企業兼大株主アルペン東証プライム:3028】「小売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「スポーツをもっと身近に」をパーパス(存在意義)としており、誰もがスポーツを楽しみ、健康で充実した日常を送れる世界の実現を目指して、常にお客様の立場に立ち、お客様の求める商品・サービスを提供し続けることを基本方針としております。

 同時に、経営方針としては「スポーツ業界のイノベーターになる」ことを掲げており、常に革新的な取り組みに挑戦していくことで、スポーツ市場を変革するリーディングカンパニーであり続けることを目指しております。

 また、信頼性の高い企業運営によって、社会に貢献し、長期的に株主価値を創造し、従業員の生活も豊かになる経営を実践できるよう努めてまいります。

(2)経営戦略等

 当社グループは、環境変化に対して事業構造を継続的に変革していくことで、社会的課題を解消する新しい価値を創造し、企業理念にも掲げる「スポーツの溢れる未来」の実現に向けて取り組んでおります。

 国内スポーツ用品小売市場におけるさらなる市場シェアの拡大に向けて、継続的に新規出店を行うことでエリアカバレッジを拡大すると同時に、スポーツ・ゴルフ・アウトドアの各業態を最新の顧客ニーズに合わせるべく刷新を進めております。また、長期的に拡大が見込まれるEC市場への対応についても、将来を見据えた投資を段階的に行うとともに、ECと店舗をシームレスに連動させた新たな購買体験を提供するOMO施策も推進してまいります。

 商品面においては、拘って作られたストーリーのある商品が求められるようになっていることを踏まえ、主要ナショナルブランドとの連携強化と、プライベートブランド商品の開発強化の両面から、独自性が高く、拘った商品の取り揃えを強化しております。また、地域や店舗特性のほか、カテゴリごとのトレンドに柔軟に対応する商品構成の設計に取り組んでおります。

 さらには、発展が著しいデジタル技術の活用度合いが将来の生産性やコスト優位性を左右すると考え、お客様とのコミュニケーションを高度化するツールや、データドリブン経営を実現するための各種情報システム、物流設備の最新化などへの投資を進め、業務プロセスやビジネスの在り方の刷新に取り組んでおります。

 そして今後の経営基盤として、リーダーシップを持った多数の人材がより重要となっていくことから、多様な人材の確保と育成に注力しているほか、自然環境やスポーツ環境を守り、発展させていくサステナビリティへの取り組みも、今後の戦略の基礎として位置付けています。

(3)経営環境

① 企業構造

 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社(株式会社アルペン)および子会社5社により構成されており、スポーツ用品、レジャー用品の販売および製造を主たる事業としております。当社グループの事業全体の売上高および営業利益に対し、同事業の売上高および営業利益は、いずれも9割超を占めております。

 事業構成および内容につきましては、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」に示しており

 ますので、ご覧ください。

② 主要商品・サービスの内容

 当社グループが販売する主要商品・サービスは、スポーツ用品、レジャー用品の小売であります。その内容に

 つきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ 生産、受注及び販売の実績 b.販売実績」に、商品部門別売上高の状況を示しておりますので、ご覧ください。

③ 顧客基盤

 当社グループの主要事業が主に対象とする顧客は、不特定多数の一般消費者であり、特定の顧客に集中はして

 おりません。なお、当社の会員プログラムである「アルペングループメンバーズ」は、会員数を順調に拡大しており、2024年6月末時点では約1,283万人が登録をしています。

④ 事業を行う市場の状況

 国内スポーツ・レジャー市場の情勢は、長期的には少子高齢化や人口減少による影響を受けながらも、健康意識の高まりや、スポーツ・アウトドアの要素を日常生活に取り入れるライフスタイルの広まりのほか、足元ではインバウンド需要の拡大などもあり、全体としては緩やかな拡大基調となっています。

 カテゴリごとの動向としては、コロナ禍の間に低迷していた競技・一般スポーツ用品やシューズ関連の需要回復が進んでおります。一方で、ゴルフとアウトドアはコロナ禍で接触を避けられるレジャーとしてブームとなりましたが、現在ではそのブームも沈静化し、市場は需給調整局面となっております。

