カプコン 【東証プライム:9697】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「経営理念」に基づき、当社グループの強みを発揮し、事業活動を通じて当社グループの中長期にわたる安定成長の実現と企業価値向上を図っております。
このため、経営の透明性・公正性・迅速性を確保することに加え、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーとの信頼関係を構築し、共存共栄に努めております。
<経営理念>
ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、人々に感動を与える「感性開発企業」
<当社グループの強み>
・安定的なキャッシュの確保と資本効率の向上による積極的な戦略的投資を実現する財務基盤
・独自の高度な技術と開発力による世界で支持されるコンテンツ(IP)の創出と多面的な活用
・さらなる収益拡大に向けたデジタル戦略によるグローバルでの長期販売体制
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。
経営指標として「毎期10%営業利益増益」の中期経営目標に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、連結配当性向については、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、30%を基本方針とし、かつ安定配当の継続に努めてまいります。
(3) 経営環境および中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、通信規格の高速大容量化、コンテンツの提供チャネルの増加、デバイスの多様化、グローバルベースでのユーザーの拡大など、事業環境は大きく変化を遂げております。このような状況下、2023年に創業40周年を迎えた当社グループが今後より一層の飛躍を目指すためには、中長期的な企業価値向上に向けた安定的な利益の確保とグローバルにさらなるブランド価値の向上が経営の重要課題と認識しております。
このため、当社の中期経営目標である「毎期10%営業利益増益」の達成に向けて、高品質なコンテンツの創出とデジタル化による長期的な販売により安定的な収益構造を確立してまいります。また、国・地域に応じたマーケティングの強化とユーザーニーズの把握に努め、ユーザー数の拡大と収益機会の最大化を図ることにより、主力事業のデジタルコンテンツ事業を成長させ、長期的に年間1億本の販売を目指してまいります。加えて、引き続きアミューズメント施設事業やアミューズメント機器事業において人気IPや主力コンテンツを活用した展開を図るとともに、映像作品やライセンス商品、eスポーツ等と連携することでIPの持つブランド力の向上に努め、持続的な成長を図ってまいります。そのために、今後も原動力となる人材投資戦略を推し進めるとともに、開発体制の強化、拡充への積極的な投資により、新規IPの創出と主要IPの活用によるパイプラインの拡充に取り組んでまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
前記(3)を推進するため、以下の課題に取り組んでまいります。
① 次期の事業別戦略
次期においては、前記(3)の戦略に基づき以下の点を中心に取り組んでまいります。
ア.デジタルコンテンツ事業
当事業におきましては、完全新作タイトルの『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』(Xbox Series X|S、プレイステーション 5、パソコン用)を投入するほか、過去作品『モンスターハンター ストーリーズ』および『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』の現行機向けへの移植や、当期発売の『ストリートファイター6』のeスポーツ展開の強化により、引き続きブランドの価値向上とユーザー数の拡大を推し進めてまいります。加えて、『ドラゴンズドグマ 2』等のリピートタイトルについても、デジタル販売の強化と販売施策の推進により、収益の最大化と総販売本数の継続的な増加に努めてまいります。
イ.アミューズメント施設事業
当事業におきましては、新業態店舗の展開を継続するとともに、引き続き効率的な店舗出店、運営を進めてまいります。
次期は出店7店舗を予定しております。
ウ.アミューズメント機器事業
当事業におきましては、市場動向を反映したスマートパチスロの投入など、人気IPを中心に新機種を順次投入してまいります。
次期は『ストリートファイターV 挑戦者の道』を6月に投入するほか、4機種の投入により販売台数41千台を予定しております。
エ.その他事業
その他事業につきましては、当期よりシリーズ最新作の『ストリートファイター6』を投入したeスポーツビジネスにおいて、「CAPCOM Pro Tour 2024」の決勝大会「CAPCOM CUP 11」の優勝賞金を100万ドルとするなど、グローバルにより多くの方々に楽しんでいただけるよう、様々な施策を講じてまいります。
また、当社IPの全世界への浸透拡大を図るなど、コンテンツの映像化推進や他業種とのコラボレーションを通じ、ワンコンテンツ・マルチユース戦略の強みを最大限に生かした施策をグローバルに推し進めてまいります。
これらにより引き続き、コンテンツのブランド拡大を図るとともに、コーポレートブランドの価値の最大化に努めてまいります。
② サステナビリティへの取組み
ア.人材投資戦略
当社グループは、企業価値創造の源泉である人的資本への取組みを最優先課題の一つとして位置づけております。
中期経営目標の達成のため、中核的競争力である開発体制の拡充を図るには、人的資本への投資による開発人員の増強と生産性向上が重要であると認識しております。
そのため、当社グループは毎年100名以上の開発人員の採用を推し進めており、2024年3月期末における開発人員数は2,675名となっております。
また、働きやすい環境づくりに向けて従業員のニーズを直接把握するため、各種説明会等を通じた意見交換による経営層と従業員の直接対話の機会を活用し、離職防止およびエンゲージメント向上に取り組んでおります。
加えて、当社グループは事業環境の変化に対応するため、性別、国籍、年齢等に関係なく採用や評価等を行うなど、多様性のある人材の確保・育成への投資に努めております。このため、当社は2029年3月末までに、男性の育児休業取得率を85%以上(2024年3月末は66.7%)および正社員における男女間賃金格差(女性正社員の平均賃金を男性正社員の平均賃金で割った比率)を88%以上(2024年3月末は83.8%)とする目標を設定いたしました。
