シイエヌエス 【東証グロース:4076】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「私たちは国際化社会の中で、社員ひとり一人の個性を尊重し、誠実を旨とし、情報技術の先進的活用により顧客企業と社会の発展に貢献する。」ということを企業理念として掲げており、経営方針は以下のとおりです。
・顧客に信頼される会社となる。
・創造性あふれる専門家集団であり続ける。
・社会への貢献、個人への還元バランスをはかる。
(2)経営戦略等
国内のDX市場については、富士通 キメラ総研の「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/企業編」によると、企業や社会を取り巻く環境の急速な変化に対応するためのデジタルトランスフィーメーション(DX)の重要性は増しており、2023年度のDX関連市場規模は、4兆197億円の見込みとなっております。大手企業を中心に具体的な実行フェーズへの移行が進み、今後は中堅、中小企業での増加により、2030年度には8兆350億円まで拡大すると予測しています。
IDCでは、データ管理、データ分析に関わる市場をビッグデータ/アナリティクス市場として、テクノロジー分野(ハードウェア/ソフトウェア/サービス)について、国内市場を含むグローバルな支出額分析を「IDC Worldwide Big Data and Analytics Spending Guide」として提供しています。本レポートにおいて、国内市場の支出額では、2024年は前年比14.8%増の2兆749億円になると予測しています。2024年以降は、生成AI/予測型AI利用の拡大とこれに伴うデータ需要の増加を予測しており、AI基盤モデルを提供するAIソフトウェアプラットフォーム市場や、生成AI適用分野と予測されるコンテンツ分析市場、検索システム市場などで高い成長が見込まれます。また、AIの学習データのためのデータウェアハウス/非構造化データストアも高い成長を予測していることから、国内ビッグデータ/アナリティクス市場支出額は2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR)は14.3%で成長し、2027年に3兆541億円に達すると予測しています。
IDC Japanの「国内クラウド市場予測、2024年~2028年」によると、2023年の国内クラウド市場は、前年比29.6%増の7兆8,250億円(売上額ベース)となりました。また、2023年~2028年の年間平均成長率(CAGR)は16.3%で推移し、2028年の市場規模は2023年比2.1倍の16兆6,285億円になるとIDCは予測しています。
2023年の国内クラウド市場は、「製品/サービスの単価上昇(為替変動による値上げの影響を含む)」「ハードウェア製品の供給不足からの回復」「クラウドマイグレーションの拡大」によって大きく成長した2022年(前年比成長率38.7%)と比較すると成長率が大幅に低下したものの、順調に推移しました。
今後の国内クラウド市場は、「カスタムアプリケーション開発した基幹系システムのクラウドマイグレーション」「DX/データ駆動型ビジネス」が成長を牽引します。また、Generative AI(生成AI)の普及は、インフラストラクチャに対する投資を拡大するとともに、製品/サービス単価の上昇が見込まれ、DX/データ駆動型ビジネスの成長を加速するものとなっています。
以上により、デジタル革新推進事業、ビッグデータ分析事業、及びシステム基盤事業は、主要顧客との長期にわたる信頼関係も相まって需要は引き続き高い水準で成長すると予想しており、成長戦略の中核と位置付けております。
なお、当社グループは、上記の基本方針及び市場の動向に基づき、安定的かつ継続的な企業価値の向上を目指し、次の姿勢を貫いてまいります。
・お客様の業務を深く理解し、ニーズを汲み取った良質なエンジニアリングサービス、更に上流からのサービス(コンサルティングや各種提案)提供を行っていく
・デジタル革新技術を活用し、お客様の経営戦略実現のための業務統制の適正化と業務活動の効率化、そして経営リソースの有効活用を実現するエンドユーザー志向の新しいビジネスモデル(新事業)を構築し提供する
・社員がシイエヌエスで働くことを誇りに思える魅力を提供し、その魅力のもと高いサービス精神、チームワークを発揮し続け、顧客企業及び社会の発展に貢献する
これら展望を踏まえ、当社グループは次なるステージ上がるべく3か年の新たな経営計画を策定いたしました。2030年をターゲットとする当社の目指す『「人を想う」事業やサービスを通じて社会的課題を解決し、人や社会、未来に貢献する企業グループ』の実現に向けて、新中期経営計画(2025年5月期~2027年5月期)では、組織改革の推進と提案力強化、及び社会課題解決に向けたビジネスの創出に取り組んでまいります。
基本方針
「エンパワーメントの促進とイノベーションの醸成」
■3つの成長戦略(コア成長戦略)
<戦略1 事業基盤の強化>
・ビジネス拡大に必要な体制の強化
・組織風土の改革
<戦略2 新たな顧客獲得による事業規模拡大>
・重点顧客との連携強化による売上拡大
・新たなアライアンスパートナーとの協業関係整備による新規顧客の拡大
<戦略3 ソリューションの拡充による市場拡大>
・デジタル変革ソリューションの拡充
・デジタル変革を実現するソリューションの拡大・拡充
■新中期経営計画にて取り組む新たな成長戦略(強化成長戦略)
<戦略4 新たなビジネス機会の創出に向けた提案力の強化>
