ウェルネオシュガー 【東証プライム:2117】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(気候変動関連)
当社グループでは、サステナビリティの推進は経営品質の向上に繋がると考えており、国連SDGs(持続可能な開発目標)の目標年度である2030年における当社の「ありたい姿」を6つの重点領域として定め、取り組んでいます。
その中で気候変動問題に対しては重点領域2「環境に配慮した事業プロセスの追求」として当社グループが注力すべき領域としており、その実践として、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」という。)の提言に沿った適切な情報開示を行っています。
今後も継続的にシナリオ分析を行い、気候変動が当社グループの事業に与えるリスクおよび機会を考察し、その結果を用いて、グループ全体で地球環境への負荷を低減した事業活動を行います。
(1)ガバナンス
当社では、「サステナビリティ推進委員会」を適宜開催し、気候変動を含めた環境全体の取組を全社的に検討・推進します。
サステナビリティ推進委員会では、気候変動に係る当社のリスクおよび収益機会が事業活動や収益等に与える影響について考察を行い、そのために必要なデータの収集と分析を全社横断的に行います。
また、気候変動を含む環境問題の基本方針や重要事項を策定し、それらを実践するための体制構築・整備、具体的な施策の審議・決定をするとともに、各種施策の進捗については定期的なモニタリングを行い、必要に応じて取締 役会に報告します。
サステナビリティ推進委員会にて審議・検討した結果、当社経営に重大な影響を与えると判断された事項については、適宜取締役会にその内容を上程し、取締役会にて対応を審議・決議します。
社内体制図については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②コーポレート・ガバナンスの体制の概要および当該体制を採用する理由 a.コーポレート・ガバナンスの体制の概要 コーポレート・ガバナンスの体制の概要図(2023年6月28日現在)」に記載しています。
(2)戦略
シナリオ分析
シナリオ分析については、精製糖事業を中心に4℃シナリオ、1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)の2つのシナリオで、サステナビリティ全体像でも指標としている2030年時点を想定し、考察しました。
当社グループ事業に想定されるリスク
分類 | 種類 | 項目 | 想定されるリスク | 影響度 | 時期 | |
4℃ | 1.5℃ | |||||
移行リスク | 政策・法規制 | カーボンプライシングの導入 | ・炭素税をはじめとする気候変動問題対策による操業コストの増加 | - | 大 | 中期 |
温室効果ガス(GHG)排出規制の強化 | ・施設や設備等のGHG排出削減対応コストの増加 | |||||
再エネ/省エネ政策の強化 | ・再生可能エネルギー価格の上昇や省エネ設備什器への更新コストの発生 | |||||
技術 | 低炭素技術の進展 | ・原材料(サトウキビ)がバイオエタノールに多く使用されることによる、原材料調達コストの変化 | 小 | 中 | ||
市場 | エシカル消費への変化 | ・サステナビリティ認証等、環境に配慮した商品を展開しない場合、環境負荷未対応商品の売上減や、他社製品への顧客流出が発生 | 小 | 大 | ||
評判 | 顧客および投資家からの評価 | ・自社の気候変動への取り組みが不十分である場合、レピュテーションリスクが発生 | 小 | 大 | ||
分類 | 種類 | 項目 | 想定されるリスク | 影響度 | 時期 | |
4℃ | 1.5℃ | |||||
物理リスク | 急性 | 異常気象の激甚化 | ・サプライチェーンの寸断による一時的な操業停止 | 大 | 中 | 短期 |
・川沿い・海沿いに立地する工場が被災した場合、該当拠点の操業停止および復旧コストが発生 | ||||||
慢性 | 干ばつの発生や降雨量の変化 | ・主要原材料(サトウキビ・てん菜)の生育不良や収量の低下 | 大 | 中 | 中期 |
時間軸 | 評価 |
短期:0~3年 中期:4~10年(2030年) 長期:11年~ | 事業活動に与える影響を「大」「中」「小」で評価。 |
4℃シナリオ
現状を上回る気候変動対策はとられず、産業革命時期比で2100年時点3.2~5.4℃上昇するとされているシナリオ。カーボンプライシングの導入はなく、再生可能エネルギーへの転換などは現状から特段大きく進展しないため、平均気温が上昇し、異常気象の激甚化などが顕著に表れる。
参考シナリオ:IEA Stated Policies Scenario
1.5℃シナリオ
現状、各国が発表している以上の気候変動に対する厳しい対策がとられ、カーボンニュートラル実現を目指した積極的な取組が進むとされているシナリオ。気候変動対策としての法規制は現行より非常に強まり、再生可能エネルギーへの転換が進むとされる。
参考シナリオ:IEA Net Zero Emissions by 2050(一部、Sustainable Development Scenarioも併用)
リスク軽減および事業機会とするための取組
リスク項目 | 対応の方向性 | リスク軽減および事業機会とするための取組 |
カーボンプライシングの導入 | 脱炭素化の推進 | ・日新製糖㈱千葉工場における太陽光設備設置および設置運用を予定(2023年運用開始予定) ・日新製糖㈱今福工場にて運河と「はしけ」を使った原料輸送 ・社用車のエコカー「ハイブリッド車」 97%導入(残り3%は該当車両のリース契約が満了となる2023年10月に切り替え予定) ・日新製糖㈱および伊藤忠製糖㈱の物流部門でリードタイムの見直しや共同配送によるトラック台数の削減を行い、物流を効率化 ・日新製糖㈱と伊藤忠製糖㈱にて照明のLED化を実施 ・グループ会社の新光糖業㈱にて、バガス(サトウキビの搾りかす)を活用した電力で工場設備を稼働 ・伊藤忠製糖㈱構内にて使用の作業車両のEV化、一部設備の冷媒ノンフロン化を実施 |
