エイベックス 【東証プライム:7860】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、これまでもエンタテインメントを提供する事業を通じて、様々なサステナビリティ活動を展開してまいりました。当社の企業理念である「エンタテインメントの可能性に挑みつづける。人が持つ無限のクリエイティビティを信じ、多様な才能とともに世界に感動を届ける。そして、豊かな未来を創造する。」を踏まえ、サステナビリティポリシーを2022年11月10日に公表いたしました。
サステナビリティ推進を目的とした専門部署の設立をはじめ、エンタテインメント企業の強みを生かした「サステナブルな社会」の実現に向けた普及・啓発、次世代との協業と社会経験の提供、地域・コミュニティとのパートナーシップ強化、次世代型スマートライヴの推進などを通じて、サステナブルな社会の実現を目指します。
(1) ガバナンス
当社グループは、今後の気候変動を含むサステナビリティに関する方針や意思決定の迅速化と監督機能の強化を図るため、組織体制の見直しを含むガバナンスの在り方についても継続的に検討してまいります。
原則として月1回開催しております取締役会では、重要な経営の意思決定・業務執行の監督等を行っております。気候変動に関わるリスクと機会への対応については、2022年7月1日に設立した専門部署「サステナビリティ推進室」にて関連する部署と情報を共有しながら対応し、重要な報告事項が発生した場合、取締役会へ報告し、モニタリングを実施いたします。
(2) 戦略
① 気候変動に関する事項
当社グループは、2017年6月に気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が公表している最終報告書において、2℃以下シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択・設定する必要があると提言していることから、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した世界平均気温の変化の状況を確認し、気候変動がもたらすリスク・機会について、移行面で影響が顕在化する1.5℃シナリオと物理面での影響が顕在化する4℃シナリオの2つのシナリオを選択いたしました。
(気候変動に関する主なリスクと機会)
a 移行リスク・機会:脱炭素シナリオ(1.5℃)
移行リスク・機会については、1.5℃目標達成に向けて、様々な規制などが導入される脱炭素シナリオに基づいて検討いたしました。1.5℃以下シナリオにおいては、政府の環境規制強化に伴う炭素税導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇など費用の増加、電力消費量を削減するための設備投資の増加が想定されます。また、環境問題をはじめとしたサステナビリティ意識の高まりもあり、CD・DVDやグッズの簡易的な包装及びチケットレス等のデジタルを活用したスマートライヴなどの取り組みを行い、今後も環境の持続可能性に配慮した活動を推進してまいります。
気候変動リスク/ 機会の項目 | 世の中の変化 | 想定されるシナリオ | リスク | 機会 | 発生時期 | |
移行リスク・機会 | 政策/規制 | 炭素税の上昇 | 炭素税の導入による、容器・包材等コスト増加 | △ | - | 中・長期 |
各国のCO2排出量削減の政策強化 | 電力制限により、イベント・ライヴ会場での機材使用規制 | 〇 | - | 中・長期 | ||
市場・技術
| 低炭素(省エネ)、脱炭素、再生可能エネルギーへの移行が急進 | CD・DVDやグッズに使用する素材に規制 | △ | - | 中・長期 | |
チケットレス等のデジタルを活用したスマートライヴ推進による費用の減少 | - | △ | 中・長期 | |||
調達コストの増加 | 炭素税や環境規制対応によって、紙資源など原材料への価格転嫁が進み生産・調達コストが増加 | 〇 | - | 中・長期 | ||
業界全体の環境対応要請の強化 | CD・DVD等のデジタル化又は簡易包装などの需要の増加による費用の減少 | - | 〇 | 中・長期 | ||
評判 | 消費者の行動変化 | サステナビリティ意識の高まりによるCD・DVD等の収入が減少する一方、デジタルコンテンツニーズの増加による収入の増加 | 〇 | 〇 | 中・長期 | |
投資家の評判変化 | 気候変動をはじめとする環境への取組みの遅れによる投資家からの企業評価や信頼度の低下 | △ | - | 中・長期 |
(△:影響がある、〇:高い、◎:非常に高い)
b 物理的リスク・機会:温暖化進行シナリオ(4℃)
物理的リスク・機会では、異常気象による自然災害の発生に伴う、事業活動の停止やサプライチェーンの断絶が大きなリスクとなります。自然災害は発生の予測が難しく、一度発生すれば甚大な被害をもたらします。現在においても、温暖化の進行により、災害をもたらす大雨などの極端な気象現象の発生が増加しておりますが、温暖化進行シナリオでは、この傾向はさらに強まることが想定されます。当社グループでは、商品の簡易的な包装やスマートライヴ等のデジタル化による環境の持続可能性に配慮した取り組みに加えて、全従業員が時間や場所にとらわれず、自律的に行動する働き方として、フリーアドレス・フレックスタイム・フリーロケーションを導入し「スマートワークができるハイブリッド勤務制度」を実施し、オフィスを効率化することでCO2排出量を削減しております。
