エクストリーム 【東証グロース:6033】「サービス業」 へ投稿
企業概要
(1)経営方針
当社グループは、「まじめに面白いを創る会社。未来の楽しいを造る会社。」を企業コンセプトとして掲げ、ゲーム・デジタルコンテンツ・WEBシステム・アプリケーションなどの開発業務(派遣契約及び受託開発)及び関連事業を展開しております。
事業区分は、法人向けにソフトウェア開発サービスを提供する「デジタル人材事業」及び「受託開発事業」、個人向けに当社が保有するゲーム関連知的財産を活用し、スマートフォンゲーム、キャラクターグッズなどのサービスまたは商品を提供する「コンテンツプロパティ事業」の3事業に大別され、それぞれの事業がシナジー効果を生み出し、世界に通用するクリエイティブカンパニーとして成長し続けることを事業ミッションとしています。
(2)経営戦略等
当社グループは、上述の経営方針に基づき、セグメント毎に以下の経営戦略を立案し、これを実行しております。
① デジタル人材事業
当社はクリエイティブな技術者が集結する集団として「デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクション」を標榜し、様々な企業に当社のソリューションを提供し、唯一無二の人材サービスの提供を推し進めております。
当事業に従事する当社技術社員は、登録型派遣社員ではなく、正規雇用社員であり、当社独自の研修、教育、セミナーなどを通じて、スキル、経験、人物性(一般教養等)について、一定以上の品質を企業として担保することで、顧客に安心して当該サービスを提供しております。
営業戦略として、これまで当社がゲーム等のエンターテインメント業界で蓄積したクリエイティブな技術力・表現力などを強みに、市場拡大を続けるWEBサービスや企業のDX推進など、当社保有技術がシームレスに活用できる業界への営業活動を展開してまいります。
② 受託開発事業
当社の受託開発事業は、「新規開発」「保守・運用開発」「追加開発」「ラボ型開発」と受注区分を4つに大別し、初期開発から運用保守まで全方位的な提案を行うことにより、安定的な受注及び収益構造の構築を目指しております。
開発体制は、案件の状況に応じて適宜デジタル人材事業の人員をアサインすることにより、非稼働要員を出すことなく、コスト効率の良い体制を構築しております。
また、国内IT業界においては、即戦力となる人材は慢性的に不足している状況があり、画一的な採用だけでは技術人材の安定的な確保は困難な状況です。当社グループでは、これらIT人材不足を背景に、今後は外国人人材活用の門戸がさらに広がると見て、ベトナムオフショア事業の要として、株式会社エクスラボを立ち上げ、来るべきIT人材不足に国内からの採用だけではなく、成長著しいアジア諸国と連携する戦略も視野に入れてまいります。
営業戦略として、デジタル人材事業及び当社グループ会社を通じて顧客ニーズや案件のキャッチアップを行い、効率的な営業及び継続的な受注を獲得し、実績の積み上げを行っていくとともに、グループ間における技術力の向上、共有を図ってまいります。
③ コンテンツプロパティ事業
当社グループが保有する知的財産を有効活用し、自社による商品開発はもとより、他社を通じて積極的に知的財産を世界規模にて展開し、日本発のコンテンツ文化のグローバルな浸透を図りたいと考えております。
また、営業戦略として、知的財産という商材の特徴上から権利保全を第一に考え、取引実績のある提携先を中心にアライアンスを組み、コンテンツの有効活用及び収益の最大化を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、デジタル人材事業を安定的な事業基盤としながら、受託開発事業及びコンテンツプロパティ事業を新たな収益基盤と捉え、関連企業とも連携しながら、安定した収益の拡大を目指して行きたいと考えております。
このため、当社グループでは、中長期的に売上高規模を100億円超、売上高営業利益率20%の達成を目標に経営指標として管理しております。当社が売上高規模及び営業利益率を重視する理由は、企業として一定程度の売上高規模を確立することで、事業基盤の安定性を確保するとともに、安定した利益成長を継続させることで、新規領域への投資を機動的に行うことが重要であると考えているためであります。継続的な利益確保は安定的なキャッシュ・フローにもつながると考えており、株主への安定的な利益還元を実現するとともに、今後の事業拡大を見据えM&A等への取り組み等についても、資金の状況等を勘案しながら取り組む所存であります。
また、当連結会計年度において売上高は100億円を超えることができたため、新たな中長期目標及び計画の策定に取り組んでまいります。
(4)経営環境
① デジタル人材事業
経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(以下、本調査結果」」(2019年4月)によると、今後10年間でIT人材は最大79万人が不足する見通しとなっており、人材の獲得競争の激化だけでなく、IT業務に従事する技術者のアサインも困難になることが想定されます。加えて、ゲームなどのエンターテインメント業界はもとより、今後ますますビジュアル化が進んだソフトウェアが生活に浸透し、5G等次世代通信網規格の普及も後押しとなり、IoT、フィンテック、デジタルサイネージ、先端医療、自動運転、電子商取引等の開発ソリューション需要が着実に見込まれると考えられます。
