カクヤスグループ 【東証スタンダード:7686】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティの基本方針と取組み
当社グループは、2022年8月にグループ横断的なプロジェクトとして「サステナビリティ準備プロジェクト」を立ち上げ、サステナビリティ基本方針の策定及びマテリアリティの特定を進めてまいりました。サステナビリティ基本方針の策定及びマテリアリティの特定にあたっては、当社グループのバリューチェーンから考えられる「リスク」と「機会」を抽出し、「社会にとっての重要性」と「当社グループにとっての重要性」の視点で討議を行い、酒類販売事業を行っているという「当社グループの独自性」を加味し、取締役会での決議を経て、下記6個のマテリアリティを特定しました。
<サステナビリティ基本方針>
カクヤスグループは、「お客様のご要望に『なんでも』応えたい」という想いの実現に向け、ステークホルダーとの協働・共栄を通して、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指してまいります。
<マテリアリティ(重点課題)>
① 環境
② 酒・飲食文化と社会問題
③ コミュニティ
④ サプライチェーンマネジメント
⑤ 人財
⑥ ガバナンス
また、当社グループは、全社的な視点からサステナビリティ経営を推進していくための機関として2023年4月1日にグループサステナビリティ委員会を設置しました。グループサステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、当社及びグループ各社の取締役がそのメンバーとなっており、更に当社グループの社外取締役もオブザーバーとして参加しております。その上で、グループサステナビリティ委員会は、取締役会に定期的に報告する形を取っております。
更にグループサステナビリティ委員会の配下に6個のマテリアリティごとに分科会を設置し、分科会が各マテリアリティについての具体的な施策の検討・推進を行う体制としております。
グループサステナビリティ委員会は、各分科会から取組みについての報告を受け、テーマ毎の目標の承認と必要な助言を行ってまいります。また、サステナビリティに関するリスクと機会の分析を行い、リスク状況を網羅的に把握し、対応策のモニタリングを継続的に実施してまいります。影響度の高いリスク項目については、当社グループのリスク管理委員会にも共有し、当社グループ全体のリスク管理体制の中で管理してまいります。
取締役会は、グループサステナビリティ委員会より報告を受け、進捗や目標の達成状況を監督し、適宜、方針・取組みの見直しを行ってまいります。
これらの関係性を図示しますと以下のようになります。
体制 | 構成 | 役割 | 開催頻度 |
グループサステナビリティ委員会 | 当社取締役 グループ各社社長及び副社長 | ・グループのサステナビリティ方針の策定 ・サステナビリティ戦略の決定 ・グループ全社従業員への啓蒙活動 | 四半期に1回 |
分科会 | グループ各社取締役、執行役員 関係部署担当者 | 各マテリアリティの具体的検討及び推進 | 随時 |
(2)気候変動に対する取組み(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)
①ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティに関わる方針、活動、施策を定め推進する「グループサステナビリティ委員会」を四半期に一回の頻度で本委員会を開催してまいりますが、気候変動対応を本委員会の最重要課題として位置付けております。本委員会の傘下に、環境問題に関わる当社及び事業会社の環境担当者を中心とした「環境分科会」を設置しており、気候変動関連事項についての詳細な検討を行ってまいります。また、気候変動に関する本委員会の決定事項は、環境分科会を通じて当社グループに情報を展開して浸透させてまいります。
②戦略
