カーリット 【東証プライム:4275】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
『カーリットグループは《信頼と限りなき挑戦》という経営理念の下、モノづくりやサービスの提供を通じて社会課題の解決に貢献し、「持続可能な社会の実現」を目指します』というサステナビリティ基本方針を掲げて諸活動に取り組んでいます。
(1)ガバナンス
当社グループは取締役会の監督のもと、代表取締役社長を委員長、取締役・執行役員の全員と社外監査役を委員とするサステナビリティ委員会を設置し活動を推進しています。
本委員会において、気候変動対策を始め、サステナビリティに関する方針・戦略・計画・施策の検討・立案、グループ各社の課題の抽出と強化・改善に向けた方策の明確化等の審議を行っています。審議された内容は適宜グループ経営戦略会議・経営会議・取締役会に報告され、取締役会においてサステナビリティ課題への積極的・能動的な議論を推進しています。
また、サステナビリティ委員会の下にCSR推進責任者会議・CSR推進担当者会議を設置し、当社グループ全体でCSRの推進を図っています。
(2)戦略
当社グループのサステナビリティ基本方針および、TCFD提言にのっとり「4℃シナリオ」と「2℃シナリオ」についてリスク・機会の側面から分析を開始しました。各シナリオにおける当社グループへの影響と主要インパクトについては下記のとおりです。今後も当社グループを取り巻く環境変化に合わせ更新していきます。
| 気候変動に関わる変化 | 主要インパクト | 当社グループへの 主な影響 | 具体的な影響イメージ | ||
4℃ | リスク | 物理 リスク (注)1. | 慢性リスク (注)2. | 降水・気象パターンの 変化 | 気温上昇、水不足 | 生産効率の低下、 対策費用の上昇、 働き方の再検討 |
水力発電所の稼働低下 | ||||||
急性リスク (注)3. | ライフスタイルの変化 | 感染症リスクの増加 | 従業員の健康配慮 | |||
機会 | 市場・製品と サービス | 気温上昇によるライフ スタイルの変化 | 気候変動の進行に適応 する製品・サービスの 需要増加 | ガラス破砕具付発炎筒への全量切り替え | ||
飲料の需要増加 | ||||||
2℃ | リスク | 移行 リスク(注)4. | 法・規制に関する リスク | カーボンプライシングの導入 | 炭素税の発生 | コストの増加 |
テクノロジーリスク | CO2排出規制の強化 | 省エネ対策が強化され、製造設備の高効率化への更新が必要 | 設備投資額の増加 | |||
市場リスク | 再生可能エネルギー拡大 | エネルギーコストの増加 | 製造コストの増加 | |||
レピュテーション リスク | 投資家評価の変化 | 気候変動への対策が 不十分な場合、投資家の評判悪化、資金調達の 困窮 | 投資の縮小 | |||
顧客要求の変化 | 気候変動への対策が 不十分な場合、サプライチェーンからの除外 | 該当する製品の売上減少 | ||||
機会 | 市場・製品と サービス | 環境意識向上による ライフスタイルの変化 | 気候変動の緩和に貢献 する、環境に配慮した 製品・サービスの需要 増加 | 回生エネルギー用途の 電解液の需要増加 | ||
電気自動車の普及 | ||||||
水素循環社会の実現 | ||||||
蓄電池需要の増加 | ||||||
2℃・4℃ 共通 | 機会 | 資源効率 | 省エネルギーの促進、 廃棄物処理の削減 | コストの削減 | 燃料費・電気代削減 | |
エネルギー | 創エネルギーの促進 | クリーンエネルギーの 調達促進 | 水力発電所の稼働継続、太陽光発電への切り替え促進 | |||
レジリエンス | 計画的な気候変動対策の経営反映 | リスクの最小化 | 火災保険に水害付保、 防水設備強化 |
(注)1. 物理リスク=気候変動によってもたらされる災害などの被害
2. 慢性リスク=降水パターンの長期的な変化や気象パターンの変動、平均気温や海面の上昇によって受ける影響
3. 急性リスク=台風や洪水、高潮などの異常気象の激甚化によって受ける影響
4. 移行リスク=気候変動緩和を目的とした脱炭素社会への移行に向けて発生するリスク
これらの気候変動は当社グループの事業へのリスクである一方で、製品・サービスの提供価値および企業価値を高める機会につながると認識しています。今後も脱炭素化に向けた当社製品・サービスの提供、新規事業の創出を促進します。
