カナデン 【東証プライム:8081】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループのミッション(存在意義)を「技術と創意で一歩先の未来へ導く」とし、当社グループの技術と創意、そしてパートナー会社の技術を掛け合わせたソリューションで世の中をより良い未来へ導いていくことを掲げております。そして、ビジョン(ありたい姿)を「Creating New Value for Society」とし、お客さまやパートナー会社、ひいては社会全体のために常に新しい価値を創造し続ける集団となり、事業活動を展開してまいります。
当社グループは、永年にわたりエレクトロニクス技術商社として培った技術とノウハウを有しており、常にお客さまの企業価値向上を図るべく事業に取り組んでまいりました。これからもより高い技術力と提案力をもって事業を進化させ、お客さまの課題解決、ひいては社会課題の解決に貢献することにより持続的な成長を実現する「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」であることを志向し続けることを経営の基本方針としております。
(2)中期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
2025年度を最終年度とする中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』では、持続的な成長に向けた収益構造の強化を図り、価値を提供し、社会課題の解決に貢献できる「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となることを目指す5年間としています。
お客さまを最も知るベストパートナーであり続けるため、技術力・企画力を高め、パートナー企業やグループ内の連携を強化し、オリジナルソリューションの提供を通し、高付加価値ビジネスを追求するとともに、社会の変化に即応し持続的に成長できる企業を目指します。
さらに、公明正大な経営を実践するため、コーポレート・ガバナンス体制をより一層強化するとともに、社員一人ひとりが倫理・遵法意識を高く持ち、健全で誠実な事業活動を推し進めてまいります。
新中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』
<基本方針>
SDGsへの取り組みを通じて、社会的課題の解決に貢献し持続的な成長を実現する「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となる。
・お客さまを最も知るベストパートナーであり続ける。
・成長性に重きを置いた戦略の実行と、必要な経営資源を積極的に投入する。
・高付加価値ビジネスを拡大し、収益性の向上を図る。
<基本戦略>
持続的成長に向けた収益構造の強化
① 「深化・進化」による競争力の強化
当社グループ内・パートナー企業との連携強化を図り、システム構築力やエンジニアリング力を強化することで、お客さまの企業価値向上に寄与するオリジナルソリューションを企画・提供し、差別化・競争力を強化する。
② 社会課題の解決を図るため、今後も成長性が高い分野への取り組みを強化
環境問題や労働力不足といった社会的課題の解決を図り持続的な社会の発展に寄与する、環境・エネルギー分野やロボット・自動化分野を始め、今後成長が見込まれる5G・IoT・AI対応分野への積極的な取り組みとそれぞれに対応する技術力の強化を図る。
③ カナデンDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
デジタイゼーションによる業務標準化・効率化にとどまらず、デジタライゼーションによるビジネスモデルの変革を実現し、提案内容の高度化・品質向上につなげるとともに、当社が蓄積してきた情報資産を最大限に活用し、企業間コミュニティを活性化するコンソーシアムの形成を目指す。
④ 多様な人材が能力を十分に発揮できる風土・仕組みづくり
人権の尊重と差別の禁止を徹底するとともに、多種多様な人材がライフイベントとキャリアを両立できるよう積極的な施策を講じ、当社の持続的な発展を担う人材を確保・育成する。
また、ビジネススキル向上や企業理念の浸透を通して個人の「挑戦と革新」の資質を高めるとともに、組織として事業環境の変化に柔軟に対応し、常に変化を志向する。
⑤ 戦略的投資政策の実行
技術力強化に向けたパートナー企業との連携や、新分野への事業領域の拡大を図るためのM&Aの実践。
