企業兼大株主エーザイ東証プライム:4523】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループのプロダクトクリエーション活動は、ヒューマン・バイオロジーに基づく卓越した治療仮説とモダンケミストリー力を両輪としています。

 個別化医療に向けたイノベーションを実現するために、新たにエイチスリー・バイオメディシン・インクを本格稼動させました。遺伝学的アプローチを基軸とした最先端技術の融合により疾患固有のターゲットを同定し、多様性志向型化合物ライブラリーによるスクリーニングでターゲットに照準を合わせたリード化合物創出の効率化を推進してまいります。

 病態を反映したバイオマーカーを積極的に活用し、治療薬とともにコンパニオン診断薬の開発を進めることにより、臨床試験の成功確率の向上と開発期間の短縮をはかり、グローバルに患者様のベネフィットを最大化してまいります。

[開発品の状況]

 抗がん剤「ハラヴェン」(「E7389」、微小管ダイナミクス阻害剤)に関しては、乳がんに係る効能・効果で、米国、シンガポール、欧州(EU)、日本、スイス、カナダなどで順次承認を取得し、平成24年4月現在で承認取得国は35カ国となりました。また、現在承認申請中の国は、新たにインドネシア、クロアチアが加わり13カ国となりました。米国で進行中であった肉腫を対象としたフェーズⅢ試験は、米国に続き、欧州、アジア・パシフィックなどを含む国際共同治験として取り組むこととなり、日本においてはフェーズⅡ試験を開始し、進行中であります。また、非小細胞肺がんを対象としたフェーズⅢ試験を開始し、国際共同治験として取り組んでおります。あわせて、乳がん化学療法のセカンドラインをめざした欧米でのフェーズⅢ試験なども進めております。また、前立腺がんを対象としたフェーズⅡ試験を実施しておりましたが、他の適応における開発に集中すべく、当該試験を一時中断いたしました。なお、米国National Cancer Instituteで実施されているフェーズⅡ試験に関しては継続されております。

AMPA受容体拮抗剤「E2007」(一般名:ペランパネル)に関しては、平成23年6月に欧州で、部分てんかんの併用療法に係る適応で、承認申請が受理され、平成24年5月、欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)の医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use:CHMP)より承認勧告を受領しました。米国においては、平成23年5月に承認申請を米国食品医薬品局(FDA)へ提出しておりましたが、予備審査の結果、一部データのフォーマット変更等を求められ、平成23年12月に再提出し、平成24年3月に受理されました。加えて、日本で、本適応についてのフェーズⅢ試験を開始し、進行中であります。また、全般てんかんの併用療法については、欧米に続き日本でもフェーズⅢ試験が開始され、国際共同治験として取り組んでおります。神経因性疼痛、多発性硬化症、偏頭痛予防に係る適応に関して、いずれも欧米においてフェーズⅡ試験を進めてまいりましたが、てんかん領域での開発に集中すべく、これらの適応症の開発の中止を決定いたしました。

 平成23年5月、日本で、カルシウム拮抗性不整脈治療剤「ワソラン錠40mg」および「ワソラン静注5mg」について、上室性の頻脈性不整脈に関する小児適応追加の承認を取得いたしました。

 平成23年6月、カナダで、てんかん治療剤「バンゼル」(一般名:ルフィナミド)について、4歳以上の小児および成人におけるレノックス・ガストー症候群に伴うてんかん発作の併用療法に関する適応で承認を取得いたしました。

 平成23年7月、日本で、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」について、若年性特発性関節炎に関する効能・効果追加の承認を取得いたしました。あわせて、体重の少ない患者様向けの新製剤「ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.4mL」も承認を取得いたしました。また、平成24年4月、「尋常性乾癬および関節症性乾癬」適応の承認条件となっていた使用成績調査(全例調査)に関し、厚生労働省から解除通達を受領いたしました。

 平成23年7月、日本で、経口抗凝固剤「ワーファリン」について、新剤形である顆粒剤の剤形追加の承認を取得し、平成23年10月、顆粒剤の小児における用法・用量追加の承認を取得いたしました。

 平成23年11月、欧州で、てんかん治療剤「イノベロン」(一般名:ルフィナミド)について、新剤形である経口懸濁液の剤形追加の承認を取得し、平成24年3月、ドイツを皮切りに欧州での販売を開始いたしました。

