イチネンホールディングス 【東証プライム:9619】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティに関するガバナンス、リスク管理、戦略、指標及び目標
(1)ガバナンス
当社グループは、地球環境問題が地域・世代を超えて社会全体に関わる問題であることを理解し、地球環境と事業活動との密接な関わりをよく認識の上、地球環境保全と持続可能な発展のため、「環境方針」を定めております。
気候変動に関する課題に対しては、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会及びTCFD分科会を中心に課題の抽出や対策の議論を行い、それらを取締役会で監視・評価・管理する体制を構築しており、グループの経営戦略やリスク管理に適切に反映してまいります。
(2)戦略
≪シナリオ分析≫
シナリオ分析においては、「1.5℃/2℃」「4℃」の複数シナリオについて検証を実施しました。パリ協定目標(注)の達成と脱炭素社会の実現を見据え、1.5℃シナリオを中心に2℃シナリオを想定したイチネングループの事業への影響について開示いたします。
各気候シナリオで想定した2050年の世界像
セグメント | 1.5℃/2℃シナリオ |
自動車リース関連 | ・先進国を中心に内燃機関車両(主にガソリン車、ディーゼル車など)の使用制限。 ・次世代車両(EV、FCVなど)の普及により、GHGを排出しない移動体の主体化(パワートレインの変化)。 |
ケミカル | ・自動車のEV化(主にエンジン部品点数の減少)。 ・再生可能エネルギーによる発電の拡大(化石燃料発電施設は大幅に減少)。 ・バイオマス由来プラスチック製品・植物由来原料を使用した製品の増加。 |
パーキング | ・業界全体で低炭素化を新たな競争軸とした不動産の資産価値変化。 ・低炭素に優れた不動産のニーズの拡大、不動産の運用における収益構造の変化。 |
機械工具販売 | ・車両、建機のEV化。 ・CO2回収、フロン再生破壊関連技術に関する産業の拡大(特にアジアではフロン再生関連ビジネスが進展中)。 ・再生エネルギーを活用した生産活動の普及。 |
合成樹脂 | ・「プラスチック資源循環促進法」施行に伴う化石燃料由来製品に対する規制強化。 ・プラスチックリサイクル技術の高度化。 |
その他 | ・ZEB/ZEH化、ビル・住宅の省エネ・創エネ化が急速に進展(内外装窓の高遮熱・高断熱化あるいは小面積化)。 ・省エネ・創エネ効果が見込まれる新たな各種産業用ガラスニーズの顕著化。 |
(注)パリ協定目標・・・世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える努力を追求する。
≪気候変動リスク・機会≫
事業活動に影響を与えると想定される気候変動リスク・機会について特定し、財務インパクトの評価を実施し、その評価結果を踏まえ、特に影響の大きいリスクの軽減又は機会の獲得に向けた対応策を検討しております。
区分 | セグメント | 社会の変化 | 主要なリスク・機会 | 主要な対応 | 影響度 |
移行リスク | 自動車リース関連 | 自動車パワートレインの変化 | 燃料販売減少による収益減少、自動車整備の変化と収益減少 | EVソリューションの最適化に向けた新サービス、新商品の開発、自動車整備ネットワークの拡充 | 大 |
ケミカル | 原料等の脱炭素化、規制強化 | 原料・資材等の調達難・原価上昇 | 製品の処方変更、容器等の素材、荷姿の変更 | 大 | |
パーキング | モビリティの電動化 | シェアリングエコノミーの進展による自動車保有台数減少に伴う駐車場稼働率の減少 | 駐車場稼働率を改善する目的で、EV充電設備を備えた駐車場運営ビジネスを展開 | 小 | |
機械工具販売 | モビリティの電動化 | 部品業界のシュリンク、化石燃料車の維持費高騰等による車離れが加速 | 電動車(ゼロエミッション車)対応部品商材の拡充リビルト・リサイクル製品の拡充 | 大 | |
合成樹脂 | プラスチックに係る規制強化 | リサイクル樹脂の原料となるプラスチックの入手困難 | 調達ルートの多様化(新規開拓) | 小 | |
