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企業概要

 当社グループの経営方針経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、電話帳や地域情報誌の発行単位となっている、それぞれの地域への貢献を経営理念として謳っており、当社グループにとっての利益とは、地域社会のコミュニケーションを促進することによって築き上げられた、お客さまやコミュニティ全体との信頼関係がもたらす成果であって、まさに公共的な使命を果たした結果として実現するものであると考えております。

 地域密着型のメディアやソリューションを提供することにより、地方創生に貢献し、当社グループが存続・発展し続け、企業価値を向上させてゆくことこそ、株主のみなさまをはじめ、あらゆるステークホルダーのみなさまに対する最大の貢献であると信じております。

(2)経営環境、経営戦略および事業上の優先的に対処すべき課題

 日本は人口が減少し、少子高齢化が進んでおりますが、その問題に拍車をかけているのが東京一極集中であり、日本の再成長を阻む大きなリスクと思われます。進学や就職で地方の若者が東京へ移住して東京一極集中が過度に進むと、東京ブラックホール化という形で地方が消滅し、いずれ東京も超高齢化して、国家の衰退へと向かいます。東京も繁栄し地方も豊かで健全なサステナブルな国家にしていくには、東京一極集中から地方分散多極化をはかるべきで、地方創生による産業振興こそが日本再生の打開策の根幹となります。

 地方の課題は、経済の衰退と財政の逼迫です。これまで地方経済は、公共事業と企業誘致を柱に国や大企業に依存してきましたが、国は財政難から公共事業を削減し、大企業はグローバルな事業展開の中で、地方の工場を海外に移転するため閉鎖・縮小してきました。その結果、地方経済は停滞を余儀なくされ、財政にも大きな影響を及ぼしています。

 地方創生といった未知への挑戦は、自治体だけでは容易ではありません。民間活力を導入し、地域を挙げて地方創生に取り組む体制を構築しなければなりません。官と民の協働こそが、地方創生を実現できる唯一の解といえます。

 当社グループは、官民協働という発想が浸透していなかった頃から、地方自治体に官民協働事業を提案し、平成18年(2006年)にプロモーションの面から地方創生を支援しようと官民協働型行政情報誌『わが街事典』発行事業をスタートさせました。行政と民間企業は文化も風土も発想も異なりますが、この相容れぬ異分子同士が結合することで、うまく化学反応すれば、思わぬイノベーションが起こることがあります。その発想で取り組めば、産業振興が実現し、地方経済が活性化し、地方財政も再建できると考えました。現在、全国約1,700の基礎自治体のうち、1,000を超える自治体との協働発行が実現しております。

 さらに、当社グループは、地方創生支援事業のデジタル化を目的として、官民協働の理念に加え、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を促進して、地方自治体や地域事業者のプロモーションやDX化を支援し、地方創生に取り組んでおります。そのひとつがデジタルサイネージによる地域コミュニティメディア事業『わが街NAVI』で、令和5年(2023年)2月には、官民協働で200箇所の設置を実現しております。

 また、令和4年(2022年)2月に官と民が一体となって地域の魅力を発信する準公式シティプロモーション特設サイト『わが街ポータル』の運営を開始し、地方自治体や地域事業者の新たな情報発信の場所を提供しております。

 サステナブルな地域社会を実現するため、官民協働およびDX推進により、地方自治体や地域の事業者に向けた多種多様なサービスで地方創生をトータルプロデュースする「地方創生プラットフォーム企業」を目指してまいります。

 あわせて、利益を確保する体制を構築するため、人的資本への投資により、ひとりひとりの社員の能力や生産性を高めるとともに、一層の原価低減、経費削減に取り組んでまいります。また、コンプライアンスの徹底を経営上の最重要課題と位置付け、ガバナンス体制のより一層の充実をはかってまいります。

 さらに、当社グループの事業とシナジー効果が期待される企業とのアライアンスやM&Aを検討、実施し、事業領域の拡大をはかり、当社グループの企業価値向上に努めてまいります。

 これらの施策により、連結売上高、連結経常利益の増加を目指してまいります。

 セグメント別の対処すべき課題は次のとおりであります。なお、翌連結会計年度より「メディア事業」は、当社グループが提供する広告媒体は、当社グループが独自に開発した情報発信型のメディアが大部分を占めていることから「情報メディア事業」に、「ICT事業」はDXを推進することにより、地方創生支援に資する事業をおこなうことを明確にするため「DXサポート事業」に改称いたします。また、主要製品・サービスの内容は「第1 企業の概況 3 事業の内容」もご参照下さい。

①情報メディア事業

 情報メディア事業におきまして、行政情報誌『わが街事典』は、平成19年(2007年)大阪府和泉市にて第1号を発刊し、以来17年で1,100自治体を超える勢いで推移しております。地方創生に貢献すべく、官民協働の理念に則り、行政と地域事業者と市民をつなぐ新たな媒体として築き上げてまいりました。

