キャンバス 【東証グロース:4575】「医薬品」 へ投稿
企業概要
(1) 経営方針と経営環境
当社は、独自の創薬エンジンを基に基礎研究および臨床開発を実施することにより、技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の獲得を目指すビジネスモデルを志向しています。
臨床上の治療満足度に改善の余地がみられるがん領域は、引き続き新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取り組んでいます。
当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界のがん領域の市場のニーズに合致した抗がん剤を開発することを目指しています。当社の属する抗がん剤開発の領域では近年、開発競争の中心が免疫チェックポイント阻害抗体およびその併用療法に移行しています。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。
当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効が増強される知見を獲得しました。これを踏まえ、当面のCBP501開発の主軸を当該併用に置く方針です。
なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っています。
(2) 優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況
① 事業活動において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況
(a) CBP501の臨床試験推進
後続化合物で構成されるパイプライン戦略などにより開発リスクの分散や低減は図っているものの、CBP501は当社の将来の事業計画において最初の上市品と想定している化合物であり、この開発の成否が当社事業計画の実現の鍵を握っていると言えます。失敗・遅延のリスクを最小限に抑え、かつ、最も早期に適切な適応による新薬承認を受け、CBP501の上市を実現することが、当社の中長期的な企業価値の源泉であり、事業活動において最も重要な課題です。
現在、抗がん剤開発競争の中心的存在は免疫チェックポイント阻害抗体です。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多様な試みがなされています。そのひとつは他の抗がん剤や抗がん治療との併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。
当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効を増強するデータを獲得しました。現在、当該3剤併用による臨床第2相試験を成功裏に終え、次相臨床試験の準備を進めています。
(b) 創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得
当社のような創薬企業にとって、新規の開発候補化合物パイプラインを継続的に創出・獲得し候補化合物の最適化を実施する創薬エンジンは競争力の源泉であり、その改良と充実は将来の継続的な成長のために必須のものです。
当社ではこれまで、正常細胞とがん細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自の細胞表現型スクリーニングを中軸とする創薬エンジンから、臨床開発段階の抗がん剤候補化合物CBP501、CBS9106を創出してきました。
これら化合物の臨床試験進捗や提携獲得により、当社の創薬エンジンは、外部第三者の評価を経てコンセプトの確立を図ることができたと考えています。
また最近では、CBP501臨床試験データから得られた知見に基づき、創業以来の細胞表現型スクリーニングとは別に、「がん免疫」「がん幹細胞」など個別の作用に着目した候補化合物創出を実施しています。この取り組みから当社は、近い将来の新規パイプライン候補となるCBT005、CBP-A08を獲得し、さらに次世代のパイプラインとなるべき新たな基礎研究を進めています。
これらの取り組みによって当社は、将来的な継続性ある競争力の強化と企業価値の最大化を図っていきます。
② 経営基盤において優先的に対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況
(開発戦略推進のための資金調達)
当社は、CBP501に関して、これまでの臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、臨床試験を進めています。
一方、当社のような創薬企業は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を1,888,200千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。
この現状を踏まえて当社は、それぞれの開発プロジェクトの進展および開発ポートフォリオの拡充に伴い増加する資金需要に対応するため、さらには抗がん剤の開発体制の強化のため、プロジェクト毎に製薬企業との戦略提携の実現に向けた活動を展開しています。また、必要に応じて適切な時期に新株発行等による資金調達を実施しています。
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