企業コマースOneホールディングス東証グロース:4496】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 ①国内EC市場の動向について

 当社グループの事業は、国内のECサイト事業運営のための各種ソリューションの提供となっております。国内EC市場は前述のとおり拡大が見込まれておりますが、国内経済環境、特に消費者の消費動向というマクロ経済環境によって業況が左右される市場であると認識しております。従いまして、今後国内経済環境の悪化等に伴い国内EC市場の成長率が鈍化した場合、又は成長が停滞した場合には、当社グループの顧客であるEC事業運営者の業況悪化を通じて当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 ②EC市場特有のマーケットリスクについて

 EC市場はインターネット環境の進化、スマートフォンやタブレット端末等のデジタルデバイスの発達により今後も更なる拡大が期待されるマーケットであると想定しております。しかしながら、今後新たな法規制の導入によるEC事業運営者の撤退又は拡大スピードの鈍化や、通信・ロジスティクスコストの増大によるEC事業運営者やEC利用者にとってのコスト増加等が発生する場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③インターネットインフラへの依存

 当社グループの各事業はSaaS形式での提供となっているため、インターネットを経由したシステムの利用が前提となっております。サービスの継続稼働のためセキュリティ対策、バックアップ対策、自然災害等を想定したデータセンターでのシステム運用を行っておりますが、不正手段による当社システムへの侵入、想定を上回るサービスへのアクセスに伴うシステム障害、自然災害及び火災、事故、停電等の予期せぬ事象の発生に起因するサーバーダウンによるサービス停止の場合には当社の社会的信用やブランドイメージの低下、損害賠償金の支払等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④競合について

 当社グループの提供するECサイト運営のための各種ソリューションについては、機能や価格に差はあるものの、同種のサービスが複数のシステムインテグレーターやSaaS運営会社により提供されております。他社の提供サービスの中には、よりシンプルなサービス提供とする一方で導入費用や定額利用料のかからないサービスも存在しており、サービス間での競争は高まっているといえます。当社としては利用企業及びユーザーである一般消費者双方にとっての使いやすさを追求した機能向上を図ると共に、グループ各社提供サービスのクロスセルも活かすことで競合他社との差別化を図ってまいる所存です。

 しかしながら、今後競合他社が当社グループのサービスを模倣・追随し、これまでの当社グループの特徴が標準的なものとなり差別化が難しくなるような場合には、当社グループの競争優位性が低下すると共に、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤技術革新について

 当社グループの事業の前提となるインターネット及びECについては、利用媒体の変容や取扱いデータ量の拡大等日々技術革新が進んでいる業界であると考えております。足許では、ChatGTPを代表とした生成AIの技術革新が進み、EC分野においても業務効率化目的での利用が期待されております。当社グループといたしましては、こうした顧客ニーズを踏まえてこうした技術革新に対応するため様々なバージョンアップや新サービスの開発を進めてまいる所存ですが、今後新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合は、当社グループの提供するサービスの陳腐化により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥コンプライアンスについて

 当社グループの各事業においては、当社グループが直接的に規制を受けるものは無いと認識しておりますが、利用顧客側で「個人情報の保護に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引に関する法律」等による法的規制を受けております。加えて、当業界は比較的新しい産業分野ともいえるため、今後の法規制の強化により当社グループ自体が何らかの規制対象となる可能性も否定できません。また、当社グループの提供サービスについては顧客ニーズの変化やインターネット業界の技術革新により日々内容が進歩しており、適宜適切な機能拡張・改修が必要となっており、当該変更に伴って他社の知的財産を侵害する恐れや反対に他社が当社の知的財産を侵害する可能性も否定できません。

 当社グループでは、グループ全体としてコンプライアンスに厳格に対処すべく、必要に応じて社外専門家も交えてグループ横断でのコンプライアンス委員会の開催を行い各社の留意事項の洗い出しや対応策の検討等を行っております。しかしながら、今後の法規制等の動向全てを正確に把握できず適時適切に対応できない場合や、契約条件の解釈の齟齬、当社グループが認識し得ない知的財産権の成立等により、当社グループが第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受ける等、解決まで多額の費用と時間がかかることとなった場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