また当社グループは過去の100年の経験と知識を活かしながらも、過去にはとらわれない新たな教育や制度、職場環境の整備に挑戦し「人への投資」を一層進めていきます。今後は当社グループの多様な人財が皆さまから信頼され「新たな100年へ」積極果敢に挑戦し続けることができるよう育成し続けていきます。
現中期経営計画「Challenge2024」では「従業員一人一人にとって、働きがいのある職場づくり」に注力しており、人財の多様性の確保を含む人財育成に関する方針、および社内環境に関する方針は次のとおりです。
①女性活躍の推進
当社グループでは女性ならではの視点を活かし会社の成長につなげていくために、今後も引続き積極的な女性採用や女性中核人財育成の研修の実施、女性管理職の登用を進めていきます。
②ダイバーシティの状況
外国人採用や中途採用も継続的に進めており、2022年度までに外国人累計5名の新卒を採用しています。また管理職ポストにおける中途採用者割合は2022年度で28.7%となっています。今後も外国人採用や中途採用を進め従業員の多様性確保の諸施策に取り組んでまいります。
③人的資本の拡充
グループ横断的な教育制度を充実させることで、当社グループの未来を担う人財の育成に取り組んでいます。
職位別研修を始め、財務・語学、自己啓発として通信教育やマネジメントスクール通学の支援を行っており、将来の経営者人財を含む中長期的な人財戦略を支える諸制度を拡充してまいりました。2022年度の当社グループ人財一人当たりの研修費用額は2020年度対比127%となっています。
また、当社グループの人財が仕事を通してやりがいと誇りを感じ、いきいきと活躍できる場を提供することを目的に、当社および中核会社の日本カーリットではエンゲージメント調査を導入しました。職場環境改善を進めるため全社員の人事面談を行い社員からの要望・意見と、その対応策を示しました。今後もコミュニケーションを図りエンゲージメント向上に取り組んでいきます。
④健康経営の推進
マテリアリティの最上位に「安心・安全で活き活きとした職場環境づくり」を掲げています。ストレスチェックの実施、産業医による定期的な面談機会を設けるなど、従業員の健康保持・増進に向けた取り組みを推進しております。
取り組みをさらに強化すべく、代表取締役社長による「健康経営宣言」を2022年8月1日に表明し、2023年3月には当社グループにて「健康経営優良法人」の認定を取得しました。
健康経営を進める体制については、代表取締役社長を「健康経営管理責任者」、人事部担当取締役を「健康経営推進責任者」、人事部を「健康経営推進部署」とし、カーリット健康保険組合・グループ各社の産業医、総務人事関連部門、衛生委員会と共同して取り組んでまいります。
(3)リスク管理
当社グループは自然災害・感染症の発生等により経済環境に大きな影響を及ぼす可能性があり、また生産設備や人的資源への損害の発生、顧客の需要動向に大きな変化が起こる可能性があります。これらが当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす重要なリスク要因の一つであると認識しています。
経済環境への大きな影響は経営企画部、人的被害の大きな影響は人事部と総務部、生産活動や品質は生産・品質統括部が担当し、それらの情報をステークホルダーに適宜・適切に開示する役割を広報・サステナビリティ推進部が担い重要なリスクの管理をより一層強化しています。
また、代表取締役社長を委員長とするグループリスクマネジメント委員会を設置し、気候変動を含む総合的なリスク管理体制を構築し、グループ各社からのリスク情報がタイムリーに経営陣に集約・報告され、グループ全体への影響を検証し、速やかな経営判断による対策の実行など、リスクを最少化するための管理を強化しています。
また、当社グループはサプライチェーン全体でサステナビリティへの取り組むことが重要であると認識し、モノづくりやサービスの提供における範囲に加え、調達、輸送過程でも「カーリットグループサステナブル調達ガイドライン」によって、社内外関係者への周知・徹底を図ることで社会と環境に配慮した活動を促進しています。
(4)指標及び目標
当社グループは、特に水資源等豊かな自然の恵みの上に成り立っていることから、気候変動は解決すべき重要な社会課題の一つと認識しています。