当社グループは、事業全体の脱炭素化への歩みを進めるべく、今後起こり得る様々な事態を想定し、課題を把握して戦略立案とその実行に繋げるよう、TCFD提言や事業環境固有の状況を考慮したシナリオ分析を行ってまいります。移行リスクについては、政策や立法の動向、気候変動関連の技術開発動向、主として酒類飲料製品に係る市場の動向、顧客嗜好についての潜在的なシナリオに基づく評価を行ってまいります。また、気候変動が当社事業に影響するリスク(物理的リスク)についても、機会の抽出とともに対応してまいります。現時点で想定する主要なリスクと機会については下記のとおりです。
<影響度が高いと考えるリスク・機会>
ⅰ.想定するシナリオの定義
IPCCの「1.5℃特別報告書」において、気温上昇を約1.5℃に抑えるためには、2030年までに2010年比で世界全体のCO2排出量を約45%削減することが必要という見解が示されたことを踏まえ、当社グループでは、シナリオ分析を実施し、その結果に応じて戦略の見直しを適宜行ってまいります。現時点でのシナリオ分析により特定した主要なリスク、機会とその対応を以下に示します。なお、シナリオについては、以下のように定義します。
・想定期間と温度上昇シナリオ 中期:2030年まで、1.5℃ 長期:2050年まで、4℃
※対象事業は、当社グループの全事業です。
ⅱ.主な移行リスク
[項目] 政策と税制
[影響] 我が国で政府による炭素税が導入され、当社グループの収益低下に繋がる可能性があります。
[対応] 当社グループ事業の脱炭素化に向けた取組みは緒に就いたばかりでありますが、仮に炭素税がt-CO2eあたり10千円と仮定すると、その影響は大きいと見ております。物流拠点、店舗、事務所などの省エネルギー化、温室効果ガスの排出量削減などの取組みを通じてこの影響を減らしてまいります。
[項目] 市場と顧客の動向
[影響] 消費者のサステナビリティへの関心が高まり、対応が遅れた企業のサービスを消費者が忌避することで当社グループの収益が低下する可能性があります。
[対応] 当社グループのサプライヤーである大手ビールメーカーや主要顧客の一つである大手外食チェーンは、サステナビリティへの取組みが当社のそれより先行している所が多いですが、一早く追随し、サステナビリティ活動を推進してまいります。また、適切なマーケティング活動を通じて消費者の購買行動を把握するとともに、適切な営業活動を行ってまいります。
ⅲ.主な物理的リスク
[項目] 異常気象の発生
[影響] 全国規模での気象災害により、当社グループが保有する資産が罹災し、事業が継続できなくなり収益が低下する可能性があります。また、主要顧客の飲食店が被災し、商品を納入できなくなり当社グループの収益低下に繋がる可能性があります。
[対応] 当社グループ全体についての事業継続に関するBCP対策を進めてまいります。
[項目] 平均気温の上昇
[影響] 平均気温の上昇による労働条件悪化が配達従業員の作業効率に悪影響を及ぼし、収益の減少に繋がる可能性があります。また、消費者の嗜好に変化が起こり、季節商材などの売上が減少する可能性があります。
[対応] 物流施設や店舗での就業条件の改善を検討してまいります。商材の拡充に努め、適切なマーケティング活動を通じて消費者の購買行動を把握するとともに、適切な営業活動を行ってまいります。
ⅳ.主な機会
[項目] 温室効果ガス低排出サービスの開発
[影響] 酒類・飲料メーカーが輸送の低炭素化や容器のリユースを進めること、さらにリターナブル梱包のニーズが拡大することにより、配達だけでなく回収の機能を担うことが可能な当社グループへのニーズが高まり収益が増加する可能性があります。
[対応] 空容器の回収は従来から実施しておりますが、自社物流体制をとる当社グループの強みを活かし、新たなサービス展開を検討してまいります。
[項目] 新市場へのアクセス
[影響] 気温上昇に伴い宅配需要が高まる中で、酒類以外の新たな宅配商品市場に参入することにより収益が増加する可能性があります。
[対応] 自転車配達や回収ニーズのある新規商品開発などを検討してまいります。
③リスク管理
当社グループは、TCFD提言に基づき、気候変動関連のリスク及び機会を捕捉し評価してまいります。リスクと機会の抽出は、当社グループ全体を対象に各事業の主管部門及び本委員会事務局が行います。抽出されたリスクと機会については、環境分科会で討議した後に本委員会に報告し、本委員会が必要に応じてリスクの低減、統制、移動、受容について検討してまいります。また、影響度の高いリスク項目については、当社グループのリスク管理委員会にも共有し、当社グループ全体のリスク管理体制の中で管理してまいります。
