オーハシテクニカ 【東証プライム:7628】「卸売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する基本的な考え方と推進体制について
当社グループは、環境問題や社会問題などサステナビリティを巡る課題への対応、即ちESGへの対応を重要な経営課題の一つとして位置付け、これまで以上に積極的な取組みを推進するため、2021年9月に「ESGポリシー」を制定しました。
〔オーハシテクニカグループ ESGポリシー〕 オーハシテクニカグループは、自社が保有する技術・ノウハウを活用した新たな価値の創造と、次に掲げるESGを重視した健全な事業活動を通じて、「社会的な価値と当社の経済的価値」の最大化を図り、社会と当社グループの持続的な成長を目指します。 ① Environment(環境) 環境に係わる国内外の法令・規制を遵守するとともに、気候変動への対応、省資源・廃棄物削減対応、化学物質管理、生態系保護等、環境問題の解決に積極的に取り組みます。 ② Social(社会) すべてのステークホルダーの基本的人権を尊重することを宣言します。 そして、国際的な行動規範等を尊重しつつ、高い倫理観をもって行動します。 また、従業員の労働環境、安全、衛生について十分に配慮し、更なる改善に努めます。 ③ Governance(ガバナンス) 国内外の法令・規制を遵守し、公正かつ良識ある企業活動を行います。 経営の透明性確保や、危機管理の徹底のために適切な体制を整備します。 |
また、2021年9月にサステナビリティ関連業務の推進、実行、管理等を行うために会議体として取締役会の直下に「ESG推進会議」を設置するとともに、ESG関連業務の専門部署として「ESG推進室」を設置しました。
当社グループは、このESG推進会議において、サステナビリティに関するリスクを定期的にモニタリングしており、その中でも経営への影響が大きいと判断され、対応の強化が必要なリスクは、取締役会及び内部統制委員会に報告しております。上記のプロセスを経て、サステナビリティに関するリスクについて取締役会による監督体制の下、当社グループにおける重要な企業リスクの一つとして、戦略に反映し、対応しております。
<ガバナンス体制図>
(2)気候変動に対する取組(TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示)
TCFD提言は、世界共通の気候関連情報開示の枠組みであり、すべての企業に対し、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の4つの項目に沿った開示を推奨しています。その枠組みに沿った気候関連情報は以下のとおりです。
<ガバナンス、リスク管理>
当社グループでは、ESG推進会議にて全社レベルでESGに関する方針・目標・実行計画の策定、及びリスク・機会の特定、ESG目標(KPI)に対する推進管理や評価、個別施策の審議、重点課題の策定と推進を実施しています。
気候関連リスクについては、環境マネジメントシステムと、ESG推進室によるCO2排出量施策推進管理を通じて毎月、モニタリングしており、主要なモニタリング項目については、毎月、施策ごと、拠点・部門ごとの進捗状況をESG推進室から取締役会に報告しています。取締役会ではリスク・機会、ESG目標のモニタリングを実施し、気候関連リスクを、経営上重大な影響を与える可能性がある「主要なリスク」と統合した上で本リスクの低減策について審議し、決定を行っております。
<戦略>
当社グループでは、気候変動が自社の事業活動に及ぼすリスク・機会に関して、外部環境の変化や様々な状況下におけるリスクや機会を考慮するため、IEA(国際エネルギー機関)の「World Energy Outlook」や政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートなどを参考に、「脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)」と、「温暖化進行シナリオ(4℃)」の2つのシナリオを設定し、双方のシナリオにおいて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析及び、対応策の立案を実施しました。
当社グループのリスク・機会の概要と事業への影響
リスク/機会 | 当社事業への影響 | 影響度 | 時間軸 | 対応策 | ||
リスク | 移行 | 政策規制 | 炭素税の導入等によるコストの 増加 | 中 | 中~長期 | ・再エネ導入、省エネ活動の促進 |