・顧客の企業価値向上に向けた成功体験の積み上げ
・主体的な提案活動による顧客接点の拡大
・全社横断の営業組織の立ち上げ
<戦略5 社会課題を起点としたビジネスの創出>
全事業横断の戦略
・社会課題ソリューションの開発ノウハウ蓄積
・地方(自治体含む)との顧客接点開拓
・ソーシャルビジネスの創出と展開
コンサルティング事業注力戦略
・コンサルティング事業の営業力強化
・社会課題解決のコンサルティング手法確立
・ソリューションモデルの立案と案件適用
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
新中期経営経計画(2025年5月期~2027年5月期)の最終年度における目標数値及び達成状況を判断するための客観的な指標として以下のとおり設定いたしました。
(4)経営環境
当社グループは、システムエンジニアリングサービス事業の単一セグメントでありますが、サービス事業としてデジタル革新推進事業、ビッグデータ分析事業、システム基盤事業、業務システムインテグレーション事業、コンサルティング事業を展開しております。
当社グループが属する情報サービス産業においては、DXを推進する動きが活発化しております。これまで情報システムはお客様ビジネスの構成要素の一部として扱われておりましたが、昨今の急激な環境変化に対応し、ビジネスの成長を拡大する上でデジタル技術を駆使した情報システムを経営の基本骨幹とされるように変化しております。
DXの市場動向については(2)経営戦略等に記載しているとおりであり、デジタル革新推進事業、ビッグデータ分析事業の需要は変わらず堅調であり、デジタル技術を活用する基盤としてシステム基盤事業の成長も後押ししております。他方、IT人材不足を背景に、IT・デジタル人材の採用環境は厳しい状況となっております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①オリジナルサービスの拡大
当社グループは受託型のエンジニアリングサービスやシステム開発に特化し、お客様との取引を拡大してまいりました。一方、少子高齢化による労働人口の減少が進み、人材獲得競争は激化し、労働市場の流動性も高まっております。このため当社は、受託型以外のビジネスモデルの構築に取り組み、2022年10月に当社初のブランド「U-Way」を立ち上げ、オリジナルサービスの提供を開始いたしました。中期経営計画において、U-Wayシリーズの事業展開による売上高20億円を目指しておりますが、この目標の達成に向けて、各事業においてオリジナルサービスの開発・販売拡大に取り組みます。
②新規顧客の獲得
これまでの受託型ビジネスにおいては、主に既存顧客との安定的な取引により業績拡大してまいりました。今後、持続的な成長を実現していくためには、受託ビジネスの姿勢から脱却し、攻めの姿勢に転じることが重要であると考えております。マーケットニーズの把握、顧客ニーズの深掘りの取り組みを強化するとともに、主体的な提案活動による顧客接点の拡大や、ITベンダーやお客様とのパートナーシップの増強により、特に新たなエンドユーザーの獲得に向け取り組んでまいります。2025年5月期より部門横断チームを組成し、営業戦略の策定に着手いたしました。
③業容の拡大
当社グループは、2030年度における目指す姿『「人を想う」事業やサービスを通じて社会課題を解決し、人や社会、未来に貢献する企業グループ』の実現に向けて、社会課題を起点としたビジネスの創出を強化成長戦略の一つに掲げております。2022年5月期より、成長戦略のうちの1つとして「ソリューションの拡充による市場拡大」に取り組んでおりますが、技術領域を拡大することで提供サービスの拡充を図るものであり着実にサービス数は増加しております。今後は、事業会社だけではなく中央省庁や地方自治体に向けた提案も行っていくことで、様々な案件を通して社会課題ソリューションの開発ノウハウの蓄積に努め、業容の拡大につなげてまいります。
④人材の確保と育成・働き方改革の推進
企業成長には優秀な人材の確保・育成は不可欠であり、情報サービス産業は人材こそが全てである業界と言えます。しかしながら、少子高齢化が進む中、業種・業態を超えた人材獲得競争は激化、高度IT人材の不足も深刻化しております。そのため、従業員の働きやすい環境づくりを推進し人材確保に努めるとともに、能力を向上させるための研修、資格取得の推奨を実施しております。新たに策定した中期経営計画(2025年5月期~2027年5月期)における重点施策のうちの一つに、人材戦略の強化として、人事制度改革の完成を掲げており、社員の能力を最大限に発揮させる評価制度の構築、高度人材の認定制度の確立に取り組んでまいります。社員の働き方については、ワークライフバランスに配慮しつつ、生産性及び品質の向上を実現することが重要な課題であると認識しております。2024年5月期には、離職率の低下、及び働き方の多様化促進を目的にフルテレワーク制度を導入いたしました。社員の健康や意欲を損なわない環境を保ち続け、事業の健全な継続を実現するとともに、社員の仕事へのやりがい、誇りを高めてまいります。
⑤内部管理体制の強化
業務運営の効率化やリスク管理、また安定的に事業を拡大するためには内部管理体制のさらなる強化が必要不可欠であると考えております。今後も引き続き、内部管理体制の整備を推進するとともに、労務管理上の問題や情報漏洩、ハラスメントなどが発生しないようコンプライアンスの強化にも努めてまいります。
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