ギフトホールディングス 【東証プライム:9279】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「シアワセを、自分から。」という企業理念の下、当社グループの直営店事業部門、プロデュース事業部門のお客様はもとより、当社グループの従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関等、ステークホルダーの皆様にシアワセを届けてまいります。当社グループでは「元気と笑顔と〇〇で、シアワセを届ける。」というミッションを従業員に与え、それぞれの立場、役割に応じて「〇〇」での部分を自ら考え、シアワセを届ける行動を促しております。
当社グループでは、直営店事業部門において、いつも美味いと言っていただける味の追求は勿論のこと、ご来店いただいたお客様に対して、エンターテイメント性や笑顔が溢れる店舗空間において、きめ細やかな気遣いを感じていただけるサービスを提供しております。また、プロデュース事業部門においては、当社グループに蓄積された繁盛店ノウハウをプロデュース店に惜しみなく注ぎ、常に美味しいラーメンが提供される地域で愛される店舗づくりに貢献しております。
当社グループにおける、このような取り組みを通して一人でも多くのお客様に数多く足を運んでいただき、お客様に満足していただくことで、当社グループとしての事業の拡大を図り、企業価値の向上につなげてまいりたいと考えております。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、3年以上に及ぶ新型コロナウイルス感染症のまん延に多大な影響を受けてまいりましたが、本年5月に感染症法上の位置づけが従来の「2類」から季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げられ、経済活動、生活様式がアフターコロナへと変化する中で推移してまいりました。
国内景気は、5類に移行した新型コロナウイルス感染症に対して、各種規制が撤廃され、感染予防策とされてきたマスク着用も個人の判断に委ねられ、コロナ禍前の経済状況、生活状況を取り戻すための各種経済活動が開始されております。個人消費は、依然としてコロナ禍前の水準を下回る状況にあるものの、さらなる拡大余地を残しており、アフターコロナとしての本格的な経済活動が求められております。特にここ数年にわたり新型コロナウイルス感染症の影響を最も大きく受けてきた旅行、娯楽、外食分野における個人消費がアフターコロナへの生活環境変化とともに顕著な改善が図られております。一方、輸出入においては、為替市場において円安が進行していることから、円換算ベースの金額では輸出、輸入ともにコロナ禍前の水準を上回る状況にあります。輸出は、半導体市場の調整等により減少傾向にある半導体、電子、デバイス関連の製造業が依然弱含むものの、供給制約の緩和を受けてきた自動車、輸送機械が持ち直しつつあり、輸入は、資源価格の値上がりによって輸入インフレを引き起こす状況にあります。そうした中で賃金については、本年の春闘において賃上げ率を3%超と見込み、1994年以来30年ぶりとなる高い賃上げとなったことから、経営者の意識もインフレを前提として賃上げを容認する状況に至っております。しかしながら、こうした賃上げにあっても、円安環境下での原油を始めとする輸入品の価格上昇は、実質賃金の減少を招き、個人消費の下振れリスクになりかねない状況にあります。
こうした状況下、内閣府が発表した2023年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、コロナ禍前の生活を取り戻す過程でこれまで堅調に推移してきた個人消費がやや一服したこともあり、前期比0.5%減(年率換算2.1%減)と3四半期ぶりにマイナス成長に転じました。マイナス成長の中でも当該GDP速報値の押し上げに寄与したのは、インバウンド(訪日外国人)消費であり、9月の訪日外国人数が218万人と2019年対比で9割以上の水準まで回復し、円安により日本の物価が外国人観光客にとって割安になったことも手伝い、旅行費、宿泊費等への支出が増加しました。その結果、7~9月の訪日外国人の全体消費額、一人当たり消費額ともにコロナ禍前の2019年を上回る状況に至っております。今後、足元の円安の為替環境によって、訪日外国人の更なる増加、旅行単価の上昇や滞在日数の長期化から旅行費、宿泊費等への支出が大きく増加する見込みであり、それに伴う経済効果に期待が寄せられております。但し、2019年に訪日外国人の3割以上を占めていた訪日中国人においては、本年8月の中国側の出国規制解除に伴い、団体観光客の増加が見込まれる状況にありましたが、福島第一原子力発電所で発生した処理水問題を巡り、中国政府が日本からの水産物の輸入を全面禁止したことにより、依然として2019年の訪日客数には至っていない状況です。
一方、海外においては、昨年2月に勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化した現在もなお、解決の糸口が見つからず、欧米各国はロシアに対する経済制裁措置としてロシア産原油の原則輸入禁止を打ち出したことから、エネルギー資源価格の高止まりは依然継続しております。そうした状況下、先進各国においてはインフレが進行しており、これに対して欧米の中央銀行は金利引き上げにて対応しており、先進各国の景気はなんとか維持される中で推移しております。
