企業兼大株主エア・ウォーター東証プライム:4088】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 当社グループでは、経営理念「創業者精神を持って空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」の下、「空気」と「水」を事業の原点とし、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献しております。

 当社グループは、パーパス(存在意義)である「地球の恵みを、社会の望みに。」をSDGsコミュニケーションコンセプトとして掲げ、空気や水に代表される地球資源を活用し、技術やビジネスモデル、ノウハウを掛け合わせることで、人々の暮らしや産業になくてはならない製品、サービス、ソリューションを生み出してまいりました。当社グループの事業活動を継続するためには、その源泉となる地球環境に対して持続可能な事業活動でなくてはなりません。

 そのような中、2019年7月には、2050年の当社グループのあるべき姿として、サステナブルビジョン「地球、社会との共生により循環型社会を実現する」を定め、その実現のために国際社会が目指すSDGsを2030年のマイルストーンとして位置づけ、2021年10月には、「エア・ウォーターグループ環境ビジョン2050」を制定しました。これらの方針の下、気候変動やスマート社会に対応する「地球環境」と、人生100年時代や世界人口の増加に対応する「ウェルネス(健やかな暮らし)」の軸に沿って、経営資源である多様な事業、技術、人材を活かしてグループシナジーによる新事業を創出しながら、経済価値と社会価値の両面から企業価値を向上すべく、事業活動を通じてSDGsに取り組み、社会課題解決への貢献を果たしていきます。

 同時に、サステナブルビジョン実現のために、地球、社会とともに将来にわたり持続的に存続、発展するための重要課題として、7つの「成功の柱(マテリアリティ)」である「気候変動への対応」「資源循環の実現」「環境影響物質の抑制」「地域社会との共存共栄」「ウェルネス(健やかな暮らし)」「働く人々のWell-beingの実現」「グループガバナンスの強化」を特定し、KPIとして以下の目標を設定し、取り組みを進めております。

・気候変動への対応

 2030年度 GHG(温室効果ガス)排出量 2020年度比 30%削減

・資源循環の実現

 2030年度 廃棄物リサイクル率 80%(2021年度 65%)

・環境影響物質の抑制

 2030年度 水使用量原単位※ 2021年度比 10%削減

 ※水使用量原単位:売上高あたりの水使用量

・働く人々の Well-being の実現

 2024年度 女性管理職比率 10% (2021年度 4.0%)

 2024年度 休業災害度数率※ 0.9以下(2021年度 1.15)

 ※度数率:100万延労働時間あたりの事故遭遇率人数

(1)ガバナンス

 当社グループは、気候変動や資源不足などの環境問題、人と自然との共存、進化し続けるデジタル技術の活用、人材の多様性や人的資本への投資、健康寿命の延伸と、サステナビリティに関わる社会の課題に対し、各施策の検討、中長期的な経営課題への対応方針や取組計画等は、代表取締役会長・CEOを議長とした最高経営委員会で審議し、重要な事項は取締役会に報告されます。取締役会は、報告された内容に対し適切に監督する態勢を構築しております。

2022年11月からは、経営戦略と一体化させるために経営企画室の傘下に「SDGs事業推進グループ」を設置し、当社グループのSDGs活動推進のための諸施策を立案・実施しているほか、当社グループ内にSDGsの取り組みの浸透を図るとともに、方針の周知と進捗の確認を行っております。また、SDGsに関わる課題解決の取り組みの具体的な内容については事業グループ・ユニット、地域事業会社にSDGs事業推進担当者を選任し、全社的な推進を行っております。

(2)リスク管理

 当社グループでは、経営の健全性・安定性を確保しつつ企業価値を高めていくために、業務やリスクの特性に応じてリスクを適切に管理し、コントロールしていくことを経営上の重要課題の一つとして認識し、リスクマネジメント体制を整備しております。

