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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「超悦」を経営理念とし、人と技術をつなぎ、お客様に満足を超える感動と悦びを与える商品・サービスの提供を通じて、投資家や株主の方に期待を持っていただける会社作りを目指しております。

(2)目標とする経営指標

 当社は、中長期的な経営課題として、事業収益力の強化と投下資本に対する収益率の向上を目指して取り組んでおります。

 当期(2024年6月期)は、2021年8月20日に発表した中期経営計画の最終年度にあたりましたが、計画初年度から大幅な損失を計上することとなり、業績回復を最優先課題として取り組んでまいりました。ゲーム事業における営業体制の強化やモバイル事業における収益性の改善の結果、当期の営業利益は102百万円と黒字転換をいたしました。

 次期(2025年6月期)以降については、2024年9月18日に発表した新たな中期経営計画(2025年6月期から2027年6月期まで)のとおり、「人的資本の最大化」「価値創造型提案力の強化」「新規事業の創出」を経営方針に据えて取り組んでまいります。目標とする経営指標は、連結業績においては、営業利益4億円、ゲーム事業においては、セグメント利益6億円、モバイル事業においては、セグメント利益1億円としております。

(3)中長期的な経営戦略

 当社は、事業ポートフォリオ戦略において、ゲーム事業とモバイル事業の2つのセグメントで構成しております。ゲーム事業については、ゲームの企画・開発を通じてクリエイターが持つ創造性を価値あるコンテンツとして世に送り出すとともに、クリエイターが開発に集中し国内外へ配信できる体制をサポートする分野へと領域を広げていっております。モバイル事業については、市場の成熟下において収益性の維持に取り組むだけでなく、新たな拡大戦略として、地域に密着した店舗運営ビジネスのノウハウと人材を活かした出店機会の探索を進めております。

 ゲーム業界におきましては、コロナ禍を経て成長したモバイルゲーム市場はその規模を維持しておりますが、一部の大ヒットタイトルの登場やカジュアルゲームの成長に伴う新たなユーザー層の流入が貢献する一方、リッチなモバイルゲームのアプリ内課金は、低下しております。モバイルゲーム市場は、再び拡大をしていくものと予想されておりますが、アプリ内課金の回復には、ゲームコンテンツの設計や長期的なコンテンツの提供の仕組みが重要となっており、特に高額の開発費を要するリッチなモバイルゲームにおいては、収益予測の精度を高めるマーケットアプローチが重要となってきております。コンシューマー市場では、ハードの普及とダウンロード購入の浸透により、市場規模は拡大しております。基本無料のタイトルやPC向けにリリースされるタイトルも増えており、一定のユーザー人口を抱えるタイトルが存在すると同時に、新たに発売されるゲームについても購入がされており、定期的にヒットが生まれております。

 このような環境のなか、当社ゲーム事業におきましては、海外展開を踏まえたゲーム作りや各種プラットフォームへ展開するノウハウの蓄積に取り組んでまいります。人材面においては、技術的なスキルの向上だけでなく、各種開発チームを率いる人材の育成や企画を形にする経験値の確保によってクリエイター人材の質を高めてまいります。また、技術開発を通じて、開発工程の効率化や圧縮を実現させ、職種やスキルの細分化を抑えるとともに、創造的活動と密接な開発フローを目指していきます。

 携帯電話市場におきましては、オンライン購入比率の増加や端末の買い替えサイクルの長期化から、店舗への来店数の減少傾向が続いており、店舗数の最適化が進んでおります。物価高や円安によって最新機種が高額化するなか、スマホ進化の成熟から機能的に十分と感じるユーザーも多く、買い換え意欲の低下につながっております。

 このような環境のなか、当社モバイル事業におきましては、キャリアショップ部門においては、目的来店化がさらに進むと予想しており、目的毎の接客効率の向上について取り組んでまいります。販売面においては、適切な端末販売利益の確保を図るとともに、長期に渡ってより安心に気持ちよく端末を使い続けられるサービス・商品の提案を強化し、1顧客当たりの利益の増加に取り組んでまいります。販売店部門については、販促強化による買い換え意欲の喚起に取り組むとともに、店舗運営ビジネスと親和性のある周辺分野を探索し、収益拡大を目指してまいります。

(4)会社の対処すべき課題

 当社グループの当連結会計年度の業績は、ゲーム事業における営業体制の強化やモバイル事業における収益性の改善により、営業利益102百万円を計上し、黒字転換いたしました。また、資産売却等を実施した結果、金融負債1,100百万円に対し、現金及び預金1,693百万円と手元資金が増加しております。

 このように施策の成果が表れる一方で、当社グループは、前連結会計年度まで2期連続で大幅な損失を計上したことから、シンジケート団から追加融資を受けられず、直近の短期借入金の更新期間は半年となるなど、今後の業績改善による取引規模の拡大に伴う運転資金の増加等を勘案しますと、十分な手元資金を確保できているとは言えない状況にありましたが、シンジケート団との協議を続けてまいりました結果、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、2024年9月24日付にて、シンジケートローン契約の変更契約を締結し、2024年9月末に期日を迎える予定であった短期借入金を増額するとともに借入期間を1年に延ばす借換え及び財務制限条項の緩和をする変更について合意をいたしました

 これにより継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したものと判断し、継続企業の前提に関する注記は付しておりません。