米国においては、米商務省が発表した2023年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比4.9%増と5四半期連続でプラス成長となりました。GDPの7割を占める個人消費が減速傾向にあるものの、前期比4.0%増と相変わらず堅調であり、特に飲食を中心としたサービス消費がコロナ禍前の水準に戻りつつありますが、一方で金利上昇の影響が拡大する中、経済活動の一段の鈍化も予想されております。FRBは、歴史的な高水準にあるインフレに対して依然として警戒感を示しており、本年3月に生じた地方銀行3行の破綻等、金融市場での不安要因に対してセンシティブな舵取りが求められております。そうした中、本年9月に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)においては、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.50%に維持する決定をしました。このようにインフレ抑制のために積極的に行ってきた政策金利のコントロールもインフレ率が低下傾向にあること等により、金利引き上げピッチも徐々に減速しつつあります。
また、中国においては、中国国家統計局が発表した2023年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価の変動を調整した実質年率換算ベースで前年同期比4.9%増となりました。本年初めに新型コロナウイルス感染症を封じ込めるために講じてきたゼロコロナ政策に終止符を打ったことにより、外食、娯楽、観光等のサービス消費が持ち直したものの、その後、本年半ばにおいては景気が急減速することとなりました。その背景として、個人消費の停滞と、不動産市場の悪化が上げられておりますが、中国政府が中央・地方政府債務残高の膨張回避を重視していることから、大規模な財政拡張には消極的な姿勢を示す中で経済成長が鈍化することとなりました。
こうした経済環境下、当社グループの属する外食産業は、新型コロナウイルス感染症によって3年以上にわたり大きな打撃を受けてまいりましたが、コロナ禍で最も影響を受けた居酒屋、バー等の酒類提供業態も回復の兆しを見せる等、国民生活が確実にアフターコロナに変化する中で旅行、宿泊、飲食といったサービス消費は堅調な回復を図りつつあります。特に新型コロナウイルス感染症の拡大局面で蓄積されてきた過剰貯蓄は、旅行業、飲食業を始め対面型サービス業への消費に向かう傾向があります。また、政府がコロナ禍で継続してきた入国管理規制を撤廃させたことにより、訪日外国人数が急回復しており、今後もインバウンド需要の更なる拡大が期待されており、足元の円安傾向も継続していることから、絶好のビジネスチャンスが到来しつつある状況にあります。一方で現下の雇用情勢は、労働逼迫の厳しい状況をもたらしており、対面型サービス産業、とりわけ外食産業においては、人手不足解消に向けての賃上げが不可避な状況に至っております。
こうした外食産業を取り巻く経営環境において当社グループは、3年以上にわたるコロナ禍の制約的な事業環境の中にあっても事業拡大を追求し続けるという経営スタンスを貫いてまいりました。コロナ禍において政府、自治体から出される新型コロナウイルス感染症対策にかかる各種措置に対しては、速やかな対応を取るとともに、他の飲食店が撤退する中でも新規出店の歩を緩めることなく、事業成長を図ってまいりました。特に昨年6月に東京駅八重洲地下街に7業態を集めた複合ラーメン施設(ラーメンコンプレックス)をオープンさせたことは、コロナ禍における当社グループの事業成長意欲の表れでありましたが、本年において当該施設の7店舗全てが大幅に売上伸長を達成したことから、昨年実施した重点投資戦略の成功を実感することができました。また、当社グループは、当該施設への複数店舗出店を成功に導いた業態開発力についても商品開発部門を中心に常にブラッシュアップし続けております。今後も数多くの競争力ある業態を創り出し、有力マーケットに対して複数業態での新規出店を進めてまいります。さらには、コロナ禍において新たなお客様ニーズとなったテイクアウト、宅配(フードデリバリー)に対しても他社に先行して対応し、加えてECサイトを充実させる等、店舗外でのお召し上がり需要にお応えできる供給体制を構築してまいりました。このように経営環境がコロナ禍であっても、アフターコロナであっても、当社グループは安定的な事業拡大を図ってきており、横浜家系ラーメン業態の「町田商店」、ガッツリ系ラーメン業態の「豚山」といった競争力のある業態、ブランドに留まらず、次なる業態、ブランドの開発を常に進めながら、今後も成長軌道を維持してまいります。このような事業拡大に向けた各種取組みを進める中、当連結会計年度においては、原油価格の高騰、仕入食材の値上げ等により直営店舗にて提供する商品価格を見直さざるを得ない状況となり、最低限の価格転嫁(一部値上げ)を行いましたが、当該値上げによる影響は、現在の積極的な新規出店状況においてもコロナ禍前の2019年対比で既存店の来店客数が増加するという予想以上の好結果を生みだすこととなりました。
さらに、当社グループ直営店並びにプロデュース店への供給体制についてもBCPの観点から、昨年より立地、生産品目等、生産体制の戦略的見直しを図り、当連結会計年度においても次年度より生産稼働する新たな製麺工場を茨城県神栖市に設立いたしました。この結果、製麺工場4拠点、チャーシュー工場1拠点、スープ工場1拠点と国内6工場体制を構築することとなりました。当社グループでは、SCMの視点をもって物流効率、物流コスト、物流リードタイムの大幅改善を進めており、前年までに関東、中京・関西に物流倉庫を配備してまいりました。さらに本年4月には、北関東・東北物流センターを新規開設する等、生産体制、物流体制の絶え間ない見直しを進めてきたことにより、直営店舗、プロデュース店舗に対して効率的な後方支援体制を整えるに至りました。