このような状況下、各企業においては急速に進む業務のデジタル化への対応が要求される一方、慢性的なIT人材不足をどのようにして解決して行くのか具体的な対応が求められる状況となっております。本調査結果によれば、技術人材の採用はますます困難な状況になることが想定されるとともに、IT人材の流動性の向上策も必要との見解が出されています。
即ち、社員にとらわれない流動的なIT人材の活用(派遣・業務委託・フリーランスなど)がますます進み、これらの課題解決を提供する当該事業においては、引き続き堅調な需要が予測されます。
当社グループでは、近い将来予測されているIT人材不足に対し、優秀な人材確保を引き続き積極的に推進するとともに、社内教育・研修システムをさらに充実させ、需要に対するソリューション提供力を高めるべく、事業展開を図ってまいります。
② 受託開発事業
総務省「情報通信業基本調査」(2023年3月29日)によると、受託開発ソフトウェア市場は、2021年度実績4兆3,821億円、1企業当たりの売上高は34.4億円となっており、あらゆる業務のIT化、働き方改革等による生産性向上を目的に企業によるシステム投資は底堅いニーズが予想され、市場規模は今後も着実に成長することが見込まれます。
また、直近においては、5G等次世代通信網規格の普及など通信環境も飛躍的な進化を遂げることで、企業におけるシステム構築・運営は重厚長大なスタンドアローン型から軽薄短小なクラウド型へますますシフトして行くと考えられます。
一方、業務効率化などを目的とする企業等においてはIT投資が積極的に取り組まれている状況の傍ら、IT投資に対する費用対効果についてはクラウド環境の普及により、より一層効率的なアウトプットを求められる傾向が見受けられ、投資意欲が積極的でありながらも、案件受注においては技術力、価格競争力など独自の強みを訴求する必要性が増しています。
当社グループでは、このような状況下、従前より強みとしてきたインフラ設計からサイト運用までワンストップのソリューションを提供する全方位的な開発提案をさらに推進し、ベトナムなど海外オフショアも含め、顧客に対するコスト削減提案力を強めつつ、大規模な会員を有するプラットフォーマーなどの主要顧客に対し、当該事業の優位性と実績の強みを訴求し、更なる業容拡大を目指してまいります。
③ コンテンツプロパティ事業
経済産業省「知的財産ワーキング・グループ等侵害対策強化事業におけるコンテンツ分野の海外市場規模調査」(2017年)によると、2016年における海外コンテンツ(映画・放送・アニメ・マンガ・音楽・ゲーム・キャラクター物販)の市場推計は5,898億米ドルであり、うちゲームコンテンツの市場規模は801億米ドルとなっています。また、日本市場においてはそれぞれ514億米ドル、127億米ドルとなっており、2022年にはそれぞれ589億米ドル(14.6%増)、179億米ドル(40.9%増)に拡大すると見込まれています。
また、2016年における海外でのコンテンツ市場に占める日本由来コンテンツの割合は4.4%に当たる260億米ドルであり、特にゲームコンテンツ市場に占める日本由来コンテンツの割合は20%に達しています。加えて、海外でのコンテンツ市場の成長率は、日本国内の市場規模の成長率を上回ることが見込まれており、2022年には7,448億米ドル(26.2%増)となり、今後、ゲームコンテンツ市場は1,330億米ドル(66.0%増)に達すると試算されています。特にアジアにおけるコンテンツ市場の成長率は2016年から2022年にかけて156.8%に拡大すると見込まれており、日本由来のコンテンツへのニーズがさらに高まることが予想されます。
当該事業においては、当社グループが保有するゲーム・キャラクター等の知的財産を活用した各種ビジネスを展開しております。具体的には、ライセンスサービス・ゲームサービスなどがあり、ライセンスサービスについては、当社グループが保有するゲームタイトルまたはキャラクターなどを、第三者が制作・販売するゲーム、マンガ、小説、フィギュア、カードゲームなど様々な商材へ使用許諾を行い、ライセンス料を得るビジネスを展開しております。
主な保有知的財産として、『桃色大戦ぱいろん』シリーズのほか、1990年代に家庭用ゲームで人気を博した『メサイヤ』ブランドを取り扱っております。特に『メサイヤ』ブランドについては、延べ100タイトル程度のゲームタイトルを有しており、この中においても2018年8月から中国にてサービスが開始され、大ヒットとなったスマートフォン向けゲーム『ラングリッサー』をはじめ、『超兄貴』『重装機兵ヴァルケン・レイノス』『改造町人シュビビンマン』『モトローダー』などの人気タイトルがあり、現在においてもレトロゲームダウンロードサービス等で高い人気を有しているとともに、海外配信等も行っております。
また、グループ会社である「株式会社Dragami Games」「株式会社ネクストン」は、人気ゲームブランドを多数保有するゲームパブリッシャーであり、当社と資本的な関係性を構築することにより、両社の知的財産の更なる有効活用、販路拡大などの相乗効果が期待できると考えております。
