エーアイテイー 【東証プライム:9381】「倉庫・運輸関連業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来、①お客様への最適な物流方法を提案する「提案力」、②中国を中心とした海外拠点の確かな「ネットワーク」、③物流情報をタイムリーに提供できる「オペレーティング」の3つをキーワードに、お客様の多様な物流ニーズにお応えしてまいりました。
そして、社会や競争環境が大きく変化を遂げる中で、当社では、2023年8月に基本理念を現代に即し未来を見据えた尖りのあるものへと刷新し、あわせて経営方針も刷新いたしました。
新たな基本理念及び経営方針は、以下となります。
[基本理念]
創発
[経営方針]
1.創発により、変化の激しい環境に適応し、お客様と共に持続的に成長します。
2.お客様のニーズに基づいた拠点網を拡充し、組織全体が創発により有機的に結びつき創造性あふれる活発な組織を構築します。
3.一人ひとりの想像力を高め、創発が生まれる企業文化を作ります。
4.世界に挑戦できる主体的・自律的な人材を育成し、創発による変革を実現します。
この新しい理念に基づいた考え方や行動を企業文化としてグループの隅々まで浸透させていくことで、更なる成長と飛躍を目指してまいります。また、企業倫理を尊重しながら、顧客・株主・従業員にとって存在価値のある企業グループとして、社会や経済の発展に貢献するとともに企業価値の向上に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、経営方針に基づき安定的かつ持続的な成長と利益の確保を経営目標としており、営業収益、営業利益及び経常利益においては、成長率を重要な経営指標と捉え、これらの向上を重視した経営に取り組んでまいります。また、ROE(自己資本利益率)並びにROA(総資産経常利益率)においても、現在の水準から更なる向上を図るべく努力してまいる所存であります。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、国際物流事業において、より良い貨物輸送サービスを展開し、お客様に密着したサービスを提供できるワールドワイドな総合物流企業を目指しております。
物流業界におきましては、現在、慢性的な人手不足の状況が継続しており、少子高齢化が進む中で、今後ますます労働力確保が困難なると予想されます。労働力不足は、輸送できる貨物量の減少だけに留まらず、物流コストの上昇、そして商品価格への転嫁といった物流業界のみならず、日本経済全体が抱える大きな課題でもあります。
このような状況下で、近年、市場環境や消費者のニーズが急速に変容を遂げており、お客様の物流に対するニーズもより多様化・高度化しています。これらを背景に、フォワーダー間においても、サービスと価格双方の面で厳しい競争が続いておりますが、ここ一年では、コロナ禍を機に上昇した海上コンテナの運賃は需給バランスの正常化に伴って下落し、さらには、輸入者の在庫調整や消費の一巡等により貨物の取扱量は減少しており、今後も厳しい経営環境が続くことが予想されます。
さまざまな環境が急速に変化する中で、当社グループは今日までDXへの取り組みを通じ、サービスメニューの拡充とお客様の利便性向上を図るとともに、多くの業務効率化と営業活動の可視化を実現してまいりましたが、当社グループの競争力をさらに高める上で、継続してデジタル戦略を推進することが必要不可欠であると考えております。業界内でもデジタル化の流れが加速する中、当社グループでは、デジタルを活用して競争優位性をさらに高め、顧客の利便性向上に繋がる取り組みを行うとともに、DX推進による新たな価値創出により、顧客価値の創造を目指します。
当社グループでは、これらの取り組みをもとに、主力である国際貨物輸送を始め、通関や配送、検品・検針・加工業務といった輸出入の付帯業務の受注を増加させ、収益拡大を図り、また、当社グループがワールドワイドな総合物流企業へと成長するため、国内外の現地法人や各国の代理店と連携を強めるとともに、三国間輸送の獲得にも継続して注力することで、グローバル物流体制と収益基盤の更なる強化を図ってまいります。
そして、輸出貨物輸送、航空貨物輸送、通関、保管業務、配送業務等それぞれに得意分野を持つ企業との提携も視野に入れながら、これらの事業提携を通じて、総合的な物流サービスの展開を推進していくことも中長期的な戦略として掲げ、持続的成長と企業価値の向上に努めてまいります。
(4)優先的に対処すべき課題
グローバル化した今日の企業活動の中で、当社グループの主な事業である国際貨物輸送事業は、社会的、経済的に重要であり、大きな役割と責任を負っていると考えております。
人々の生活や産業活動に必要不可欠な国際物流、日本の物流において、当社グループでは幅広い物流手段を用いて安定的なサービスの提供に努め、日々変化する状況に対応しながら、持続可能な物流と社会の実現に向け、事業活動を展開しております。また、当社グループがお客様の支持を得て事業を伸展することは、当社グループの企業価値の増大に結びつくだけではなく、物流企業としての社会的使命と責任を果たすことにつながるものであると認識し、特に以下の項目を優先的に対処すべき課題として掲げて、積極的に取り組んでおります。