 このように足元の動向はカテゴリや種目ごとに違いはあるものの、コロナ禍をきっかけに健康に対する意識はさらに高まっており、スポーツの重要性も再認識されているほか、自然と触れ合うレジャーも今後ますます広まっていくものと考えられ、スポーツ・レジャー市場全体としては緩やかな成長が続くと見込まれております。

 なお、競合環境におきましては、市場内で競合する事業者が多数存在しているほか、近年は衣料品などにおけるスポーツと周辺領域との境界が曖昧になり、異業種の事業者が当社グループと競合する商品の販売に参入する傾向が多く見受けられます。また、EC市場が急速に成長しており、メーカー直販のECサイトが拡大するなど、競合状況は厳しさを増しております。

⑤ 販売網

 当社グループは1972年7月の当社設立以来、一貫してスポーツ用品の専門小売業として店舗を展開してまいり

 ました。店舗形態は、当初は、スキー用品の販売を主体とした「アルペン」だけでしたが、次にゴルフ用品の販

 売を目的とした「ゴルフ5」を開設し、その後、野球用品等の各種一般スポーツ用品を備えた大型店舗として

「スポーツデポ」を展開いたしました。さらに2018年からは、アウトドア用品を専門に取り扱う「アルペンアウ

 トドアーズ」「アルペンマウンテンズ」の展開を進めております。2024年6月末現在、スポーツ業態188店舗、ゴルフ業態196店舗、アウトドア業態24店舗の計408店舗を展開しております。

 地区別店舗形態別店舗数等の詳細につきましては、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内

 容」に示しておりますので、ご覧ください。

 また、現在ではECでの販売が全体売上の10%を超えてきており、重要な販売チャネルとなっております。自社ECサイトの運営を行うほか、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazon・ZOZOTOWN・ロコンドといった外部モールへ出店しております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 スポーツ・レジャー市場は、新型コロナウイルス感染症によって変化した需要や行動様式のほか、急速に進んだ物価上昇など、激動する市場環境に適切に対処していくことが必要となっています。

 短期的には、需要が回復基調にあるスポーツカテゴリーのさらなる拡大と、調整局面にあるゴルフ・アウトドアカテゴリーの梃入れのほか、収益性の改善が優先課題となっており、移り変わる状況に合わせて商品構成や店舗運営の転換を急ぐ必要があります。

 また、長期的には国内の少子高齢化や人口減少といった構造問題に対処していくことが課題となっており、国民の健康増進やスポーツ機会の拡大に対しての一層の貢献が求められます。

 このような環境のもと、当社グループは、以下の内容について、優先的に対処すべき課題として取り組みを進めてまいります。

① 業態刷新

 少子高齢化や、部活動の地域移行などの社会構造の変化のほか、消費スタイルの多様化などに対し、スポーツ・ゴルフ・アウトドア、それぞれの業態の在り方について見直しを実施しております。

 スポーツ・レジャーの楽しみ方は多様化しており、より幅広いお客様の多様な需要に対応できるよう、魅力的な品揃えや体験型の売場作りの徹底と、スタッフの専門性・販売力の向上に取り組んでおります。また、居心地の良さや安心感を提供できるようホスピタリティの強化を図ることで、お客様に一層満足いただけるように店舗価値を高めてまいります。

 ECについては企業成長の重要領域としておりますが、収益性の改善を伴った成長が課題となっております。自社ECサイト「アルペンオンラインストア」を軸として、収益性を高めながらの成長を実現してまいります。また、店頭へのデジタル設備の導入や、ECへの導線の整備などのOMO施策により、お客様の買い物の利便性を向上させ、店舗とECが連動した新たな体験を提供してまいります。

② 商品改革

 スポーツ小売企業に限らず競争が厳しくなる環境において、他社との差別化をしていくためには独自性が高い商品ラインナップが必要であり、また、販売効率や売上総利益率改善のためには商品構成の最適化と在庫管理精度の向上が課題となります。

