アンリツ 【東証プライム:6754】「電気機器」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。なお、経営ビジョン及び経営方針は2021年4月1日付で改定しております。新たな経営ビジョンには、グループ従業員等の一人ひとりが自ら挑戦し、新しい価値を社会に提供し続け、未来に向けて成長していく、という思いを込めています。
経営理念
誠と和と意欲をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する
経営ビジョン
「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。
経営方針
1. 克己心を持ち、「誠実」な取り組みにより人も組織も“日々是進化”を遂げる
2. 内外に敵を作らず協力関係を育み、「和」の精神で難題を解決する
3. 進取の気性に富み、ブレークスルーを生み出す「意欲」を持つ
4. ステークホルダーと共に人と地球にやさしい未来をつくり続ける「志」を持つ
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、キャッシュ・フロー(CF)を常に意識した経営を展開しており、「ROE (Return On Equity)」と「自己資本比率」をKPIと捉え、自己資本の効率性向上による中長期的な企業価値最大化と財務の安定性維持に取り組みます。
なお、取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。)、執行役員及び理事を対象とした現行の業績連動型株式報酬制度においては、その評価指標として、本制度の対象期間における各事業年度の期初に定める営業利益目標及び中期経営計画に掲げる営業利益を採用しています。また、金銭の業績連動型報酬(年次役員賞与)においては、当該連結会計年度における連結ROEに加え、売上高、営業利益及びESG/SDGs目標の達成度等の指標を用いています。
(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等
今後の見通しにつきましては、世界経済は、物価上昇に加え、金融引き締め策や地政学的リスクの高まり等により、景気後退が懸念されています。当社グループの事業領域においても、急激なインフレによる経済状況の不透明さに起因する顧客の設備投資の減速、希少部品の調達リスクの長期化、新型コロナウイルス感染症の変異株の感染再拡大等の懸念材料もあり、当社グループを取り巻く環境は予断を許さない状況が続くものと思われます。
事業環境としては、情報通信分野においては、5G利活用分野(自動車、IoT、ローカル5G等)への広がりなどにより、今後も5G関連の開発需要は継続していくことを見込んでいます。また、データセンター等でのネットワークインフラの拡充に向けた需要の拡大も期待されます。
当社グループは、経営理念・経営ビジョン・経営方針及び中長期経営戦略のもと、5G及び5G利活用ビジネスとネットワーク高速化の需要拡大に的確に対応したソリューションをタイムリーに提供することで、競争力優位を確立し、5G/IoT社会を支えるリーディングカンパニーを目指します。
① 中長期的な経営戦略及び中期経営計画
当社グループは、主力の通信計測事業を軸に、情報通信サービスに関わるビジネスを展開しております。現在の5Gシステムに代表される通信インフラの様々なイノベーションは、社会を劇的に変革するとともに、人類に「つながる」ことの豊かさを提供し、グローバル社会の進歩を生み出してきました。「誠と和と意欲」、”オリジナル&ハイレベル”を経営理念とするアンリツは、情報通信における品質の見える化のために研ぎ澄ましてきた「はかる」技術を、食品・医薬品分野にも水平展開し、安全・安心な社会に貢献しています。
当社のコンピテンシーである「はかる」を極めていくとともに、内外の異なる発想や技術を更に掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させ、攻めの姿勢で今までのアンリツの限界を超えてまいります。関係するあらゆるステークホルダーとともに持続可能で魅力的な未来を次世代に繋いでいくという思いを込めた経営ビジョンのもと、2030年度には安定した収益を上げる企業としての2,000億円企業を目指してまいります。
5G計測市場の需要を捉えつつ、新たな芽を成長させていく取組としてスタートした3ヶ年の中期経営計画 GLP2023は、第98期(2024年3月期)が計画最終年度となります。4つのカンパニーと先端技術研究所の体制のもと、重点的に新たに成長させる4つの分野を 1)EV(電気自動車)、電池測定、2)ローカル5G、3)光センシング、4)医療・医薬品と捉え、それぞれの分野で外部との連携やM&A等を行うことで成長を加速させてまいります。
また、その先の将来も見据え、6GやNEMS(Nano Electro Mechanical Systems ※1)の基礎研究も開始しております。組織の枠を超え、会社の枠を超え、今までの概念に縛られず、前進してまいります。
主な経営数値目標及び当連結会計年度の実績は、下表のとおりです。主力の通信計測事業では、データセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要や汎用測定器の需要を獲得しましたが、モバイル市場の成長鈍化と、原材料価格の高騰や世界的なインフレ、人件費上昇等による固定費の増加、販売促進費の増加が影響し、前期比で減収減益となりました。PQA事業では、米州を中心に食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要が堅調に推移しました。費用面では、原材料価格の高騰に加えて、販売活動の強化による販売促進費や物流費等の増加が影響しましたが、前期比で増収増益となりました。なお、2024年3月期より、「その他の事業」に含まれていた「環境計測事業」について報告セグメントとして記載する方法に変更します。
当社グループは、引き続き、資本コストを意識した成長投資(含むM&A)と資本効率の改善で、企業価値KPI(ROE)の向上を目指します。
※1 NEMS:半導体加工技術をベースとするマイクロマシンを更に小型化したnmオーダーの機械構造を持つデバイス
| 2022年3月期 (実績) | 2023年3月期 (実績) | 2024年3月期 (業績見通し) | 2024年3月期 (GLP2023目標) | |
売上収益(億円) | 1,053 | 1,109 | 1,155 | 1,400 | |
営業利益(億円) | 164 | 117 | 137 | 270 | |
当期利益(億円) | 128 | 92 | 100 | 200 | |
通信 計測 事業 | 売上収益(億円) | 733 | 727 | 740 | 1,000 |
営業利益(億円) | 152 | 108 | 120 | 230 | |
PQA 事業 | 売上収益(億円) | 219 | 248 | 260 | 270 |
営業利益(億円) | 11 | 13 | 16 | 27 | |
環境 計測 事業 | 売上収益(億円) | - | - | 90 | - |
営業利益(億円) | - | - | 6 | - | |
ROE(%) | 11.5 | 8.0 | 9 | 15 |
※ 億円未満を切り捨てて表示しています。なお、2024年3月期の業績見通しは、2023年4月28日に公表した「2023年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」に基づいています。
また、「GLP2023」では、当社グループのサステナビリティ目標を掲げ、その達成に向けた活動を推進しています。サステナビリティ推進活動、ダイバーシティ推進等の当社グループのサステナビリティに関する事項は、後記2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。当社グループは、ブランド・ステートメントに「Advancing beyond」を掲げ、皆様とともに進歩と進化へ向けて歩み続けていきたいという強い思いを込めて発信しています。さらなる高みを目指すとともに、お客様のビジョン実現を通じ社会のサステナビリティに貢献したいという姿勢を示しています。今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。
② コーポレート・ガバナンスの充実
当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を向上させていくことを経営の最重要課題としております。その目標を実現するために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する仕組みを構築することに努めております。執行役員制度導入による意思決定と業務執行の分離の促進、「監査等委員会設置会社」への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置、取締役会の実効性評価の実施などの従前からの取組に加え、社外取締役比率50%以上を確保することにより、取締役会の監査・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることで、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。
当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する事項は、後記第4「提出会社の状況」の4「コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
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