サカタインクス 【東証プライム:4633】「化学」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造」をビジネステーマに、「人々の暮らしを快適にする情報文化の創造」を存在意義と定めており、技術力、情報力を駆使し、「競争力と独自性を有した世界三大インキメーカーになること」を目標としております。また、新規市場の開拓や既存の事業分野を越えた新規事業の創出など“新たな挑戦”と社内改革の実現を積極的に推進してまいります。さらに、当社グループは世界全体の共通アジェンダとなった“SDGs”にうたわれている、地球環境をはじめとした様々な課題にも取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献していきながら、ESG経営を実践してまいります。
(2)事業環境認識
近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、次の通り認識しております。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、多くの国と地域において防疫対策が進み、経済活動への影響は少なくなったことで、当社事業活動に対する影響もほぼなくなり、また、原油をはじめとした資源価格は一昨年に比較して安定化しています。一方で、ウクライナ問題や中東情勢の悪化、長引くアメリカの金融引き締めや中国経済の停滞、さらには世界的な物価の高騰など、今後も世界経済が不安定になる要素が多く存在し、さらに気候変動対策としての環境規制の強化なども背景に、原材料高やインフレによる影響の懸念を抱えている状況が続いています。また、国内においては少子高齢化にともなう人口減少による労働力不足や国内市場の縮小、経済成長の停滞による消費活動の減退が懸念されます。
このようななか、印刷インキ関連事業については、デジタル化の加速により、紙媒体の情報メディア向け製商品の需要が先進国を中心に、さらに減少していくことが見込まれるものの、主力のパッケージ関連の印刷インキは、食品、飲料及び衛生用品などの生活必需品の供給を支える事業という観点から、経済成長や人口の増加とともに、需要は中長期的に増加していくものと予想されます。機能性材料事業については、競合他社との競争が年々厳しくなりつつあるものの、インクジェットを中心としたデジタル印刷の用途拡大や、デジタルデバイスの高度化に伴う画像表示材料の高品質化などにより、市場は今後も拡大すると見込んでいます。
*少子高齢化の進行による人口動態の変化
・労働力人口の減少
・国内市場の縮小
・経済成長の停滞
*国内・海外での市場・競争環境変化
・情報メディアの紙離れによるインキ需要の低迷
・新興国市場における競争の激化
・脱プラスチック等環境対応ニーズの変化と高まり
*デジタル化によるバリューチェーンの変化
・デジタル媒体の大幅な増加
・印刷の多様化・カスタマイズ化
*環境制約・社会課題への対応
・長期的なサステナビリティ配慮、SDGsに向けた取り組みの重要性の高まり
・資源制約・原料価格高騰リスクの高まり
・ESG投資の影響力増大
(3)中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2030年の達成を目標とする長期ビジョンを2021年に策定し、それに基づいて事業活動を推進しています。
1896年の創業から127年を迎え、これまで着実に成長してまいりました。一方で、近年はデジタルメディアの急激な普及や気候変動をはじめとした環境対策の必要性がより一層高まるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、今後さらに非連続的な変化が起こりうる状況にあります。
このような事業環境の変化の中で、当社グループが社会から求められる企業として持続的に成長していくためには、柔軟性を持ち、長期的な視点に立って、将来のあるべき姿と、そこに至る道筋や施策を策定し、常にグループ全体でそれらを共有・推進していくことが重要です。サステナブルな社会の実現に貢献するため、様々な社会課題の解決に向けた一翼を担いつつ、当社グループのさらなる発展を果たしてまいります。
長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の概要
1.企業理念
ビジネステーマ 『ビジュアル・コミュニケーション・テクノロジーの創造』
存在意義 『人々の暮らしを快適にする情報文化の創造』
2.ビジョン
“Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life”
~あなたと、つくる、価値ある、あした~
新たな領域への挑戦によって“イノベーション”を生み出し、“地球”にやさしい技術で、“人生”を快適かつ豊かに彩り、世界中に笑顔があふれる未来を創る企業
3.戦略の方向性
*地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化
・地球環境と人々の豊かで健康的な生活の向上に貢献し、世界が目指すサステナブルな社会の一翼を担う
・当社マテリアリティに対する各取組方針の実施を通じて、持続可能な社会の実現に貢献
*印刷インキ事業・機能性材料事業の拡大
・主力のパッケージ印刷分野を中心に、より一層の環境経営を推進(印刷インキ)
・社会トレンドを捉えた高付加価値製品をグローバルに展開(機能性材料)
*新しい事業領域への挑戦
・4つの注力分野
『環境/バイオケミカル』、『エナジーケミカル』、
『エレクトロニクスケミカル』、『オプトケミカル』
4.変革プロジェクト
*グローバル連結経営のさらなる強化
*ステークホルダーとの関係強化
*人財育成の強化・組織風土の改革
