グローバルキッズCOMPANY 【東証スタンダード:6189】「サービス業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、理念体系として以下を掲げております。
企業理念: 『子ども達の未来のために』
ビジョン: 『2030 トリプルトラスト』
-2030年 職員と保護者と地域に最も信頼される存在になり、
子ども達の育ちと学びの社会インフラになる
(2) 中長期的な会社の経営戦略
子育て支援事業を取り巻く状況につきましては、女性の社会進出に対する意識の変化や政府による女性の活躍推進などにより、共働き世帯数の割合が年々上昇しているほか、25~44歳の女性の就業率は8割超の高い水準を続けています。一方で、待機児童数解消に向け政府・自治体主導で保育所を増設した結果、2024年9月時点の待機児童数は全国で2,567人と前年比113人減少しました。ただし、当社グループが集中的に展開している東京都では2024年4月の待機児童数361人と前年に比べ75人増加し、定員充足率は直近5ヶ年は90%超の高水準が続くなど、保育需要の地域的な偏在が広がっております。
こうした環境下において当社は2024年11月に『「2030 トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略』を打ち出し以下のとおり新たな経営戦略を策定しております。
・保育事業
2030トリプルトラストを起点に「安心安全の担保」を最優先課題として位置付け安全確保の仕組み整備を進めて参ります。また、保育の質向上を目指しイエナプランの導入を進めます。収支改善の取組みとしては、①入所率向上による売上増加、②職員配置適正化に利益率改善、③生産性向上によるコスト削減を引き続き推進します。さらに東京都および横浜市を中心にM&Aによる規模拡大を図ります。
・新規事業
複数ある新規事業施策の位置づけを明確化したうえで、収益ソースの多様化を目的に保育周辺事業の開拓・拡大を進めます。
・ICT戦略
従業員エンゲージメントの高い企業、保護者と園児に選ばれる施設、保育業界におけるリーダーシップを目指しデジタル基盤を活用して参ります。業界トップレベルのデジタル活用で業務効率化・品質向上に加えて保護者・園児向けの付加価値提供を推進します。
・人事戦略
「経営戦略と連動した人事戦略」を打ち出し「2030 トリプルトラスト」に向けた経営戦略の施策実行に必要なスキル・経験を持った人財を確保するとともに経営ビジョン実現に必要な「輝いた大人」を育成して参ります。
・資本戦略
安定的な事業運営、成長投資に耐えうる財務健全性に一定の目処がつき、今後は財務健全性を維持したうえで資本コストを意識した収益性の向上を進め、資本効率改善および株主還元の充実を図ります。なお、『「2030 トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略』において「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示を開始しております。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、『「2030 トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略』のなかで、「2030 トリプルトラスト」の最終年度にあたる2030年9月期における目標計画として連結EBITDAマージン10%以上を掲げております。
連結EBITDAおよび連結EBITDAマージンの推移は以下のとおりです。
| 2020年 9月期 | 2021年 9月期 | 2022年 9月期 | 2023年 9月期 | 2024年 9月期 |
連結EBITDA(百万円) | 1,300 | 1,426 | 1,548 | 1,150 | 1,618 |
連結EBITDAマージン(%) | 5.9 | 6.1 | 6.4 | 4.6 | 6.1 |
※ EBITDA=営業利益+減価償却費
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
我が国は、成長戦略の一つとして女性が輝く日本を念頭に「待機児童の解消」、「職場復帰・再就職の支援」、「女性役員・管理職の増加」に向けた対策が進められています。このように子育て支援事業者の社会的役割の重要性が高まるなかで、当社グループとしてさらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。
① 保育の質の維持・向上
保育士の質の維持・向上のため、優秀な人材の採用や育成の強化、及び、諸施策を通じた長期雇用の促進を図ります。具体的な施策として、各職位における職務内容や人事評価制度の精緻化、処遇改善等を検討するほか、第三者評価を通じた利用者からの指摘事項の改善等を定期的に行います。また、当社グループの保育方針をより一層浸透させるため、施設長や本部スタッフに対する研修の実施を進めてまいります。
さらに、休暇制度の拡充や社宅等の福利厚生などの人事制度の整備に加えて、処遇改善等を通じた魅力ある就労環境の提供を通じて人材の長期雇用に努め、安定した保育を提供できる体制を整えてまいります。