 当社グループは、今後も更なる業績改善に努めるべく、引き続き、以下の対応策に取り組んでまいります。

1.事業収支の改善について

① ゲーム事業の収益性の安定化

 ゲーム事業の収益性の安定化に向けて、営業体制を強化し案件受注に取り組んでおります。

 また、従来の施策に加え、当期におきましては、個社では対応できない案件引き合いに対して、グループ共同営業による受注可能性の追求やグループ混成チームを組成しての提案を可能にするため、当社グループ経営トップの下、グループ各社の営業状況を把握する責任者を配置し、全社営業体制による取り組みを開始しております。これに併せて、グループ各社に存在する人材情報の相互把握も進めており、受注機会の拡大と提案力の向上に取り組んでおります。これにより、これまでの営業体制では受注できなかったと思われる案件の獲得が実現し始めております。

 その他、既存案件を含めた将来の受注動向の変化について、従来は直近実績ベースで把握し対策を実施しておりましたが、少なくとも3ヶ月先の状況を予測する体制を構築し、将来見込みベースでの業績リスクの拡大の抑制に取り組んでおります。

 これらの施策により、ゲーム事業の収益性の安定化を図ってまいります。

② ゲーム事業のリスク管理体制の強化

 当社グループは、投資経営委員会を設け、重大な収支悪化の防止に向けて受注条件や受注体制に対するチェック機能を強化する取り組みを進めております。

 当期におきましては、既存案件や開発の初期フェーズの案件が多く、大型の投資や大きな受注リスクが伴う契約締結など審議の対象となる案件はありませんでしたが、既存案件に係るリスクの潜在性や受注契約の条件及び締結見通しなどの状況について、取締役会及び監査役会を中心に積極的に情報の収集を行い、投資経営委員会として詳細審議が必要な案件が生じていないかについて状況の能動的な把握に努めております。

 今後においても、ゲーム事業の開発案件に対するリスク管理に努めてまいります。

③ モバイル事業の収益性の改善

 前期末に実施した不採算店舗の撤退の効果により、モバイル事業の収益性が大きく改善しました。

 既存店舗においては、1顧客当たりの獲得利益の確保に取り組むとともに、ドミナント戦略を強化し、モバイル事業及びその周辺分野も含めた地域密着型の店舗運営ビジネスの機会を捉えて収益拡大を追求することで、引き続き、一層のモバイル事業の収益性の改善、収益拡大を図ってまいります。

2.財務基盤の改善について

① 運転資金の確保

 モバイル事業の不採算店舗の撤退に伴う差入保証金の返還及び棚卸資産の圧縮、当社グループによるシナジー効果の薄い関連会社株式の譲渡、並びに本業に影響のない投資不動産の売却等の実施により、当面の事業継続に必要な資金は確保しておりますが、財務体質改善のため、引き続き様々な資金確保の手段を検討してまいります。

 取引金融機関とは緊密に連携を行い、将来必要となる資金についてもご支援いただけるよう良好な関係を継続できるよう対応してまいります。

② 財務体質の抜本的な改善

 財務体質を抜本的に改善し、財務基盤の安定性を回復するため、金融機関以外からの調達についても適宜検討を進めてまいります。

 上記のとおり、足元においては、安定的な営業利益を計上できる事業体制の確立と財務基盤の改善が課題でありますが、当社の中長期的な事業戦略における課題については、次のとおりであります。

 ゲーム事業においては、開発案件の予算規模が増大するなか、タイトルの厳選が強まっております。これに伴って、開発人材に求められる要求水準も上昇しており、大型プロジェクトをディレクションできる人材やチームを率いることができる人材の育成が重要な課題となっております。また、開発費の抑制と品質の両立が必要となるなかで、少数精鋭チームの組成力が求められております。モバイル事業においては、市場が成熟するなか、利益確保のために人件費の最適化を図る一方で、今後の成長に向けて人材の採用・育成の取り組みも重要であり、人的投資を積極的に進めるためには、既存店舗との人材シナジーがあり、収益性の期待できる出店が必要となっております。これらの課題を踏まえ、以下のとおり取り組んでまいります。

 人的資本経営の観点から特にゲーム事業においては、ゲームコンテンツという無形資産の創出に対して対価を得ており、その源泉は人的資本にありますが、これによって獲得する会計上の価値は、主にセグメント利益(営業利益)になります。しかしながら、当該数値のみに傾注した場合、会計上において必ずしも反映されない知的財産等の無形資産の獲得機会を逸する可能性があり、当社グループの人的資本価値を最大限に引き出していく経営方針及びその遂行を計画に落とし込み資産の最大化に繋げられるマネジメント体制が重要となります。そのため、営業利益等の指標を重視しながらも、併せて財務諸表上の数値に表れない人的資本への投資を促進するとともに、その資産的価値の把握を強化するなど、当社グループのゲーム事業に即した人的資本経営の取り組みを推進してまいります。

 当社グループの長期的な発展のため、将来的に高い成長性や収益性が見込める新規事業への挑戦や新しい収益モデルの探求、付加価値を生み出し高めていく土壌の醸成が重要な課題であります。小規模プロジェクト等による迅速な仮説検証の実践に取り組むとともに、グループ全体のリスク管理体制の下で投資リスクがコントロールされるように意思決定の仕組みを整備してまいります。

 人材の育成と保持に関して、ゲーム事業及びモバイル事業ともに人的資本が要となっていることから、将来成長が期待できる人材の獲得及びコア人材の育成と保持は重要な課題であります。各事業分野での職業人としての能力開発や成長機会の充実を図ることによって、自社で働く魅力を高めてまいります。また、人材の採用に繋がる給与条件等の提示及び維持ができるよう、組織体制の見直しも含めた業務改革と生産性向上によるコスト削減にも取り組みながら事業のコスト構造の改善を進め、メリハリのある給与水準の設計や人事制度を検討していきます。加えて、早期にチームの一員として有機的に繋がり、高いパフォーマンスを発揮すると同時に、キャリアとしての専門性を高められるよう、効果的な人事サポートと人材育成の仕組みづくりに取り組んでまいります。

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