5.ESG・サステナビリティへの取り組み
重要課題(マテリアリティ)と目指す社会
* | 持続可能な地球環境を 維持するための活動 | >>> | 地球環境を保護し、人々に安全と健康を |
* | 安心・安全な製品の供給 | >>> | 快適さ、利便性とともに、循環型社会の実現を |
* | 研究開発・技術力の強化 | >>> | 豊かな生活、新しいライフスタイルの創造を |
* | コーポレートガバナンス、 コンプライアンスの強化 | >>> | ステークホルダーとの良好な信頼関係を |
* | 人権の尊重、 DEIBの推進 | >>> | 人権、人格、多様性を尊重し、働きやすい労働環境を |
『中期経営計画2026(CCC-Ⅱ※)』の概要
1.基本方針
長期ビジョンにおける戦略の方向性として、「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」「新しい事業領域への挑戦」「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」としており、それに基づいた事業活動を進めてまいります。
「印刷インキ・機能性材料事業の拡大」においては、パッケージ分野を中心にボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸としたサステナブルな製品の積極展開をグループ全体で推進するとともに、デジタル化にともなう事業環境の変化に対応した事業構造改革を進めてまいります。また、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料における拡販と新分野への展開などを行ってまいります。
「新しい事業領域への挑戦」では、基盤構築の期間で実施したさまざまなアプローチの成果に基づいて、事業化の可能性が高い製品・サービスを具現化し、収益につなげていく期間としています。その具現化の手段として、研究開発をさらに進めるとともに、当社の技術やサービスとの親和性が高い有望な技術を持つ企業や団体とのオープンイノベーションを進め、新しい製品やビジネスモデルの提案を加速させていきます。
また、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」については、環境に配慮したサステナビリティ製品の展開や気候変動に対応した事業活動でのさまざまな取り組み、持続的な発展を実現するための基盤となる人的資本政策、適正かつ透明性の高いガバナンス体制の構築を推進してまいります。
そしてこれらの取り組みは、資本コストや株価を意識した経営を基本とし、収益力強化や成長戦略への投資と株主還元に対する資本の最適配分に加え、資本コストの低減を進めるとともに、IR活動を通じて当社グループの成長ストーリーの実効性と実現性に対し、ステークホルダーの皆様から共感を得ることで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
これらのさまざまな取り組み施策を当社グループ全体で着実に実行することにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、事業拡大と収益力の強化を実現し、ステークホルダーの皆様からより一層の信頼を得られるように、長期ビジョン実現と中期経営計画の目標達成に向け、邁進してまいります。
(※)CCC-Ⅱ : | 今中計を長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』の「第二期・フェーズ2」とし、長期ビジョンのキャッチフレーズ「Create and Innovate, Care for the Earth, Color for Life」の頭文字からCCC-Ⅱと表記いたしました。 |
2.連結目標数値
| 2023年 実績 | 2026年 計画 | 伸長率 | |
売上高 | 2,283億円 | 2,700億円 | 18.3% | |
営業利益 | 113億円 | 180億円 | 59.3% | |
経常利益 | 136億円 | 190億円 | 39.7% | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 74億円 | 127億円 | 71.6% |
3.連結経営指標
ROE 10%以上
4.セグメント別計画
(単位:億円)
| 売上高 | 営業利益 | ||||
2023年 実績 | 2026年 計画 | 伸長率 | 2023年 実績 | 2026年 計画 | 伸長率 | |
印刷インキ・機材(日本) | 521 | 530 | 1.7% | 5 | 29 | 5.8倍 |
印刷インキ(アジア) | 524 | 667 | 27.3% | 43 | 43 | 0.0% |
印刷インキ(米州) | 785 | 928 | 18.2% | 43 | 49 | 14.0% |
印刷インキ(欧州) | 195 | 212 | 8.7% | △7 | 5 | - |
機能性材料 | 168 | 244 | 45.2% | 18 | 44 | 2.4倍 |
その他 | 153 | 200 | 30.7% | 4 | 18 | 4.5倍 |
調整額 | △64 | △81 | - | 6 | △8 | - |
合計 | 2,283 | 2,700 | 18.3% | 113 | 180 | 59.3% |
5.財務・資本政策
総投資額 400億円
うち、将来成長に向けた戦略的投資150億円
株主還元 積極的かつ安定的な配当と機動的な自己株式の取得
目標:総還元性向50%以上またはDOE(株主資本配当率)2.5%以上
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