 平成24年1月、日本で、不眠症治療薬「ルネスタ」について、不眠症の効能・効果で承認を取得し、4月に新発売いたしました。

 平成23年7月、米国で、DNAメチル化阻害剤「ダコジェン」について、急性骨髄性白血病の適応追加の承認申請が受理され、平成24年3月にはFDAより審査完了報告通知を受領いたしました。審査完了報告通知の指摘事項をふまえ、今後の対応を検討していきます。また、米国で、急性骨髄性白血病における小児適応のフェーズⅡ試験が進行中であります。

 平成23年7月、欧州で、てんかん治療剤「ゾネグラン」について、部分てんかんの単剤療法に関する適応追加の承認申請が受理され、平成24年5月、欧州医薬品庁の医薬品委員会より承認勧告を受領しました。

 平成23年8月、日本で、抗リウマチ薬「T-614」について、関節リウマチに係る適応で承認申請をいたしました。

 平成23年9月、欧米で、プロトンポンプ阻害剤「パリエット/アシフェックス エクステンディッド・リリース・カプセル50mg」について、開発を終結することを決定し、申請を取り下げました。

 平成23年9月、日本で、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」について、関節リウマチにおける関節の構造的損傷の防止に関する効能・効果追加の承認申請をいたしました。

 平成23年12月、日本で、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」の新剤形であるドライシロップ剤の剤形追加を申請いたしました。

 平成24年3月、日本で、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」について、潰瘍性大腸炎に関する効能・効果追加の承認申請をいたしました。 

 平成24年5月、日本において、プロトンポンプ阻害剤「パリエット」を含むヘリコバクター・ピロリ菌に対する1次除菌用パック製剤と2次除菌用パック製剤を同時に申請いたしました。

 抗がん剤「E7080」(一般名:lenvatinib、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤/マルチキナーゼ阻害剤)について、米国に続き、日本でも甲状腺がんを対象としたフェーズⅢ試験を開始し、国際共同治験として取り組んでおります。あわせて、欧米において子宮内膜がんおよびメラノーマ、米国においてグリオーマを対象としたフェーズⅡ試験を進めており、欧米において非小細胞性肺がんのフェーズⅡ試験を開始いたしました。また、新たに肝細胞がんでの本格開発を決定し、現在、日本(アジアを含む)においてフェーズⅠ/Ⅱ試験を進行中です。

 抗がん剤「MORAb-003」(一般名:farletuzumab、モノクローナル抗体)について、プラチナ製剤感受性卵巣がんを対象としたフェーズⅢ試験が、国際共同治験として進行中であります。一方で、欧米で進行中であったプラチナ製剤耐性卵巣がんを対象としたフェーズⅢ試験については、独立データモニタリング委員会において、有効性に関わる評価項目が改善目標に到達しない可能性が高いと判断されたことから、平成23年12月、本試験を中止いたしました。また、欧米で、バイオマーカーの活用により葉酸受容体α陽性の非小細胞肺がんを対象にしたフェーズⅡ試験を進めております。

 抗がん剤「オンタック」について、米国で、末梢性T細胞リンパ腫を対象としたフェーズⅢ試験を開始いたしましたが、患者様価値向上に向けた改良型新製剤の開発を優先するため、当該試験を一旦中止しております。

 プロトンポンプ阻害剤「パリエット」について、日本で、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制を対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験が開始され、進行中であります。

 抗がん剤「MORAb-004」(一般名:ontecizumab、モノクローナル抗体)について、米国で、メラノーマおよび大腸がんを対象としたフェーズⅡ試験が開始され、進行中であります。

 ホスホジエステラーゼ4阻害剤「E6005」について、日本で、アトピー性皮膚炎を対象としたフェーズⅡ試験が開始され、進行中であります。

 トロンボポエチン受容体作動剤「E5501/AKR-501」(一般名:avatrombopag)について、欧米で特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を対象としたフェーズⅢ試験が開始され、進行中であります。また、米国においてC型肝炎に対して、インターフェロンを含む抗ウイルス療法を開始あるいは実施している患者様における血小板減少症を対象としたフェーズⅡ試験を開始し、進行中であります。

 アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」について、日本で、高用量製剤「アリセプト錠23mg」のフェーズⅢ試験が開始され、進行中であります。

 トロンビン受容体拮抗剤「E5555」について、日米欧においてフェーズⅡ試験段階にありました急性冠症候群、アテローム血栓症に係る適応症を対象とした開発を中止いたしました。

 米国でフェーズⅡ試験段階にありました抗がん剤「E7850」(一般名:irofulven)の開発を中止いたしました。

 米国でフェーズⅢ試験段階にありました口腔粘膜炎治療剤「E6014」(一般名:グルタミン)の開発を中止いたしました。

 当連結会計年度における研究開発費総額は、1,251億42百万円(前連結会計年度比13.7%減)、売上高比率19.3%(前連結会計年度より0.5ポイント増)であります。

 なお、当連結グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分しておりません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中において将来について記載した事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断、予想したものであります。なお、文中に記載した金額は、四捨五入で表示しております。

(1) 重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成しておりますが、連結財務諸表の作成に当たっては見積りや仮定によることが必要となります。使用する見積りや仮定は、これまでの経験、業界標準、経済状況および現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられるものを継続的に採用しております。ただし、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があり、また、これらの見積りは異なった仮定の下では違う結果となることがあります。

 なお、重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は、次のとおりであります。

① 退職給付会計

 退職給付債務および年金資産は、年金数理計算に用いられる仮定に左右されます。仮定となる割引率、将来の給与水準、年金資産の期待運用収益率、退職率および死亡率については、現在の統計データ、年金資産に対する実際の長期収益率その他の要因に基づき設定しております。これらの仮定に基づく見積りと実績との差異は毎年償却を行っており、将来における営業費用等に影響を与えます。

② 繰延税金資産

 繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得を見積り、評価しております。また、実現可能性が高いと考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。課税所得を見積る際の利益計画は、事業リスク等を十分に考慮し保守的に作成しておりますが、その見積り額が増減した場合は繰延税金資産が増減いたします。

③ のれんおよび販売権

 のれんおよび販売権については、原則年1回、減損の判定を行っております。回収可能価額の見積りは、主に割引キャッシュ・フローを用いますが、将来キャッシュ・フロー、割引率等の多くの見積りや前提条件を使用しております。将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が下落し、減損損失が発生する可能性があります。 

(2) 経営成績の分析

① 売上高、売上原価および売上総利益

   (売上原価には返品調整引当金繰入額および戻入額を含めております)

 当連結会計年度の連結売上高は6,480億円であり、前連結会計年度より1,209億円、15.7%減少いたしました。「アリセプト」および「パリエット/アシフェックス」の合計売上高の連結売上高に対する構成比は42.2%であり、前連結会計年度より13.4ポイント減少いたしました。一方、がん関連領域製品の売上高の連結売上高に対する構成比は「ハラヴェン」の貢献等により14.4%となり、前連結会計年度より3.9ポイント増加いたしました。セグメント別売上高の連結売上高に対する構成比は、イースト・アジア医薬品事業が61.8%と前連結会計年度より12.9ポイント増加した一方、米国医薬品事業は24.3%と前連結会計年度より15.1ポイント減少いたしました。翌連結会計年度は「ハラヴェン」をはじめとするがん関連領域製品の伸長や「ルネスタ」等の新製品群の寄与を見込みますが、日本における大幅な薬価改定および欧州での主力品「アリセプト」の物質特許満了の影響等により、減収を見込んでおります。

 当連結会計年度の売上原価は1,734億円であり、前連結会計年度より56億円増加し、売上原価率では4.9ポイント上昇いたしました。

 その結果、当連結会計年度の売上総利益は4,746億円となり、前連結会計年度より1,266億円、21.1%減少いたしました。

② 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の研究開発費を除く販売費及び一般管理費は2,537億円であり、前連結会計年度より893億円、26.0%減少いたしました。その主な要因は、米国における「アリセプト」物質特許満了後の米国ファイザー社に対する提携費用減少、欧米での構造改革ならびに全社での費用効率化によるものであります。当連結会計年度の研究開発費は1,251億円であり、前連結会計年度より199億円、13.7%減少いたしました。