こうした施策の推進に加えて、当社グループとして目指す保育であるイエナプランの導入を進め、グループ全施設で乳幼児期からこのビジョンを取り入れた保育を確立してまいります。主体的に自分らしく生きる子どもの育成や質の高い保育を実践することで保育の質の底上げを図り、子どもや保護者から選ばれる施設を目指します。
② 人材育成力の強化
子ども・子育て支援制度などの国や自治体の保育方針に関する勉強会や保育士試験の講座、アレルギー研修等、各職位に応じた研修カリキュラムの充実や研修参加の推奨により、施設長等、管理職水準の人材の早期育成体制の強化を目指します。また、ヨーロッパの保育所における現地の多様な保育を学ぶ海外研修を通じて、当社グループにおける保育の幅を広げる取り組みを行う方針です。
③ 採用力の強化等を通じた人材の確保
運営施設数の増加により、保育士資格を有する優秀な人材の確保が急務であります。しかしながら、保育士資格を有する求職者が不足していることから、特に首都圏においては、採用が困難な状況です。これまでは、当社が強みを持つ経験者の採用を中心に人材を確保してまいりましたが、新卒者の採用にも一段と注力することで採用力の強化に努めます。新卒採用などによる採用の多様化や採用コストの抑制にも注力しております。なお、人事制度の整備等により長期雇用に努めることで採用コストを抑えてまいります。
④ 戦略的な地域展開
当社グループは、これまで待機児童が集中する東京23区などの首都圏都心部を中心に認可保育所の拡大に努めてまいりました。今後、少子化や待機児童の解消により児童等の獲得が難しくなる懸念がありますが、首都圏都心部においては、他の地域に比べ園児の確保に優位性があると見込んでおります。また、国基準で運営している認可保育所は、認可外保育所に比べ児童が集まりやすい傾向があります。今後も、経営資源を首都圏都心市部の認可保育所に集中することで生産性の向上に努めていく方針です。
[全国及び東京都における待機児童数]
| 2022年4月1日現在 | 2023年4月1日現在 | 2024年4月1日現在 | |||
待機児童数 | 割合(%) | 待機児童数 | 割合(%) | 待機児童数 | 割合(%) | |
東京都 | 300人 | 10.2 | 286人 | 10.7 | 361人 | 14.1 |
全国 | 2,944人 | 100.0 | 2,680人 | 100.0 | 2,567人 | 100.0 |
出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」
東京都「都内の保育サービスの状況について」
⑤ 効率的な事業運営の推進
運営施設数の増加に伴い、備品購入等における規模のメリットの享受や、運営業務の一元化、システム導入等を積極的に推進することで、運営コストを抑制しながら効果的・安定的な事業運営が行えるよう努めます。
⑥ 安定的な資金調達の確保と財務健全性の維持
当社グループは、各施設の開発資金、運転資金やM&A資金の確保を、主に金融機関からの借入に依拠しております。今後も、規模拡大を進め、安定した事業運営を行うためにも、諸施策を通じた安定的な資金調達の確保を図るとともに、収益力の向上による財務健全性の維持に努めます。
⑦ 事業の拡大と安定化
当社グループの収益は、現在、子育て支援事業に依拠しており、国や自治体の政策等に大きく影響を受けている状況です。当該状況を踏まえ、当社グループでは子育て支援事業以外に保育に関連する周辺事業を中心に収益基盤の拡充に取り組んでおります。具体的には、すでに手掛けている習いごと教室等の教育事業に加えて、保育所の送迎サービス等の子育て支援サービス事業、物販事業への参入・拡大を検討してまいります。
また、新規の保育施設については、安定的な運営が見込みやすい認可保育所を中心とすることで、収益基盤の一層の安定化に努めます。
(5) 経営戦略の現状と見通し
現状の待機児童数の推移を鑑みると、保育の量的な需要拡大が踊り場を迎える可能性がありますが、質の高い保育、保護者の利便性、教育機能を備えた「選ばれる園」の需要は継続すると想定されます。
このような想定において、2024年11月に『「2030 トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略』を公表いたしました。具体的には、安心安全の仕組み整備やイエナプラン導入を進め保育の質を高め、おむつのサブスク導入等により利用者の利便性向上を図り、習いごと教室の展開を進めてまいります。
さらに、マーケティング強化による入所率向上に加えて、新規開設、M&Aによる規模拡大を進めるほか、管理強化を進め収支改善を図る方針です。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、子育て支援事業に対する社会的要請に応えるために、「子ども達の未来のために」保育の質向上に積極的に取り組むことが重要との認識でおります。このため、保育士が成長できる職場作りや処遇改善、保育士の社会的な地位向上等に向け取り組んでまいります。
また、『「2030 トリプルトラスト」実現に向けた経営戦略』の実行により、これまで進めてきた事業基盤拡大を生かし、規模経済の最大化を実現する方針です。
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