その他 | 脱炭素製品やサービスへの切替 | 脱炭素社会に適合した製品の開発や展開の遅延 | 素板の高遮(断)熱化と低炭素化シフト、バイオ樹脂等の低環境負荷素材の製品への導入検討 | 小 | |
物理リスク | 自動車リース関連 | 平均気温の上昇 | エアコン故障、タイヤバースト等の自動車メンテナンスコストの増加 | 計画整備の充実 | 中 |
ケミカル | 平均気温の上昇 | 災害による工場・物流(委託先含む)の操業停止 | BCP・サプライチェーンマネジメントの強化 | 中 | |
パーキング | 平均気温の上昇 | 風水害による駐車場設備損害の増加や事業停止リスクの増大 | 洪水リスクが高い河川の近くに立地している駐車場の浸水被害等への対策 | 小 | |
機械工具販売 | 平均気温の上昇 | 積雪減少による冬季商材市場の縮小 | 夏季商材(暑熱商材)の拡充と新製品の開発 | 小 | |
合成樹脂 | 平均気温の上昇 | 災害による工場・物流(委託先含む)の操業停止 | サプライチェーンマネジメントの強化(国内外問わず) | 小 | |
その他 | 平均気温の上昇 | 工場操業や営業活動の停止 | 高強度・高信頼性の安全ガラス製品の展開 | 小 | |
区分 | セグメント | 社会の変化 | 主要なリスク・機会 | 主要な対応 | 影響度 |
移行機会 | 自動車リース関連 | 自動車パワートレインの変化 | 次世代車両の増加(EV、FCVなど) | EVソリューションの最適化に向けた新サービス、新商品による収益の拡大 | 大 |
ケミカル | 自動車のEV化・電力の燃料転換 | EV向けケミカル製品の需要拡大、バイオマス・アンモニアを燃料とした発電設備の拡大 | EV車に適した洗浄剤・潤滑剤等の開発、バイオマス燃料添加剤の展開・アンモニア等の新燃料向けの添加剤の開発 | 中 | |
パーキング | 環境配慮型パーキングサービス | キャッシュレス化、フラップレス駐車場導入推進 | 集金作業の見直しによる回収コスト削減(巡回に掛かるCO2削減)、鉄使用量減による省資源 | 中 | |
機械工具販売 | 自動車パワートレインの変化 | 次世代車両対応商材の開発、拡販 | PB商品開発、車体構造変化(樹脂化)に対応した工具の開発による収益の拡大 | 中 | |
合成樹脂 | 循環型社会実現へのニーズ増加 | リサイクル樹脂に関連する事業の拡大 | プレコンシューマリサイクル製品の販売拡大、ポストコンシューマリサイクルを見据えた製品開発 | 中 | |
その他 | 脱炭素製品やサービスへの切替 | 脱炭素化社会に適合した製品ニーズが高まる | 素板の高遮(断)熱化と低炭素化シフト | 小 | |
物理機会 | 自動車リース関連 | 平均気温の上昇 | ESG投資等の資金調達が有利になる | 低炭素環境型の事業に移行 | 大 |
ケミカル | 平均気温の上昇 | 暑熱対策関連事業の拡大 | 冷感・消臭・抗菌・防カビ製品の拡販 | 中 | |
パーキング | 平均気温の上昇 | 災害に強い駐車場の需要が増加する | 災害時に避難場所にもなる駐車場の開発 | 小 | |
機械工具販売 | 平均気温の上昇 | 環境配慮型製品の市場拡大 | 脱炭素型&防災商品としてポータブル電源の開発 | 中 | |
合成樹脂 | 平均気温の上昇 | 災害の早期復旧に資するガス検知器の販売拡大 | 災害に伴うガス漏れ対処に有効な検知器の拡販 | 小 | |
その他 | 平均気温の上昇 | 生産設備やインフラへの強靭化ニーズの高まり | 高強度、高信頼性の安全ガラス製品の展開 | 小 |
(注) 事業利益にもたらす影響の大きさにより、影響度を「大」「中」「小」の3段階に分類しました。
(3)リスク管理
当社グループは、「グループリスク管理規程」に基づき、気候変動に伴うリスクを特定・認識し、適切な管理を行ってまいります。併せて、事業を通じた環境問題解決への貢献、GHG排出量削減などをステークホルダー、当社グループいずれにとっても極めて重要性が高いものと考え、「指標及び目標」に掲げる数値目標を検討してまいります。
(4)指標及び目標
