企業兼大株主サンゲツ東証プライム:8130】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの研究開発活動においては、企業理念のPurposeに掲げる「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」の実現に向けた商品開発に取り組んでいます。2024年3月には当社グループの商品・空間デザイン機能、多岐にわたるスペースクリエーション提案、営業機能等のさまざまな機能を集約し、新たな価値の創出を目指すための価値創造拠点として「PARCs Sangetsu Group Creative Hub(以下、PARCs)」を開設しました。また、当拠点の開設以外にも商品開発力・調達力の強化として、主力メーカーとのアライアンス強化に継続的に取り組んでいるほか、国内最大手のビニル壁紙メーカーである当社子会社クレアネイト株式会社においては、海外子会社と連携した海外市場向けのフリースバック壁紙や、環境に配慮した非フッ素系撥水剤を使用した壁紙といった戦略的な商品開発活動を行うだけでなく、壁紙需要の高まりに対応する供給体制の強化に向けた取り組みも進めています。

 品質については、取扱商品の品質管理体制を強化するために、品質管理技術室を設置し、独自の評価項目に沿って仕入先を多面的に評価し、品質改善を働きかけることで品質管理を徹底しています。商品開発の各段階においては、検証体制プロセスとして「デザインレビュー」を整備し、商品開発を担うスペースプランニング部門と、品質管理技術室をはじめとする関係部局が連携して審議を重ね、品質の担保に努めています。さらに、従来の東京支社(品川)を再設計・再整備し、当社グループが有する商品開発・製造・品質管理・技術開発の拠点「FIELDs」の開設も計画しています。従来から保有するデザインアーカイブスや商品サンプル、デジタルプリンターやカーペットタフト機などの試作製造機を集約するとともに、物性試験機をはじめとする品質管理や施工テストなど、さまざまな機能や機器を結集・連携することで、これまで以上にデザイン・開発・試作機能の開発・拡充を進めていきます。

 これらの結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は601百万円となり、セグメントごとの状況は次のとおりであります。

(国内インテリアセグメント)

 国内インテリアセグメントにおいては、壁装材、床材、ファブリック(カーテン・椅子生地)等、合わせて約12,000点の商品をサンゲツブランドで企画開発・販売し、毎年、主要見本帳約30冊のおよそ3分の1を更改に向けて開発しています。商品開発においては、最新のインテリアトレンドを捉えるために、国内外への市場調査を強化するとともに、第一線で活躍する外部のデザイン顧問からも情報収集を進め、「市場起点」での商品開発・研究活動を行っております。

 当連結会計年度は、イギリスを代表する老舗インテリアメーカーSanderson Design Groupと共同で開発した、ライセンスブランド「MORRIS CHRONICLES(モリスクロニクルズ)」といった世界的なブランドとのコラボレーションや国内外のトレンドを取り入れた商品をはじめ、脱炭素社会の実現に貢献する低環境負荷商品や、デフレに対応する低価格帯商品の開発・拡充にも取り組みました。

 こうした商品開発が外部にも評価され、樹脂の端材やお米の籾殻、ヒノキの端材といった、廃棄処分されることが多い素材を再利用した低環境負荷商品の壁紙「MEGUReWALL(メグリウォール)」が、国際的に権威のあるデザイン賞「iF デザインアワード 2024」を受賞したほか、海外のカラートレンドや、国内のプロユーザーへのヒアリングにより得た意見をもとに市場起点での開発を進めた不燃認定壁紙見本帳「FAITH」の巻頭企画である「Naturescape(ネイチャースケープ)」が、「2023年度グッドデザイン賞」を受賞しました。

 これらの結果、国内インテリアセグメントにおける当連結会計年度の研究開発費の総額は305百万円となりました。また、国内インテリアセグメント内のユニット別の研究開発活動状況は次のとおりです。

(壁装ユニット)

 壁装ユニットでは、2023年5月に発売した壁紙見本帳「FINE」において、フィンランドのデザインハウスであるマリメッコや、Morris & Co.のデザインをもとに共同開発したライセンスブランド「MORRIS CHRONICLES(モリスクロニクルズ)」といった世界的なブランドをはじめ、国内外の最新トレンドを取り入れた個性あふれる商品をラインアップしました。また、6月に発刊した壁紙見本帳「SP」ではニーズの高いストレッチ壁紙などの機能性商品を大幅拡充したほか、当社初となる環境負荷低減を目的とした、非フッ素系の撥水剤(PFCフリー)を使用した商品も収録しました。さらに、中期経営計画(2023-2025)[BX 2025]において、「中型商品」と位置づけた、当社のシェアが低く、市場の成長性が見込まれる戦略商品である粘着剤付化粧フィルム「リアテック」についても、2024年1月に新作見本帳を発刊しました。平面はもちろん曲面への施工が可能である同商品は、壁面や柱のほか、建具や家具にも幅広く使用でき、不燃仕上げを求められるオフィスや商業・宿泊施設のほか、近年では手軽にリフォームができる内装材として賃貸・戸建て住宅での需要が高まっています。これらのニーズを捉え、木種・柄・色・仕上がりの質感や、トレンドや市場の開発要望を取り入れた商品を多数収録しました。

