企業グッドパッチ東証グロース:7351】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、「デザイン」を通じて人々の生活がより便利になり、より暮らしやすくなることを目指し事業活動を行うデザインカンパニーです。当社はUI/UXデザイン支援において、「デザイン」の本質的な考え方を活用し、顧客企業の主にスマートフォンやSaaSのアプリケーション等のデジタルプロダクトにおける戦略立案・企画・設計・開発の支援を行ってまいりました。

 当社グループとしては、優良な「デザイン」で構成されたサービスはユーザーの生活に溶け込むと同時に、そのサービスを提供する企業にとっても有力なビジネスの機会を提供するものとなると考えており、UI/UXデザイン支援を通じてビジネスにおける「デザイン」の価値を世に広めていきたいと考え事業を行っております。

(2) 経営戦略、経営環境等

2007年1月、インターネットと携帯電話、そしてストレージ(記憶装置)を組み合わせたスマートフォンと呼ばれるデバイスの出現により、人々の生活が大きく変化しました。ユーザーは常にネットワークに接続し、アプリと呼ばれるソフトウェアを利用して情報を双方向に授受し、自己の生活スタイルに応じてスマートフォンの機能をカスタマイズするようになりました。以来、スマートフォンは各々の生活シーンに組み込まれ、欠かせない存在になっています。

 スマートフォンは「デザイン」にも大きな影響を与えました。デジタル分野のデザイン(「デジタルデザイン」)はそれまで主流であったホームページ等のPC画面のWebデザインからスマートフォン画面のアプリデザインに領域を拡大してきました。画面サイズの小さなスマートフォンにキャッシュレス決済等のペイメント機能やカメラを応用的に活用する機能等がデバイスに盛り込まれる中、視覚的にわかりやすい直感的操作が可能なユーザーインターフェース(UI)をもつアプリケーションが主流になり、それらのアプリケーションが継続的に利用され続けるためには、ユーザーの利用シーンやライフスタイルを想定してアプリをデザインすること、つまりユーザーエクスペリエンス(UX)を「デザイン」することが不可欠となりました。

 実際のところ、優れたUI/UXを実装したアプリを市場に投入できた企業が大きく成長するという事例が積みあがっております。例えば、LINE、Uber、Twitter、Instagram等のアプリの運営企業はスマートフォンアプリを起点として、それぞれの業界だけでなく、社会全体にまで大きな影響を与えております。一方では、既に一定の地位を築いている企業については、自社の成長のため、又は生き残りのため、スマートフォンをはじめとするデジタル領域への対応において数々のチャレンジに直面しております。

 経済産業省によると、「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ビジネスの従来の枠組み・ルールが崩壊し、新たな枠組みやルールに切り替わる変化が起きつつある」、そして、「企業は、この脅威に対し、現在確保している競争力維持・強化のために既存の枠組みにとらわれない自己変革が求められている」と報告されており(注1)、主にデジタル分野でのこのような取り組みをデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼び、経済やビジネスにおけるテーマとして掲げられております。

 日本の市場調査会社の株式会社富士キメラ総研による調査結果では、デジタルトランスフォーメーション(DX)は企業価値向上を実現する重要な経営課題の一つと位置付けられるとともに、最近では社会課題の解決につながる取り組みとしての認識が広がっております。また大手企業を中心にDX戦略の策定および推進体制の構築が進み、全社戦略として各部門や現場に合わせた具体的なDX施策に向けた投資が本格化しているとされています。同調査によると、2030年度のDXの国内市場規模は年平均成長率10.2%、市場規模では2兆7,277億円(2022年)から6兆5,195億円(2025年)に拡大すると予測されております(注2)。


 日本においても、2018年5月、経済産業省は、経営者がデザインを有効な経営手段と認識しておらずグローバル競争環境での弱みとなっていることから、デザインを活用した経営手法、すなわち「デザイン経営」の推進を提言しております。ここでいう「デザイン経営」はデザインを重要な経営資源として活用し、ブランド力とイノベーション力を向上させるという経営の姿であり、企業の産業競争力の向上に寄与するものとされております(注1)。当社グループのUI/UXデザイン支援は「デザイン経営」を具体的に実践したい企業にむけて、企業レベルでのブランディングから個別サービスにおけるデザインの実装に至るまでデザイン領域を幅広くサポートしております。

 当社グループが手がけるデザインパートナー事業は、顧客企業のデザインプロジェクトの支援において、顧客企業にとって既知であり自明である事業の目的や戦略から紐解き、顧客企業と顧客のユーザーへ問いかけ、デザインの対象となるサービスのUXの最適解を求めながら、アプリやWebサービス等のデジタルプロダクトのUIデザインの実装を進めます。既存のビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションの創出を図りたい企業に対しては、デジタル分野への新規進出の実現を、また、新たな視点で顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルの変革を図りたい企業に対しては、ビジネスプロセスの変革の実現を、デザインを切り口に行うものとなります。