③ 営業利益

 米国における売上高の減少が大きく影響したことにより、当連結会計年度の営業利益は957億円となり、前連結会計年度より174億円、15.4%減少いたしました。

 翌連結会計年度においては、販売パートナーへの提携費用の減少やその他の販売費、一般管理費の継続的な効率化を進めるものの、売上高減少に伴う売上総利益の減少、さらなるイノベーション創出に向けた研究開発への積極的な投資等により減益となる見込みです。

④ 営業外損益および特別損益

 当連結会計年度の営業外損益は57億円の費用(純額)であり、前連結会計年度より費用(純額)が22億円減少いたしました。その主な要因は、為替差損の減少であります。また、特別損益は46億円の利益(純額)であり、前連結会計年度より利益(純額)が72億円増加いたしました。その主な要因は、製薬用機械事業を担う連結子会社4社の全株式を譲渡したことによる子会社株式売却益、退職給付信託設定益によるものであります。

⑤ 当期純利益

 当連結会計年度の当期純利益は585億円であり、前連結会計年度より89億円、13.2%減少いたしました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少に加えて平成23年12月に公布された改正法人税法等に伴い、税金費用が70億円増加した影響であります。1株当たり当期純利益は205円33銭となり前連結会計年度より31円20銭減少いたしました。

 翌連結会計年度においては、資産の効率化を継続的にはかるとともに、税金費用が減少すること等により、増益を見込んでおります。

 翌連結会計年度の配当については、1株当たり年間配当金150円(当連結会計年度と同額)とし、中間配当金70円、期末配当金80円を見込んでおります。

⑥ 包括利益

 当期純利益に少数株主損益およびその他の包括利益を加減した包括利益は556億円であり、前連結会計年度より244億円、78.2%増加いたしました。その主な要因は、為替換算調整勘定の変動であります。

(3) 資金の流動性および資本の財源についての情報

① 資金の流動性

 当連結会計年度の営業活動から得たキャッシュ・フローは、906億円(前連結会計年度より325億円減)となりました。税金等調整前当期純利益は946億円、減価償却費は417億円、法人税等の支払額は398億円であります。なお、前連結会計年度差の主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少、法人税等の支払額の増加によるものであります。
  投資活動によるキャッシュ・フローは、26億円の支出(前連結会計年度より562億円減)となりました。有形および無形固定資産の取得による支出は195億円、投資有価証券の売却及び償還による収入は144億円であります。なお、前連結会計年度差の主な要因は、前連結会計年度の3カ月超預金の純増加による374億円の支出によるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、780億円の支出(前連結会計年度より100億円増)となりました。配当金の支払は427億円、社債の償還による支出は400億円であります。なお、当連結会計年度の社債の償還による支出が前連結会計年度の短期借入金の純減少による支出を上回ったことが前連結会計年度差の主な要因であります。
  以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、1,126億円(前連結会計年度末より98億円増)となりました。

 当社グループは、キャッシュ創出力を表す指標として、キャッシュ・インカムを使用しております。キャッシュ・インカムは、成長投資、配当支払、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額であり、企業の成長性・戦略を検証する尺度と考えております。

 当連結会計年度のキャッシュ・インカムは1,077億円(前連結会計年度比10.3%減)となり、1株当たりキャッシュ・インカムは377円79銭(前連結会計年度より43円49銭減)となりました。

 当社グループでは、積極的な事業活動の推進と有利子負債の返済に十分な資金を確保した上で、株主の皆様への安定的および継続的な配当を実施していく方針であります。

② 資本の財源 

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の11.2%を占める1,126億円であります。当社グループは、主に手元の現金及び現金同等物と営業活動から得た資金により、設備投資および研究開発活動を行っております。

 一方、短期借入金は60億円、社債は800億円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)は2,593億円となりました。なお、第5回無担保社債(前連結会計年度末残高400億円)は全額を償還いたしました。

 当連結会計年度末における社債および長期借入金の利率は1.23%~3.97%であります。また、借入債務の通貨別の比率は約85%が円建て、約15%が米ドル建てとなっております。当連結会計年度末現在における自己資本比率は41.5%となりました。
  当社グループの財務戦略は、現水準以上の高い信用格付けを維持するとともに、安定した財務の健全性および柔軟性を確保することを基本としております。
  なお、長期借入債務の格付けは、格付投資情報センターにより「AA-」を取得しております。

PR
検索