 また、2017年から継続開催し、今回で7回目となった「サンゲツデザインアワード2023」では、壁紙に留まらず、より間口を広げた“壁面のデザイン”を募集対象として、今まで以上に自由で新しいデザインを広く募集しました。今回も、国内外からコンセプトやデザインに優れた多くの作品が集まり、壁装の新しい可能性を広げる活動となりました。

(床材ユニット)

 床材ユニットでは、オフィスを中心に商業施設や宿泊施設などでも幅広く使用されるカーペットタイル見本帳「NT350」を2023年9月に発刊しました。働き方改革やコロナ禍を経て変化するオフィス市場のニーズを取り込み、建築コストを抑えながら高いデザイン性を持つ商品ラインアップとしたほか、バッキングにリサイクルパウダーを一部配合し、全点が低環境負荷商品となっています。また、11月には社会的なニーズが高まるオフィス空間の“WELLNESS(幸福感)”に注目した商品を、多数収録したカーペットタイル見本帳「NT700」「DT」を発刊しました。意匠性と繊細な質感表現といったデザイン面のアプローチだけでなく、耐久性・耐候性・耐薬品性に優れた原着ナイロン糸を使用するなど、機能性に優れた商品も収録しています。さらに、環境配慮に向けた取り組みとしては、自社基準の環境配慮ランク「エコグレード ver.2023」を再設定しました。商品1㎡あたりのライフサイクルにおけるCO₂排出量と環境に配慮した原材料の使用率を検証・評価し、商品選定の参考指標となる低環境負荷商品のランクを表示するなどカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進しています。

 一方、非住宅市場のみならず、近年は賃貸住宅や戸建てリフォームにおいてもフロアタイルの需要が高まっています。このようなニーズを受け、商業施設やオフィスなどのトレンドを取り入れた木目・石目デザインに加え、リビングや寝室など住宅空間全体にもおすすめできる商品を多数収録し、フロアタイルでつくる心地の良い暮らしや住空間を提案しました。

(ファブリックユニット)

 ファブリックユニットでは、2024年2月に住宅から商業施設・オフィス等の非住宅分野まで幅広く使用される椅子生地総合見本帳「UP」を発刊しました。中でも、圧倒的なコストパフォーマンスを両立したビニル製の新商品「カラーレザー」シリーズは、さまざまな空間での使用用途を想定した業界最多色150色のカラーバリエーションとしました。また、ファブリック商品においても、水だけで簡単にお手入れできるメンテナンス性の高い「アクアクリーン」をはじめとする機能性商品の点数を拡充したほか、漁網やカーペット廃材などを再利用した100%リサイクル糸「ECONYL®(エコニール)」の採用や再生糸を100%使用した「ムーモル」といった低環境負荷商品も前見本帳から増点しました。

 また、2024年3月にオープンした当社グループの新たな価値創造拠点「PARCs」の植栽エリアに、本来廃棄されるはずの当社カーテン生地を回収・アップサイクルし、ポリエステル繊維をリサイクルして生まれた土「TUTTI®(トゥッティ)」を採用しました。本取り組みでは、スタイレム瀧定大阪株式会社と協働し、「サンゲツカーテン・エコプロジェクト」により回収されたポリエステル製のカーテン生地を原材料の約20%に使用しています。カーテン生地を使用した同製品の製造は初めてであり、廃棄物を活用し新たな価値ある製品に再生する、アップサイクルとしての可能性を持つ試みです。当社グループは引き続き、持続可能な社会の実現に向けた新たな価値創造につながる共創を進めてまいります。

※「TUTTI」はスタイレム瀧定大阪株式会社の登録商標です。

(国内エクステリアセグメント)

 研究開発活動は行っておりません。

(海外セグメント)

 海外セグメントにおいては、北米市場では、Koroseal Interior Products Holdings,Inc.が、顧客のニーズに基づく製品開発活動を行っております。開発プロセスにおいては、デザイン開発部署が、多様なアイデアを市場動向やトレンド、品質といった多角的な視点から検証・評価を重ね、製品開発を行っております。当連結会計年度においては、自社製造壁紙における新商品の継続的な開発・発売に努め、市場の高い評価を受けました。中でも、日本の伝統工芸をモチーフとした海外向けコレクション「TAKUMI」では、当社グループ共通の新ブランドとして、グローバルな展開を目指した商品の拡充を進めております。

 東南アジア市場、中国香港市場においては、グループシナジーをいかした商品戦略の強化として、Goodrich Global Holdings Pte., Ltd.と当社グループの壁紙メーカーであるクレアネイト株式会社、及び当社の3社を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、アジア圏向けの新ブランド「goodwall SEED」を発売しました。規格面はもちろん、デザインやカラーといった細部にまでこだわった日本らしいコレクションとして、市場浸透を図っております。

 これらの結果、海外セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費の総額は、295百万円となりました。

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