 独自性が高く魅力的な商品を充実させるために、主要ナショナルブランドとの協業体制をより深化させていくことと、プライベートブランドにおける高品質かつリーズナブルな商品の開発に力を入れております。

 特に、プライベートブランドにつきましては、当社グループ独自の価値観を最も端的に表すことのできる領域であり、差別化の最大の要素となるため、企画開発から、生産、物流、販売までの一連の流れを見直し、強化に努めてまいります。

 また、売上総利益率を改善するためには、需要に見合った適切な在庫状態を維持することが必要であり、販売予測や発注精度の向上と、環境の変化に機動的に対応できる在庫コントロール体制の整備を進めております。

 デジタルの活用・データ経営推進

 物価上昇や人手不足が進む環境において、新たなデジタル技術の導入や、既存システムの刷新による業務プロセスの抜本的な効率化を進めてまいります。

 また、デジタルツールを用いたお客様とのコミュニケーション手法の進化や、新たな販売手法の創出にも取り組んでまいります。2024年6月末時点で会員プログラムには約1,283万人の登録があり、この顧客データを有効活用することによって、戦略立案や商品の仕入れ・企画の精度をさらに向上させることが可能と考えております。

 そのため、全ての社員がデータへの感度を高め、感覚論・経験論ではない、データに基づいた判断を全社的に実行できるよう、データ経営の推進を図ってまいります。

 人材育成の強化

 人手不足が深刻化する中において、優秀な人材の確保こそが他社との差別化要素であり、将来の成長の基盤になるとして採用活動や育成を強化してまいります。

 採用において多様な人材を確保すると共に、業務に必要となる各スキルを網羅した教育・研修体系を改めて整備し、環境変化に柔軟に対応し、新しい価値を創造できる人材を育成してまいります。また、人事制度や組織体制を恒常的に見直し、働きやすさと働き甲斐を両立してまいります。

 サステナビリティ経営

 スポーツを通して様々社会課題を解決し、企業として持続的な発展をしていくためにはサステナビリティの取り組みがより重要となっており、より環境に配慮した企業活動や、多方面における外部企業との協業が必要と考えております。

 詳細については「2サステナビリティに関する考え方及び取組」にて記載しております。

 財政的課題

 資本効率の改善やガバナンスの強化によって、中長期的に企業価値を高めていくことが必要と課題認識しております。

 企業価値向上においては様々な観点があるものの、継続的な売上成長の実現と、低水準にとどまっている利益率の向上が最優先と捉えております。新規出店および既存店への投資によって主力事業を強化し、国内スポーツ小売の中での優位性を高めることと、デジタル技術やシステムへの投資によって生産性の向上・コスト水準の引き下げを実現し、資本コストを十分に上回るだけの利益水準が確保できるように努めてまいります。なお、長期的には売上高営業利益率10%の実現を目標としております。

(5)今後の見通し

 翌連結会計年度に目標とする連結業績の見込値は次のとおりであります。

 今後の見通しといたしましては、物価上昇による消費の抑制が懸念されるものの、スポーツ需要の回復基調やインバウンド需要も拡大傾向が続くことが予想されており、新規出店による上乗せも含めて、売上高は増加を見込んでおります。また、過剰在庫の落ち着きによって処分販売が減少し、売上総利益率が一段改善することを見込んでおります。

項目

当期実績値

翌期見込値

当期増減率(%)

売上高       (百万円)

252,936

268,000

6.0

営業利益      (百万円)

3,330

6,300

89.2

経常利益      (百万円)

5,307

7,220

36.0

親会社株主に帰属する

当期純利益     (百万円)

1,733

3,250

87.5

1株当たり当期純利益金額(円)

44.99

84.32

87.4

(注)翌期見込値は、(株)東京証券取引所の適時開示規則に基づき、2024年8月8日付で「2025年6月期の連結業績予想」として公表したものであります。

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