今後も、当社グループは、人材投資戦略のさらなる推進と上記目標の達成のため、次の施策等に取り組むことにより、引き続き企業価値の向上を図ってまいります。
(ア)将来を支える人材の確保と育成
・新卒初任給の引き上げおよび中途採用のチャネル拡充等による採用競争力の強化
・人事制度のさらなる改定や特別一時金の支給等による優秀人材定着および士気向上
・従業員のキャリア意識の調査・分析に基づくキャリア形成支援
(イ)働く環境の整備と向上
・人権を尊重する会社風土の醸成
・育児休暇取得の積極的推進と関連制度の周知に向けた取組みの強化
・開発体制を支える開発環境および設備の拡充
(ウ)人材の多様性の確保
・外国人従業員向け個別説明会の継続実施
・経営人材力強化のための取締役会の多様性確保
イ.情報セキュリティの強化への取組み
当社グループは、情報が企業活動に与える影響の重要性に鑑み、国内外の様々なサイバーリスクへの対策が不可欠と認識しており、情報セキュリティの確保が重要であると考えております。個人情報保護法制への対応はもちろんのこと、各国で整備が進められる未成年者保護などの法制への対応のほか、情報セキュリティに関する法令等を遵守し、情報セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。
そのため、外部アドバイザリー組織であるセキュリティ監督委員会を2024年3月期は7回開催するなど、同委員会の助言等も踏まえ、継続的なシステムの運営・監視や、万一セキュリティリスクが顕在化した場合でも早期対処・復旧できる体制の構築等に努めております。今後もPDCAサイクルに基づく情報セキュリティ体制の維持および強化を図ってまいります。
ウ.SDGsへの取組み
当社グループは、経営理念のもとSDGsが掲げる持続可能な社会づくりの目標を踏まえ、環境、社会問題における共通課題の解決のため、様々な取組みを行っております。
今後も、これらの取組みを通じて株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーの皆様との信頼関係を構築しながら、持続的な成長を図るとともに、企業としての社会的責任を果たすことで、よりよい未来の実現を目指してまいります。
(ア)社会貢献活動
当社グループは、未来をつくる子どもへの支援を中心に、社会貢献活動に取り組んでおります。
2024年3月期において、こどもの未来応援基金をはじめとし青少年の健全な育成に取り組んでおられる団体への寄付を継続いたしました。また、今年1月に甚大な被害をもたらした令和6年能登半島地震の被災者・被災地への義援金支援を行うとともに、引き続きウクライナ難民支援のため国連難民高等弁務官事務所に支援金を付託しております。
〔子どもの貧困対策関連〕
寄付先 | 金額 |
独立行政法人 福祉医療機構 こどもの未来応援基金 | 5,000万円 |
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン | 3,000万円 |
特定非営利活動法人 子どもセンターぬっく | 1,000万円 |
〔令和6年能登半島地震の被災者・被災地への支援〕
寄付先 | 金額 |
被災地方自治体の義援金窓口 | 1億2,000万円 |
〔ウクライナ難民への支援〕
寄付先 | 金額 |
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所) ※日本の公式支援窓口「特定非営利活動法人 国連UNHCR協会」を通じて支援 | 2,000万円 |
また、今年4月に台湾東部沖で発生した地震においても、義援金1,000万円を寄付いたしました。
(イ)環境への取組み
当社グループは、他社に先駆けてコンテンツのデジタル販売を推進し、ディスク製造および運送に伴う資源削減やCO2排出量の削減に努めるとともに、パチスロ機の製造・販売において省電力対応や一部パーツのリサイクルなど、環境負荷の低減に取り組んでおります。
また、当社グループは環境対策の一環として、関西圏の自社所有ビル等に対して再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力を導入しており、日本国内における電力使用量のうち同エネルギーにより約21%が賄われております。さらに、当社東京支店におけるグリーン電力の導入や、その他の事業拠点におけるCO2フリー電力の導入拡大によりCO2排出量の削減を図っております。加えて、節電対策を施した自社データセンターの使用などの取組みを行うとともに、再生可能エネルギー使用を促進している大手クラウドサービス企業や大手データセンターサービス企業を利用するなど、一層の環境負荷低減に努めております。
③ コーポレート・ガバナンスに関する取組み
当社グループは、経営理念に基づき、ステークホルダーの皆様との適切な関係の構築に努め、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでおります。
また、当社は、経営の透明性、健全性を高めるとともに、環境の変化に対応できる体制を構築するため、取締役会の多様性確保や社外取締役の積極的な参画の機会拡大を図り、取締役会の監督機能の強化に努めております。そのうえで、取締役会の実効性評価を踏まえ、一層の当社取締役会の機能強化のため、2024年3月期は以下の取組みなどにより、取締役会における情報提供の拡充と相互理解の深化を図りました。
・ステークホルダーとの対話を通じて得られた意見等の取締役会への報告強化
・取締役会付議議案に限らず当社グループの現状や中長期的な戦略について経営トップを交えて議論するため、社外取締役との意見交換会等を活用
2025年3月期は、経営の監督機能強化の実効性をさらに高めていくため、以下の課題に取り組んでまいります。
〔主な課題〕
・社外取締役との意見交換会等と取締役会の連携強化による相乗効果の発揮
・中長期的な企業価値向上に向けた取締役、経営陣幹部の指名・報酬にかかる議論の深化
・リスク管理体制の強化と長期的な課題を議論する機会の拡充
今後も、当社取締役会において諸課題の共有と理解を促進し、さらなる機能向上に努めてまいります。
④ 政策保有株式に対する基本方針
当社は、政策保有株式について慣例的な相互保有や人的関係の情実等を排除しており、保有に当たっては、将来の取引関係や持続的な企業価値の向上に資するか否かなど、中長期的な観点から得失等を総合的に勘案しております。
なお、当社は、2024年3月期において保有していた政策保有株式の全売却を完了したため、2024年3月期末現在における当該株式の保有はありません。
- 検索
- 業種別業績ランキング