気候関連リスク・機会を管理するための指標として温室効果ガス(Scope1・2)排出量を指標と定め、中長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、目標達成に向けて取り組んでおります。
項目 | 2017年度実績 (基準年度) | 2022年度実績 (2017年度比) | 目標年 | 目標値 (2017年度比) |
Scope1・2 | 18,216トン | 15,909トン (12.7%削減) | 2030年度 | 12,750トン (30%削減) |
なお、Scope3については、当社グループの長期的な経営計画及び事業構成等も含めて現在検討を進めており、開示可能となった段階で改めて開示させていただきます。
≪現状の取組≫
取組内容 | 具体的な方策 |
省エネルギー設備への切替え | 事務所及び運営する駐車場のLED化 製造部門の作業工程の見直し |
≪今後の取組≫
取組内容 | 具体的な方策 |
再生可能エネルギーの導入 | 工場、農園、事務所屋上へ太陽光の設置を検討 |
省エネルギーの導入 | 工場、事務所、倉庫、屋外等のLED化 |
設備や社有車の電化 | 生産設備を電化設備へ切替、社有車をEV車やHV車へ切替 |
2.人的資本・多様性に関する戦略、指標及び目標
(1)戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
①価値創造の基盤になり得る”人財”の育成と組織風土の醸成
当社グループは、社員一人ひとりの努力と挑戦により人財価値を高めることでグループの企業価値を高めることを目指しております。その為に社員を大切にし、社員の自律的な成長を積極的に支援し、『社会の変化、自社の変化を理解し、その対応策を考え実行していくことのできる人財』を採用・育成・処遇し続けます。社員一人ひとりが自ら、「努力」し、成長に「挑戦」し続け、社員自身・社員の家族・お客さま、全てのステークホルダーと「信頼関係」を築き「満足」を与えることで、強いイチネングループをつくります。
また、社員がその多種多様な強みを発揮できるよう安全で快適な職場環境を追求し、心身の不安なく安心して働いていける組織風土の構築を目指しwell-beingを実現させてまいります。
≪教育制度および人材育成≫
社員の自律的な成長を助成する枠組みとして、資格取得を目指す社員に費用補助を行い積極的に支援しております。教育制度としては、各年代、階層別に体系的な研修制度を用意し、イチネングループの将来を牽引する次世代の経営を担う人材の育成や、将来を担う若手社員のキャリア形成・開発の実現に向けた取り組みを進めております。また、今後のグローバルな事業展開に対応できる人材の育成を目的に、当社グループ 「グローバル人材育成プラン」を新たに導入いたしました。
②ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループは、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを推進し、多種多様な価値観(性別、年齢、国籍、宗教、社会的身分、障がいの有無、性的指向・性自認、働き方等)を受け入れることで個人の能力を最大限に活かし、新しいイノベーションを生み出すことで組織活性化を推進させてまいります。経済価値を向上させることで社会へ貢献するとともに当社グループの持続的な成長サイクルを実現させてまいります。
③環境整備の取り組み
当社グループは、労働災害がなく安全で、心身の不安なく安心して働ける環境の整備に力を入れ、快適で働きがいのある職場づくりを推進しております。主として、ワークライフバランスを推進しており、5日間の連続休暇を取得することで、土日を含めた9日間連続休暇を取得することを推奨しております。また、人権を侵害し、職場環境を著しく害する行為の一切を撲滅することを目的として、グループ各社の管理職を対象にしたハラスメント研修を実施し、併せてグループ全社員に対してはセルフケア研修を実施しております。
(2)指標及び目標
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりであります。
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