気候変動リスク/ 機会の項目 | 世の中の変化 | 想定されるシナリオ | リスク | 機会 | 発生時期 | |
物理的なリスク・機会 | 慢性 | 平均気温の上昇 | 地球温暖化によりイベント・ライヴ会場の熱中症リスク 空調にかかわる費用の増加 | 〇 | - | 長期 |
降水・気象パターンの変化 | 主要事業所・拠点において、災害対策に関する設備投資コストの発生 | ◎ | - | 長期 | ||
急性 | 異常気象の激甚化 | 生産・調達における操業停止・サプライチェーンの断絶が発生 | ◎ | - | 長期 | |
野外の会場でイベント・ライヴ開催が困難になり、それに伴う販売収益の減少 | ◎ | - | 長期 |
(△:影響がある、〇:高い、◎:非常に高い)
② 人的資本に関する事項
当社グループでは、エンタテインメントの源泉は「人」であると考えております。エンタテインメントを創り出すアーティスト・タレント・クリエイター、そして、その可能性を引き出し最大化させる当社グループと、そこで働く従業員に共通しているのは「人」です。年齢・性別・国籍等に関係なく、人材の多様性を尊重し、活力ある人材を積極登用することによる次世代の経営層の育成、時間や場所に捕らわれないテレワーク・フリーアドレス・フレックスの活用による柔軟な働き方の推進、新たな契約形態や報酬制度により、従業員一人ひとりが意欲と活力を持って働ける環境の整備・構築に継続して取り組んでおります。
今後は、事業環境の変化と業容拡大に対応するとともに、競争力を向上させ更なる成長を実現するために、当社グループが展開する様々な事業や職種の特性を踏まえた新たな人事制度を構築するとともに、事業環境の変化が速まる中で従業員一人ひとりが活躍できるよう、異動・配置の検討、キャリア開発の支援及び専門性を高める教育研修についても重要課題と捉え、施策立案・制度構築に努めてまいります。
(3) リスク管理
当社グループでは、リスク管理について「リスク管理規程」に基づき、各部門がリスクに対応する取り組みを実施しております。気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ推進室と関連する部署で情報を共有しながら管理を行い、重要なリスクについては定期的に取締役会に報告いたします。
(4) 指標及び目標
① 気候変動に関する事項
当社グループは、気候変動が社会の緊急課題であると認識し、省エネルギー化に取り組んでおります。2022年度の電力消費による間接CO2排出量は754t-CO2となり、本社ビルの移転等に伴い2018年度より64%削減しております。このたび、持続可能な社会の実現に向けて、日本政府の表明しているCO2排出削減目標を考慮し、CO2排出量を2050年までに実質零と目標設定いたしました。
CO2排出量の削減にあたっては、オフィス内における省エネ、節電を心掛けるとともに、化石燃料を用いない再生可能エネルギーの導入や一般財団法人日本品質保証機構が認証するグリーンエネルギー等を積極的に活用し脱炭素社会の実現を目指してまいります。
当社グループCO2排出量の推移(t-CO2)
(過去5年間のCO2排出量)
オフィスでは省エネ・節電に継続して取り組むとともに、ハイブリッド勤務制度により効率的なエネルギー使用の形を目指しております。
2022年度は、これら省エネ・節電の実施に加え、エネルギー利用の視点からオフィス配置をワンフロアにする等を行うことで、今後もエネルギー使用量の削減に努めてまいります。
| 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
CO2排出量(t-CO2) | 2,112 | 2,106 | 1,936 | 1,990 | 754 |
(注) 1 本社ビル及び当社グループ所有のスタジオを対象としております。
2 2022年3月1日より南青山エイベックスビルから住友不動産麻布十番ビルへ本社を移転しております。
② 人的資本に関する事項
当社グループにおける人的資本に関する指標及び目標については、以下のとおりであります。
a 多様性
当社グループは、活力ある人材を積極登用した次世代の経営層の育成を目指し、若手や女性の役員登用をグループ各社にて積極的に行ってまいります。当社グループにおける取締役についても、2024年度に女性取締役を1名以上置くことを目指しております。
女性活躍の観点においては、2022年4月に女性の個性と能力が発揮できるようにするための行動計画を策定・公表しており、2027年3月末までに管理職に占める女性割合を20%まで向上させること(実績:14%)、育児休業からの復職率及び復職後3年就業継続率を引き続き90%以上とすること(実績:92%)を目指しております。
b エンゲージメント
当社グループは、企業理念「エンタテインメントの可能性に挑みつづける。人が持つ無限のクリエイティビティを信じ、多様な才能とともに世界に感動を届ける。そして、豊かな未来を創造する。」や、タグライン「Really! Mad+Pure」の体現においては、従業員エンゲージメントも重要な指標と捉えており、2027年3月末までに従業員エンゲージメントスコアを3%向上させること(過去3年実績平均:53%)を目指しております。
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