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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、経営理念を「我々は信用を第一とし、情報の具現化によって、相互の利益を追求する」と定め、自らの意思で情報を具体的なビジネスへと形にし、今までにないマーケットを創出することを目指しています。

 当社グループが運営するBESS事業においては、『「住む」より「楽しむ」』をブランドスローガンに、ログハウスなど自然材をふんだんに使った個性的な木の家の提供を通じて、「ユーザー・ハピネス」の実現を目指します。家がモノとして完成した際の満足=カスタマー・サティスファクションよりも、ユーザーが暮らしてからの満足=“楽しい暮らし”を大切にし、日本人の暮らし文化の「明日」を創っていきます。

(2)経営環境

 当連結会計年度のわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行された後、自律的な回復がみられ始めました。GDPは名目・実質ともに過去最大水準(円ベース)となり、企業部門の業績が好調となる一方、それが賃金上昇や投資拡大に十分には結び付かず、個人消費や設備投資等の内需は力強さを欠く状況となりました。今後においては、総合経済対策の進捗に伴い、官民連携した賃上げを始めとする所得環境の改善や企業の設備投資意欲の後押し等が相まって、民間需要主導の経済成長が実現することが期待されますが、海外景気の下振れリスクや物価動向、金融資本市場の変動の影響等に十分留意する必要があります。

 国内の住宅市場では、木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格の高騰が続いていることや、労務費の上昇により、建築費が高止まりしています。こうしたコスト高が個人の持家の建設需要の下押しにつながり、2023年4月~2024年3月の新設住宅着工数が前期比7.0%減、うち新設戸建持家木造住宅着工数も同10.5%減となり、今後も弱含みで推移するものと思われます。さらに、住宅市場においては、建築省エネ法の改正などにより、マーケティング、商品及び営業における一層の対策並びに対応力が求められる状況にあります。

(3)経営戦略等

 当社グループでは、これまでの経営基盤強化策の実行及び戦略的な費用投下により、財務体質の改善や新規来場数等の先行指標等の回復を果たしながら、業績回復に向けて歩みを進めております。

 その中で、当社の主力事業であるBESS事業においては、原点回帰を掲げ、LOGWAY等での感動を起点としたファンづくりをベースとする農耕型営業を推進するとともに、集客強化策としてSNS(YouTube、Instagram等)での発信の強化や新商品の開発等を進めてまいりました。また2024年年初より、「BESS復活の狼煙、オアシス」をスローガンに、市場(集客)・商品・売り方の3要素をそれぞれ強化する施策を講じて業績の向上に向け、取り組んでおります。

4期連続の営業損失となった結果を真摯に受け止め、既に着手している諸施策を引き続き推進していくとともに、新規施策の実行により、早期の業績回復に努めます。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するために客観的な指標等

 現在の経営状況を踏まえ、経営再建による営業利益の黒字化を最重要指標と考えております。そのほか、成長性、収益性(営業効率)の観点から、売上高の先行指標としてBESS LOGWAY数、全国LOGWAYにおける新規来場件数及び再来場件数、契約(受注)高及び件数、また、資本効率及び株主価値創造の尺度としてROE(自己資本当期純利益率)、加えてDOE(純資産配当率)を重要な経営指標と認識しております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 事業戦略

 イ BESS事業における感性マーケティングの推進

 引き続きBESS事業の強みである感性マーケティング(潜在マーケットに向け、感性に働きかけるマーケティングで市場を創造する)の原点に立ち返ったファンづくりを進めます。また、従来の営業研修等にさらなるスキルアップや資格取得促進など盛り込み、営業力の強化を図ります。

 ロ ワンダーデバイスのリニューアル及びキャンペーンの実施

2023年10月に発売開始した「三角WONDER 間貫けのハコ」に続き、BESS商品の柱であるワンダーデバイスについて、その誕生から20周年となることを機に、2024年4月にリニューアルを実施しました。「住人が主役になる家」としての魅力を再訴求し、価格面の見直しや用地対応力及びアレンジ対応力を強化することで、今まで以上に顧客に選ばれる商品にしていきます。さらに、誕生20周年を記念したキャンペーン及びプロモーションを展開するとともに、BESSホームページを改訂し、オウンドメディアとの統合を行い、商品の魅力を多面的に訴求できるコンテンツ発信を行っていきます。

 ハ 地方と繋がる事業提携や業務連携の推進

BESSのソフト面を強みとして、各自治体や企業など、地方と繋がる事業提携や業務連携を模索していきます。「梺ぐらし」においては、小諸市と移住定住促進を軸とした連携協定を締結しておりますが、今後さらに、地方自治体や宅地開発業者とのコラボレーションや提携により事業を広げていく構想です。

 ニ BtoB事業(特建事業)の推進

 特建事業において、当期は、日本初となる防火地域での3階建てCLT(直交集成材)ログハウスを竣工させた等の実績を上げましたが、事業としてはいまだ途上にあります。住宅に次ぐ事業の柱として育てていく観点で、引き続き、体制面を含めた足固めを進め、商業施設等の大型受注も視野に活動を進めていきます。

 ホ 歳時住宅事業のスタート

2024年4月より歳時住宅事業が本格的にスタートしました。歳時住宅とは、BESS住宅の中古仲介事業及びそれに伴うリフォーム・メンテナンス事業を手掛けるもので、BESSが提供した木の家の経年価値を独自の査定基準を用いて適正に評価し、BESSファン同士の継承ができる仕組みを現実化した事業です。BESSホームページへの販売物件や物件募集についての掲載をスタートし、今後の拡大を目論みます。

②財務戦略

 イ 財務の健全化

 当社は、前連結会計年度末において、複数の金融機関との間で締結したシンジケーション方式による金銭消費貸借契約における一定の財務制限条項に抵触している状況にありましたが、2023年3月30日付の代官山資産売却に係る不動産売買契約に基づく売却代金の精算が行われたことにより、2023年4月25日において本借入金全額を返済しており、本件は解消しております。今後につきましては、木材市況等の経営環境や事業の行方を注視しながら、引き続き、金融機関との関係性を保持しつつ、手元流動性資金の残高維持(月商の3ヵ月分以上)に努めてまいります。

 ロ 資本効率の向上

 当社は、地区販社とのパートナーシップ(フランチャイズシステム)により、本部(当社)の陣容拡大を抑えながら売上成長を可能にする高効率の収益構造を目指しております。これにより、事業成長局面でも最小限の設備投資・在庫でフリーキャッシュフローを増大させるビジネスモデルを確立しています。引き続き経営環境の変化に対して機動的かつ柔軟に対応しつつ、販社の営業拠点等による小資本型事業のメリットを最大限に活かしてさらなる資本効率の向上を目指します。

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