カネカ 【東証プライム:4118】「化学」 へ投稿
企業概要
(1) 当社の存在意義(Purpose)
当社は、「人と技術の創造的融合を繰り返し、技術革新とグローバル展開を通して、革新的な素材開発によるソリューションを提供することにより、社会的課題を解決し、世界を健康にする」ことを存在意義と定義しております。
今、自然環境にますます負荷がかかり、人間の行動が危険な気候変動や大量絶滅をもたらしかねません。そのリスクを減らすうえで、自然に対する理解を深め、適切なテクノロジーを一層迅速に配備する必要があります。この視座こそが「カガクでネガイをカナエル会社-カネカ」が目指すパーパス経営です。当社は、環境・エネルギー、食糧、健康(よりよく生きる)の危機の三つをドメインとしてテクノロジーに磨きをかけ、社会実装化による最適なソリューションを提供したいと考えています。
(2) パーパス経営を実現する3つのValue
当社は、カネカタワーとTransformationのトリプルPackageの2つの経営システムを、変革の根幹としています。
① カネカタワー 「当社の経営モデルの基本構造」-その視座と視点(大切にすること)-
● 当社の経営モデルの基本構造であり、当社の創業以来の持つ強み(DNA)を活かし、「事業構築力(内なる力)」と「市場開発力(外なるPower)」を進化させ、「現場力」がその実行を支え、常に時代の変化に応じて経営革新を自律的に行えるようにします。
● 自治機能を高める2つのWork Shop(変革と成長のトライアングル、カネカ1on1)を通して現場をInspireします。
② 経営システム TransformationのトリプルPackage
● 変革と成長を実現するための、ビジネス思考のプラットフォームです。経営のソフトウェアとハードウェアをドッキングすることにより、実効性を上げます。
● 時代認識/仕掛け/成果のトライアングルは、経営計画のなかで、どのように目標を設定し、技術革新を含めた達成のための仕掛けを整え、スケール・スピードを意識したうえで、いったい何を成果として位置付けるのか。経営計画の骨格そのものとなります。
(3) 経営方針
当社は、ESG経営を「世界を健康にする健康経営-Wellness First」と定義し、全ての活動のプラットフォーム(憲法)とします。当社の健康経営は人間賛歌の経営です。価値あるソリューションをグローバルに提供することを通じて世界の人々の人生と環境の進化に貢献し、存在感のある企業として成長し続けます。
① カガクでネガイをカナエル会社・カネカ
化学という「不思議の海」の冒険を通して、Dream をRealにし、人々の人生に役立つ会社になります。
② ソリューションプロバイダー
「経営システムTransformationのトリプルPackage」に基づいて、Sustainability(持続可能社会)の構築に貢献します。当社グループが提供するソリューションはP18~21に記載の通りです。
③ ハイブリッド経営
イノベーションとは「違ったやり方でコトを運ぶ新結合」のことです。異質なものどうしを、異質な事業領域で、新しく組み合わせることを当社は「ハイブリッド経営」と呼んでいます。当社が保有する多種多様な異種技術による驚きの組み合わせで、独創的な価値あるソリューションを創り出す「ハイブリッド経営」を通じて社会問題の解決に貢献してまいります。
④ 実験カンパニー
(大量に試していいものだけを残す)熱い「実験カンパニー」を行動指針とし、新陳代謝を繰り返しながら新しいポートフォリオに変革する「Value Creating Company」を目指します。
(4) 対処すべき課題
コロナ禍は期中に終焉しましたが、ウクライナ問題の長期化、中東での新たな紛争の勃発など地政学リスクが終息せず、景気の先行きが見通せない不安な状況が続きました。インフレに腐心する米欧の金融政策の混乱、米中摩擦、中国経済の低迷など、世界経済は方向感のないVolatileな一年になりました。
このように「分断とVolatility」に翻弄される不透明な時代をむかえていますが、当社のDNAである地域に根を張ったグローバル活動に磨きをかけ、「R2B“カネカならでは”」の研究開発戦略で新製品・新規事業の実装化を加速させてまいります。 技術に磨きをかけてポートフォリオを新しくし、業容を拡大します。
