オークマ 【東証プライム:6103】「機械」 へ投稿
企業概要
当グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
(1) 事業戦略を通じた社会課題の解決
世界が多岐にわたる環境・社会課題に直面する中、当グループは、企業理念やパーパス、そして事業活動をSDGsのゴールや課題に整合させることによって、当グループの「持続的成長」を図りながら「持続可能な開発」、「持続可能な社会」の実現に貢献していく考えです。
持続可能な社会の実現に向け、当グループはイノベーションの創出を通して、少子高齢化に伴う労働力不足や脱炭素社会の実現等の社会課題の解決に貢献してまいります。またイノベーションを生み出す源泉は人材と考え、先端技術の研究・熟練技術の習得促進、ダイバーシティの推進、働きやすい環境づくり等、人的資本の強化を進めてまいります。
オークマのサステナビリティ課題(6つの社会課題) |
・熟練技能者の減少と技術伝承 ・労働人口減少 ・ニーズの多様化に対応する高効率で柔軟な生産、 マスカスタマイゼーションへの対応 ・環境負荷低減、脱炭素社会の実現 ・サプライチェーンの強靭化 ・安心・安全なものづくり、サイバーセキュリティ |
オークマのマテリアリティ | ||
イノベーションの創出を通してものづくり産業の持続的な成長に貢献する | ・生産性向上を実現する ソリューションの提供 | スマートマシンの提供 ・ユーザビリティと高生産性を両立した |
スマートファクトリーソリューションの提供 ・容易に実現可能な自動化・無人化 ・スマートマニュファクチャリング | ||
ものづくりDXソリューションの提供 ・サイバーフィジカル ・サイバーセキュリティ対策 | ||
・環境配慮型製品・技術 の開発、提供 ・生産過程における 環境負荷の低減 | ものづくりDXソリューションの提供 ・脱炭素ソリューションの提供 | |
イノベーションの源泉となる人材を育成する | ・技術の研究と熟練技術の習得の推進 ・ダイバーシティの推進 ・働きやすい環境づくり |
(2) 脱炭素社会の実現への貢献
当グループは、低環境負荷の製品を開発し提供することは、お客様のニーズに応えることであると共に、脱炭素社会の実現に資するものと考え、2021年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、TCFDのフレームワークを踏まえた気候変動への対応を進めております。
①ガバナンス
当グループは、気候変動への対応をマテリアリティに位置づけています。具体的な目標や計画、施策は、当社の環境マネージメントシステムを統括する「安全・環境会議」、及び機会管理を行う「ESG推進室」の提言を踏まえて、半期に1回、当社の全部門が参加する会議にて事業計画として策定しています。同計画は当社の執行役員会での承認を経て、その内容や進捗は当社の取締役会に報告しています。また施策の進捗状況は全ての部門が参加して毎月開催される当社の経営会議で報告・議論され、必要に応じて追加措置や強化策などを施しております。
②リスク管理
「環境委員会」は毎月1回開催され、環境に関するリスクを評価・管理しています。評価結果は当社の各本部の担当役員及び本部長で構成する「安全・環境会議」で審議され、特に重要とされたリスクについては、社長を議長とする執行役員会で審議しております。
③戦略、リスクと機会
当社は主要生産拠点である国内の本社、可児、江南工場について、4℃シナリオと2℃シナリオの2つのシナリオにより気候変動が及ぼすリスクと機会について評価を行いました。その結果、物理リスクは軽微であると判断しております。移行リスクにつきましては、主にはScope2に相当する電力消費に伴うCO2の間接的な排出に伴うものであり、自社内において温暖化ガスが大量に発生する機器、工程はないことを確認いたしました。
また、気候変動への対応は、製品を生産する際のCO2排出量削減はもとより、お客様の工場で稼働する際の消費電力の削減が重要であることを認識し、高い生産性と高エネルギー効率を併せ持つ環境負荷の技術・製品を提供することでお客様の脱炭素化のニーズに応え、脱炭素社会の実現に貢献すると共に、気候変動、脱炭素化の対応は当グループの成長の機会としてまいります。
移行リスク・物理リスク
項目 | 想定されるリスク | 財務への影響 | 対応 |
政策・ 法規制 | ・炭素税、環境税等の導入及び省エネ、 地球温暖化に関する法令、条例の強化 に対応するための事業コストの増加 | 中 | ・2030年度までにScope1、Scope2での カーボンニュートラル達成、 2050年までにバリューチェーン (Scope1、2、3)全体での CO2排出実質ゼロを目指す |
技 術 | ・低環境負荷の製品への移行 ・省エネ製品・技術の市場競争激化に よる開発コストの増加と技術者不足 | 小 | ・機電情知融合の強みを活かした、 省エネ製品・技術の開発・拡販の強化 ・オープンイノベーションの取組み 推進 |
市 場 | ・脱炭素化に伴う原材料等の価格高騰 及び入手困難による生産への影響 ・電力等、エネルギー価格高騰による 操業コストの増加 ・CO2排出量等、製品使用段階における 環境負荷のトレーサビリティの確保 の要請 | 大 | ・環境負荷を考慮した上での購買先の 多様化 ・原材料、部材の使用量削減 ・省エネ設備への更新や再生可能 エネルギーの導入等による環境負荷 の低減 ・環境負荷の見える化を提供する 技術・製品の開発 |
評 判 | ・気候変動対応の巧拙によるブランド 価値の変動、取引機会への影響 ・気候変動対応の遅れ、投資家との 環境対応に関する情報の非対称性が 企業評価へ影響 | 小 | ・適切な情報開示とステークホルダー とのコミュニケーション強化 |
急 性 | ・台風、竜巻、豪雨等の自然災害の 激甚化による資材の調達難、 工場の被災による生産停止の発生 ・自然災害による有害物質、廃液、 廃油等の流出 | 小 | ・事業継続計画(BCP)の強化 ・工場の風水害対策、有害物質、廃液、 廃油等の維持管理の強化 |
慢 性 | ・気温上昇に伴う電力、水不足による 操業一時停止等の生産への影響 ・気温上昇に伴う空調消費エネルギーの 増加及びエネルギーコストの増加 | 小 | ・再生可能エネルギーへの転換による CO2排出量の削減 ・工場・事務所における省エネ機器の 導入と節電の強化 |
機会
項 目 | 想定される機会 | 財務への影響 | 対応 |
資源の | ・省エネ技術・製品、高効率マシンの 需要拡大 ・工場間搬送の最適化等、間接作業を 含めた生産性向上やマスカスタマイ ゼーションの高効率生産に対する 更なるニーズの高まり | 大 | ・省エネ製品、工程集約機、ロボット システム等の高効率生産製品の 開発強化 ・スマートファクトリーである自社の 自動化工場Dream Site(DS)の更なる 高度化と、DSで培ったノウハウを 「ものづくりサービス」として展開 |
エネルギー源 | ・省エネ補助金等の 政策インセンティブの利用 ・低炭素エネルギーの利用拡大による 環境対応へのステークホルダーからの 評価向上 | 中 | ・新たな省エネ関連政策において 省エネ効果が認められる省エネ製品・ 技術の開発 ・周辺機器メーカーとのオープンイノベ ーションによる省エネ周辺機器の開発 |
製品・ | ・省エネ製品・技術の需要拡大 ・環境負荷、省資源に対する意識の 高まりに伴い、新品の精度を長期間 保つ高精度長寿命かつ高効率な 工作機械の需要拡大 | 大 | ・省エネ製品・技術の開発・販売の強化 ・オークマ品質の更なる強化 ・AI・知能化技術を搭載した5軸制御 マシニングセンタ・複合加工機や ロボットシステム、金属積層加工が 可能な超工程集約機等の製品ライン アップの拡充 |
市 場 | ・自動車、船舶の電動化、ハイブリッド化 の進展、太陽光・風力発電等の自然エネ ルギー産業の市場拡大等、脱炭素社会へ の移行に伴う新たな需要拡大 | 大 | ・脱炭素化産業に対応するスマートマシンの 提供、ソリューションの提案の強化 |
④指標と目標、移行計画
当グループは、気候変動における指標をCO2排出量と定め、カーボンオフセット等を活用しながら2030年度までにScope1、Scope2におけるカーボンニュートラルの達成を目標として掲げています。そして2050年までにバリューチェーン(Scope1、2、3)全体でのCO2排出量の実質ゼロを目指します。
Scope1、2におけるカーボンニュートラルの達成に向けて、製造技術の革新、独自の省エネ技術の適用により生産効率の大幅向上を図った上で、費用対効果を見極めて省エネ化の投資を進めてまいります。更に再生可能エネルギー由来の電力の導入も進めており、2022年10月より国内の生産拠点(本社、可児、江南)はカーボンニュートラル工場といたしました。
⑤CO2排出量
当社と国内外の連結子会社を合わせた2022年度のCO2排出量は27.5千t-CO2でした。このうち当社の排出量は21.3千t-CO2であり、全体の77%を占めています。当社の2022年度におけるCO2排出量(マーケット基準)が前年度を下回った要因といたしましては、省電力の取組み、省エネ機器への切り替えに加えて、2022年10月から、本社、可児、江南の各工場において、再生エネルギー由来の電力を導入したことによります。また、本社、可児、江南の各工場において、2022年10月よりScope1をカーボンニュートラル化するため、3.4千t-CO2分のJ-クレジットを調達いたしました。
| 2021年度 | 2022年度 | |||
ロケーション 基準 | マーケット 基準 | ロケーション 基準 | マーケット 基準 | ||
Scope1、2 (千t-CO2) | 単 体 | 34.1 | 30.8 | 36.8 | 21.3 |
国内工場 (注1) | 33.3 | 30.0 | 35.8 (注2、3) | 20.6 (注2、3) | |
連 結 | 41.7 | 38.4 | 43.4(注4) | 27.5(注4) |
