グローリー 【東証プライム:6457】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)TCFD提言に基づく情報開示
当社グループは、2021年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、取り組みを推進しています。今後は、取り組みの進捗に合わせて、TCFD提言に沿った気候変動関連情報の開示の充実を図ってまいります。
①ガバナンス
当社グループは、脱炭素社会に貢献する事業の推進を重要課題の一つとして捉え、持続可能な社会の実現に向け、事業活動のあらゆる局面での環境負荷軽減を目指した環境経営を推進しています。
特に気候変動に関連する課題は、代表取締役社長から環境マネジメントの権限と責任を委嘱された環境マネジメント担当役員を委員長とする「環境委員会」(年2回)によって議論されます。そこで決定した重要事項及びそれらの取組状況については、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」(年2回)の重要課題の一つとして報告・承認されます。また、この結果は、取締役会への報告事項として定められているなど、経営の意思決定と業務執行の監督が適切になされる体制を整備しています。
②戦略
当社グループの事業にとって重要と考えられるリスクと機会、キードライバー(当社グループの事業に影響を与えると思われる要因)、及び気候変動が中長期で当社事業へもたらすインパクトを、以下の通り想定しております。
今後は、2℃以下を含む複数のシナリオを想定し、気候変動関連のリスクと機会、及びそのインパクトをバリューチェーン含めて分析してまいります。
リスク/機会 | キードライバー | 事業インパクト | 財務 インパクト | 当社の対応 | |
分類 | 項目 | ||||
移行 リスク | 政策/ 法規制 | 温室効果ガス排出量削減に向けた社会的要請の高まり | ・省エネ/再エネ設備投資コストが増加 | 大 | ・環境中長期計画の遂行 ・計画的な省エネ/再エネ設備への投資の実施 ・再生可能エネルギー比率の向上 |
炭素税/排出権取引の導入 | ・炭素税/排出権取引などの導入により事業コストが増加 | 中 | |||
対象法令の拡大/複雑化 | ・法令順守対応のためのコストが増加 | 中 | ・法規制に対応する技術/製品開発への取り組み ・専任スタッフによる各国法規制の動向注視/対応 | ||
技術/ 市場 | 省エネ製品/サービスへの市場ニーズの高まり | ・市場競争力維持/向上のための研究開発費が増加 ・環境配慮型製品の開発遅れによる売上高の減少 | 中 | ・市場/業界動向を踏まえた技術/製品開発 | |
評判 | ステークホルダーからの脱炭素化に向けた要求の高まり | ・脱炭素に向けた取組みや情報開示を怠った場合投資家の投資判断が悪化 ・ESG関連情報開示基準の厳格化による対応コストの増加 | 大 | 環境配慮型製品の創出 |
※財務インパクトは、大:10億円以上、中:1億円以上10億円未満、小:1億円未満を表しています。
リスク/機会 | キードライバー | 事業インパクト | 財務 インパクト | 当社の対応 | |
分類 | 項目 | ||||
物理的 リスク | 急性 | 自然災害の激甚化 | ・台風や洪水などによる自社工場及び従業員の被災により、操業が停止 ・生産設備の損壊により設備復旧のコストが増加 ・自然災害対策費用や保険料等のコストが増加 ・部品調達先の操業不能により部品供給が停止 | 大 | ・生産拠点の水リスク評価を実施するとともに、事業継続計画(BCP)を策定 ・原材料の調達先や供給体制、輸送ルートなどリスクの分散化 |
慢性 | 海面の上昇 | ・海抜の低い生産/物流拠点の操業停止 | 大 | ||
平均気温の上昇 | ・空調設備の負荷上昇により運転コストが増加 ・従業員の業務効率が低下 | 小 | ・省エネルギー対策、高効率な空調設備の導入 ・再生可能エネルギー比率の向上 | ||
製品/サービス | 環境配慮型製品の需要拡大 | ・環境配慮型製品の需要拡大による売上高の増加 | 大 | ・環境配慮型製品の創出 |
※財務インパクトは、大:10億円以上、中:1億円以上10億円未満、小:1億円未満を表しています。
③リスク管理
