ウッドフレンズ 【東証スタンダード:8886】「不動産業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、商品として、企業として、『より美しく』を企業理念としております。時代に生かされている企業として経済社会へ適正に参画し、持続的利益を追い求めていくとともに、文化軸においても独自な価値を創出していくことが、当社グループの社会的使命と役割であると考えております。
(2) 経営環境
愛知県の戸建住宅市場は、物価上昇に伴う実質賃金の低下による消費者の低調な購買意欲等により、需給のバランスが崩れた状況となりました。これに起因し、同市場での完成在庫は年間を通して高い水準で推移する等、厳しい環境が継続しました。
住宅事業では、これまで戸建分譲住宅のシェア拡大を目指し、積極的な用地取得を進めてまいりましたが、一部において商品化に時間及びコストを要する用地を取得したこと及び市場の需要を的確に捉えた住宅商品の供給ができなかったこと等により、当連結会計年度は販売用在庫が基準を大きく上回る状況で開始しました。このような状況下、財政状態の改善を最優先課題として掲げ、用地仕入及び住宅着工の制限を行うとともに、販売期間が長期化した在庫の販売価格を見直す等、販売活動にも注力しました。
上記の取り組みの結果、厳しい市況の影響等により戸建住宅の販売戸数については702戸(前期比28.3%減)となりましたが、棚卸資産は適正範囲内に収まり前期比62.4%減、有利子負債は前期比44.3%減とそれぞれ大幅に減少しました。
しかし、住宅生産活動の制限を行ったことに加え、販売価格の見直しを行ったため、住宅事業における収益性は著しく悪化しました。さらに、住宅生産活動の制限の結果、住宅部材の製造・販売を行う株式会社フォレストノートでの工場稼働率も著しく低下しました。
このような状況において、今後の戸建住宅商品の収益性を回復するための施策として、用地仕入基準の見直しを行うとともに、商品改善ならびにコスト削減活動にも注力しました。当該商品の供給は第4四半期会計期間より一部開始しました。
一方で、余暇事業においては、ゴルフ場運営による収益が安定的に推移するとともに、ホテル運営ではインバウンド需要の回復により来客数が前期比で増加するなど、業績は安定的に推移しました。
当連結会計年度における既存事業以外での新たな取り組みは次のとおりです。
非住宅分野の木造建築については積極的な営業活動の結果、2棟の売上が実現し、事業化の兆しが見え始めました。かねてから、建設を進めております製材工場の工場建設は計画どおり進捗しました。2024年5月には、本工場の運営会社であります株式会社ランバーランド(当社100%出資)を設立し、同年9月稼動に向けた準備を進めました。
(3) 優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題
40期に掲げた住宅事業の総量重視方針と、供給過剰が続く戸建分譲市場の変化に対応できなかったこと等により、41期に過剰在庫を抱え、42期はその処理に終始することとなりました。棚卸資産と負債の圧縮は進みましたが、その処理の代償で純資産が毀損し、将来投資である製材工場建設もあり、自己資本比率の改善は僅かの上昇に留まりました。処理の一部は翌期に繰り越すことになり、当該事業の本格的な回復は、翌期下半期以降になる見込みです。また、グループ内の戸建住宅事業に収益の大半を依存していた子会社での建材事業は、戸建住宅事業での生産調整の影響を直接的に受け、グループ外の受注確保を進めましたが、収益改善には至りませんでした。
翌期は、製材工場が本格的に稼働し、経費負担が先行します。中核事業である住宅事業の著しく悪化した収益構造を早期に立て直すことが、急務であります。
一方、安定的に収益を確保している余暇事業や比較的投資効率が高い都市事業についても、将来収益のためにどのような先行投資を行っていくかを中長期視点に立って計画し、確実に実行していく必要があります。
当社グループは、2024年6月1日付で持株会社体制へ移行しました。経営資源の多くを占めていた住宅事業を分社化したことにより、ガバナンスの維持・強化のためには、これまでとは異なるグループ運営を行う必要があると考えております。
(4) 今後の取組
当社は2024年6月1日を効力発生日として、当社の住宅事業を2024年2月に設立した株式会社ウッドコンストラクション(当社100%出資)へ吸収分割により承継し、持株会社体制へ移行しました。持株会社として当社は、住宅事業をはじめとした各事業へ適切に経営資源を配分するとともに、各事業における投下資本効率の向上を目指し、それぞれの市場で独自に発展できるグループ体制を構築してまいります。
当社グループは、地域の林業を適切に循環させ、木質資源を余すことなく適切に使い切る「木質資源カスケード事業」の実現を目指しております。林業と工業の接続機能たる製材事業では、2024年9月に工場稼動を控えており、国産製材品等の安定供給体制の構築に向けて事業を進めてまいります。そのためには、建材事業において、国産集成材を市場に広く供給することが重要だと考えております。輸入材が中心となっている構造材市場・その他建材市場において、国産材を使うメリットを市場に訴求して、当社グループのシェアを拡げていきたいと考えております。
また、国産集成材の出口の1つを担う戸建住宅事業の基本方針を「総量」から「高付加価値」に転換し、エリア・立地を厳選して事業を行ってまいります。併せて、非住宅分野の営業活動に注力して、中規模木造建築の受注を拡げてまいります。
余暇事業につきましては、サービスレベルを落とさぬよう、常にソフト・ハードの改善を行い、引き続き安定的な収益を確保するとともに、新たな事業機会を探ってまいります。都市事業では、不動産特定共同事業である「信長ファンド」を中核として投下資本の比率を高めていく所存です。
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