GHG排出規制の強化 | ||
再エネ/省エネ政策の強化 | ||
エシカル消費への変化 | エシカル嗜好に対応する商品の使用と開発 | ・包材の薄肉化による廃棄物の削減 ・一部製品の包材の印刷インキに水性・植物油・バイオマス系インキを使用し、石油原料使用量を削減 ・一部製品の紙ロールにFSC認証紙を使用 ・一部製品の完全紙化大袋に切り替え(2023年度実施予定) |
顧客および投資家からの評価 | 環境情報の適切な開示 | ・TCFDのフレームワークに沿った情報開示 ・気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)への参加 |
異常気象の激甚化 | 防災・減災対策の強化 | ・当社グループ各拠点にて、地震・台風・水害といったあらゆる自然災害を想定し対策を実施 |
原材料調達の安定化 およびコスト変化 | 分散型調達の強化 | ・オーストラリアやタイ、国内産など様々な産地の原料糖を使用して砂糖を製造。原料や資材の調達が滞ることがないよう調達先の複数化・分散化 |
(3)リスク管理
当社グループでは、企業経営を取り巻く様々なリスクに対応するため、リスク管理の基本方針および管理体制を「リスク管理規程」において定めています。
また、全社横断的なリスク管理のため、執行役員社長をリスク管理の最高責任者とし、リスク管理担当執行役員を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、個々のリスクについての管理担当部を定め、同規程に則ったリスク管理体制を確立しています。
同管理体制においては、顕在化あるいは潜在しているリスクを各事業所から抽出・特定し、経営に与える影響度等を基準に評価、分類のうえ、リスクレベルに応じた対応を行い、リスクの発生を未然に防止し、万一発生した場合でも、経営への被害を最小限に食い止めるよう措置を講じています。
当社グループ事業活動で想定されるリスクの中でも特に気候変動関連リスクについて、当社グループでは原料であるサトウキビなどの自然資本を活用して、精製糖の製造・販売を行っているため、気候変動による原料調達の変化等、気候変動関連リスクは重要な問題であると認識しており、また、砂糖製造のサプライチェーンの中で「製造」と「物流」は環境負荷が高くなっているため、当社グループの事業活動が地球環境に与える影響があることを把握し、その影響を軽減することはサステナビリティの推進・向上に繋がると考えています。
気候変動関連リスクについては、当社グループリスク管理体制の下、経営に与える影響度やシナリオ分析等により評価、分類し、サステナビリティ推進委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会が有機的に連動し、経営上重要なリスクについては、取締役会で審議・決議します。
(4)指標及び目標
温室効果ガス(GHG)排出量
当社グループでは、気候変動が経営に及ぼすリスクと機会等の影響を測定・管理するための指標として、温室効果ガス(GHG)排出量のうち、日新製糖㈱ではCO2排出量を指標とし、「2024年度までに対2019年度比5%低減」という目標を設定しています。
今後、伊藤忠製糖㈱も含めた当社グループ全体でGHG排出量削減目標を策定するとともに、バリューチェーンにおけるGHG排出量の継続的な削減を目指していきます。
※本社・千葉地区(新東日本製糖㈱は除く)・今福工場を対象に算定。また、上記数値は、経営統合前の当社(旧商号:日新製糖㈱)における算定数値。
削減目標(日新製糖):2024年度時点CO2排出量を15,357t-CO2に (2024年度までに対2019年度比5%低減) |
⇒2021年度は、砂糖全体の出荷量の増加に伴い生産実績が増加し、CO2排出量も前年比で増加。
(参考)
※伊藤忠製糖㈱・第一糖業㈱を対象に算定
(人的資本関係)
(1)戦略
当社グループの持続的な成長のためには、Food&Wellnessを軸とした新規事業領域への挑戦が必要不可欠と考えており、当該領域で活躍できる人材の育成と確保が急務と認識しています。
人材育成については、目的に沿った各種教育研修制度を整備し、業務遂行に必要なスキル獲得と課題解決に必要な能力開発を支援するとともに、ジョブローテーションにより仕事を通じた職務遂行能力の向上を図り、中核人材の育成・拡充に努めます。また、仕事における活躍機会の提供と成果に対する公正な評価を実践、ワークライフバランスの実現に向けた制度の導入・運用等により従業員のモチベーション維持・向上を図るほか、従業員の心身の健康に配慮した「健康経営」に関する取り組みを推進することで、多様な人材にとって働きやすく働きがいのある会社を目指し、従業員のエンゲージメントを高めます。
(2)指標及び目標
人的資本に関する指標について、目標および実績は次のとおりです。なお、当社は従業員を有していないため、当社グループの主要な事業を行う会社における指標を記載しています。
指標 | 主要会社※1 | 目標 | 実績※2 |
管理職に占める女性労働者の割合 | 日新製糖㈱ 伊藤忠製糖㈱ | 2030年度までに 25% - | 6.4% - |
男性労働者の育児休業取得率 | 日新製糖㈱ 伊藤忠製糖㈱ | 2022年度以降、 30% - | 50.0% - |
女性労働者の育児休業取得率 | 日新製糖㈱ 伊藤忠製糖㈱ | 2022年度以降、100% - | 該当なし - |
労働者の男女の賃金の差異 | 日新製糖㈱ 伊藤忠製糖㈱ | - | 81.7% - |
※1 伊藤忠製糖㈱は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、目標設定および情報公表を行っていません。
2 当事業年度の実績を記載しております。
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