ウイルプラスホールディングス 【東証スタンダード:3538】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループは、「企業価値向上」「社会的価値向上」の両立を目指し、社会課題の解決と企業成長の同時実現に取り組んでおります。当社グループの企業理念にもある「豊かさ・楽しさ・喜び」を分かち合い、笑顔溢れる社会づくりに貢献し続けることをサステナビリティ基本方針とし、輸入車販売関連事業を通して社会にとって必要な企業になるべく「持続的成長」と「中長期的な企業価値向上」を実現しつつ、同時に「持続可能な社会への貢献」、「社会的価値の創造」を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)ガバナンス
①取締役会が気候変動課題について報告を受けるプロセス、議題として取り上げる頻度、監視対象
当社では、気候変動課題に関する議題について、毎月開催する業務執行の最高意思決定機関である取締役会にて随時協議及び決議の機会を設けております。また、取締役がメンバーを務める「サステナビリティ委員会」と「リスクマネジメント委員会」においては四半期に一度以上のモニタリング・監督及び重要な気候関連及びリスク関連の事案について取り組みの深化を図っております。
両委員会の役割、活動内容等については、第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの概要(1)コーポレート・ガバナンスの概要に記載しております。
当社は取締役候補者の選任にあたり、取締役に期待する専門性及び経験等についてスキルマトリクスで明確にしており、その項目の一つに「サステナビリティ」を設定しております。事業活動を通じた環境課題解決に向けて、具体的な行動計画や定期的なレビュー、継続的改善の取組み状況を適切に監督できる取締役を選任することで、環境課題に対する取り組みの実効性を高めています。
②経営者の気候関連課題に対する責任、報告を受けるプロセス、モニタリング方法
当社では、代表取締役社長が取締役会の議長を担うとともに、サステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会の委員長も担っており、環境課題に係る経営判断の最終責任を負っております。
サステナビリティ委員会並びにリスクマネジメント委員会において審議された事項については定期的に取締役会に報告されます。
(2)戦略
気候変動に対する移行計画
当社は、2022年8月発表した中長期戦略の中で、1.5℃の世界に整合する移行計画として、当社グループ目標及び目標達成のためのKPIを開示しております。
グループ目標 |
当社のGHG排出量(Scope1+2)を2021年6月期比較で、2030年までに50%削減(年率5.5%) |
達成に向けたKPI | 内容 |
①店舗で営業活動に使用する社有車の低炭素自動車(EV/PHV)の比率 | 2030年度までに80%以上、2050年度までには限りなく100%まで高め、店舗で使用するガソリンを極限まで低減することでScope1を0(ゼロ)に近づける。 |
②使用電力における再生可能エネルギー導入率 | 2025年までに100%まで引き上げることで、Scope2を0(ゼロ)にする |
当社グループのGHG排出量の大半(90%以上)は「店舗が使用する燃料(主にガソリン)」及び「本社及び店舗が使用する電力」から排出されるため、当社はKPI①及び②を100%まで引き上げることで、2050年までにネットゼロを達成することを目指しております。
(3)人材の育成及び社内環境に関する方針・戦略
当社グループでは、ウイルプラスグループが持続的成長を果たすための「人材」は、夢や目標を分かちあいお互いを高めあえるかけがえのない最高の財産だと考えております。この「人財」のために、公平なチャレンジの機会の提供、さまざまな能力を最大限発揮できる環境の整備、そして家族が安心して暮らせる仕組みの構築に注力しております。
①人材育成研修
当社グループは、当社グループの事業活動を担う人材の育成を重要な課題の一つと考えており、従業員への教育制度に力を入れております。
(外部研修)
当社グループでは、従業員の所属部門に沿った専門性を高めることを目的として、様々な外部研修への参加を推進しております。当社グループの当連結会計年度における外部研修への参加日数は、延べ2,330日となりました。(当連結会計年度末人員数は575名)
これらは主に、各メーカー主催の研修への参加となり、お客さまが安心・安全なカーライフを送れるよう、セールスとしての知識やメカニックの点検・整備技術の向上を図るものとなります。
(保険研修)
当社グループの収益基盤のひとつであるストック型ビジネスの保険代理店事業において、ステークホルダーの皆様から信頼される自動車販売会社の保険代理店を目指し、2022年7月に「お客さま本位の業務運営方針(FD宣言)」を策定いたしました。この方針のもと、当社では従業員への社内研修を充実化しております。基礎となる導入研修に加え、習熟レベルに応じた申込書作成研修や、より実践的な知識や保険獲得に向けての話法等を学習する「保険アカデミー」を定期的に開催し、従業員の知識向上及び保険募集人の品質向上を図ることにより、よりよいサービスの提供に努めてまいります。