当社グループは、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、同委員会で気候変動リスクも他の事業リスクとともに抽出・評価され、重要課題として特定されています。
気候変動リスクの特定とその対応への取り組みプロセスは、環境マネジメントシステムの仕組みを活用し、PDCAサイクルを回して事業と一体化した活動に取り組んでいます。
また、特定された気候変動リスクと機会は、環境委員会(マネジメントレビュー)にて見直しをしています。
④指標と目標
当社グループは、気候変動における指標をCO2排出量と定め、グローリー環境ビジョンの実現と「脱炭素社会の実現」を推進するため、2050年度にCO2排出量実質ゼロを目指す「2050環境目標」を新たに設定しました。また、「2050環境目標」からバックキャスティングしたマイルストーンとして、自社の事業活動に伴うCO2排出量(スコープ1・2)を2013年度比で50%削減する「2030環境目標」を設定しました。
指標のモニタリングのために、目標を3年毎に定める「環境中期計画」を策定して進捗管理を行っており、「2023環境中期計画」の初年度である2021年度のCO2排出量は10,115tで、2013年度比25.9%削減を達成しました。
今後は、サプライチェーン全体でのCO2削減(スコープ3)についても検討を進めてまいります。
2050年カーボンニュートラルを目指し、各生産拠点における高効率な設備の計画的な導入・更新の実施に加え、太陽光発電の導入拡大や再エネ調達(証書購入)による再生可能エネルギーの利用率向上などを推進してまいります。
(2)ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループは、長期ビジョン2028の風土・組織・人材の目指す姿として、「オープンなマインド」「期待を超えるスピード」「グローバルカンパニー」「情熱を持ってチャレンジ」を掲げています。
それらを実現するため、従業員の多様性、人格、個性を尊重し、うるおい、働きがいのある職場環境の実現を目指し、年齢、性別、国籍、職務経験等にかかわらず、すべての従業員が最大限の能力を発揮できる企業風土を醸成してまいります。また、その多様性を活かし、持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図ることを基本方針として各施策を推進しています。
2023中期経営計画においては、
・一人ひとりが自律した強い個人として、個性や強みを存分に発揮し、それらがチームの総合力を最大化するように結集・結合され、経営戦略の実現を指向・追求している
・個人の成長とともに会社が成長し、一人ひとりがグローリーで働くことに強い魅力を感じ、誇りを持っている
をありたい姿とし、重点施策を実施しています。
①人権に関する基本的な考え方
当社グループの全社員が遵守すべき行動規範である企業行動指針に“人間尊重・人材開発・労働安全”に関する項目を掲げ、社員の多様性や人格、個性すなわち人権尊重を謳っています。加えて、当社グループの全社員ならびにビジネスパートナーが遵守すべき法令や倫理規範を定めた「グローリー法令遵守規範」においても、差別やハラスメントの禁止をはじめとした人権保護に関する項目を掲げ、人権を尊重した事業活動、環境づくりに取り組んでいます。また、各国・地域の法令等を踏まえ、「国際人権章典」や「ビジネスと人権に関する指導原則」など、人権に関するさまざまな国際規範を理解し、基本的人権を尊重しています。
さらに、当社グループは、国連が提唱する「人権・労働・環境・腐敗防止」についての普遍的原則である国連グローバル・コンパクトへ署名・参加しており、今後も、人権を尊重した経営に取り組んでいきます。
②多様性の尊重
1)女性活躍推進
当社では、性別を問わず優秀な人材の採用・育成に努めており、その能力を十分に発揮できる環境整備に取り組んでいます。女性のさらなる活躍機会の拡大に向け、「女性活躍推進法」に基づく行動計画を策定・推進するとともに、働き方改革や両立支援など、女性の管理職登用のさらなる推進に向け、女性従業員のキャリア意識醸成を目的とする施策等を実施しています。
その結果、2022年度の新卒採用者における女性比率は17.4%、女性管理職数は29名(2023年3月末現在)であり、2025年度の目標値(25%以上、44名)に向け継続活動してまいります。