 具体的には、当社グループでは、先ずサービスを利用するユーザー(利用者)をデザインの中心として位置付け、ユーザーに焦点を当てていきます。ユーザーとは何者か、どのような趣向があるのか、解決には何が必要かという問いを投げかけていきます。常にユーザーを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成するための手段を具現化するという一連のプロセスの中に、ブランド・強み、商品力等の顧客企業が有する価値を組み込み、その特徴を活かしつつ、差別化されたUXを実現していきます。また、顧客企業の有する様々な資産や技術だけでなく、企業外にある手段についても柔軟に取り入れながら対話を進めていきます。その結果、AIやクラウド、IoT等の様々な技術はその実現のための手段として組み込まれ、必要に応じてデザインの設計にも反映されるとともに、そのソリューションの実装までプロジェクトスコープ(プロジェクトの範囲)を拡大して対応することがあります。

 また、当社グループとしては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域において「デザイン」が関係する市場をより鮮明に形成するため、デザイナー組織を拡大し、デザインパートナー事業の成長を図るとともに、より多くの顧客企業に向けてデザインプロジェクトを実施していきたいと考えております。これまでに関与した優れたUI/UXのデザイン事例を有効に活用しながら、広告に頼らないSNS等を活用したPR活動をさらに推進することによって効率的に当領域におけるブランディングを進めてまいります。

同時に、デザインパートナー事業を後方支援するために、デザインプラットフォーム事業の推進に努めます。デザイン人材(デザイナー採用支援サービス-「ReDesigner」)、ソフトウェア(デザインITツール-「Strap」「Prott」)、の点からもデザイン領域における当社の存在感を高めていきます。そして、それぞれのシナジーを創出し、デザインビジネスの拡大を働きかけてまいります。

(注)1.経済産業省 "産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進" https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html(2019年10月25日)

2.株式会社富士キメラ総研 2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編

(3) 目標とする経営指標

 デザインパートナー事業において、収益の源泉は、顧客企業のデザインプロジェクトからの月額報酬となります。そのため、当事業上の目標達成状況を判断するための客観的指標は当社グループとデザインプロジェクトを進めるために契約した顧客企業の月額平均単価、並びに、その実施顧客社数と考えております。当該顧客企業の月額平均単価を拡大させ、顧客社数を増やすことで、今後のデザインパートナー事業の売上高を継続的に成長させてまいります。

 なお、当事業における月額平均顧客単価とその顧客社数は以下のとおりであります。また、契約形態としては、一部請負契約のプロジェクトもありますが、主に月額ベースの準委任契約となります。


(注)1.月額平均顧客単価とは、四半期ごとの売上高を顧客社数で除した数値の平均値を示しています。

2.顧客社数とは、デザインパートナー事業において、当社グループとデザインプロジェクトを進めるために契約した顧客企業の社数を指しており、1か月にデザイン支援を提供した顧客社数の当該期間の平均値を示しています。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)及び(2)記載の、経営方針及び経営戦略等を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

① 事業共創によるDXにおけるプレゼンス向上について

DXは企業価値向上を実現する重要な経営課題の一つと位置付けられるとともに、最近では社会課題の解決につながる取り組みとしての認識が広がっております。大手企業を中心にDX戦略の策定および推進体制の構築が進んでおり、全社戦略として各部門や現場に合わせた具体的なDX施策に向けた投資が本格化しております。

 当社グループは、UI/UXデザインにおける強みを活かし、特に大手企業のDX戦略の実行に際しデザインを活用し支援する活動を推進しております。その中で、これまでも一部の顧客企業とともにジョイントベンチャーや業務提携等の形式を活用し、支援を行ってきましたが、今後はより多くの顧客企業と連携し、事業の共創を進めることを目指しております。この取り組みを通じて、顧客企業の変革を促進し、デザインを通じたイノベーションを実現する事例を「事業共創」というテーマで発信し、DXにおける有効な手法として広く認知されることを目指してまいります。

② マーケティング活動の強化について

当社グループは、UI/UXソリューションのマーケットの拡大とともに、その獲得においても他社との競争が徐々に激化しつつある環境において、積極的な広報活動に加え、マーケティング活動の強化を行ってまいりました。さらなるプロジェクトの提案機会を獲得するため、今後は継続的にマーケティングの実施体制を拡充し、マーケティング活動の分析活動・効果検証による改善活動の実施、アライアンスによる新規案件の創出、事例発信の強化、ナーチャリングの強化等についても取り組んでまいります。

③ 顧客企業との関係性強化について

 当社グループは、デザイン支援プロジェクトを提供する顧客企業と、長期的な関係を築き、またそれを深めていくことを営業上の方針として掲げております。プロジェクトの実施において、プロジェクトの課題解決を出発点とし、顧客企業の発展に貢献する取り組みやアイデアを積極的に提案し、プロジェクト関係者にとどまらず、顧客企業の経営層や意思決定者層も巻き込んで対話を進めてまいります。

④ 提供ソリューションの拡張について

 当社グループは、顧客企業の課題解決にさらに貢献していくためには、提供するソリューションの領域を拡張させ、幅広いサービス提供を可能にすることが重要と考えております。そのため、当社グループでは、UXデザイン領域を軸に「デザイン × 事業戦略」、「デザイン × 組織」、「デザイン × CXテクノロジー」、「デザイン × ブランド」に事業領域を拡げ、各領域に適した内部組織を設計し、高品質なソリューション提供を行うことに取り組んでまいります。