(リスキリング研修)
DX化が加速する中、当社では生産性の向上及びデジタル人材の育成の一環として、外部の研修プログラムを導入し、当社グループ従業員に対するスキリング研修を実施しております。
②女性活躍方針
当社グループでは、性別や国籍等、属性を問わず、個人の能力・適正・意欲等に基づいた人材活用を方針としております。育児休業制度や時短勤務制度等、社内制度の整備を通して、働く女性の活躍を支援しております。前連結会計年度の育休明けの復帰率は100%となりました。
また、当社の取締役のうち1名が女性であり、取締役における女性比率は12.5%となっております。
当社グループは、さらなる女性活躍の推進に向けて、女性取締役及び管理職の割合をKPIとし、働きやすい組織づくりを目指しております。
③外国人の管理職への登用
外国人については、応募及び採用人数自体が若干名であるため、管理職登用に関する具体的な数値目標は設定しておりません。更なる多様性の確保に向けて、設定の必要性については、継続して検討を進めてまいります。
④中途採用者の管理職への登用
当社グループは専門性や経験値の高い中途採用者の割合が高く、当社管理職における中途採用者の割合は、前連結会計年度末時点で93.75%となっております。このため、中途採用者の管理職登用に関する具体的数値目標を設定しておりません。当社グループでは、中途採用・新卒採用を問わず、個人の能力・適正・意欲等を評価した登用を行っております。
⑤障がい者雇用
当社は、障がい者雇用を企業の社会的責任であると認識しており、その採用と労働環境の整備に努めております。前連結会計年度末時点における当社グループの障がい者雇用の割合は2.84%であり、法定雇用割合の2.3%を超えた水準となります。また、2023年4月より、共同農園「ソーシャルファーム わーくはぴねす農園Plusさいたま三郷」と契約し、障がい者の直接雇用を開始いたしました。農作業を通し、障がいを持った従業員としての活躍の場を広げるだけでなく、収穫物をこども食堂等へ寄附することで、地域社会貢献の役割も担っております。
(4)リスク管理
①短期・中期・長期のリスク、機会の詳細
当社グループは、気候関連リスク及び機会についての事業活動への影響が長期間にわたる可能性があることから、適切な期間設定を検討することが重要であると考えております。これを踏まえ、当社グループの時間軸定義は中長期経営計画の実行期間に基づき下表のとおりに設定いたしました。
気候関連リスク・機会の検討期間 | 当社グループの定義 |
短期 | 1年未満 |
中期 | 1~3年 |
長期 | 4年以上 |
②リスク、機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度
当社は、当社グループの事業及びステークホルダーにとって重要となる可能性のある気候変動リスク・機会を顕在化し、それらを可能な限り定量化することで、財務基盤への影響を把握することに努めております。2030年時点の世界を想定した当社グループの戦略及びソリューションを検討するため、シナリオ分析を実施いたしました。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する既存のシナリオを参照の上、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、及び新たな気候関連政策・規制が導入されない世界を想定した4℃シナリオの二つの世界を想定しております。
想定される世界 | 参照シナリオ群 |
1.5℃/2℃未満シナリオ | IEA:「Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」 |
4℃シナリオ | IPCC:「Representative Concentration Pathways(RCP8.5) |
当社グループの重要な気候変動関連のリスク、機会
| 項目 | 時間軸 | 対応策 |
移行 リスク (1.5℃ シナリオ) | 日本での炭素税導入に伴うコスト増加 | 中期 | 保有車輌のEV化 再生可能エネルギーの導入推進 |
自然災害が取扱いブランドメーカーの生産に影響を与えることから発生する当社仕入リスク | 中期 | 顧客提案車種のブランド変更(同一ブランド間、異なるブランド間、中古車) | |
再生可能エネルギー由来の電力使用に伴うコスト増加(使用量の増加、電気料金の高騰、グリーン証書購入コスト増加) | 短期 | 省エネ設備導入推進 電力使用量自体の削減推進 | |
物理 リスク(4℃ シナリオ) | 気候変動(異常気象等)による自然災害(台風、豪雨、洪水)の発生に伴う営業店舗の損害および営業活動制限に伴う収益の減少 | 長期 | 車輌保管拠点の分散 気象情報により水害リスクが高まったと判断された場合の車輌移動 高リスクエリアの自治体が行う治水事業への寄付 中長期計画推進による脱炭素化への貢献 |