以上のように新型コロナウイルス感染症対応ノウハウをしっかりと蓄積しつつ、生産体制、物流体制を含めたグループ力強化を図ってまいりました当社グループは、行動制限が解消された現在のアフターコロナの経営環境においても従業員の雇用確保、積極的な新規出店等、他の飲食業者と一線を画した事業活動を展開することができ、堅調な業績を確保することとなりました。当連結会計年度におきましては、国内の直営店、プロデュース店ともに店舗数を増加させることにより、売上拡大を図ることができました。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、中期的なスパンでの国内1,000店舗体制を達成するべく2026年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、以下の施策を重要テーマとして認識し、更なる企業価値向上を目指してまいります。
重点テーマ | 取組みの概要 | 関連指標 |
既存事業の拡大 | ・1店舗あたりの品質向上 | ・売上高成長率 |
人材の確保 | ・採用力強化 | ・売上高成長率 |
出店力の強化 | ・モデル開発出店の推進 | ・売上高成長率 |
海外展開の加速化 | ・海外推進体制の整備 | ・売上高成長率 |
製造体制の強化 | ・製造コスト削減 | ・売上高営業利益率 |
購買、 物流体制の強化 | ・物流コストの最適化 | ・売上高営業利益率 |
DXの推進 | ・お客様の利便性向上 | ・売上高成長率 |
サステナビリティへの取り組み | ・食品廃棄ロス低減、温室効果ガス削減 | ・売上高成長率 ・売上高営業利益率 |
(注)1.「バッテイングルール」とは横浜家系ラーメン業態の直営店舗及びプロデュース店舗の出店にかかるカニバリゼーションが発生しないように商圏人口における最大店舗数などを事前に取り決めたルールです。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループでは、持続的な成長の実現と収益基盤強化のため、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。なお、成長戦略を構成する新規出店等の投資につきましては、営業活動から生じるキャッシュ・フローと金融機関からの借入を中心とする財務活動から生じるキャッシュ・フローで賄える見込みであります。
① 人財確保に向けた取り組み
2023年5月に感染症法上の位置づけが従来の「2類」から季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げられ、また、各種規制が撤廃され、経済活動や生活様式がアフターコロナへと変化していく中、当社グループの属する外食産業においては、人手不足による人財の奪い合いや人件費の上昇など、人財の確保及び定着に対して厳しい状況が続いております。こうした状況下、当社グループでは採用サイトの刷新や採用手法の多様化に取り組み採用力を強化するとともに、本社移転による働きやすい環境づくりや従業員の待遇改善による従業員満足度の向上を図ってまいります。これらにより、新規出店を支える人財の確保と定着を実現してまいります。
② 製造体制の強化
当社グループは日本国内各地に直営店舗やプロデュース店舗を多数有しておりますが、国内では地震、台風、豪雨などの大規模な自然災害が多く発生する状況にあります。また、今後も積極的な直営店舗やプロデュース店舗の出店を継続するためには、より一層の製造体制の強化が必要になってまいります。こうした状況下、BCPの観点から工場立地や生産品目など生産体制の絶え間ない見直しを図っており、2023年11月には新たな製麺工場を茨城県神栖市に設立し国内6工場体制となっております。また、製造コストの削減、製造品質の向上などにより積極的な出店に応える体制を強化してまいります。
③ サステナビリティへの取り組み
当社グループは「シアワセを、自分から。」という企業理念の下、直営店事業部門ならびにプロデュース事業部門のお客様はもとより、当社グループの従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関等、すべてのステークホルダーの皆様にシアワセを届けてまいります。現在の世界情勢に目を配れば、一部地域において戦争や紛争等のいたましい出来事が勃発しており、加えて、気候変動や食糧危機など様々な社会・環境課題にも直面しております。こうした状況下、当社グループにおいては、上述の企業理念に基づく精力的な事業活動を通して、こうした課題と真摯に向き合うことにより、持続可能な社会の実現、豊かな食文化の発展に貢献してまいりたいと考えております。さらには当社グループの持続的な成長や企業価値向上をもたらすべく、サステナビリティ活動にも積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期的なスパンでの国内1,000店舗体制を達成するべく2026年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、事業拡大並びに企業価値向上を目指し、成長性に収益性を加えて、投資収益性を重要な経営指標と位置付けております。
・売上高成長率 20.0%以上
・売上高営業利益率 9.5%以上
・ROA(総資産経常利益率) 20.0%以上
・ROE(自己資本当期純利益率) 20.0%以上
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