⑥ 公明正大な経営
外部規律や社会的要請に適うガバナンス体制を構築し、より健全で透明性の高い経営を実践するとともに、全員が高い倫理観を持ち、健全で誠実な事業活動を実践する。
<経営目標数値>
目標数値(2025年度)
・営業利益 57億円,営業利益率 4.5%以上
・ROE 8.0%以上
・戦略的投資等による、売上高100億円の創出
<基本戦略に基づく施策>
(共通)
・全社プロジェクトによる既存重点分野(自動化、エネルギーマネジメント等)の取組強化とともに、新市場、新
商材の開拓を推進する。
・エリア戦略の推進
国内:各ビジネスユニット戦略とエリア戦略のマトリックス経営の推進
海外:ASEAN地区におけるソリューション提案体制の強化
・技術教育を拡充し、ソリューション提案力の強化による差別化を図る。
・カナデンコンソーシアムの形成、活用による創発的な企業間コミュニティへの移行を図り、ビジネスモデルの継続的創出につなげる。
・セグメント横断的なアカウントマネジメント体制の確立による複合販売の推進。
・インサイドセールス機能を整備し、フィールドセールスとのハイブリッド対応による営業力強化を図る。
・成長分野におけるスタートアップ企業との協業による事業創出と、企業再編の活用によるバリューチェーンの拡大を目指す。
(FAシステム)
・ソリューション提案力を強化し、コンポーネントからソリューション、コンサルティングビジネスへの変革を図る。
・蓄積した製造現場の知見やAI・IoT等の新技術の活用や自動化によるお客さまの課題解決やものづくりの進化、安全で働きがいのある職場づくりを支援する。
・海外でのシステム対応力強化に向けたパートナー企業との連携強化。
(ビル設備)
・ビルマネジメントシステムの展開を強化し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)提案の強化を図り、環境負荷の低いエネルギー利用の普及を促進し快適性の向上と消費エネルギーの抑制を両立させる。
・工事、保守サービスを含め一貫したソリューションの展開強化。
(インフラ)
・社会インフラとしての「安心・安全・快適」を支え、進化させるという使命を果たし続けるとともに、交通・公共分野におけるお客さまのビジネスモデルの変革に対応し、従来の領域にとらわれないソリューション提案の拡大を図る。
・気候関連災害や自然災害に備える監視・防災・減災ソリューションの提供により社会や産業の基盤強化に貢献する。
(情通・デバイス)
・医療・介護・健康分野におけるデジタル技術を活用したソリューションの提供推進。
・セキュリティビジネスからトータルICTビジネスへの進化(デジタル分野への拡大)。
・IoTデバイスの進化や5Gの導入による、データの新たな活用や連携方法を可能にする商材の発掘、ソリューションの構築を目指す。
・自動車分野への参入加速。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクや中国経済の動向、欧米のインフレ高進や金融政策等、先行き不透明な状況が続いております。また、労働人口の減少や気候変動への対策も喫緊の課題となっております。
このような状況下、5ヵ年中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』(2021年度~2025年度)では、持続的な成長に向けた収益構造の強化を図り、お客さまへ価値を提供し、社会課題の解決に貢献できる「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となることを目指す5年間としておりますが、社会環境の変化と当社グループにおけるリスクと機会を考察し、以下の項目に注力し取り組んでおります。
① 経営基盤である信頼と信用の向上
企業価値向上に向けた成長の基盤として、まず信頼と信用が重要であると認識しております。
法令違反や社会規範を逸脱した企業活動は信頼を損ない、企業価値を毀損します。さらに、デジタル社会では情報セキュリティの脆弱性が問題となり、外部からの侵入や情報漏洩による信頼低下や損害賠償請求のリスクが高まります。したがって、コーポレート・ガバナンス体制を強化し、透明性の高い経営を実践するため、コンプライアンス委員会やリスクマネジメント委員会の機能を強化し、倫理観を持った健全で誠実な事業活動を推し進めてまいります。また、気候変動等の環境問題への対応は喫緊の課題と認識しており、サステナビリティ委員会を設置するなど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速し、社会的信頼と信用を高めてまいります。