機会 | 低炭素製品のラインナップ拡張に伴う顧客ロイヤリティの向上、及び環境への関心が高い新規顧客の獲得による収益の増加 | 長期 | 社有車の低炭素自動車(EV/PHV)比率の向上 急速充電器の設備推進
|
再生可能エネルギーの使用による脱炭素化への貢献及びガソリンコストの削減 | 長期 | 再生可能エネルギーの導入推進 急速充電器の設備推進 | |
環境課題への対応に伴うレピュテーションの向上及び株価の上昇 | 中期 | 低炭素自動車(EV/PHV)普及に向けた投資推進による店舗エリアの脱炭素化への貢献 環境課題対応についての適切な情報開示 |
自然災害等の気候変動に関連するリスクは、企業活動の継続、企業資産の保全、社会的責任の順守を目的としたリスクマネジメント委員会によって以下のとおり管理しております。
①自然災害リスクの特定・評価プロセスの詳細
リスクの洗い出しを行い、発生頻度、発生時の影響度を考慮して分類し、
回避(リスクを発生させる活動を中止するなどして、可能性を遮断する)
低減(リスクが発生する可能性を減らす)
移転(保険や契約などでリスクを第三者に移す)
保有(発生しても許容範囲として受け入れる)
の考え方を基に、当社の定める短期・中期・長期の時間軸で評価を行っております。
②全社リスク管理の仕組みへの統合状況
リスクマネジメント委員会は、当社代表取締役社長を委員長とし、当社取締役を委員としております。複数の部門を横断した全社的なリスク管理プロセスに統合されており、当社グループの経営において中長期的にリスクの高いものは、取締役会に報告され、審議されたうえで企業リスクとして中期経営計画に反映し、対応しております。
なお、本報告書提出日現在では、委員会のその役割と活動内容が重複する範囲が多いこと等により、より効率的なリスクマネジメント体制を構築するため「リスクマネジメント委員会」と「コンプライアンス委員会」を統合し、「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」として活動しております。
(5)指標及び目標
①気候関連リスク・機会の管理に用いる指標
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、上記のとおりScope1,2排出量及び事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率の2つの指標を定めています。
また、役員報酬のうちの業績連動型株式報酬は、その事業年度の業績連動型株式報酬額を決定する非財務指標の一つとして、気候変動情報開示の有無を設定しており、気候変動問題に関する取締役の責任を明確化しております。
「SBT認定」(注)についても2年以内に取得を予定しています。
(注)パリ協定(2015年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21))が求める水準と整合した企業の温室効果ガス排出削減目標、「Science Based Targets」の略。
②温室効果ガス排出量(Scope1,2)
当社グループでは、2021年6月期から、グループ全体の温室効果ガス排出量の算定に取り組んでおります。当社グループの2022年6月期におけるScope1,2排出量は、2,324t-CO2であり、これについて第三者保証を取得いたしました。
当社グループのGHG排出量(Scope1,2)の実績
(単位:t-CO2)
| 2021年6月期 | 2022年6月期 |
Scope1,排出量合計 | 1,845 | 2,324 |
Scope1排出量 | 527 | 950 |
Scope2排出量(注) | 1,318 | 1,374 |
再エネ比率(%) | 0% | 14% |
(注)Scope2についてはマーケット基準であります。
当社では、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人的資本に関する目標及び方針において、取締役の女性の比率、管理職(注)における女性の比率、男性従業員の育休取得率について指標を定めております。
(注)マネジメントコースである「課長代理」以上、及び専門職コースの「プロフェッショナル職」以上
ウイルプラスグループ全体の実績及び目標
| 2023年6月期(実績) | 2025年6月期(目標) | 2030年6月期(目標) |
取締役の女性比率 | 10.00% | 12.50% | 30.00% |
管理職の女性比率 | 4.16% | 7.00% | 10.00% |
男性従業員の育休取得率 | 31.58% | 40.00% | 50.00% |
なお、本報告書提出日時点における取締役の女性比率は12.50%であります。
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