コンコルディア・フィナンシャルグループ 【東証プライム:7186】「銀行業」 へ投稿
企業概要
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載が無い限り、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、以下の経営理念体系をグループ経営の基本とし、企業活動をしていくうえでの拠りどころと位置づけています。
<経営理念>
お客さまに信頼され、地域にとってなくてはならない金融グループとして、
① お客さまの豊かな人生、事業の発展に貢献します。
② 地域社会の持続的な発展に貢献します。
③ 従業員が誇りを持って働ける魅力ある会社であり続けます。
④ 持続的に成長し、企業価値を向上させます。
<長期的にめざす姿>
地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー
<すべての役職員が共有すべき価値観・行動指針>
「信頼と信用」 地域・お客さま・株主・従業員との信頼関係の維持・強化を大切にする。
「お客さま本位」 常にお客さまファーストに基づき行動する。
「変革と挑戦」 経済・社会の変化に対して常に変革マインドを持ち、失敗を恐れず挑戦する。
「誇り」 確固たる矜持を持って常にベストを尽くす。
(2) 経営環境
2023年度のわが国経済を振り返りますと、物価高などの影響を受けながらも、景気は緩やかに回復しました。半導体市場を中心に海外製造業が調整局面にある中でも、供給制約の緩和による国内の自動車生産の回復を受けて、輸出は底堅く推移しました。また、インバウンド消費の拡大が続いたことも景気を下支えしました。一方、企業の設備投資は、建設工事費の高騰等を背景としたコスト上昇の影響を受けながらも、企業収益が高水準で推移する中で緩やかに持ち直しました。他方、個人消費は、賃上げにより家計の所得が増加した一方で、食料品やサービス価格などに値上げが広がり、鈍い動きとなりました。なお、年明け後は、一部自動車メーカーの工場稼動停止や能登半島地震の影響により、生産や輸出などが弱めの動きとなり、景気回復がやや足踏みしました。
金融面では、短期金利については、無担保コールレート(オーバーナイト物)がゼロ%に近いマイナス圏内で推移した後、2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除したことを受けて年度末にかけてやや水準を切り上げ、プラス圏に浮上しました。一方、長期金利については、日本銀行が2023年7月と10月に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用柔軟化を進める中で次第に上昇基調が鮮明となり、10年物国債金利は11月に節目の1%に近づく場面もありました。ただその後は、米長期金利の低下などを受けて、日本の長期金利もやや水準を切り下げました。
(3) 中期経営計画の概要と目標指標の進捗
当社グループは、持続的な成長を通じた中長期的な企業価値の向上と、長期的にめざす姿である「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」の実現に向け、2022年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画を定めています。2023年度は、中期経営計画の2年目として、掲げた3つの基本テーマにもとづく重点戦略を迅速かつ着実に実行しました。その結果、目標指標の達成に向け業績は着実に進捗しました。
①中期経営計画の概要
②目標指標の進捗
(注)1 ROE(連結)=親会社株主に帰属する当期純利益÷株主資本(期首・期末平均残高)
ROE(連結)東証基準=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(期首・期末平均残高)
自己資本は純資産の部合計から株式引受権、新株予約権および非支配株主持分を除く。
2 OHR(連結)=経費÷業務粗利益
3 普通株式等Tier1比率=普通株式等Tier1(その他有価証券評価差額金を除く)÷リスクアセット
4 2020年度、2021年度については、バーゼルⅢ最終化前。2022年度、2023年度、中計目標および中期的にめざすレベルについては、バーゼルⅢ最終化・完全実施ベース。
5 2024年度業績予想ROE(連結)は6.4%。
(4) 会社の対処すべき課題
上場企業である当社にとっての最重要課題は「企業価値の向上」です。多くの上場企業がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの状況にある中、上場企業は東京証券取引所から「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた対応を要請されています。当社においても2024年3月末時点で0.7倍程度と、株主の皆さまの期待に応えきれておりません。
当社は、PBRを改善するためにROEの向上と株主資本コストの抑制・低減に取り組んでいます。なかでもPBRとの相関性が高く、経営戦略の実行により自律的に向上しうるROEを中核的な経営目標として設定し、株主資本コストを上回るROEの早期達成に向けた戦略の遂行に取り組んでいます。
一方、米欧のインフレ動向や長引くウクライナ危機・中東情勢などを背景に不安定な世界経済情勢が続く中、国内においては金融政策の転換や円安の進展がみられるなど、当社を取り巻く経済環境の不確実性は高まっています。
こうした不確実性の高まる経営環境のもとで、企業価値の向上と長期的にめざす姿である「ソリューション・カンパニー」の実現に向けて優先的に対処すべき課題は、「収益力の強化」「人的資本投資の強化」「地域社会の持続的な発展への貢献」の3点と考えており、各課題に対しては以下のとおり取り組みます。
<収益力の強化>
お客さまとのさらなるリレーションの強化をはかり、真の経営課題の解決に資するソリューションの提供に引き続き取り組むことで、本業の収益力を前年度以上に強化します。
また、金融政策の転換による金利環境の変化を捉えた適切なリスクリターンの確保により本業収益力をさらに強化することに加え、お客さまとのリレーションを基盤とした粘着性の高い預金の増強に取り組むことで、持続的な成長に向けて事業基盤を着実に強化します。
市場部門においては、引き続き有価証券ポートフォリオの再構築に取り組むことで、評価損の解消を進めると同時に、安定的な財務収益の確保に取り組みます。
<人的資本投資の強化>
質の高いソリューションビジネスを持続的に展開することが可能な体制の構築に向けて、グループ全社で人的資本投資の強化を継続し、従業員一人ひとりのスキルの高度化と将来の担い手となる若手層の育成に取り組みます。
また、お客さまの利便性向上と営業店の事務負担軽減に資するデジタル技術のさらなる活用を通じて、生産性向上に向けた構造改革を深化させることにより、お客さまへソリューションを提供する担い手の拡大に取り組みます。
<地域社会の持続的な発展への貢献>
横浜銀行と神奈川銀行との両行の役割設定により神奈川県内の営業活動を効率化することに加えて、人財交流や研修の共同開催などを通じた知見およびノウハウの共有によって神奈川銀行のソリューション提供能力を向上させることで、経営統合によるシナジーの早期最大化をめざします。
地域社会の経済活性化は、当社グループの成長性・事業基盤への信認を高め、株主資本コストの低減につながると考えております。
神奈川県内における取引基盤をさらに深化・拡充させ、金融仲介機能をさらに発揮することで、地域社会の持続的な発展に貢献し、当社グループの中長期的な企業価値向上につなげてまいります。
中期経営計画の最終年度である2024年度は、金利上昇がお客さまに与える影響を注視しつつ、優先的に対処すべき課題に取り組み、3つの基本テーマにもとづく重点戦略をさらに推し進め、中期経営計画を着実に達成することで「ソリューション・カンパニー」の実現に向けたさらなる成長へとつなげてまいります。具体的には、成長戦略の実行と変革の加速を通じ、成果を具現化することで、中期経営計画の目標指標として掲げるROE6%程度を達成するよう、着実に利益成長をはかります。
また、中期的にめざす水準である7%程度を早期に達成し、さらなる向上に取り組むことで当社の企業価値を高めてまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング