企業兼大株主オリエントコーポレーション東証プライム:8585】「その他金融業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの理念、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 理念等

 当社グループは、2024年4月からステークホルダーに果たすべきパーパスや全従業員が共有すべきバリューから成る「理念」をすべての企業活動の基盤として位置付けました。

 また、理念の制定を受け、当該理念とサステナビリティ経営との整合性を担保すべく、めざすサステナビリティ経営像を明確にするため、「サステナビリティ基本方針」を「オリコがめざすサステナビリティ」に改正いたしました。

〔パーパス〕

 その夢の、一歩先へ

Open the Future with You

〔バリュー〕

 正しさを求める 信頼を育む

 未来を想う   挑戦を楽しむ

〔オリコがめざすサステナビリティ〕

 わたしたちは、「その夢の、一歩先へ」というパーパスを掲げています。これには、お客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまのパートナーとして、一人ひとりのいまと未来に親身に寄り添い、真摯に向き合い、時には熱意をもってリードするというわたしたちの想いが込められています。

 わたしたちがめざすのは、誰もが豊かな人生を実現できる持続可能な社会。イノベーションの力で様々な社会課題を解決し、未来の世代へと継承していきたいと考えています。

 そのために、わたしたちは信頼されるパートナーとして、すべての企業活動を通じて社会に貢献し、社会価値と企業価値の両立を追求してまいります。

(2) 経営戦略

 当社は、長期目線で社会価値と企業価値の両立をめざす「サステナビリティ」を経営の軸として、10年後のめざす社会・めざす姿を定め、そこからバックキャスティングし、2023年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画をスタートさせております。中期経営計画のスローガンとして「Transformation Now!“お客さま起点で価値を創造する新時代の金融サービスグループへ”」を掲げ、従来型の信販モデルから発展的に脱却し、①デジタル②グリーン③オープンイノベーションを切り口に、新時代の金融サービスグループへの変革(=トランスフォーメーション)を通じて、社会への貢献と企業価値の向上を実現してまいります。

 上記をめざし、以下の重点戦略を実践してまいります。

〔事業戦略〕

 リスクリターン、コストリターンをベースとした事業ポートフォリオ運営の遂行

・重点市場(決済・保証事業、海外事業)深耕と新規事業の探索

・顧客ニーズを起点としたマーケットイン型営業の確立

・異業種・先端企業との協働による新商品・サービスの創出

・プロセスイノベーションの深掘

〔経営基盤・資本政策〕

・多様性に富んだ人材集団づくり、新時代のための人事の基盤づくり

・プライム市場に適合した体制構築等ガバナンス強化

・財務健全性・資本効率・株主還元の最適なバランス実現、安定的・継続的な配当実施

(3) 経営環境及び対処すべき課題等

 当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へ移行し行動制限の緩和やインバウンド需要の回復などにより、経済活動及び社会活動の正常化が進みました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東での紛争の深刻化など地政学リスクは世界経済にも大きな影響を与えております。とりわけ、物価高騰への対応として米国をはじめ各国は政策金利を引き上げ、わが国においても17年振りの政策金利の引き上げを行うなど、「金利のある世界」への復帰に向けた大きな節目を迎えております。

 こうしたなか、中期経営計画2年目である2024年3月期の当社業績は大変厳しいものとなりました。とりわけ、海外事業、特にタイ子会社においては、中国経済減速の影響を受けたタイ経済の低迷もあり、延滞債権の急増とともに貸倒関係費が大幅に増加しました。国内においても重点取組事項と位置付けた個品割賦事業の構造改革の成果刈り取りが次年度以降に持ち越されるなど、海外事業でのマイナス要素を打ち返すことができず、業績の下方修正を余儀なくされる結果となりました。

 このような状況に加え、今後、市場金利の上昇による金融費用の増加等の影響も勘案し、中期経営計画の経営目標として掲げた最終年度(2025年3月期)の経常利益計画400億円等の達成は極めて困難な状況となったことを踏まえ、経営目標を以下のとおり修正いたしました。

 

2025年3月期 経営目標

修正前

修正後

経常利益

400億円以上

200億円

ROE

10%以上

8.5%

営業収益一般経費率

60%未満

60.7%

 一方、中期経営計画で掲げたグリーン・デジタル・オープンイノベーションを切り口とした成長戦略として、ビジネスカードと請求書カード払いサービスを起点とした中小企業DX支援や、eオリコサービスの刷新とデジタルカードを契機とした新たな顧客体験の提供などに加え、イオンフィナンシャルサービス株式会社との業務提携、株式会社オリコオートリース、株式会社オリコビジネスリースの連結子会社化や株式会社オリコプロダクトファイナンスの完全子会社化など、次の成長ステージに向けて着実に布石を打っております。

 今後は、リスクリターン、コストリターンに基づく事業ポートフォリオ運営の更なる高度化を図りつつ、海外事業の早期立て直しを進めるとともに、金利上昇など環境が変化するなかでも持続的な成長軌道を確立するための強固な収益基盤の構築が重要だと認識しております。これらの取組みを迅速かつ着実に実践することにより、企業価値の更なる向上を実現してまいります。

《重点戦略への取組》

◆事業戦略

 重点戦略分野の一つであるタイ・フィリピン・インドネシアのオートローン事業は、中国経済の減速による影響で経済活動が低迷し、特にタイ子会社においては、経済環境の悪化に加え債権管理の不十分さもあり想定以上に延滞債権が急増しました。なお、延滞債権への対応として回収体制の強化や与信の厳格化による債権良質化に努めたことにより、足元の債権パフォーマンスには良化傾向が見られております。今後も不安定な市場環境を考慮しながら営業戦略の再構築を図るとともに、ガバナンス体制・リスク管理をより一層強化し、早期立て直しを進めてまいります。

 国内事業においては、増収増益に転じた銀行保証等の一部事業を除き各事業ポートフォリオの動きが想定どおりに進まず、とりわけ今年度の重点取組事項とした個品割賦事業の構造改革については分析・可視化が進むも具体的な成果にまでは至らず、次年度での確実な刈り取りに向けて取組を加速しております。

 このような環境下ではありますが、当社の強みを活かしながらグリーン・デジタル・オープンイノベーションを切り口に新たな商品を開発し、社会価値と企業価値向上の両立に向けた取組は着実に進めております。

 具体的には、ビジネスカードを利用した事業者間取引の請求書カード払いサービス「OBS(Orico Business payment for SME)」において、会計ソフト連携機能も搭載するなど、中小企業のキャッシュレス化やDX推進支援に取り組んでおります。

 さらに、社会課題となりつつある空き家問題の解決に向けた取組として、「アキカツローン」を通じて自治体や地方金融機関のネットワークを活用し、持続可能な地域づくりの実現をめざしております。なお、この取組は日本経済新聞社が毎年1回、特に優れた新製品・新サービスを表彰する「2023年日経優秀製品・サービス賞 日経ヴェリタス賞」を受賞しました。

 また、インオーガニックの取組として、2023年9月に株式会社オリコオートリース・株式会社オリコビジネスリースを連結子会社化した他、2024年3月にイオンフィナンシャルサービス株式会社との業務提携の一環として、イオンプロダクトファイナンス株式会社(現、株式会社オリコプロダクトファイナンス)を完全子会社化いたしました。いずれも当社の事業基盤を強化し競争優位性を高めることに繋がるものではありますが、とりわけ株式会社オリコプロダクトファイナンスについては、同社の基盤を活用し現在取組中の個品割賦事業構造改革をさらにスケールアップしていきたいと考えております。

 なお、イオンフィナンシャルサービス株式会社との業務提携においては、双方の関係会社を含めた協働を通じステークホルダーに新たな価値を提供することを目的に、会員向け・カード事業、企業間決済保証事業、ローン・ファイナンス事業、個品割賦事業、海外事業、不動産関連事業、サステナビリティに資する取組等、幅広い事業領域に関して業務提携の検討の具体化を進め、他事業とのシナジー追求等を通じ当社グループ全体の収益基盤の更なる強化を図ってまいります。

◆経営基盤

 当社は、プライム市場上場企業としてステークホルダーにとって更に信頼性の高いガバナンス体制の整備を目的として監査等委員会設置会社を採用しております。取締役会は戦略策定と監督機能を重視する一方、業務執行権限を最大限取締役社長に委任し経営の機動性とガバナンスの堅確性の両立を図っております。

 当社は今中期経営計画において、サステナビリティを経営の上位概念に位置付けて取組を強化しております。その一環として、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき気候変動に関するリスク・機会を把握するとともに、GHGプロトコルに則ったScope1/2/3の排出量を把握し2030年削減目標ならびに2050年ネットゼロを掲げました。この脱炭素に向けた取組とその開示が評価され、企業の環境や気候変動対策への取組を評価する国際的なNGOであるCDPから、業界でもトップクラスとなる「B」スコアを獲得しました。

 また、マテリアリティの一つに「持続可能な地域づくりへの貢献」を掲げ、2024年3月に船橋市と包括連携協定を締結いたしました。今後も地方自治体との連携を通じて様々な社会課題に対して適切なソリューションを提供してまいります。

 今中期経営計画の重点事項である人財戦略においては、2024年3月期の2年目も着実に進展させており、人事制度改定等を含む施策により、持続的な成長を支えるための人財戦略は進捗しております。

 具体的には、2023年3月期からイノベーション企業やスタートアップ企業等への社外トレーニーや社外副業、社内公募制度などの施策を拡充させるとともに、研修や面談などを通じて社員が自身のキャリアに向き合う機会を提供し始めました。その結果、社員が自立的なキャリア形成を実践し、そのために挑戦する風土が醸成されつつあります。2024年3月期末までに226名が挑戦する機会を活用し、3年間で累計200名に新たな経験を付与するという目標を1年前倒しで達成しております。

◆資本政策

「財務健全性、株主還元、資本効率の最適なバランスを実現」することを資本政策の基本方針とし、株主還元につきましては、「安定的かつ継続的な株主還元を基本とし、連結配当性向30%を目処に配当を実施」することといたします。

◆DX戦略(AIの活用)

 当社は、中期経営計画を達成するための重要な戦略の一つとして、2022年4月に「デジタル技術を用いて、常にお客さまに寄り添い、向き合い、ニーズに即した金融サービスを通じて、様々な社会課題解決に貢献し続けるイノベーティブな先進テック企業を目指す」というDX Visionと、これに基づいた「DX戦略」を策定しております。

 このDX VisionとDX戦略の策定、推進体制の構築、及びその後のDX推進への取組み等が評価され、当社は2023年3月に経済産業省が定める「DX認定制度」に基づく「DX認定事業者」の認定を取得しました。

 当社のDX戦略は、「デジタル技術を活用した新たなビジネスモデル創出」「既存ビジネスモデルにおけるDXの実践」「DX人材の育成・DXカルチャーの醸成」の3つの戦略軸で構成しており、各戦略軸に従い、様々な取組みを展開しております。

 戦略① デジタル技術を活用した新たなビジネスモデル創出

 当社では、デジタル技術とデータを有効に活用し、マーケットインの発想でお客さまの課題解決に繋がる商品・サービスを生み出すことで、新たな顧客体験の提供をし続ける企業をめざしております。具体的には当社の持つ金融サービスのノウハウ・知見と、スタートアップ・ベンチャーをはじめとする他の企業が有するデジタル技術を掛け合わせ、新しい商品・サービスの創出に取組んでおります。このような協業案件を数多く実現していくために、出資機能として「オリコデジタルファンド(ODF)」を設定し、スタートアップ・ベンチャー企業との協業がスムーズに進む環境を整備しております。

 また当社は、決済・与信をはじめとする豊富なデータを基盤とし、データエコノミーを創造することにチャレンジしております。匿名加工した当社固有データとオープンデータを掛け合わせAIを活用した分析を通じ、パートナー企業の営業戦略やプロモーションをサポートするアドバイザリーサービスを提供しており、2024年3月現在で累計提供社数は147社となりました。社内においてもデータ利活用を推進するとともに、データに基づいてビジネスを企画・推進できる人材を増やすべく、社内トレーニーや研修制度の拡充に取り組んでおります。

 戦略② 既存ビジネスモデルにおけるDXの実践

 当社はビジネスプロセスの構造改革を実現するため、デジタルを活用した業務の効率化・スピードアップに取組んでおります。特に、お客さまの当社へのお申込み手続きから、取引契約、業務オペレーションが完結するまでの「エンドトゥエンド」のプロセスを俯瞰して、全体最適の観点からBPRを進める取組みを推進しております。また、2,000を超える本社定型業務のうち、自動化が可能な業務を選定し、優先順位をつけて自動化に取組み、着実に進めております。また、従来からRPAを開発できる人材の育成を進めてきましたが、2024年3月期はRPA開発人材の育成を内製化するべく、社内RPAインストラクターの育成にも着手しております。

 業務のデジタル化を推進することを通じて、ペーパーレス化も進み、2024年3月期はCO2削減効果が537tと計画を大きく上回る実績となりました。

 業務のデジタル化により、当社の生産性向上のみならず、お客さまの更なる利便性向上にも繋げていくとともに、社会や環境への貢献を意識しながら取組みを進めてまいります。

 戦略③ DX人材の育成・DXカルチャーの醸成

DXを推進するうえでは、高度化していくデジタル技術を活用しながら新たなビジネスモデルを探求し、お客さまに価値を提供し続けることにチャレンジする熱意とスキルを持った人材を育成していくことが最も重要である、と当社は考えております。当社は中期経営計画期間中に、基礎的なデジタル技術の知識・スキルを有する「DX推進人材」を当社従業員全員に相当する3,000人育成することをKPI指標として設定しておりましたが、2024年3月期までの2年間で3,200人以上が認定を取得いたしました。今後も従業員のデジタルに関する知識やスキルの向上・定着による業務での活用推進とともに、デジタル技術やデータに関する専門的なスキルを有する人材の育成・確保を進めてまいります。

 加えて、グループ従業員全員が自らの問題意識を基に、新たなビジネスアイデアや業務の変革アイデアを発信する「DXプレイス」は徐々に定着してきており、当社グループ全体に従業員自らが能動的に新たな価値提供を考え、発案し、実現つづけるDXカルチャーの浸透を進めてまいります。

 推進体制について、当社では取締役社長(飯盛 徹夫)を本部長とした「DX推進本部」を組成し、全部門・全グループを俯瞰し、横断的にDX戦略を推進する体制を構築しています。DX推進本部では、主に全社及び当社グループ横断的なDX推進に向けた取組施策の検討・実施を進めており、定期的に本部長(取締役社長)を議長とし、各部門・グループ長が参画するDX推進会議を開催しております。

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