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企業概要

 当社及び当社グループの事業上のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております
 当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し適切なコントロールを行うため、全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を配置の上リスク&オポチュニティマネジメント事務局を設置、当社およびグループ会社に「リスク&オポチュニティマネジメント担当者」を任命し、主体的・自主的に対応できる体制を整備しております。

 なお、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1) 業界慣行及び法規制について

① 再販売価格維持制度について

 当社グループが制作、販売する出版物については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)第23条の規定により、再販売価格維持制度(再販制度)が認められております。これは、出版物が我が国の文化の振興と普及に重要な役割を果たしていることから、同法の適用除外規定により例外的に認められているものであります。したがって、出版物は書店においては定価販売が行われております。また、当社グループは取次との取引価格の決定は、定価に対する掛け率によっております。

 この再販制度について、公正取引委員会は2001年3月23日に「著作物再販制度の取扱いについて」を発表しており、当面、再販制度は存置される見通しでありますが、一方で業界に対して同制度下における消費者利益のための弾力的な運用を要請していくことを公表しております。

 当社グループにおきましては、事業ポートフォリオの構造転換を進めており、従来の紙の出版事業から、電子出版、ネットメディア・サービス及びターゲットメディアのコンテンツ事業とプラットフォーム事業へと転換を図っております。しかしながら、従来の紙の出版事業については当社グループの売上高の45.8%を占めており、当該制度が廃止された場合には、出版競争の激化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 委託販売制度について

 当社グループは、出版業界の慣行に従い、原則として当社が取次経由で書店に配本した出版物(書籍、雑誌)については、配本後、約定期間(委託期間)内に限り、返品を受け入れることを販売条件とする委託販売制度を採用しております。

 当社グループの書籍は、次の委託方法となっております。

 新刊委託…主として新刊時の書籍が対象とされ、委託期間は通常5ヶ月であります。

 また、雑誌の委託期間は以下の通りであります。

 月刊誌…発売日より3ヶ月

 当社グループは、返品による損失に備えるため、出荷時に将来返品が見込まれる部分については、会計上、収益を認識せず返品資産および返金負債を計上しております。また、返品抑制のため、販売予測の精査による製造・出荷部数の適正化、マーケティングデータに基づいた書店への配本調整等を行っておりますが、返品率の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場環境について

① 出版業界の市場環境について

(公社)全国出版協会・出版科学研究所の「2023年出版物発行・販売概況」によれば、2023年の紙の出版市場の販売額は、前年比6.0%減少と19年連続で減少しており、特に雑誌を中心に大変厳しい事業環境となっております。また、2023年の電子出版市場は、前年比6.7%増加しましたが、前々年まで2割前後の伸び幅であったものが一気に縮小しました。

 当社グループにおきましては、事業ポートフォリオの構造転換を進めており、従来の紙の出版事業から、電子出版、ネットメディア・サービス及びターゲットメディアのコンテンツ事業とプラットフォーム事業へと転換を図っております。しかしながら、従来の紙の出版事業については当社グループの売上高の45.8%を占めております。市場が縮小傾向にある中、書店の休業や廃業が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります 。また、好調な電子コミックプラットフォーム事業におきましては、競合他社との競争激化や漫画違法サイトによる需要低下によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 広告市場の市場環境について

 広告市場は、景気変動の影響を大きく受けると考えられております。
 当社グループの2024年3月期の売上高に占める広告収入の比率は18.1%を占め、コンテンツ事業の利益の大きな変動要素であり、景気の悪化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
 上記「出版業界の市場環境について」で記載のとおり、紙の出版市場が19年連続で減少しており、当社グループにおきましても、雑誌広告を中心とした出版広告は年々減少しております。一方で、ネットメディアにおけるデジタル広告や、ターゲットメディアと連携したターゲット広告へシフトを進め、順調に推移しており、eSports関連等の動画コンテンツを活用したデジタル広告については、今後のメディアミックス戦略において重要なテーマと認識しております。

③ 原材料市況の変化について

 当社グループは、出版物製造において用紙等を主要な原材料としております。当社グループといたしましては、複数の取引先からの調達を行うことで、安定的な供給量の確保とコストコントロールを行っておりますが、原油等の商品市況等の変化により、原材料価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 知的財産権について

 当社グループは提供する製品・サービスについて商標権を取得しております。また、他者の知的財産権の侵害を防止するため、社内での教育、研修の実施に加え、編集部門におけるチェック体制を整備しておりますが、特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権が、当社グループの事業にどのように適用されるか想定するのは困難であり、第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定取引先への依存度について

 当社グループは、大手取次等の取引先4社によって連結売上高の51.0%が占められております。当社グループにおきましては、中期的な視野で新しい収益及び事業モデルの創出に取り組むとともに、多面的な展開を図ることで、当該リスクへの対応を図っております。しかしながら、取引先4社の経営方針に大きな変更等があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 通信ネットワーク、インターネットサービス等のシステムトラブルについて

 当社グループは、コンテンツの編集及びサービスの提供、取引・顧客データを管理するバックオフィス等のあらゆる業務において、情報システム及び通信ネットワーク等のインフラに依存しております。そのため、これらインフラに障害が発生した場合には、顧客からの信頼性低下等の事態を招き、当社の事業に重大な支障が生じる可能性があります。当社グループといたしましては、下記の事項を始めとする様々な要因に対処するための技術的な対応措置、モニタリング体制、社内運用マニュアルの整備等を行っておりますが、トラブルの発生を事前に完全に防止することは不可能であり、トラブル発生の場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

・ハードウェア及びソフトウェアの不備

・外部からの不正な侵入行為

・アクセスの急激な増大

・自然災害、停電

・人的ミス、怠業、破壊行為

・コンピュータウイルス

(6) 個人情報保護について

 当社グループでは、オンライン直販等の顧客の会員登録情報/購入履歴をはじめ、読者サービスの向上のための会員組織にご登録頂いた会員情報等の各種個人情報をお預かりしております。当社グループといたしましては、外部からのハッキングに対する技術的な対応措置・モニタリング体制を整備、また社内からの情報漏洩防止のため社員への教育・訓練、管理方法の検討・実施、関連規程の整備等により、情報管理体制の強化を進めております。しかしながら、万一個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼性が低下、賠償責任を問われる可能性があり、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 投融資について

 当社では、子会社及び関連会社に対する投融資の他に、当社グループの事業拡大のため、日本国内外のメディア関連企業等に投資を実施しております。

 これら投融資は、投資の効果及びリスク等を慎重に検討した上で実施しておりますが、投資先企業が予想通りの業績や効果を生む保証はありません。よって、投資先企業の評価見直しに伴う損失、投資回収の遅延等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 資金調達について

 当社は、持株会社としてグループ会社の事業資金の調達を担っており、複数の金融機関と取引を行っております。当社といたしましては、取引金融機関の確保、資金調達手段の多様化等により調達リスクを軽減するように努めておりますが、経済環境等の悪化による調達環境の変化、当社の信用力の著しい低下等があった場合には、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。

(9) その他の事項について

 主要株主の影響力について

 当社のファウンダー/最高相談役である塚本慶一郎と同氏が代表取締役を務める資産管理会社である㈲T&Co.及び同氏との間で管理信託契約を締結した㈱SMBC信託銀行の所有する株式で実質的に同氏が保有する株式は、当社の発行済株式数(自己株式を除く)の49.5%(2024年3月31日現在)に相当しております。同氏及び同社の当社株式の保有方針に変化等があった場合、当社グループの経営に影響を与える可能性があります。

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