また、男性の育児休業取得も推進しています。2022年度の取得率は60%であり2025年度の目標値30%以上を達成していますが、さらに取得日数の増加を推奨し啓発活動を続けています。
2)中途採用者の活躍
当社は、多彩な知見、専門スキル、バックグラウンド、キャリア等を有する即戦力人材を積極的に獲得しています。特に現時点においては、経営方針に合わせ、経営の中核を担う人材や、IT・DX知識等、新事業分野の推進を担う高度専門人材等の採用、管理職や専門職への登用も積極的に行っています。
なお、2023年3月末時点の管理職における中途採用者の比率は、22.1%です。
3)外国籍人材の活躍
当社では、事業のグローバル化に伴い、「国籍を問わず優秀な人材の採用及び管理職への登用を行う」ことを方針に掲げ、外国籍人材も含めたグローバル人材を積極的に採用しています。コーポレート部門、海外事業部門等において、多様なバックグラウンドを持つ外国籍の従業員が活躍しています。
日本国内では、2023年3月末時点で、中国やオーストラリアをはじめ15名の外国籍の従業員が活躍しており、今後も、外国籍従業員の採用を積極的に推進し、管理職への登用も進めてまいります。
また、当社グループ全体では5,000名以上(約49%)が外国籍従業員であり、各現地法人は、経営幹部、管理職とも外国籍従業員が中心となり運営されています。
4)障がい者雇用
当社グループでは、障がい者の自立を支援し、社会で活躍する場を提供しています。例えば、1999年に特例子会社として設立したグローリーフレンドリー株式会社では、「人と人とのふれあいを大切にしながら、自分たちの持っている力を充分に発揮し、創造ゆたかな職場をつくっていく」ことをスローガンに、各人の個性や能力に合わせ、構内美化や緑化作業、社内書類・郵便物の集配、廃棄物管理などの業務を担当しています。また、職域の拡大にも注力しており、各人が強みを活かし、活き活きと働くことのできる場面を提供し続けたいと考えています。
③次世代の経営、事業を担う人材の育成・強化
1)グローバル人材の育成
近年の海外事業展開の加速により当社グループの売上高に占める海外売上高の比率は半分超にまで高まっており、2023年3月末現在のグループ全体の外国籍従業員比率は約49%です。こうした状況から、グローバル事業を支える人材の育成にも注力しており、以下をはじめとする諸施策を実施しています。
海外トレーニー制度:海外グループ会社における1年間のOJTを通して、グローバルに活躍できる経験とスキルを持った人材の早期育成を目的とする制度を設けています。制度創設後、開発部門や営業部門等の従業員26名が本制度を利用しました。
海外短期留学制度:海外短期留学制度を設けており、海外の語学学校で、ビジネスに通用する語学力・スキル・経験等を獲得することを通じて、グローバル視点を持つ人材の育成を図っています。2014~2019年の6年間で23名が利用しました。
2)次世代中核人材の育成
次期経営幹部育成プログラム(GBC):次世代の幹部人材の育成を目的に、管理職層の従業員を対象とした「GLORY Business College」を実施しています。本研修は、約7カ月間にわたる全7回のプログラムと社外セミナーに参加し、幹部として必要なスキルや知識の習得などを目指すものです。また、メンバー同士の意見交換や異業種交流などを通じ、社内外のネットワーク構築にもつながっています。
事業創発リーダー育成プログラム(GIL)
次期支店長候補育成プログラム(GTEC)
④個性や強みを発揮出来る環境整備
1)社内公募制度
当社では、従業員が自律的なキャリア形成にチャレンジできるよう「社内公募制度」を設けています。新たな人材を求める部署が必要人材を公募し、希望する従業員は自由に応募できる制度です。従業員の主体的なキャリア形成に加え、社内活性化や従業員のモチベーション向上にもつながる制度です。
2)キャリア研修
当社では、階層別のキャリア研修を行っています。その一つに、「自己探求アドベンチャー研修」があり、入社時、入社4年目、30歳の節目に受講することで自らのキャリアビジョンを描き、それを実現できる自律型人材の育成を目指しています。
また、50歳以上の従業員を対象に、自身の経験や能力、特性などを見直し、今後のキャリアデザインを描く「ライフキャリアプラン研修」も実施しています。
3)キャリア面談