技術 | 素材・原料を低炭素材料に切り替えることによる調達コストの増加 | 大 | 中~長期 | ・得意先との連携による低炭素 製品の取扱い拡充 ・サプライチェーンマネジメント の強化 | ||
市場 | ・化石燃料や再生可能エネルギー の高騰 ・低炭素素材へのシフトによる 調達コストの増加 | 大 | 中~長期 | ・得意先との連携強化 ・Scope3排出量削減強化 | ||
評判 | 評判悪化による企業価値の低下 | 大 | 中~長期 | ・カーボンニュートラルに向けた 取り組みの情報開示 | ||
物理 | 慢性 | 沿岸地域の施設・設備被害 による売上減少・コスト増加 | 中 | 中~長期 | ・高リスク拠点の移転検討 | |
急性 | 災害による事業拠点及び サプライヤーの操業停止 | 大 | 中~長期 | ・BCP対策の高度化 | ||
機会 | 製品/ | EV、電動化車両の普及 | 大 | 中~長期 | ・高精度、小型、軽量な製品を 製造する独自技術の更なる 進化と適用部品領域の拡大 | |
レジリエンス | ・安定した製品提供による需要 増加 ・リスク分散、配送ルート 最適化による需要増加 | 中 | 中~長期 | ・新たなサプライヤーの開拓 ・物流拠点間の連携による納品 継続への注力 |
(影響度の定義)大:売上の1%以上の影響、中:売上の0.1%~1%の影響、小:売上の0.1%未満の影響
(時間軸の定義)短期:~1年、中期:1年~4年、長期:4年~27年
<指標と目標>
当社グループでは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、温室効果ガス排出量を指標と捉え、GHGプロトコルに基づき算定を実施しております。気候変動問題への取り組みとなる「地球環境課題への対応」では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたCO2排出削減活動の推進のため、2018年度のScope1,2排出量実績7,200tを基準として、「2030年度にScope1,2の排出量の50%削減」、「2050年度にScope1,2を100%削減」と脱炭素シナリオに沿った長期目標を策定しております。当社グループは今後、2050年カーボンニュートラルに向け更にCO2削減の取り組みを強化してまいります。
当社グループの温室効果ガス排出量 削減目標
(t-CO2)
| 2018年度(基準年)排出実績 |
| 2030年度削減目標(削減率) | 2050年度削減目標(削減率) |
Scope1+2 | 7,200 |
| 3,600(▲50%) | 7,200(▲100%) |
当社グループの温室効果ガス排出量
(t-CO2)
| 2021年度 | 2022年度 |
Scope1 | 514 | 525 |
Scope2 | 4,301 | 4,096 |
Scope1+2 | 4,851 | 4,621 |
Scope3 | 172,440 | 159,572 |
※ 当社グループでは、2023年6月に「オーハシテクニカグループ TCFD提言の枠組みに沿った情報開示」を作成し、より詳細な情報開示を行っています。当社WEBサイトをご参照ください。
https://www.ohashi.co.jp/ja/environment.html
(3)人的投資、多様性に関する取組
① 人材の多様性確保を含む人材育成に関する方針、及び社内環境整備に関する方針
自動車業界は大きな構造変化とカーボンニュートラル等の社会的課題に直面しており、その中において当社の更なる成長を支える人材の育成は経営の最重要課題の一つです。当社は性別・年齢・経験等の属性に係わらず多様な人材が集い、能力を如何なく発揮し、その成果が公正に評価され、適切に処遇に反映される仕組みを作るとともに、役職員の成長をサポートする教育・研修システムのレベルアップに取組んでいます。
② 戦略
社内における人材の多様性を確保し、多様性による組織内活力の創造を図るべく、性別・国籍・社歴等に係わらない人材登用を行う方針を明確にしています。そしてそれら多様な人材が働きがいを感じ、長期間にわたり勤務できるよう以下の環境整備に取組んでいます。
(a)能力・成果の公正な評価と評価に見合う処遇の実施
・人事制度、評価制度の再構築
・報酬体系の見直し(退職金制度改定を含む)
(b)ダイバーシティ(多様性)の推進
・中核人材登用における多様性の確保(女性、中途入社社員、現地社員等)
・シニア人材の活躍の推進(65歳への定年延長、65歳以上の嘱託制度設置)
・障がい者雇用の推進