 当社グループは、全社的なコンプライアンス、保安防災、環境保全および人権に関わるリスクについては、「CSR推進室コンプライアンスグループ」が統括部門として「リスクマネジメント検討会」を定期的に開催し、グループ全体におけるリスク管理体制の強化を推進しております。また、気候変動関連リスクについては、「経営企画室SDGs事業推進グループ」がTCFDの推奨するシナリオ分析の手法に基づいて、事業グループのTCFD推進責任者と共に評価・分析する体制としております。

 それぞれ統括部門は、重要リスクおよび戦略・対策案について最高経営委員会及び取締役会に付議・報告することで全社のリスクマネジメントプロセスに統合する体制をとっております。

 その他情報セキュリティを含むサステナビリティ関連の個別リスクについては、それぞれの担当部門において、社内規程の制定、マニュアルの作成ならびに教育研修の実施などを行うとともに、事前審査や決裁制度を通じて当該リスクを管理しております。

 一方、事業グループ、事業ユニットでは、事業に関連するリスクの抽出・検討を行い、事業への影響度の大きい重要リスクを特定し、3か年毎の中期経営計画策定時や年度ごとの年度活動計画に具体的な戦略・対策を立案し、計画の進捗管理によりリスク管理を行っております。

(3)戦略・指標及び目標

1.気候変動への対応

 当社グループは、気候変動への対応は「成功の柱(マテリアリティ)」の一つとして、事業の戦略との統合を図っております。

 自社製品・事業の省資源・省エネルギー化および脱炭素化の促進を図るとともに、バイオガス、メタン、水素などのガス供給やCO2回収・利活用といった低炭素・脱炭素に寄与するカーボンニュートラル技術の開発や多様な事業、人材、技術を掛け合わせるシナジーによって脱炭素事業の創出を進めることで社会のGHG削減に<貢献>することを戦略としております。また、自らが排出するGHG削減は<責務>であるとし、①エネルギー使用量の削減、②エネルギーの脱炭素化、③生産プロセスの改革、④技術開発、⑤経営の効率化を基本方針とし、生産工程で使用されるエネルギーの低炭素化、省エネ設備等への投資を含む省エネルギー活動を優先的に進め、段階的な再生可能エネルギーの活用拡大や低炭素な物流事業の構築などにも取り組んでまいります。

 また、気候変動という予測困難で不確実な事象に関するリスクと機会を特定し、それらのリスクと機会がどのように事業の戦略に影響を与えるのかを確認するためにシナリオ分析を行っております。2022年度は全ての事業ユニットとその他の主要事業に対象を拡大し、「4℃シナリオ」と「1.5℃シナリオ」を用いて分析を行いました。その結果、リスク、機会共に「1.5℃シナリオ」の方が影響は大きいが、「4℃シナリオ」、「1.5℃シナリオ」のいずれも十分な対応策や機会獲得・拡大を見込んでおり、不確実な長期的な将来に対し、当社の基本戦略は十分なレジリエンスを有していることを確認しました。

※1.5℃シナリオ、4℃シナリオ分析に基づくリスクと機会の詳細については、弊社ホームページを参照。

気候変動のリスク・機会に伴う財務影響評価

1.5℃

移行

リスク

・化石燃料由来製品・容器などの代替品への切り替えコスト増加

・再エネ賦課金の上昇や減免率見直しによるコスト増加

・温室効果や環境破壊の可能性があるガスの販売量減少

・脱炭素化性能が十分でない製品・建物の競争力・売上低下

・新たな炭素税制の導入により製造コスト、輸送コスト、自家発電などのエネルギーコストが増加

・化石燃料から代替燃料への移行に伴う投資増加

機会

・燃料の低炭素化による低炭素志向ユーザー向けの売上増

・CO2固定技術によるカーボン市場への参画

 

・カーボンニュートラルエネルギー、水素市場への事業機会拡大

・カーボンリサイクル技術を使用した製品による売上の増加

4℃

移行

リスク

・燃料価格上昇による輸送コスト、操業コスト増加

 