④指標及び目標
当社グループ事業の約8割以上は、酒類・飲料を中心とした商品をお客様へ配達することから成り立っており、主に配送行為によって生じる温室効果ガスの削減が課題になります。短期的な指標は定めておりませんが、現時点では2050年までの長期目標として温室効果ガスの排出量をネットゼロとすることを掲げております。この目標達成のためのマイルストーン(道標)として、当社グループが自社で直接排出するスコープ1(自社車両、物流拠点、オフィスなどでの直接排出量)、及びスコープ2(自社で電力などを消費したエネルギーによる間接排出量)を計測しました。
スコープ1、スコープ2の温室効果ガス排出量
分類 | 排出量 (単位: t-CO2) | 対象 |
スコープ1 | 4,439 | 当社及び連結子会社5社 |
スコープ2 | 5,723 | 同上 |
合 計 | 10,162 |
|
※ 集計期間: 当社グループ各社の2021年度決算期間(12か月)
スコープ1、2の目標削減量につきましては、今後検討してまいります。また、スコープ3(スコープ1,2以外のサプライチェーン上での温室効果ガス排出量:その他の間接的排出量)の計測可否につきましても今後検討してまいります。
なお、算定対象期間とした2021年度は、コロナ禍で当社グループの業績が大きな影響を受けた期間でありますので、今後の計測値と比較して、温室効果ガスの排出量が過小となる可能性があります。
(3)人的資本、多様性に関する取組み
当社グループは創業から100年を数え、この先の100年もお客様から求められる企業であり続けるために、お客様からの“ありがとう”に仕事の喜びを感じる人財を採用し、社会に貢献できる人財の成長を支援します。
当社グループで働く従業員が働くことにやりがいを感じられる会社であり続けるために、採用・育成・環境整備の軸となる人事ポリシーを定め、人的資本に関する諸施策を進めてまいります。
①人事ポリシー
今後もお客様から求められる企業であり続けるために、カクヤスグループのアイデンティティである「カクヤスグループを支える5つの条件」「スピリット・オブ・カクヤス」を従業員へ浸透し続けることが不可欠であると考えております。
カクヤスグループは、アイデンティティに込めた想いに「共感」する従業員一人ひとりに対し、多様な価値観・ライフスタイルの中で最大の成果が出せるように、成長の機会を提供し、応援し続けることで、個と企業が互いに成長し合える環境を目指します。
<カクヤスグループを支える5つの条件>
<SPIRIT OF KAKUYASU>
②人財育成方針
当社グループのサービスの創造の源泉である「地域としてのコミュニティに自然ととけ込む存在でありたい」「お客様のご要望になんでも応えたい」を具現化していくためには、自律・自立型従業員の育成を行い、従業員の目標と事業戦略のベクトルを合わせて人財価値を最大化させることが重要であると考えます。従業員の成長を会社が応援し、一人ひとりの能力・やる気の高まりを循環させることで従業員が成長を実感していく循環型育成を目指してまいります。
<循環型育成図>
<自律的なキャリア構築を支援する主な制度>
等級、職種による各種研修制度について年間計画を立てて実施しておりますが、研修以外の支援施策については、以下のとおり実施しております。
自己申告制度 (全社員対象 年1回) | 仕事に対する達成度合い、キャリアプラン、保持資格、職場環境等について、本人からの申告を元に組織異動等を実施しております。 |
資格支援制度 | お酒に関する資格取得の促進を目的に、難易度等をもとに合格した社員へ報奨金を支給しております。 また、今後については、業務に関係無く、多様なキャリア選択が可能な資格取得についても支援を検討しております。 |
キャリア相談窓口の設置 | キャリアカウンセラー資格を持つ社内外のスタッフによる相談を実施しております。 |
③社内環境整備方針