② 変化の時代に応じた事業基盤の強化
製品・サービスの複雑化や高度化、生産拠点やサプライヤーの多様化により、品質低下や欠陥が発生するリスクがあります。信頼の低下や損害賠償請求のリスクを回避するために、サプライヤーとの信頼と信用を築き、新たなサプライヤーの開拓に向け、製品サイト等を活用した活動を充実させ、企業間で補完しあう環境を築き品質向上に努めるとともに、サプライチェーンとの共創を進めてまいります。
また、労働人口減少の中、優秀な人材の確保が重要な課題と認識しており、人事ポリシーに基づいた働きがいと成長の好循環を実現する人事制度の刷新を行い、ダイバーシティの推進を図ります。さらに、働き方改革や健康経営を通じてエンゲージメントの向上を図ってまいります。
③ 市場で勝ち残るための競争優位性の向上
デジタル社会の進展には、商社機能の付加価値低下や既存商材・サービスの競争力低下といったリスクがあります。一方で、M&Aの実施等によるAI・IoT等を活用した技術力強化やソリューション提案力の向上とともに、デジタルマーケティングやインサイドセールス機能といった新たな切り口の拡充を図ることで、商談機会と提案領域を広げ営業力を強化し、新たな事業の創出を図ってまいります。グループ内やパートナー企業との連携により、オリジナルソリューションを提供し、お客さまの企業価値向上に貢献し続けることで競争力を強化してまいります。
④ 技術と創意による事業の成長
気候変動等の環境問題への対応として、環境・エネルギー分野について、企業活動のあらゆる面において地球環境保全と調和に取り組み、当社グループのソリューションを通じて脱炭素社会の実現やGHG排出量の削減に寄与してまいります。また、少子高齢化による労働人口の減少等の社会課題に対しては、ロボット等の自動化システムやAI、IoT技術を活かしたソリューションで日本のものづくりの進化に貢献し、放射線治療装置や介護システムの提案により、長寿社会における健康増進や福祉充実に寄与してまいります。社会インフラにおいては防災・減災設備の提供や、鉄道事業者向け受変電設備等の提供により安全で快適な社会基盤づくりに貢献するなど、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献することで持続的に成長するエレクトロニクスソリューションズ・カンパニーとなることを目指してまいります。
⑤ 資本コストや株価を意識した経営
当社の株価純資産倍率(PBR)は、1.0倍を下回る状態で推移しております。当社の株価とROEとの間には一定の相関関係があることから、収益力の強化と資本効率の向上を図り、ROEを向上させることがPBRの改善につながるものと認識しております。中期経営計画(ES・C2025)では、ROE8.0%以上を達成し、資本コストを上回るROEを実現・維持していくため、資本コストを意識した戦略的な投資と事業ポートフォリオの見直しを行っていくとともに、適切な資本政策も実施してまいります。
持続的な成長の実現に向け、当社グループの価値創造の源泉となるさまざまな資本を拡充するための投資を行っております。人的資本への投資としては、人事制度の改定と教育体系の見直しにより多様な人材が能力を十分に発揮できる制度・風土づくりを進めているほか、積極的なキャリア採用などによる人材の確保・育成を強化しております。知的資本への投資としては、営業支援システム・顧客管理システムの導入や基幹システムの刷新をはじめとするDXに注力しております。従来、各部門や個人で保有していた顧客やパートナー企業の情報、ノウハウや技術情報をシステム上で蓄積・共有・分析することにより有効活用し、新たなビジネスモデルの創出や事業領域の拡大を図ってまいります。社会関係資本への投資としては、M&Aによるグループネットワークの拡充や、取引先との協働による新たな事業の創出・進化に向けた投資を積極的に実行してまいります。
また、お客さまの課題が多様化、複雑化する中、当社グループに求められる役割が変化し、将来にわたって成長し続けるためには、セグメント間のクロスセルを強化し、従来提案しきれていなかった新たな価値を訴求することにより収益性を高めていくことが重要であると認識しております。事業のライフサイクルに応じた最適な資本投下や組織再編を行い、新たな事業機会を着実に次の基幹事業へと成長させてまいります。
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