・働き方改革の推進(有給休暇の取得推進、時間外勤務の削減、ITを活用した業務の効率化等)
(c)役職員の成長サポート、人材投資
・経営人材の育成、次世代管理職の育成、専門性向上、ITスキル等の新たな時代の変化に対応できる能力の開発を図るための教育・研修プログラムのレベルアップ
③ 指標、目標と実績
上記の方針に基づく多様性確保の進捗状況を端的に示す指標、及びその目標と実績を以下の通り設定しました。
(a)管理職に占める女性労働者の割合(提出会社、オーハシ技研工業㈱)
2023年3月31日現在
| 2023年3月期実績(%) | 2026年3月期計画(%) | 2031年3月期目処(%) |
提出会社 | - | 8.6 | 13.2 |
オーハシ技研工業㈱ | - | 8.3 | 14.3 |
女性管理職の登用について、国内では提出会社及び開示対象の子会社オーハシ技研工業㈱においては女性管理職が現状おりませんが、次世代管理職層の育成に鋭意務めております。(当社の管理職数30名、オーハシ技研工業㈱ 10名)
なお、海外では女性社員の管理職登用は相応に進んでおり、特に中国、アセアン(タイ)では既に多くの女性管理職が重要な地位を占めています。地域別、グローバルでの女性の管理職への登用状況は次の通りです。
今後ともグループ全体において性別に係わらない管理職への登用を積極的に進めてまいります。
2023年3月31日現在
地域 | 管理職に占める 女性労働者の割合(%) |
日本 | - |
米州 | 13.9 |
中国 | 23.1 |
アセアン | 30.0 |
欧州 | 16.7 |
台湾 | - |
グローバル(連結) | 15.2 |
(b)採用者に占める女性労働者の割合(提出会社)
2023年3月期実績(%) | 2026年3月期計画(%) | 2031年3月期目処(%) |
9.5 | 23.8 | 28.6 |
採用者に占める女性労働者の割合は現段階では低位に留まっていますが、新卒採用、中途採用において女性社員の採用に積極的に取組んでおります。
(c)管理職に占める中途社員の割合(提出会社)
2023年3月期実績(%) | 2026年3月期計画(%) | 2031年3月期目処(%) |
60.0 | 60.0 | 56.4 |
当社の管理職における中途社員の割合は、ライン部門(営業、調達、品質保証)で36.8%、管理部門で100%、合計で60.0%を占めており、中核社員登用において社歴に係わらない登用が定着しています。
引続きライン部門での比率向上に努めてまいります。
(d)有給休暇取得率(提出会社)
2023年3月期実績(%) | 2026年3月期計画(%) | 2031年3月期目処(%) |
65.7 | 70.0 | 70.0 |
当社の有給休暇取得率は65.7%ですが、全社で期初に有給休暇取得計画を策定し、期中にその計画的消化を図ることで、今後も取得率の向上に努めてまいります。
(e)男性の育児休暇取得率(提出会社)
2023年3月期実績(%) | 2026年3月期計画(%) | 2031年3月期目処(%) |
66.6 | 100.0 | 100.0 |
2022年度に配偶者が出産した男性従業員のうち、育児休業等を取得した男性従業員数の比率は66.6%でした。今後も男性社員の育児休暇取得の定着に努め、2025年以降は100%の取得を目指します。
④ その他取組事項、実績
(a)シニア人材の活躍推進
当社は2023年4月より定年制度の65歳までの延長・65歳以降の嘱託制度の設置、及び退職金制度の改定を行うことを決定しました。これによりシニア人材が65歳まで正社員として安心して働き、その後も最長70歳まで働ける環境を設置するとともに、退職金水準の改定を実施しました。
(b)役職員の成長サポート(教育体制)、人材投資
a. 当社では、社内教育を担う推進母体である「教育推進委員会」が独自の社内教育システムを運営しています。具体的には、部門長向けの「経営管理者教育」を始め、「リーダー教育」「中堅教育」「基礎教育」「新入社員研修」からなる集合教育とOJTを実施しています。
b. 更に技術知識試験制度として「見積技能・商品知識試験」、自己啓発による応募論文制度として「研修論文制度」を長く運営しており、社員の技術知識水準の向上、自己啓発意識の醸成に努めています。
c. これら教育研修費用、新卒・中途の採用費用・入社後研修費用、人事制度改定等に伴う投資等を「人的資本投資」と捉え、今後も積極的な投資を行ってまいります。
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