企業が継続し続けるためには、従業員が健全な状態で、安心して活き活きと働ける職場環境を整備することが重要と考えております。従業員が意欲をもって働き続けられるよう、健康経営をはじめ、円滑なコミュニケーションの推進、福利厚生諸制度の充実、交通事故の防止、労働安全衛生体制の構築を社内外の関係各所と連携し、心理的安全性の高い職場で従業員が心身ともに満足した状態で、楽しく働くことができる環境作りに努めております。また、エンゲージメントサーベイも検討しており、従業員の声を数値的に捉え、実効性の高い取り組みを進めてまいります。
<主な取り組み内容>
ⅰ.健康経営
当社グループ4社は、優良な健康経営を実践している企業に対して、経済産業省・日本健康会議が顕彰する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されました。2022年度に続き、当社は4年連続、株式会社カクヤスは3年連続、ダンガミ・サンノー株式会社と明和物産株式会社は初の認定となります。健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくり、各種研修、交通事故や労災への各種対策を行っていることが評価されました。
ⅱ.コミュニケーション
従業員間、会社と従業員、部門間、グループ内会社間と交流の機会を増やすことで、さまざまなつながりを意識する機会を設け、当社グループならではであるチームプレーでの業務遂行力を高めてまいります。
・社員総会の開催(年2回)
事業の方向性、各部門の施策等共有しております。
・家族も含む社員親睦会の開催(年1回/1人)
部門間、家族交流を目的に、バーベキュー等の飲食イベントを開催しております。
・同好会活動
サッカー、野球、釣り、バイク等の各種活動の費用を支援しております。
ⅲ.労災・交通事故の防止
グループ全体の安全衛生体制を構築するために、毎月1回中央安全衛生会議を実施し、労災削減への具体的施策の検討、健康を維持するためのリスクの逓減について、産業医及び各部門から選定された委員にて活発な意見を出し合いながら積極的に取り組んでおります。また、その内容については、本社及び子会社の各事業所の安全衛生委員会へ共有を行い、更に周知の和を広げております。
交通安全については、朝礼時の啓発や、車輛搭載のドライブレコーダーにて、安全運転の記録をデジタルで可視化することで車輛を運転する従業員の安全運転の確認及び教育に役立てております。
④多様性に関する活動
当社グループでは、ダイバーシティマネジメントの専門組織を設け、各種施策を実施しております。当社グループ全体としては、指導的地位にある女性の比率を2030年度末までに30%という政府目標を支持し、中長期の視点で性別に関係無く活躍できる環境づくりを推進しております。また多様な人財の活躍を支援するための施策として、柔軟な働き方を実現する各種制度をはじめ、中途入社社員の積極的な採用、退職した社員の再入社、アルバイトからの正社員登用の促進、障碍者雇用の推進、性自認及び性的指向等を問わず、働きやすい職場づくりなどを進めています。多様な価値観や意見がぶつかることで個の創造が高まり、組織力の最大の発揮に結びつくものと考えております。また、ホットライン窓口(相談・通報制度)を設け、各種相談を受け付けております。
<多様性の指標>2023年3月31日現在
| 女性管理職比率 (注)1. | 中途入社率 (注)2. | 新卒入社率 (注)2. |
連結 計 | 8.2% | 69.7% | 30.3% |
株式会社カクヤスグループ | 0.0% | 66.7% | 33.3% |
株式会社カクヤス | 7.1% | 65.2% | 34.8% |
ダンガミ・サンノー株式会社 | 15.8% | 97.4% | 2.6% |
明和物産株式会社 | 0.0% | 100.0% | 0.0% |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。女性管理職比率が低くなっている主要因は、当社では従業員数が6名と少ないこと、各子会社においてはドライバー職など男性比率の高い職種が従業員全体の割合を大きく占めていることがあげられます。
2.2023年3月31日付在籍者の採用区分比率であります。当社グループ全体で中途入社率が60%以上と高い比率になっており、各社において多様な経験、価値観をもった人財が活躍しております。
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