⑦サービスの健全性維持について

 当社グループの提供サービスはあくまでEC事業運営者のECサイト構築・運営をサポートするツールの提供となっております。従いまして、EC事業運営者独自の判断によって、違法性のある商品の取引や詐欺等の違法行為が発生する危険性を有しております。

 当社グループといたしましては、契約締結時点及び毎期の取引先調査による確認を実施すると共に、各種サービス利用規約にて違法性のある商材・取引の禁止を明記し、違法性が発覚した場合はサービス利用を停止する等の措置を取ることで、サービスの健全性の維持に努めております。しかしながらこうした対応が適時適切に取られない場合や、当社グループによるEC事業運営者の調査が十分機能しない場合には、EC事業運営者の違法性が露見し、当社グループ提供サービスへのレピュテーションが悪化すると共に、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧自然災害等について

 地震、台風、津波、長時間の停電、火災、疫病の蔓延、その他の予期せぬ災害又はテロ、戦争等の紛争が発生した場合、当社グループの事業の運営又は継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、複数サーバーやバックアップ体制等、事業継続のために必要な対策を取っておりますが、リスクの発現による人的、物的損害が甚大な場合は当社グループの事業継続そのものが困難となる可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルスに代表される感染症・伝染病の流行等によって、拡散脅威や外出禁止令による経済活動の停滞や、国内消費量が減退する可能性があります。そのような環境の中でも、当社グループが属するEC業界では、在宅での消費活動や在宅勤務によるいわゆる「巣ごもり消費」が活況となることで継続的な需要が期待できるものと考えております。当社グループといたしましては、特に営業活動についてはオンラインでの顧客面談やセミナー開催等により、新規顧客獲得に向けた取り組みを進めてまいる所存です。しかしながら、感染症の流行が長期化することで、当社グループの顧客であるEC事業運営者が保有する実店舗での業績悪化が拡大することで解約やEC事業運営者の流通額の減少が進んだり、直接顧客訪問ができないことで新規営業活動が想定通りに進まなくなったりするリスクがあると考えております。これらのリスクが顕在化することで既存取引先の減少や新規取引先の獲得ができない場合は、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

⑨ソフトウェアの資産計上について

 当社グループでは、以下の2つの観点からソフトウェア開発等に係る金額を資産計上しております。それぞれにかかるリスク認識は以下のとおりです。

(ⅰ)株式会社フューチャーショップにおけるソフトウェア資産の計上について

 当社子会社である株式会社フューチャーショップは2018年9月に新商品である「commerce creator」をリリースいたしました。それ以前の開発では、開発に要した費用の金額的重要性並びに開発ソフトウェアでの収益性が見込めない等の理由から、資産計上は行っておりませんでしたが、本開発及びその後の新機能の改良・強化につきましては、ソフトウェア資産を計上しております。今後につきましても、新たな機能の改良・強化が生じた場合にはソフトウェア資産を計上する可能性があります。ソフトウェア資産を計上した場合、毎期定額償却されますが、技術の陳腐化やサービスの販売鈍化が生じた場合は資産計上額について減損を認識する可能性があります。現時点ではそのような兆候は確認しておりませんが、今後減損が生じる場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(ⅱ)株式会社ソフテルにおける棚卸資産の計上について

 当社子会社である株式会社ソフテルの主力サービスである「通販する蔵」及び周辺サービスは、パッケージ化されたアプリケーションを、顧客の既存システムやニーズに合わせてカスタマイズすることで導入時にカスタマイズフィーを得ております。そのためカスタマイズにかかる経費については個別原価計算を実施し、一部、仕掛品として棚卸資産に計上しております。当該金額については個別管理の中で採算性を適時確認すると共に、原則として前受金受領後の作業開始とすることで資金回収の確実性を高めております。しかしながら最近では顧客ニーズの多様化により受注後に工数が増加するケースもあり、受注後に当初要件定義以上の工数が発生し、尚且つ当該コストを販売価格に転嫁できないような場合には、個別案件についての赤字化が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩当社グループにおける売上高の計上方法について