 

物理的

リスク

 

・設備被害と交通インフラの物理的被害による操業停止などのリスクが顕在化

 

機会

 

 

・防災/感染症対策製品への需要増加


① 温室効果ガス(GHG)排出量

 当社グループでは、気候関連に係るリスクと機会を測定・管理するための指標として温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1,2,3)を選定しております。GHG排出量の算定にあたっては、2020年度からGHGプロトコルに基づいた算定をしております。

(千t-CO2e)

項 目

2020年度

2021年度

2022年度(注1)

エネルギー起源CO2(国内)

2,115

2,341

1,996

Scope1:燃料の燃焼による直接排出

675

691

337

Scope2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出

1,440

1,650

1,659

エネルギー起源CO2(海外)

749

750

794

Scope1:燃料の燃焼による直接排出

33

23

26

Scope2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出

716

727

768

その他のGHG(非エネルギー起源CO2、メタン、N2O等)の排出

255

350

213

(Scope1+Scope2計)

3,119

3,441

3,004

GHG排出原単位(GHG排出量/連結売上収益)

  t-CO2/百万円

3.87

3.87

2.99

Scope3: Scope1、 Scope2以外の間接排出

2,279

5,218

5,165

(注)1 <速報値> GHG排出量の詳細は、弊社ホームページを参照。<確定値>は、10月中旬頃公表予定。

2 2022年度は旧エア・ウォーター&エネルギア・パワー山口㈱は連結対象外のため算定対象に含めておりま

 せん。

GHG排出量の削減状況(2022年度実績)

2022年度のGHG排出量は、バウンダリの構造的変化および製造プロセスの省エネ、燃料転換、オンサイトPPAの導入等により事業成長分の増加を含めて2021年度比で437千t-CO2e減少となりました。目標設定対象排出源である国内エネルギー起源CO2においても、2021年度比で345千t-CO2e減少となり、2020年度比においては、削減率5.6%となっております。

②要因別のGHG排出量

GHG排出量の2022年度の要因別について、産業ガスを製造する工場では原料空気から酸素・窒素・アルゴンを分離・精製するために圧縮機が使われており、電気の使用量が多くなっております。そのため、当社グループのGHG排出量(Scope1,2)のうち、電力使用が8割を占めております。

③GHG排出量の削減目標

 当社グループは2021年10月、「エア・ウォーターグループ環境ビジョン2050」を制定しました。その中で掲げている脱炭素社会の実現に向けて、2050年までに自社の事業活動でのカーボンニュートラルの実現とサプライチェーン全体でのGHG削減に取り組むとともに、脱炭素ビジネスにより社会に環境価値を提供していきます。環境ビジョン2050の制定を契機に、そのマイルストーンとなる2030年度のGHG削減目標を2020年度対比で30%削減※することを目標としております。

※GHGのうち、国内連結子会社のエネルギー起源CO2(Scope1・2)が対象

 2.人的資本

 当社グループは2030年度に目指す姿「terrAWell 30」の実現に向けて、変革への挑戦を強力に促す人事制度への刷新に着手。併せてグループの人的資源活用の最大化を図る改革にも取り組んでおります。求める人材像は、変革・創造へチャレンジし、ビジョン創出と巻き込む力を持って、自立的な変革と成長を果たす人材です。2022年度には当社で年齢・社歴を問わず、変革と創造へのチャレンジを高く評価する「ミッショングレード制度」を管理職層に導入しました。今後、一般職層へは一律で段階的な昇格モデルからの脱却と若手層へチャレンジ機会の提供を拡大し、早期抜擢を可能とする制度改定により、従業員の自立的なキャリア形成を支援するとともに、長期的・持続的な経営人材の育成を進めます。さらに、従業員が個人の能力を最大限発揮できるように安心して働ける職場環境づくりや、従業員一人ひとりの経験・スキルを把握し、多様なグループ人材の活用を進めていきます。並行して、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組み、多様性が生み出す会社と個人の成長を目指し、下記の様な方針を立て、さまざまな取組みを進めております。

