企業兼大株主サーバーワークス東証スタンダード:4434】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンのもと、お客様の抱える課題や要望を正しく把握し、最大の強みであるクラウド基盤構築技術を活かし、顧客視点に立ったソリューションを提供することで、魅力的な就労環境の整備と生産性向上の実現に貢献していくことを経営の基本方針としております。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、「クラウドで、世界をもっと、はたらきやすく」のビジョンを実現すべく、常に変化する経営環境、市場動向に対して的確に対処しながら、企業価値の更なる向上に向けて事業展開を進めてまいります。加えて、社内開発のほか他社との協業・業務提携・M&A(投資含む)等により、次なる収益の柱となる新規事業と当社グループのケーパビリティ強化及び経営基盤の強化を積極的に進めてまいります。

 当社グループの属するクラウド市場は、複数のクラウドサービスを適材適所に使い分けるハイブリッド/マルチクラウドを利用してビジネスの強化を図るエンタープライズ分野の大規模ユーザーを中心に拡大し、本格的な普及期に入ったと認識しております。「技術の新規性」を訴求し「機能的価値」を提供して成長を実現した初期市場とは異なり、成長市場で持続的な成長を続けるためには環境の変化を見越した事業戦略の立案・実行と持続的成長を支える経営基盤の強化が課題と認識しております。

 このような状況を踏まえ、次のような目標と課題を掲げて計画的かつ迅速に取り組んでまいります。

(3) 目標とする経営指標

 当社グループでは、企業価値向上のため、売上高、営業利益、当期純利益を重視し、その向上に努めてまいります。当社の属する成長市場であるクラウド業界においては、優秀な人材の確保が最重要課題であり、人件費・採用費などの中長期的な成長に資するための先行的なコストが発生することで、短期的には利益率は限定的になりますので利益率よりも売上高や利益額という絶対額の向上を重要な指標としてとらえております。

(4) 会社の対処すべき課題

 当社グループの対処すべき課題としましては、既存事業の拡大、収益性の向上ならびに中長期的な成長に資する経営基盤の強化が重要であると認識しており、特に以下を重要課題として取り組んでおります。

① クラウドビジネスの強化・拡大

 当社グループはいち早くパブリッククラウド(注1)市場に参入し、AWSにおいてはAPN(注2)最上位の「AWS プレミアティアサービスパートナー」の地位を継続して取得し、多数の新規顧客企業を獲得してまいりましたが、今後より一層クラウドの普及が進み、様々な分野に浸透していくことは確実な状況にあります。こうした中で、非クラウド市場において既存顧客企業を保有する大手企業のクラウド市場への参入も増えており、成熟市場で成長を持続するためには、既存顧客企業との長期にわたる関係構築と、それに伴う利用量(料)の増加によるストック型ビジネスの強化が課題と認識しております。多数の案件の中から『ストック型案件』『収益規模』『潜在成長性』の三要素を満たす顧客企業に対しては、上流のビジネスコンサルティングから運用負荷の軽減や最適化のためのマネージドサービスの提供まで、一貫したサービス提供を積極的に行ってまいります。

 また、2023年4月にAWSと締結した4年におよぶ戦略的協業契約において、注力領域をエンタープライズのクラウドインフラ共通基盤の整備・構築支援、中小企業(SMB)のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進、クラウドコンタクトセンター構築支援、デジタル人財のさらなる強化の4領域に定め、お客さまのクラウドリフト・シフトへの支援を拡充してまいります。

② 優秀な人材の確保・育成

 当社グループが属するクラウド業界は、特に技術者(エンジニア)の人材不足が深刻化しております。当社グループの提供するサービスは、特に技術者の技術力に依るところが大きく、今後も市場拡大が見込まれる中で当社グループが成長を持続していくためには、優秀な技術者を安定的に確保し続けることが重要な課題であると認識しております。

 また、事業拡大に伴う顧客・引き合いの増加、マーケティング・アライアンス戦略の強化、収益性向上のための事業・経営指標の分析の必要性など、技術者(エンジニア)に限らず幅広い人材の必要性が増しております。