①グループの持続的成長の実現と収益基盤の強化・拡大
当社グループは、持続的な成長を実現するために、競争優位性をさらに高め、外部環境に左右されないより強固な収益基盤を構築することが重要課題であると認識しております。足元の経営環境として、コロナ禍において上昇した海上運賃が需給バランスの正常化に伴い下落し、それに加え、輸入者の在庫調整や消費の一巡等により貨物の取扱量が減少するなど、外部環境に大きく左右される状況が続きました。
当社グループでは、外部環境に左右されないより強固な収益基盤を構築すべく、デジタル戦略を継続して推し進め、顧客の利便性向上へと繋げるための施策に取り組むとともに、DX推進による新たな価値創出により、顧客価値の創造を目指してまいります。
また、減少したコンテナ取扱量、通関受注件数をグループが一丸となり回復させ、安定した収益確保と継続的な成長を果たすために、主力である国際貨物輸送を始め、通関や配送、検品・検針・加工業務といった輸出入の付帯業務の受注増加に注力し、収益拡大を図ってまいります。さらには、三国間輸送の獲得強化にも継続して取り組むとともに、国内外での3PL(サードパーティー・ロジスティクス)案件の受注増加に向け、営業活動を展開してまいります。
これらに加え、海外現地法人や各国の代理店との連携を強め、グローバル物流体制の基盤強化を図るとともに、収益性の改善に向けて社内体制やインフラの整備、効率化による様々なコスト削減等にも取り組んでまいります。
そして、今後当社グループが注力すべき分野に精通した企業との提携等も視野に入れ、事業規模のさらなる拡大を図ってまいります。
②人材確保と育成、人的資本経営の推進
現在、物流業界でも慢性的な人手不足の状況が継続する中、採用競争は激しさを増し、適正な人材の確保が困難な状況となっております。特に国際貨物輸送サービスでは、世界各国と日本国内の物流事情に精通した知識と経験を持つ人材が必要不可欠であります。当社グループが永続的に事業を継続し、持続的に成長を遂げるために、人材の確保と定着率の向上、そして育成強化が重要な経営課題であると認識しております。
当社では、2023年8月に基本理念を「創発」へと刷新し、「創発人材の育成」を人材の育成方針とし、「挑戦」「多様性とひらめき」「好奇心と感性」「主体性と自立性」を柱に、当社の掲げる理念に共感し、かつ実践できる人材を数多く育成し、また、この新しい理念に基づいた考え方や行動を企業文化としてグループの隅々まで浸透させていくことで、更なる成長と飛躍を目指しております。
人材確保では、即戦力となる人材の獲得を目的とした中途採用及び将来を担う社員の育成と組織の活性化を目的とした新卒採用を行いながら、エンゲージメントサーベイなどを活用し、働きがいや働きやすさを感じる職場環境整備を進め、従業員の定着率向上に努めております。また、社内環境整備として、従業員の積極的な創意工夫を奨励するとともに労働生産性の向上を図るため、所定労働時間を短縮し、従業員のワークライフバランスの充実を図り、さらには継続して賃金のベースアップを実施するなどして、人的資本経営の推進に取り組んでおります。人材育成では、創発人材の育成を目的とした研修を実施するとともに、階層別研修の充実も図りながら、当社グループの成長に繋げるための取り組みを行っております。
当社グループでは、安定した人材確保や創発人材の育成をはじめ、従業員の給与水準の向上、働きやすい環境の整備、自己成長の機会の提供、組織の活性化等に取り組み、今後の環境変化に柔軟に対応し、持続的な成長を遂げるため、人的資本の充実を図ってまいります。
③内部管理体制の強化
当社グループでは、持続的な成長を遂げ、企業価値のさらなる向上を図るためには、成長を支える組織体制と内部管理体制の強化、そして内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることが必要不可欠であると認識しております。
当社グループは、事業拡大に伴う組織体制の見直しと整備を逐次実施するとともに、監査役と内部監査室の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対するコンプライアンス研修の実施等を通じてコンプライアンス意識の醸成に努めることで、コーポレート・ガバナンス機能の充実と内部管理体制の強化に取り組んでおります。
今後も内部管理体制を有効に機能させることが企業価値をさらに高め、効率的かつ健全な企業経営を実現するものと認識し、より透明性・公平性の高い企業経営を目指し、相互牽制の効いた内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
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