① 人材育成方針

 当社グループは、「人を活かす経営」の実現に向け、新たな成長を牽引できる経営人材を育成・輩出するとともに、従業員に挑戦の機会を提供し、従業員個人も会社もともに発展できる好循環を創出するための人事制度改革を推進しております。管理職を対象に年齢や社歴に関わらず、従業員と会社が合意したミッションの大きさに応じたジョブグレードにより処遇を決める「ミッショングレード制度」を導入しました。本制度を適用することで、挑戦する意欲と実力があれば20代での管理職登用も可能になります。また、同じ人材が一つのポジションに長期滞留しないよう異動ローテーションを行い、それぞれの従業員が多様な経験を積み、専門性を高めることで活躍の場をグループ全体に拡げていく仕組みとしております。一般職層へは今後、一律的な昇格モデルからの脱却を進めるとともに、チャレンジ機会の提供を拡大し、従業員の自立的キャリア形成を支援。若い人材が積極的に挑戦し、登用・抜擢される風土を醸成していきます。

② 社内環境整備方針

さまざまなライフイベントを迎える従業員が、それぞれの能力を最大限に発揮するためには、「安心して働ける職場環境づくり」が求められます。当社はこれまで、育児中の従業員を支援する育児休業制度、短時間勤務制度、子の看護休暇制度に加え、配偶者転勤時の休職を認める配偶者休職制度、ジョブリターン制度を整備してきました。2020年7月には、当社のワークライフバランス推進に関する取り組みが評価され、くるみんマークを取得しております。一方で、急速な高齢化により、介護保険制度上の要支援・要介護認定者数が急速に増加しているわが国では、介護をしながら働く従業員の就業をいかにサポートしていくかが大きな社会課題となっております。そこで福利厚生制度を見直し、介護により就業が制限される従業員にも多様な就業支援を行い、継続してキャリアを形成できる環境を整備していきます。このほか、柔軟な働き方を通じた生産性の向上を図るため、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しております。

◇女性活躍の推進

 女性活躍推進については、継続的に安心して働ける職場環境づくりと併せて、自身のキャリアに向き合い、スキル・能力を高める機会を積極的に提供することで女性の更なる活躍を推進しております。当社の目標指標として、2024年度末までに女性管理職比率を10%以上に高めることを掲げ(2022年度末:5.1%)、メンター制度によるキャリア構築支援や女性リーダー育成プログラムの強化を図っております。また、女性管理職の予備軍となる主任・係長層についても積極的に登用を進めており、2017年度末で6.4%に対し、2022年度末で19.1%と着実に育成が進んでおります。


◇男性育児休業・休暇の取得推進

 男性の積極的な育児参加を後押しするため、当社は男性の育休取得率を2024年度に40%以上とすることを目標に掲げております(2022年度実績:33.3%)。併せて、育休期間についても本来的な男性の育児参画を実現するための十分な育休期間の取得も継続して促進していきます。この達成に向け、育休制度理解のための社内セミナー、育休取得者と取得希望者との座談会開催等を通じて、対象者への育休取得推奨の働きかけを行っております。また、通常の育児休業に加え、過去の失効有給休暇を育児のための休暇に充当できる制度も設けております。さらに、育休取得者とその上司へ向けた社内情報誌「育休のミカタ」「育休のココロエ」を発行し、全従業員へ育休制度の理解浸透と育休を取得しやすい風土の醸成を図っております。

 

16~18年度平均

19~21年度平均

2022年度単年

2024年度目標

男性育休取得率

25.8%

38.1%

33.3%

40.0%

男性育休平均取得日数

5.5日

14.7日

30.9日


※上記「育休」には、育児休業(育児・介護休業法第2条に基づく休業)および育児休暇(年休特別積立規則に基づく育児を目的として取得する5日以上の休暇)を含みます。

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