 当社グループの提供サービスに対する直接的な売上高は、個別契約あたりに取扱商材数等のプランに応じた定額収入を得るビジネスモデルとなっております。しかしながら、株式会社フューチャーショップにおいて提携パートナーから一部取引高に応じた手数料(紹介料)を売上高として計上しております(2024年3月期において503,694千円)。当該売上高の一部は当社が仲介する提携パートナーの料率によって変動するため、今後利用する提携パートナーが増加又は変更する場合や、当該提携パートナーでの料率変更が生じることにより、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、株式会社ソフテルの「通販する蔵」関連売上の主たるものについては、サービス導入時及び導入後の機能拡張に伴うカスタマイズフィーと、導入後の保守料で構成されており、2024年3月期の「通販する蔵」関連売上実績で前者46.6%(318,270千円)、後者53.4%(365,349千円)の比率となっております。カスタマイズフィーについては導入後にも発生するものもありますが、新規導入時のものもあり、今後新規顧客が継続的に獲得できない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 加えて株式会社ソフテルは、ソフトウェアのカスタマイズ(期間が短いものを除く)について、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しており、見積総開発時間に対する、当連結会計年度末までに発生した実際発生時間の割合により算出した進捗度を用いて、収益を認識しております。総開発時間の見積りは、プロジェクトが長期にわたることがあり、当初予見できなかった事象の発生等による作業工程の遅れなどにより、変動が生じる場合があり、進捗度が変動することにより、翌連結会計年度の当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪訴訟等について

 当社グループの事業運営において、システム障害、インターネットにおけるトラブル、個人情報を含む何らかの情報漏洩、知的財産権の侵害等を理由に他者からの訴訟や請求を受ける可能性は否定できないと考えております。

⑫代表取締役 岡本の役員兼務について

 当社代表取締役である岡本は、当社株主である株式会社オプト(現株式会社デジタルホールディングス)に所属していたこともあり、2008年以降同社代表取締役鉢嶺氏より依頼を受けて、同氏の資産管理会社であるHMBC株式会社及びHIBC株式会社の代表取締役及び取締役に就任しており、また、岡本自身の資産管理会社の代表取締役の兼務がありますが、これらの役員兼務については、資産管理を目的とした会社における兼務であり、当社グループにおける岡本の職務執行に影響を及ぼすことはないと考えております。その他、過年度において、岡本の知人からの依頼により、ジャパンサイクル株式会社(以下、同社)の再建手続きに関与しております。岡本は、自身が出資及び代表者を務めるエコシステムホールディングス株式会社を通じた出資を行うとともに、2010年8月より更生管財人として、更生計画の策定及び更生計画の遂行に携わり、更生計画遂行後も、経営を安定させ事業を継続させるために、同社及び同社関係会社(以下、同社グループ)の代表取締役を含む取締役として経営を行ってまいりました。現在、同社グループの経営は安定しており、後任となる経営者も育ってきたことから、岡本の関与は、資金収支の確認、経営方針への助言等に限定されており、2019年12月には、エコシステムホールディングス株式会社を除く各社の代表取締役を退任し、非常勤の取締役となっております。岡本は、今後も当社代表取締役としての職務執行に支障のない範囲において同社グループにおける役員兼務を当分の間継続する予定でありますが、同社グループの経営に重大な問題が生じた場合には、岡本の意向に関わらず同社グループの対応に追われ、当社グループの業務執行に一時的に影響を及ぼす可能性があります。なお、更生計画を進めるに当たり、同社グループは当社株主であるAsian Asset Acquisition Pte. Ltd.及びHIBC株式会社からの投融資を受けております。