今後は、『メサイヤ』ブランドを軸としながら、グループ会社との知的財産の有効活用など様々なライセンス活用や新サービスなども検討してまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当連結会計年度におけるわが国の経済は、このところ一部に足踏みがみられるものの、個人投資や設備投資等が緩やかに持ち直しており、先行きについても、各種政策の効果もあり景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。
このような状況下で、当社は各事業において以下の課題に取り組み、デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクションとして、当社グループの強みである唯一無二の人材サービスを提供することで、当社グループの強みを発揮し、持続的な成長が実現できるよう取り組んでまいります。
① デジタル人材事業
(a)エンジニアの確保
当事業における重要な要素は、当社社員であるクリエイターまたはエンジニアであり、現在までに当該社員数とサービス提供先企業数が順調に推移してきたことから、業容を拡大してまいりました。一方で慢性的な技術人材不足は今後も継続すると予想されております。このため、当社では更なるクリエイター及びエンジニアの確保及び社員定着率の向上を図る必要があると認識しております。こうした状況に対し、福利厚生、研修制度、技術交流などを充実させ、社員コミュニケーションの活性化による帰属意識とロイヤルティを高め、人材確保に努めてまいります。
(b)サービス提供先の適切な選別
当事業は、これまでエンターテインメント系企業を主要顧客としており、近年スマートフォンアプリ市場の安定的な成長により、市場規模は堅調に推移しております。しかし、エンターテインメント業界は娯楽産業であるため景況感に左右される要素があり、需要の変動が大きく変化する場合があります。このため、当社ではエンターテインメント系企業の顧客に留まらず、クリエイティブなスキルが要求されるインターネットサービス業界など当社社員の技術力をシームレスに活用できる分野へも積極的に参入し、収益の安定化を図ってまいります。
(c)技術力の蓄積及び共有
当事業に従事する当社社員は、顧客企業に常駐しているため、社員同士による即時的な技術共有などにおいて課題があります。このため、当社では自社による技術情報蓄積システムを運用し、社員がどのような環境下においても当社が蓄積してきた技術情報を即時に参照できる仕組みを構築しておりますが、今後も技術情報のさらなる蓄積と各種業務の標準化を推し進め、属人的なスキルに偏らない、企業としての技術力の担保をさらに図ってまいります。
(d)教育・研修制度の強化
技術者に求められるスキルは日進月歩であり、当社社員であるクリエイターまたはエンジニアにおいても、常に顧客ニーズや技術環境に適したサービスが提供できるよう、社内外の教育・研修制度を通じ、技術力の継続的な向上を図ってまいります。
② 受託開発事業
(a)営業体制の強化
効率的かつ機動力のある営業体制を確立するために、営業人員の増加はもとより、デジタル人材事業との連携及び業務提携等によるパートナー戦略の拡充を図り、新規ビジネス機会の創出、パートナー先との協業による複合的なITソリューションの提供等による新たな顧客基盤の確立とさらなる事業の拡大を目指してまいります。
(b)ストック型ビジネスの拡大による収益基盤の安定化
当事業においては、「新規開発」「保守・運用開発」「追加開発」「ラボ型開発」の4つの受注区分のうち、「保守・運用開発」「ラボ型開発」がストック型ビジネスとなり、長期的かつ安定的な収益源となります。そのため、顧客に対して業務改善を適宜提案し、信頼関係を構築しながら長期的な顧客との取引が維持できるよう努め、ストック型ビジネスの増大を図ることにより収益基盤のさらなる安定化を目指してまいります。
(c)優秀な人材の確保
当事業においては、優秀な人材の確保・育成が今後の経営基盤を維持・拡大するうえで不可欠であると認識しております。技術者については、デジタル人材事業または子会社等との連携により、機動的に優秀な人材を配置することができる強みを持っているものの、プロジェクトの遂行において重要な役割を担うプロジェクトマネージャーについては、不足している状況があります。これらの課題を解決するために、即戦力のキャリア採用を中心に、当社独自の教育・研修制度などを通じて、プロジェクトマネージメント層の育成を一層強化してまいります。
③ コンテンツプロパティ事業
(a)収益源の確保
当事業は、自社保有IPやゲームキャラクターを活用したライセンス事業を主なサービス領域として展開してまいりましたが、ライセンス事業にとどまらず、自社製品の強化などを通じ、サービスポートフォリオの拡充に努めてまいります。
(b)知的財産権への対応
当事業においては、ゲームタイトル・ゲームキャラクターなどの知的財産を第三者へ許諾することにより、ロイヤルティを得るライセンス事業が伸長しております。許諾先が国内に留まらず、海外においても成果が発生していることから、各許諾地域における商標登録、意匠登録等を適切に行い、模倣品などによる被害が発生しないよう、引き続き権利保全を図ってまいります。
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