(注) 1.国内の本社、可児、江南工場を対象としています。
2.2022年10月よりカーボンニュートラル化をいたしました。
3.J-クレジットによるオフセット(△3.4千t-CO2)を含みません。
4.一部の連結子会社、算定期間において、2022年度第1~第3四半期の実績に
基づいた推計値を含みます。
(3) サプライチェーンを含めた人権尊重の取組み
当グループは工作機械のグローバルメーカーとして、多岐にわたるサプライチェーンとつながりを持ち、また製品は幅広い産業分野、顧客層のユーザーに及んでいます。サプライチェーンにおける人権尊重は当グループの事業を営む上で重要な基盤のひとつと考え、人権リスクの把握と低減を図っております。また取引先をはじめとするビジネスパートナーに対しても人権尊重を働きかけてまいります。
当グループは、国際的に認められた人権(「国際人権章典」で表明されたもの、及び、「労働における基本的原則及び権利に関するILO(国際労働機関)宣言」に挙げられた基本的権利に関する原則等)を尊重し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」等のガイドラインに沿って、人権尊重に取り組んでおります。また、事業活動を行うそれぞれの国や地域で適用される法令を遵守し、国際的に認められた人権と各国や地域の法令の間に矛盾がある場合には、国際的な人権の原則を可能な限り尊重するための方法を追求してまいります。
(4) 人材戦略
当グループの果たす役割は、工作機械のサプライヤーという従来の位置づけに加えて、お客様のバリューチェーンの一員として、お客様と共に新たな価値を創り出すことにあると考えています。「総合ものづくりサービス企業」としてこの使命を達成するプロセスでは、社員の成長こそが競争力の源泉になると考えており、当社では「人づくり」に重きをおいています。そして、「総合ものづくりサービス企業」としての組織機能の高度化を目指し、その組織を動かす多様な人材の育成と多様な人材がその能力を最大限発揮できる環境づくりを進め、パーパスの実現を進めてまいります。
中期ビジョンの実現に向けた人材・組織
①多様な社員が最大限能力を発揮できる環境づくり
企業価値向上に繋がる新たな価値創造を実現するには、多様な個人が最大限能力を発揮することが不可欠と考え、当グループでは、異なるバックグラウンドを持つ人材の採用・登用、そして活躍できる仕組み・環境の整備を進めています。女性活躍の促進としては、育児をしながら働き続けられる環境整備として、短時間勤務制度の拡充や時間単位有休制度の導入等、柔軟な働き方を推進しています。また部門横断の活発なコミュニケーションにより新たな気づきやイノベーションの創出を促進するため、談話スペースを設ける等、オフィスフロアの改装、リノベーションも段階的に進めております。
ダイバーシティの推進の重点指標(当社(提出会社))
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 目標 (2025年3月末) |
新卒採用数 (女性割合) | 92人 (14.1%) | 74人 (10.8%) | 83人 (10.8%) | 15%以上 |
キャリア採用数 (キャリア採用割合) | 5人 (5.2%) | 9人 (10.8%) | 10人 (10.8%) | 採用数全体の25% |
障がい者雇用率 | 2.24% | 2.22% | 2.16% | 法定雇用率以上 (2.5%以上) |
女性が働きやすい環境づくりの重点指標(当社(提出会社))
| 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 目標 (2025年3月末) |
出産育児休暇 復職率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
男性育児休業 取得者数 (取得比率) | 8人 (10.0%) | 15人 (28.3%) | 34人 (42.0%) | 100% |
②人材育成
当グループの事業領域は、「ものづくり」から「コトづくり」、即ち工作機械単体の販売からお客様の生産や加工の課題を解決するソリューションの提供へと拡大しています。「コトづくり」を強化するためには、ものづくりのプロフェッショナルとして、自身の専門領域だけではなく、幅広い領域で知識・スキルを吸収・応用することが重要と考え、「コトづくり」を含めた人材育成を強化するため、2019 年に社内教育の機関として「Okuma University」を設立いたしました。 Okuma Universityは、「創発と熟練」、「ものづくり教育」、「オークマウェイ」といった3つの柱を軸に、部門ごとの必修科目を定めつつ、本部の垣根を越えて学ぶ場としております。 Okuma Universityを通じて「多角的な視点を持ったプロフェッショナル人材」の育成を推進してまいります。
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