(5) 重点戦略
① ハイブリッド経営への道(ポートフォリオの変革の推進)
当社は、ハイブリッド経営による事業ポートフォリオの変革を急ぎます。多種多様な異種技術、ソリューションを組み合わせ、ユニークで価値ある新たなソリューションを創り出し、社会問題の解決に貢献していくことを目指しています。
投資の「選択と集中」を加速させ、“地球を健康にするライフサイエンス”領域を拡大させます。
マネのできないユニークな差別化技術開発に向けて、人、モノ、カネの戦略的な資源投入を行い、先端事業群の事業拡大を図ります。コア事業群も差別化力の強化と、供給力を強化する設備投資により事業基盤を強靭化します。
② ライフサイエンスへの重点シフト
化学で「地球生命」という大きな「いのち」を健康にする、そのテクノロジーと創造的な活動が「ライフサイエンス」の定義です。カネカ生分解性バイオポリマーGreen Planet®、ゲノム編集技術、バイオ医薬品、再生・細胞医療、有機酪農乳製品事業、サプリメント、発酵培養プロセス技術などカネカの「バイオものづくり」やPV Technology、医療器は、すべて「地球生命」という大きな「いのち」に繋がっています。カネカは、ライフサイエンス領域での「R2B」に挑戦することで、ポートフォリオ変革をドライブします。
③ R2B [R to B(Research to Business)]戦略
● ResearchからBusinessへの流れの加速
当社はResearchとBusinessという二つの機能を結合させ、ユニークな製品やサービスを生み出し、社会に実装させ、スケールさせる「ハイブリッド経営」を通じて、社会に価値を届けてきました。研究開発とビジネスとの結合を進め、R&DからR&Bへと進化させたマインドをさらに、発展させます。“R&B(Research and Business)”から“R2B”へ、ResearchからBusinessへの流れを一層加速させます。
● ハイブリッド経営を支えるR2B+P(Research to Business + Production)
当社の研究開発は、社会実装までつながってこそ初めて完成すると考えます。ライフサイエンス領域における当社の強みであるバイオものづくり技術を強化すると同時に、全領域をまたいで生産技術革新を担う研究開発体制を大幅に強化しています。研究から生産、そしてビジネスに繋げるR2B+P体制を整えています。
● ハイブリッド経営を加速するR2B×DX(研究開発のデジタルトランスフォーメーション)
新たな価値創出を目指す全社のデジタル変革の戦略のもと、R2Bの変革に向けて、先端のシミュレーション・データ解析技術の取り込みとデジタルインフラ活用の日常化の両輪で進めています。
④ 人材戦略
● Human Driven Company(少数精鋭・能力成果主義 ⇒ 創業以来の理念)
当社では、1949年の創業以来、社員一人ひとりのタレントを活かすことが事業の成長に欠かせないという理念のもと、人材を育成し、実力に基づく配置・登用・処遇を行い、成長してきました。今、社員の属性・価値観が多様化し、個を活かす人材育成の重要性が増しています。
当社の成長をけん引しているのは、社員一人ひとりのチャレンジです。チャレンジできる環境を整え、機会を与え、成長を促進し、変革を実現する。「人材育成」「Diversityの推進」「Wellnessの推進」を人材戦略の柱に掲げ、取り組んでいます。
● 「カネカ1on1」を柱とした人材・リーダー育成
「人は仕事で成長し、会社は人で成長する」と考え、人材育成の柱として、「カネカ1on1」を目標設定や自己成長について評価を行う人事制度と紐づけて適用しています。さらなる深化に向けて対話の質を高める取り組みを続けています。(「カネカ1on1X」への進化)
● Diversityの推進(属性の差を超えて、個を活かす多様性へ)
異なるタレントを持つ、多彩な社員たちによって新たな価値を生み出せるカネカを目指し、Diversityを推進しています。
「年齢・性別・国籍・人種(属性)を問わず、多様な個性と多彩な視点から新たな発想が生まれ、カネカならでは!と世界を驚かせるユニークな価値を発信し続ける」当社がめざすDiversityの姿です。特に女性活躍を推進し成長と変革を牽引する女性リーダー層の育成強化に取り組んでいます。