2050年までにカーボンニュートラルの実現に向け、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの活用などを促進し、温室効果ガスの排出量削減に積極的に取り組んでおり、エネルギー使用量、CO₂排出量データの開示範囲の向上に努めてまいります。
①サプライチェーン排出量
当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を測定・管理するための指標として、サプライチェーンCO₂排出量 (Scope1・2・3)を下記のとおり算定しました。排出量実績の可視化、定期的な管理体制を構築することで、温室効果ガスの排出量削減に取り組んでまいります。(下表算定値は2021年度実績)
②サプライチェーン排出量削減目標
Scope1・2は、そのマイルストーンとして2030年までに2013年度対比で46%削減することを目標として掲げています。目標の達成に向け、省エネルギー・創エネルギーの促進、再生可能エネルギーの活用促進、関連するエネルギー使用量の情報 開示範囲の拡大に取り組んでまいります。
Scope3は当社グループの総排出量のうち約8割を占めており、脱炭素社会の実現のためにはこのScope3排出量削減が不可欠であると認識しています。特に購入した製品・サービスに該当するカテゴリ1はScope3の約7割を占めています。サプライチェーンを通じた脱炭素の実現に向け、サステナブル調達アンケートや排出量算定システムを通じてサプライチェーンにおけるコミュニケーションを図り、削減に向けた取り組みを促進するとともに、2050年カーボンニュートラルを見据えた2030年までのScope3削減目標の設定についても具体化を進めてまいります。
また、当社グループでは上記(2)戦略において記載した人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針、および社内環境整備に関する方針は次の指標を用いています。
③新卒の女性採用比率
当社は2015年度から新卒女性の採用比率目標を30%以上とし、2022年度までの累計新卒女性採用比率は38.2%となっています。今後も30%以上の新卒女性採用比率を維持していきます。
④女性管理職比率
当社および中核会社の日本カーリットを合わせた2022年度の女性管理職比率は1.7%、女性の管理職候補層(係長・主任クラス)比率は14.8%となっています。
2026年度には新卒女性採用比率は維持しつつ、女性管理職比率5%台、女性の管理職候補層比率18%台を目指し、将来的に経営の意思決定に関わる女性社員を育成しています。
| 2022年 | 2024年(予) | 2026年(予) |
女性管理職比率(%) | 1.7 | 3.0 | 5.0 |
女性管理職候補層比率(%) | 14.8 | 16.0 | 18.0 |
⑤男女間賃金格差
当社および中核会社の日本カーリットの男女間賃金格差は以下のとおりとなります。
これまで工場業務を中心とした製造業特有の採用活動により女性をほとんど採用していなかったことが背景にあり、男性の管理職比率や年齢が高いことにより差異が出ています。
現在、女性活躍推進の研修や女性管理職比率の向上などの施策を積極的に行い、格差縮小を推進しています。
2022年度 男女の賃金差異(%) | カーリット ホールディングス | 日本カーリット |
すべての労働者 | 73.1 | 67.8 |
うち正規雇用労働者 | 85.4 | 70.8 |
うちパート・有期労働者 | 64.6 | 62.9 |
⑥男性の育児休業取得率
当社および中核会社の日本カーリットでは労働環境整備の施策として育児休業の取得を制度面から整備してまいりました。特に男性育児の休業取得率向上のため、出生時育児休業期間の有給化などを進めてまいりました。それらにより、2022年度の2週間以上の男性育児休業取得率は当社および中核会社の日本カーリットの合計で80.0%となっています。
また、当社および中核会社の日本カーリットの女性の育児休業取得率は100%、男性についても上記施策導入後100%を継続しています。男性従業員による育児休業取得状況は下記のとおりです。
| 2022年度 |
男性育児休業取得者数(人)(注) | 12 |
取得比率(%) | 80.0 |
(注)2022年の7月本施策導入以降、男性育児休業取得率は100%であります。
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