 そのため、当社グループでは、リモートワーク・時短勤務制度の導入など、ダイバーシティ(働き方の多様性)に対応した施策を積極的に推進し、ワークライフバランスの実現を率先的に図ることにより、次世代を担う優秀な人材の獲得に努めてまいります。また同時に、社員の能力開発・向上のための研修、AWS認定資格(注3)取得補助の実施など、従業員の能力を最大限に発揮させる仕組みを確立してまいります。

 また、2023年10月にパーソルクロステクノロジー株式会社と設立したパーソル&サーバーワークス株式会社において、AWS領域における高スキルITエンジニアの育成と高品質なサービス提供を目指し、喫緊の課題である技術者(エンジニア)の創出・育成・確保を目指してまいります。

③ 自社クラウドサービスの機能向上

 当社グループのAWS運用自動化サービス「Cloud Automator」は、顧客企業がクラウド導入パートナーを選定するにあたり当社グループを選択する、他社ベンダーとの差別化要因となっており、クラウドインテグレーション案件受注率向上に貢献していると認識しています。当社グループが今後も成長を持続していくためには他社ベンダーとの差別化が急務であり、サービスの優位性を高めるための機能強化・追加が必要不可欠であると認識しております。

 また、クラウドコンピューティングの進展によって、企業は複雑化していくシステム開発への迅速な対応と、運用業務の品質・効率改善とコスト削減を同時並行的に高めていく必要に迫られています。これを解決する手段として、当社グループではAWS運用自動化サービス「Cloud Automator」を提供することで、顧客がクラウド上に展開したシステムの運用を自動化し、クラウドの運用にかかるコスト総額の削減に貢献しております。

 当社グループでは、今後も市場環境や技術動向の変化に俊敏に対応し、顧客ニーズに迅速に対応するため、自社クラウドサービスの機能強化、またそれが実現可能な開発体制の強化を図ってまいります。

④ 事業展開のグローバル化

 当社グループでは日本国内において継続的な事業拡大を図っておりますが、中長期的な視点での事業展開を見据えた更なる業容の拡大を図るにあたり、日本国内のみならずアジア太平洋(APAC)、北米市場をにらんだグローバル市場への進出が重要になると考えており、海外のベンチャーキャピタルが運営するファンドへの投資やグローバル企業とのアライアンスなどを通じて、海外マーケットにおける情報収集と当社サービスの認知度向上のための活動を開始しております。

 また、技術者(エンジニア)確保の観点からも、外部企業との連携を通じたオフショアでの開発体制の構築なども検討してまいります。

⑤ 事業ポートフォリオの拡大

 当社グループは、クラウド専業インテグレーターとして、クラウド基盤に関するコンサルティング、基盤構築、運用支援サービスを提供しておりますが、AWSがインフラプロバイダーから本格的なアプリケーションスタック(注4)を提供する企業に進化していることに伴い、当社グループもIaaS(注5)だけでなく、プラットフォームサービス(注6)の拡充を図っていく必要があると考えております。また、今後より一層多様化・複雑化する顧客ニーズを的確に把握し、顧客ニーズを満たす適切な商品・サービスを提供し続けていくことや、連結子会社である株式会社G-gen及び株式会社トップゲートが展開するGoogle Cloud事業との連携によるマルチクラウドへの対応の必要があると認識しております。

 そのため、ビッグデータ、AIなど、将来的に成長が期待される事業分野におけるクラウド導入コンサルティングサービスや導入支援サービス等、提供サービスのポートフォリオを強化していく方針であります。具体的には、AWSが提供するサービスを活用したサーバーレス開発、仮想デスクトップサービス、AIコンタクトセンター等の開発及びコンサルティング・導入支援サービスを開始しております。