当社では、従業員が持つ知識やスキル、経験、キャリアに関する志向等を明確にし、従業員一人ひとりの働きがい向上と人事情報を経営資源として有効活用することを目的に、「人材データベースシステム」を導入しています。各職場において、本データベースを基に、上司と部下がキャリア面談を実施することにより、従業員一人ひとりが自身のキャリアビジョンを明確にし、自律型人材として能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
4)従業員意識調査
当社では、働きがいのある職場づくりを目指し、執行役員・社員・シニア社員を対象に、社員エンゲージメントや社員を活かす環境、ハラスメントに関する意識、サステナビリティに関する意識の浸透度などをテーマに従業員意識調査を行っています(2017年度:2,859名回答(回答率86%)、2019年度:3,375名回答(回答率96%))。調査結果は各部門の管理職層にフィードバックし、主要内容は従業員に公開しています。この調査を継続的に行い、現状および経年変化を把握することで課題を抽出し、改善に向けた施策の立案・実施に向け取り組み、施策の効果を次回の調査で確認していきます。
⑤多様な人材の活躍を支える主な制度・取り組み
1)GLORY WorkStyle
当社では、テレワークの活用を進めており、主に内勤者対象の在宅勤務制度や外勤者対象のモバイルワークを導入するなど、場所や時間の制約を受けない柔軟な働き方を支援しています。新型コロナウイルス感染拡大期には、在宅勤務が可能な従業員は原則在宅勤務とした他、業務の特性に応じて時差出勤やスプリット・オペレーションを実施するなど、感染防止に向けたさまざま対応を実施しました。
2)健康経営
当社は、従業員の健康を良好に保つことが、企業活動における重要な経営課題と捉え、「健康経営宣言」を制定し、従業員の健康維持に向けたさまざまな取り組みを推進しています。
経済産業省及び日本健康会議が策定する「健康経営優良法人認定制度」大規模法人部門で「健康経営優良法人」に2020年から現在まで継続して認定されています。
主な指標(実績及び目標)
マテリアリティ | 指標 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 目標値 | |
社会 | 人権と多様性の尊重 | 取締役の多様性の確保 | 女性1名 | 女性1名 | - |
採用した従業員に占める女性労働者の割合 | 15.6% | 17.4% | 25%以上 ※2025年度 | ||
女性管理職数 | 28名 | 29名 | 44名 ※2025年度 | ||
外国籍従業員数(管理職数含む) | 13名 | 15名 | - | ||
管理職における中途採用者比率 | 23.1% | 22.1% | - | ||
障がい者雇用率 | 2.46% | 2.46% | 2.3%以上 (法定) | ||
人権に関する研修実施(受講率) ※ハラスメントに関する研修 | e-learnning受講率 99.8% | e-learnning受講率 99.5% | 100% | ||
社員一人当たりの研修費(教育投資額) | 48,203円 | 21,154円 | - | ||
内部通報件数 | 28件 | 13件 ※うち、ハラスメントに関する相談8件 | - | ||
安全・健康的に働ける環境の整備 | 社員一人当たり年間総労働時間 | 2,025時間 | 2,013時間 | - | |
健康経営の推進 | ・新型コロナウイルス感染予防対応及びワクチン接種の推進 ・全社禁煙に向けた継続的な啓蒙実施 ・法定健診、二次検診の受診の啓蒙実施 ・ストレスチェック受検率向上の取り組み | ・新型コロナウイルス感染予防対応及びワクチン接種の推進 ・全社禁煙に向けた継続的な啓蒙実施 ・法定健診、二次検診の受診の啓蒙実施 ・ストレスチェック受検率向上の取り組み | 健康管理計画に基づいた取り組みの実施 | ||
社員一人当たり年次有給休暇取得日数 | 14日 | 14.9日 | 前年度以上 | ||
休業災害度数率、強度率 | ・休業災害度数率 0.52 ・休業災害強度率 0.005 | ・休業災害度数率 0.53 ・休業災害強度率 0.020 | 前年度以下 |
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