⑬人材の確保・育成について

 当社グループは、今後も事業拡大を進めていくにあたり、営業も含めた優秀な人材を確保するとともに人材の育成が重要な課題であると認識しております。このため、当社グループは採用活動及び研修体制の充実等により人材流出の防止に努めております。しかしながら、必要とする人材の安定的な確保ができなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑭保有株式の時価の変動について

 当社グループでは事業運営上のシナジーを考慮し、Wistron Information Technology & Services Corp(以下、Wistron社)、株式会社エレクトラム及び株式会社ジグザグの株式をそれぞれ2024年3月末現在の帳簿価額で715,993千円(取得原価は169,429千円)、0千円(取得原価は10,000千円)、9,996千円(取得原価は9,996千円)保有しております。特にWistron社については台湾証券取引所に上場しており、当該株価の変動に伴い資産計上額及び純資産額が増減します。また、2024年3月末現在ではWistron社株式を1,045,353株保有し、23,068千円の受取配当金がありましたが、今後当該企業の収益悪化等により無配当となった場合、当社の収益に影響を及ぼす可能性があります。台湾証券取引所の株式市況や投資先の業績動向又は地政学的リスク等により株価又は実質価額が著しく下落する場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑮当社の大株主について

 当社株主のうち、第二位の大株主Asian Asset Acquisition Pte. Ltd.(以下、「同社」という)については、シンガポール所在の資産管理会社であり、当社への投資目的は純投資となっております。当社は同社の承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、当社の経営方針及び事業戦略等の重要事項の意思決定において、当社は同社からの独立性・自立性は保たれているものと考えております。

 しかしながら同社は投資会社ですので、将来において当社株式の売却可能性は否定できず、保有比率の高さから、当該売却が生ずる場合は、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

  ⑯中小事業者向けサービスであること

 当社グループの販売チャネルは、潜在顧客も含めて自社でECサイトシステムを構築できる大手企業ではなく、カートASPで手軽にECサイトを開設したいというニーズ又は自社の実店舗のPOSシステムと連動する様にECアプリケーションをカスタマイズしたいというニーズを持った中小事業者が主体となります。当社グループの顧客基盤はすそ野が広く、中には規模が小さく信用力の乏しい顧客も存在いたします。当社グループのビジネスモデルは利用サービスが基本であり実体のある製品の受渡が行われません。しかしながら、基本利用料や保守メンテナンス料金は1社当たりは少額であるため、1社に大きな与信枠を付与することはほとんどありません。また、カスタマイズ等に関しても代金の一部を前受しており与信の担保としております。ただし、新たな法規制や経済環境の激変等によって大量の企業が破綻した場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑰情報セキュリティについて

 当社グループは、第三者による当社グループのサーバー等への侵入に対して、ネットワーク監視システムなどファイヤーウォール等の情報システム対策を施すほか、なりすましによる不正アクセスなどを防止するため情報セキュリティ強化を推進しております。しかしながら、悪意をもった第三者の攻撃等により顧客及び購入者等の個人情報、その他の重要な情報を不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が生じた場合には、当社グループへの法的責任の追及や企業イメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑱M&Aに関するリスク

 当社グループでは、M&A(企業買収等)を重要な成長戦略のひとつとして位置づけ、積極的に推進しております。M&Aに関する基本方針を定め、それに基づき収益性や成長性に加え資本コストの観点も考慮した上で対象企業を審査しております。加えて、特に広告領域における垂直統合戦略に合致する等、既存事業とのシナジーが期待できる案件についてはM&Aを積極的に検討し、当社グループと対象企業の事業運営ノウハウ等を融合することによって、より大きなシナジーを生み出すことに取り組んでおります。しかしながら、当初見込んだ効果が発揮されない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、M&Aの対象企業の財務内容、契約関係等について詳細な事前審査を行い十分にリスクの検討をした上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じた場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 さらに、M&Aにより、当社グループが行っていなかった新たな事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わることとなります。

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