カシオ計算機 【東証プライム:6952】「電気機器」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループ(当社及び当社の関係会社…以下同じ)が判断したものであります。
当連結会計年度における国内外の経済環境は、北米は堅調に推移しましたが、欧州では金融引き締めが継続しており、景気が足踏みしました。とりわけ中国では不動産市況の低迷や厳しい雇用環境を背景に個人消費も低調となり、景気減速が続きました。また、中東情勢の不安定化による地政学リスクの高まりや為替変動による影響等もあり、先行き不透明な状況が続きました。
当グループは経営理念「創造 貢献」を軸に2030年に向け企業価値を最大化するための基本方針を策定し推進しております。これまで成長の推進力となってきた“新たな価値軸の創造”、経営課題と位置付ける“コアブランドの育成・確立”など価値創造を推進する「コア戦略」と、人材や組織・事業体制などを強化する「基盤戦略」を推進していくことで、カシオらしさを発揮しながら一つひとつ課題を克服し持続的な成長を目指しております。
①収益基盤強化とイノベーション創造
当グループは2024年3月期から2026年3月期までの3ヶ年中期経営計画を推進しており、前半を「収益基盤強化期」と位置付け、収益改善施策・基盤強化施策の実行と、成長領域への戦略投資により事業構造の立て直しに取り組んでおります。
1)時計事業………………………「G-SHOCK」において、タフネス技術を起点とした新デザインカテゴリーの商品開発と地域密着型エリアプロモーションの実施により、中・高価格帯流通の拡大を図ってまいります。また、注力地域であるインド・アセアン市場の拡大加速及び、直営店・直販ECビジネスの拡大を推進してまいります。
2)EdTech(教育)事業……関数電卓は、新興国を中心に教育需要の創出や教育関係者とのネットワーク強化を進めるとともに、教育アプリ「ClassPad.net」はユーザーの囲い込みに注力してまいります。
3)サウンド(楽器)事業…………電子ピアノ「Privia」や「CELVIANO」のブランド認知度の拡大と高付加価値ジャンルのシェア拡大を継続的に取り組むとともに、コストダウン、サプライチェーン強化を継続し収益構造の見直しによる利益改善を図ってまいります。
4)システム事業…………………PA(ハンディターミナル)事業の新規開発停止、新規顧客への販売停止、及びSA(電子レジスター)事業を終息させ、成長領域に集中して取り組んでまいります。
事業構造の立て直しにより収益基盤強化を図り、より成長性の高いコア事業、ネクストコア領域へ成長投資していく「変革・イノベーション創造期」へと繋げることで持続的な成長を目指してまいります。
②資本収益性・資本効率性を意識した経営
当グループは、キャピタルアロケーション方針に基づき、バランスシートの効率化によりフリー・キャッシュ・フローの創造に努めるとともに、財務安全性を確保しながら手元資金を有効活用し、コア事業への成長投資及びアライアンス等の戦略投資を促進することで、中長期的な成長とROEの持続的な向上を図ってまいります。また、資本コストを意識した事業活動の推進及び株主還元強化により資本効率性の改善を図ることで、引き続き企業価値の向上を目指してまいります。
③事業を通じたサステナブルな社会への貢献
当グループにとってのサステナビリティとは、「創造 貢献」という経営理念のもと、企業活動を通じて当グループと社会の持続的成長を目指すことと考えております。当グループが提供する多くの製品・サービスは一般消費者向けであり、当グループが持つ技術と創造力をもって、お使いいただく方たちにとって日々の暮らしをより豊かにするとともに、地球環境保全にも貢献することが使命であり、重要であると考えております。
時計事業においては、再生可能な有機資源由来の物質を原料とするバイオマスプラスチックを使用しても過酷な環境下で強度・耐久性を保持する「G-SHOCK」を開発・設計・製造し、販売しております。また、当グループは地球全体の大きな環境問題である「脱炭素社会の実現」を推進しています。国内外の主要拠点での再生可能エネルギーへの切り替えを推し進め、脱炭素2050年実質ゼロに向けたエネルギー戦略を実践しています。さらに、組織や社員のパフォーマンスを最大化し、企業価値向上につながる人的資本経営を強化するなど、企業成長と社会発展の両軸を重視したサステナビリティ経営を引き続き強化してまいります。
④コーポレート・ガバナンス機能の強化・充実
当社は、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、迅速な意思決定や適切な業務執行とともに、経営監視機能の強化を重要課題と位置付けており、2023年より、監督機能と執行機能の分離をもう一段進めるべく会長が経営の監督を、社長が経営の執行を担当する新経営体制に移行いたしました。また、当社のビジネス特性と将来像を見据えつつ、取締役会の監督機能が自律的かつ継続的に発揮できるよう、取締役に対して期待する知識・経験・能力等を一覧化したスキル・マトリックスの見直しを行うとともに、取締役会の実効性をさらに高めコーポレート・ガバナンス体制の充実を図るため、社外取締役を1名増員することといたしました。当グループは企業価値の向上と持続的な成長を実現できる強固な経営基盤を形成するべくコーポレート・ガバナンス機能の強化・充実を推進するとともに、引き続き健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成にも努めてまいります。
また、2023年10月、教育アプリ「ClassPad.net」のシステムへの不正アクセスにより、当システムに登録されている国内外の一部のお客様の個人情報が、外部に漏えいしたことが判明いたしました。当グループではこのような事態が発生したことを厳粛に受け止め、ネットワーク経路及びデータベースに対し、セキュリティ強化施策を行うなど技術的な安全管理を強化するとともに、運用管理面では、セキュリティ運用ルールの見直し、及びセキュリティ対策に関する教育を行う等、再発防止を図りました。今後もこれらの施策を継続しセキュリティ強化に取り組んでまいります。
当社の経営理念である「創造 貢献」という考え方は、当社独自の強みを最大限に活かし、時代の変化に合わせて常に新しい文化を創造することで、世の中の役に立ち続ける、ということを意味しています。当グループは、この貢献のための創造を通じて、人々の暮らしの中に溶け込み、必要としてくれる人にとって最も大切な存在となるような、新しい価値を生み出し続ける企業を目指しています。
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