⑥ パートナー企業との協業推進及びM&Aによる成長の加速

 当社グループは、事業拡大・営業活動の促進、ケーパビリティ強化などのために、様々な企業との協業や資本・業務提携及び、M&Aを進めてまいりました。

 今後も、必要に応じて経営資源とノウハウを補完し合えるパートナーとの協業を図り、また、既存事業の強化と新たな事業軸を創出することを目的とするM&Aを積極的に検討・実施してまいります。常に変化する市場環境と多様化する顧客ニーズにスピード感を持って的確に対処しながら企業価値の更なる向上に向けて事業展開を進めてまいります。

⑦ パートナーエコシステム(注7)構築

 当社グループは、AWSのパートナープログラムであるAWSパートナーネットワーク(APN)に加盟して、国内パブリッククラウド市場において高いシェアを有するAWSと強固なリレーションを構築しております。AWSと「パートナーエコシステム」を構築することでAWSから技術・ビジネス・販売及びマーケティング面における様々な支援を得ることが可能となり、相互に成長が加速する好循環を目指しております。今後も双方にメリットのある取組みを進め、強固なエコシステムの構築を目指してまいります。

⑧ サステナビリティ経営の実践

 現在、地球温暖化をはじめとする気候変動や人権問題など、サステナビリティに関する様々な社会課題が存在しております。

 当社グループは、「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンに基づき、問題を抱える社会に対する当社の果たすべき役割や義務を明確にし、具体的な活動において社会貢献を実践することで社会課題の解決と企業価値の向上の両立を目指してまいります。単なる「法令や規則を守る」というコンプライアンスの遵守にとどまらず、顧客・従業員・取引先・株主など全てのステークホルダーの声を活動に活かすことで信頼に応えるとともに、当社のビジネスドメインであるクラウドを活用した持続可能な社会の実現と持続可能な成長に積極的に取り組んでまいります。

(注1) パブリッククラウドとは、ソフトウェア、データベース、サーバー及びストレージ等をインターネットなどのネットワークを通じてサービスの形式で必要に応じて利用する方式のことを意味し、「IaaS」「PaaS」「SaaS」の大きく3つの種別に分類されます。

(注2) APNとは、AWS Partner Network の略称であります。AWSパートナー企業のビジネス、技術、マーケティング、市場開拓等における活動を支援・促進するためのさまざまなサポートを提供する制度であります。AWSの活用を支援する「コンサルティングパートナー」と、AWSを使ったソフトウェア・サービスを提供する「テクノロジーパートナー」の2つに大分されます。APNコンサルティングパートナーは、AWSに関する営業体制を保有し、AWSを活用したシステムインテグレーションやアプリケーション開発能力をAmazon Web Services, Inc.に認定されたパートナーの総称であり、営業・技術力、導入実績、貢献度等に応じて「レジスタード」「スタンダード」「アドバンスド」「プレミア」の4階層が存在します。最上位のプレミアコンサルティングパートナーは、APNコンサルティングパートナーの中でも最も優れた実績を残したパートナーとして位置づけられております。

(注3) AWS認定資格とは、AWS(Amazon Web Services)上でアプリケーション開発やオペレーションが行えるだけの技術的な専門知識を持っていることを認定する資格であります。

(注4) アプリケーションスタックとは、AWSのサービス提供範囲が、従来から提供しているインフラ層(インターネット経由でハードウェアやICTインフラをサービスとして提供)にとどまらず、インフラ層と相互運用性のある上層のプラットフォーム層(インターネット経由でOSやミドルウェア等のプラットフォームをサービスとして提供)に至るまで、サービスラインアップを拡充していることを意味しています。

(注5) IaaS とは、Infrastructure-as-a-Serviceの略称であります。インターネットを経由して、CPUやメモリなどのハードウェア、サーバーやネットワークなどのITインフラを提供するサービスであります。

(注6) プラットフォームサービスとは、商品やサービス・情報を集めた「場」を提供することで利用客を増やし、市場での優位性を確立するビジネスモデルであります。

(注7) パートナーエコシステムとは、さまざまなパートナー制度を提供することによって戦略的な事業拡大を図る仕組みであります。

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