 この官民協働事業は、地方創生を推進する取り組みとして地域社会から期待されており、今後事業の理念の定着をはかるべく、既存発行自治体との改訂版の発行、新規発行自治体の開発に尽力してまいります。さらに超スマート社会に対応すべく、DXを活用した行政情報誌として、高度化をはかり、常に時代に即したメディアへと進化してまいります。また、地域の子育て支援のための子育て情報誌や、空き家問題の解決に向けた空き家対策情報誌など、自治体のニーズに即したジャンル別行政情報誌の発行にも取り組んでまいります。

 当社創業以来約70年に亘って地域社会に根付いている50音別電話帳『テレパル50』につきましては、引き続き行政情報の拡充、特集企画の掲載などコンテンツを強化し、コミュニティツールとしての機能をさらに向上するとともに、Googleビジネスプロフィール『わが街Mapping』とのメディアミックスなど、プロモーション支援に取り組んでまいります。

 全国の自治体庁舎やイオンモール、ゆめタウン等の大型商業施設などに設置するデジタルサイネージ『わが街NAVI』は、自治体のシティプロモーション支援およびデジタル化と地域事業者のプロモーション支援に向けて、拡大強化してまいります。

 令和4年(2022年)2月より開始したシティプロモーション特設サイト『わが街ポータル』は、行政情報に加え、イベント情報、お得情報、求人情報、地域のSNS情報など、日常生活で利用される利便性の高いリアルな情報を発信する自治体公認準オフィシャルサイトであり、自治体に対し開設を提案してまいります。

 あわせて、広告集稿DX化により営業効率を高め、生産性向上に努めてまいります。

②DXサポート事業

DXサポート事業は、自治体および地域事業者のDX化を支援する取り組みを推進してまいります。

 自治体向けサービスとして、AIチャットボットによる住民サービスの向上などにより、自治体のシティプロモーションを支援してまいります。

 地域事業者向けにはGoogleビジネスプロフィール『わが街Mapping』等の販売に努め、事業者のDX化支援を強化し、地域経済の活性化や効率化を促進してまいります。

eコマース系サービスにつきましては、『わが街とくさんネット』や『食彩ネット』等の物品販売サイトの運営をおこなっており、特に『わが街とくさんネット』は、地域の特産品生産者が特別なノウハウを持たずとも、eコマース市場で販売できるよう、事業者支援をおこない新しい販売チャネルでの販路拡大を支援し、地域経済の活性化に貢献してまいります。また、ふるさと納税支援事業は『わが街ふるさと納税』によるふるさと納税の利用促進や、自治体へのコンサルティング拡充により強化をはかってまいります。

 株式会社ベックにおけるシステム開発支援、株式会社ナインによるデジタルコンテンツの企画・制作も、顧客および受注の拡大に取り組んでまいります。

③ロジスティクス事業

 ロジスティクス事業におきましては、利便性の高いサービスを安価で提供することにより、事業者のコスト削減に貢献し、ひいては地域社会の活性化に貢献してまいります。

DMソリューション事業は、既存の顧客の取引拡大、新規販路の獲得により、取り扱い数の拡大をはかるとともに、当社グループの営業ネットワークの活用により、地方自治体や地域団体など新規顧客を開拓してまいります。また、小型小荷物等配送サービスの取り扱いなど、事業領域の拡大もはかってまいります。

 ポスティング事業につきましては、大手クライアントの開拓など、ポスティング領域の拡大をはかってまいります。

④ヘルスケア事業

 ヘルスケア事業におきましては、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士への、歯科医療機械器具・歯科材料の販売の拡大や、歯科医新規開業プランニングやアフターサービス、メンテナンスに積極的に取り組んでまいります。

⑤投資事業

 投資事業につきましては、所有不動産の賃料収入に加え、金融商品の運用により収益向上をはかってまいります。さらに、地域の中小事業者の事業承継を支援する取り組みも研究してまいります。

(3)財務上の優先的に対処すべき課題

 当社グループの資金状況は、運転資金、設備投資資金、戦略投資資金等の必要資金を主に事業利益から得られる内部留保資金または借入金により調達することとしております。このうち、借入金による資金調達については、短期借入金であり、未行使の借入枠利用により調達することが一般的であります。令和6年3月31日現在、短期借入金の残高は、50百万円であります。
 令和6年3月31日現在、長期借入金の残高は1年以内の返済予定額2億35百万円を含めて31億92百万円であります。これは、令和3年3月期において、新本社ビル建設資金及び新型コロナウイルス感染症拡大による影響に備えた手元流動性確保のため、複数の金融機関より調達したものであります。

 当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力および未行使の借入枠により将来必要な運転資金、設備投資資金、戦略投資資金を確保し、グループ全体の更なる成長に引き続き努めてまいります。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、事業を継続・発展させてゆく上で、収益の源泉となる連結売上高、ならびに経営にともなう通常のコストを差し引いたあとの収益性を判断するため、連結経常利益を重要視しております。

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