年5月 当社は、尿路感染症※1を対象とした迅速な薬剤感受性検査※2の臨床実装を加速させると共に、薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)※3対策への取り組み等、医療課題の解決に貢献するべく、持分法適用関連会社であるAstrego Diagnostics ABの株式を追加取得し、当社の完全子会社といたしました。

※1 尿路感染症:

 腎臓から尿の出口までを「尿路」と言い、尿路に細菌が進入し炎症が生じたものを尿路感染症という。膀胱では膀胱炎、腎臓では腎盂腎炎を引き起こす。

※2 薬剤感受性検査:

 検体から検出された病原菌に対する各種抗菌薬の効能を調べる検査。

※3 薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance):

 生物が自分に対して何等かの作用をもった薬剤に対して抵抗性を持つことで、これらの薬剤が効かない、もしくは効きにくくなる現象。この薬剤耐性を獲得した細菌のことを薬剤耐性菌という。

(2) 2022年5月 当社は、全自動免疫測定装置HISCL™-5000/HISCL-800を用いて血液中のアミロイドβを測定し、脳内アミロイドβの蓄積状態の把握を補助する検査試薬について、欧州の体外診断用医療機器指令(IVD指令)の自己宣言を完了いたしました。

(3) 2022年6月 当社は、遺伝性網膜ジストロフィー※4の患者さんの血液から、関連遺伝子を対象とした複数の遺伝子変異情報を次世代シークエンサー※5を用いて検出・解析し、原因遺伝子に応じた治療計画やロービジョンケア※6計画の策定及び科学的根拠に基づく遺伝カウンセリングを補助する遺伝子パネル検査システムについて、製造販売承認申請を実施いたしました。

※4 遺伝性網膜ジストロフィー(Inherited Retinal Dystrophy:IRD):

 遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィーと呼ぶ。夜盲(暗いところでものが見えにくなる)や視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。頻度は4,000~8,000人に1人とされ、代表的な疾患は網膜色素変性症(指定難病:告示番号90)である。

※5 次世代シークエンサー(NGS):

DNAの塩基配列を、同時並行で大量に読み取る解析装置。

※6 ロービジョンケア:

 視覚に障害があるため、生活上何らかの支障がある方に対し、よりよく見るための工夫や機器の紹介、進路や就労を含む様々な相談・情報提供、福祉制度の利用等、多岐にわたる支援を行う。

(4) 2022年7月 当社は、ヘマトロジー分野におけるフラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置 XR™シリーズ」と接続可能な新たな検体搬送システム商品群「バーコードターミナル BT-50」、「検体並び替え装置 TS-01」、「検体保管装置 TA-01」を発売いたしました。

(5) 2022年8月 当社は、ソフトウェアの設計開発機能の強化により、開発スピード向上に取り組むべく、ソフトウェア開発会社である株式会社ピロートの株式を取得し、当社の完全子会社といたしました。

(6) 2022年9月 当社は、遺伝子変異解析セット「OncoGuide™ NCC オンコパネル システム」に関して、FGFR2※7融合遺伝子を含む遺伝子再構成を有する進行胆道がん※8の患者さんに対するコンパニオン診断として、製造販売承認事項の一部変更申請を実施いたしました。

※7 FGFR2遺伝子:

FGFR(fibroblast growth factor receptor)はFGFR1-4の4種類が同定されており、細胞の成長や増殖に関わる線維芽細胞増殖因子受容体と呼ばれるタンパク質である。FGFR遺伝子異常には、融合、変異、増幅等があり、これら遺伝子異常により機能が活性化されると、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性等に結び付くと考えられている。

※8 胆道がん:

 胆道に発生するがんの総称で、発生部位により、胆管がん(肝臓内の胆管に発生する肝内胆管がんを含む)、胆のうがん、乳頭部がんに分類される。

(7) 2022年9月 当社は、尿沈渣検査分野における新製品「全自動尿中有形成分分析装置 UF-1500」を発売いたしました。

(8) 2022年10月 当社とJCRファーマ株式会社は、造血幹細胞をはじめとする幹細胞やその他の細胞を用いた再生医療等製品の研究開発、製造及び販売を行うAlliedCel株式会社を共同で設立いたしました。

(9) 2022年10月 当社は、遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」に関して、子宮頸がん・子宮体がんのリンパ節転移検査に適応拡大する製造販売承認事項の一部変更申請について、承認を取得いたしました。

(10) 2022年12月 当社は、血液中のアミロイドβ(Aβ)を測定する検査試薬「HISCL β-アミロイド 1-42 試薬」及び「HISCL β-アミロイド 1-40 試薬」について、体外診断用医薬品として国内での製造販売承認を取得いたしました。

(11) 2023年2月 当社は、「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」について、大鵬薬品工業株式会社が開発中の分子標的薬フチバチニブ(一般名)※9の胆道がん患者さんへのコンパニオン診断として一部変更承認を取得いたしました。

※9 フチバチニブ(Futibatinib、開発コード:TAS-120):

 化学療法の前治療歴がある胆道がん患者さんを含む、FGFR1-4遺伝子異常を持つ進行固形がんへの治療薬として、大鵬薬品が開発中の新規経口抗がん剤。2022年9月には「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子又はその他の再構成を伴う切除不能な局所進行又は転移性肝内胆管がん」の適応で米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得している。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は31,060百万円であります。

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