⑤ バリューチェーンの拡大とM&Aの推進について

AIやIoT等のデジタル技術が実用フェーズを迎え、DXが注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっております。当社グループは、デザインパートナー事業において、UI/UX領域の支援を強みに、ブランドデザイン、サービス戦略の策定等を手掛けておりますが、DXにおけるバリューチェーン(戦略領域→UI/UX領域→開発領域→グロース領域)を意識した機能強化が必要であると考えております。

 当社グループは、デザインパートナー事業のケイパビリティの強化(強みの拡大)のために、他社との事業連携やM&Aによる戦略的投資を推進し成長を図りたいと考えております。当社グループでは、「デザイン領域と親和性の高い開発領域の企業」、「顧客サービス運用支援を行う企業」等、開発及びグロース領域に位置する企業を検討対象としております。また、当社グループのデザインノウハウ及びデザイン人材を活用し、中長期的視点で成長が見込まれる企業についても、併せて検討対象とすることといたします。

⑥ 人材基盤の整備について

DXへの関心が高まる中、デザイン人材の需要が増加し続けており、当社グループが多面的・長期的なソリューションを提供していくためには、優れたデザイナーとなりうる人材を採用し、かつ長期的に活躍してもらう仕組みを整備することが極めて重要な要素と考えております。

 当社グループでは、さらなる事業成長を目指し、採用チャネルの拡充や採用人員の増加等のデザイン人材採用を強化するとともに、社内にてデザイナーとしてのスキル向上を図るための体系的なデザイン研修等を実施し人材開発を推進してまいります。加えて、DE&Iの推進や健康経営の推進を行い、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備や人事制度の構築等を進めてまいります。

⑦ デザインプラットフォーム事業の成長について

 当社グループは、デザインプラットフォーム事業を、デザインパートナー事業における地位をより強固なものとするための関連事業と位置づけております。「デザイン」のビジネス領域における市場を明確に形成し、そのリーディングポジションを確固たるものとするために、企業内デザイン人材(デザイナー採用支援サービス-「ReDesigner」)、ソフトウェア(デザインITツール-「Strap」「Prott」)の2領域において以下の取り組みを進めております。

⑦-1 デザイン人材市場への取り組み

 当社グループは、デザイン人材市場へのアプローチとして「ReDesigner」及び「ReDesigner for Student」を展開し、デザイナーという限定された職種に対し、企業からデザイナーの採用支援の依頼を受け、候補者を紹介しております。「デザイン」を取り巻く就業環境をより良いものとするため、引き続き各社のデザイナーの就業環境を整えながらも、デザイナー志望者へ提供する情報の付加価値を高め、採用企業及び求職者の両面で「ReDesigner」の人材ネットワークを拡大してまいります。また、「ReDesigner for Student」は求職者と採用企業を結びつける仕組みとしてソーシャルリクルーティングを採用し、デザイナーのためのリクルーティングサイトとしてUI/UXの改善を継続的に進め、サービスの強化に努めております。

⑦-2 ソフトウェアへの取り組み

当社グループは、オンラインホワイトボード「Strap」というSaaS(Software as a Service)アプリケーションを公開し、「デザイン」で培ったコラボレーションノウハウの社外への浸透を図っております。利用企業は「Strap」によって作業・コミュニケーションの効率化を実現し、共創を通じて新しい価値を生み出します。デザイン支援プロジェクトにて培ったノウハウを活用し、ユーザーの利便性を継続的に向上させるための機能の改善や、大企業での利用を想定したセキュリティや管理機能の拡充に積極的に取り組んでおります。

⑧ 内部管理体制の強化について

 当社グループでは、今後継続的に事業が拡大していく中で、効率的な経営を行うために内部管理体制についてより一層の強化が求められていくものと認識しております。これに対応するため、当社グループでは、各分野に専門性を有した人員を配置し、社内管理体制の強化を図っており、今後においても引き続き充実させていく方針であります。

⑨ 新規事業の展開について

 当社グループは、企業価値を向上させ、デザインの価値を引き上げるためには事業規模の拡大を図っていくことが必要であると考えております。当社グループは「デザイン」で培ったノウハウを、効果的にビジネスのあらゆる場面に浸透させ、幅広く展開することで、デザインパートナー事業とデザインプラットフォーム事業の事業間シナジーを追求しております。今後も継続的な事業成長の実現に向けて、既存事業及びサービスの伸長に加えて、新規事業の展開を積極的に検討してまいります。

⑩ サステナビリティへの取り組みについて

 当社グループでは、サステナビリティの方針として、「社会を前進させるデザインの力を、ステークホルダーと共に広めていく。」を掲げ、パートナーをはじめとするステークホルダーと共創することで、社会の課題解決に向き合い続けていきます。またマテリアリティ(重要課題)として、「Design for Talent」、「Design for Partner」、「Design for Society」、「Design with Governance」を策定し、これらのマテリアリティ(重要課題)の取り組みを通じて社会に貢献し、企業価値の向上と持続的成長の実現を目指してまいります。

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