「人は仕事で成長し、会社は人で成長する」の考えに基づき導入・定着させた「カネカ1on1」を、新たなステージ「カネカ1on1X」へ進化させ、個人の成長と組織の成果を高めます。
● Wellnessの推進(イキイキとチャレンジする社員や組織・グループの「絆」)
Wellnessの推進は、カネカグループで働く仲間一人ひとりが、元気にイキイキと仕事に取り組むことを基軸としています。
⑤ グローバル戦略 - Think Global, Act Local -
地域に根ざした事業展開を可能にするグローバルネットワーク
ユニークな技術と製品を世界の隅々にまで届け、人の命や社会課題を解決する企業を目指しています。地域に根ざした活動を推進していきます。海外事業は文化の移植です。化学に国境はなく、文化の違いを乗り越えた現地発信(グローカル)にフォーカスしていきます。ボーダレスに価値あるソリューションをタイムリーに世界の市場に提供し、グローバルに存在感ある企業を目指します。
⑥ モノづくり戦略
モノづくり現場の実践から「未来」を創っていきます
● モノづくり現場はValue Center
技術力とイノベーションを生み出す「たくみ」の力とデジタル技術を融合させ、“カネカならでは”の未来の製造現場を作り上げます。
「安全と信頼の工場」をベースとして、モノづくり起点で事業の最大化とマネタイズに拘っていきます。
● 「新たな価値の創出」とサステナブルを体現する工場の実現
DXの取り組みの加速、最先端の技術を取り入れた生産プラントへ進化させ、新製品事業化のスピードとスケールを向上させていきます。カーボンニュートラルの実現に向けて、全社横断的な取り組みと各テーマの前倒しにチャレンジしています。当社のエネルギーソリューション技術により、自治体をはじめとする社会の脱炭素にも貢献していきます。
● モノづくりと「R2B+P」のIntegration
「R2B」とモノづくりが一体となった取り組みを強化し、「たくみ」というCreativityをルーティーンという「しくみ」にスケール化させ、新規技術を競争力ある形でスピーディーに社会実装していきます。
● カーボンニュートラル
当社グループは、国内外グループ会社を含めたScope1・2を対象とし、2030年にGHG排出量の30%削減(対2013年度比)、2050年度にはカーボンニュートラルの実現を目指しています。
Scope1は、石炭ボイラーからガスタービンコージェネレーション設備への更新を決定しました。工場排熱の効率的回収による省エネの徹底、エネルギー多消費設備の革新を進めていきます。Scope2は、再生可能エネルギーや低CO2排出係数の電力活用を進めていきます。
● デジタルトランスフォーメーション(DX)
デジタル技術を駆使した生産革新、全社の業務系デジタルプラットフォームの高度化を通じたDXの実現により、新しい時代に合致した業務へ変革させていきます。
⑦ コーポレート・ガバナンスの充実
当社は、「人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します。」という企業理念のもと、当社が持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させ、株主および投資家、お客様、地域社会、取引先、社員などの全てのステークホルダーと信頼でつながる関係を築きます。企業としての社会的責任を果たすため、最良のコーポレート・ガバナンスを実現します。当社は、当社の多角的かつグローバルな事業展開と、経営資源配分を持続させるために、コーポレート・ガバナンス機能を働かせることが非常に重要であると考え、それが当社の持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に不可欠と考えています。その観点から、意思決定の透明性・公正性を確保するとともに、迅速・果断な意思決定により経営の活力を増大させるためにコーポレート・ガバナンスを充実させます。
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