アトム 【東証スタンダード:7412】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「すべてはお客様と従業員のために」という企業理念をもとにQSCA(品質、サービス、清潔、雰囲気)を高め、家庭ではなかなか体験できない様々な料理や高いレベルのサービスをお客様に提供することによって、「楽しかった、おいしかった」とお客様に喜んでいただけるよう努めております。それぞれの地域に根ざすブランドづくりを実現するために、従業員一丸となって顧客のニーズに対応し、柔軟かつ筋肉質な企業体制を整備し、競争力を向上させる必要があると認識し、企業価値向上に向けた取り組みを推進してまいります。
(2)経営戦略等
経済活動の正常化に伴う需要の増加に加えて、インバウンド需要もあり緩やかに回復が続いております。しかしながら、原材料・エネルギー価格及び物流費の上昇を背景に、業界全体で価格改定の動きが継続しております。更なる物価上昇の懸念から消費者の生活防衛意識が高まっており、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況の中、当社と致しましては、お客様への提供価値向上のための組織体制を構築するとともに、採用強化による労働環境を安定させ、お客様への提供価値を高めることによる集客力の向上、そして、コスト面の各種施策を継続的に実施し収益性の改善を図っていくことで、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を実現するための礎を築いてまいります。
また、食品ロスの削減・エネルギーコストの削減・配送頻度見直しによるCO2排出量削減・地域社会及び地域経済への貢献などを通じて、ESG経営及びSDGsへの取り組みを推進してまいります。
(3)経営環境
① レストラン事業
レストラン市場は、コロナ禍4年目となった2023年は、1月にはコロナ第8波があったものの、3月に「マスク着用の緩和」、5月には新型コロナ感染症の感染症法上の位置づけを「5類」に移行など、コロナによる行動制限が緩和から解除へと進み、社会経済環境は「ポストコロナ」へ移行しました。人流が戻り、年間を通して外食需要の回復基調が継続したことで、全体売上は前年比、2019年比ともに上回りました。4月に入国規制などの水際対策が終了し、訪日外国人数が回復してインバウンド需要が拡大したことも売上増の一因となっています。ただ売上の回復傾向は続いているものの、「客単価の上昇」によるところが大きく、「客数」についてはまだ19年の水準まで回復していないと推定されます。また「人手不足の常態化」など、「ポストコロナ」となっても依然厳しい状況が続いています。(日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査)
今後は、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻や円安等に起因する原材料費やエネルギーコスト、人件費等の高騰、人手不足による売上機会のロスなど、厳しい状況が続くものと分析しております。
② 居酒屋事業
居酒屋市場については、2009年度から13年連続して前年の売上を下回っており、客単価も低下しておりました。2023年の売上は前年売り上げを上回りましたが、2019年比では下回っております。(日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査)
今後に関しては、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和以降、インバウンド需要の増加等ありますが、大人数での宴会の減少等もあり、居酒屋市場は依然厳しい状況が続くものと分析しております。
③ カラオケ事業
カラオケ白書によると、日本のカラオケ人口は2012年から毎年僅かに増加しておりましたが、2016年にマイナスに転じ、その後6年続けて減少しておりました。コロナによる行動制限が解除されたことにより、カラオケ関連の数値もいずれも好調で、ユーザー市場規模は対前年増となりました。(全国カラオケ事業者協会カラオケ白書)
コロナ禍は行動制限が解除され、持ち直しの動きが見られます。しかしながら、各種資源高騰の懸念事項も多く、引き続き先行き不透明な状況が続くものと分析しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 安全・安心な商品の開発提供
「食の安全・安心の提供」は、外食企業として持続可能な成長の基盤であります。
当社は、産地、加工工程、添加物などの食材の情報の確保、仕入から提供までの衛生管理の強化に取り組み、お客様に安心・安全をお届けし信頼に応えられるよう努めてまいります。
また、お客様のご期待にお応えするためにお値打ち感があり、ご利用しやすい商品の提供や当社でしか食べられない商品の提供にも取り組んでまいります。
② 既存店の業績回復と新規出店
ブランドコンセプト及びQSCAの再構築に合わせたオペレーションの見直し、人材の確保による既存店の業績回復を最優先に取り組みながら、投資効率等を考慮した新規出店、リモデル、業態転換にも計画的に投資を実行し、また、リロケーションによる収益確保、店舗配置の最適化を図ってまいります。
また、事業、エリア、ポートフォリオの見直しを計画的に実施し、チェーンストアの強みを生かしドミナントエリアを形成することで、地域に根ざしたブランドを確立させ地方創生に貢献してまいります。
③ 人材の確保・育成
当社は、飲食事業を中心としており、飲食店舗の運営のためには人材の確保と運営能力向上が重要な課題となります。
人員不足につきましては、賃金上昇により消費、生産、雇用等の増加が期待されており、当社もそのような市場環境の中、パートナーの採用窓口を広げるなど採用を強化・育成し、労働環境を安定させることで人員を確保し、お客様への提供価値向上を推進してまいります。
優秀な人材を確保するためには、ブランディング、的確な人事評価制度、働きやすい職場環境と各種制度の提供といった労働環境が重要であると認識しており、JOB型人事制度、社内公募制度、地域限定正社員制度、パートナー評価制度、育児休暇・育児短時間勤務・介護休暇等の各種制度を導入することで、多様な人材がその能力を発揮できる職場環境を確保し、外国籍人材の雇用についても積極的に強化してまいります。
④ 働き方改革の推進による生産性の向上
お客様への提供価値の向上、店舗における生産性の向上が両立した店舗オペレーション構築に向け、配膳ロボット、セルフレジ、スマホオーダー等のデジタル投資によりオペレーションの効率化を図り、また、フードテックの検討・トライしていくなど、積極的にDXを推進してまいります。
また、従業員の新しい働き方や職場環境作りにおいて、当事業年度に「健康経営優良法人2024」に認定されました。引き続き従業員の健康管理の強化と社員モチベーション向上を目的とするインセンティブ制度の拡充を図り、生産性の向上を推進してまいります。
⑤ サステナビリティへの取り組み
サステナブルな社会を実現するために、企業活動を通じて地域経済の活性化等の社会問題の解決、SDGsへの貢献に取り組みます。また、性別・年代・国籍等に関わらず、ダイバーシティを推進し、全ての従業員にとって、働きがいのある職場環境を整備していくとともに、中長期的な企業価値向上と持続的な成長につなげるため、1.地球環境への貢献、2.食の安全・安心の提供、3.働く仲間の成長と多様性の尊重、4.地域社会・地域経済への貢献、5.経営基盤強化といった5つをマテリアリティ(重要課題)として捉え、企業理念である「すべてはお客様と従業員のために」の考えのもと、食のインフラの担い手として、社会の持続可能な発展への貢献と企業価値の向上を目指してまいります。
具体的には、物流休配日の設定及びドライアイスの使用削減によるCO2排出量の削減、各調理工程における食品ロスの削減、空調設備や厨房設備などの省エネを推進し、また育児休業制度の整備や女性管理職比率20%超への引き上げ、社外取締役の構成率1/3以上の継続や指名報酬諮問委員会の設置、キャリアアップ体制の構築、子育て両立支援等にも取り組んでおり、長期に亘る持続的な成長を目指し、企業体質を進化させてまいります。
⑥ コーポレートガバナンスコードの対応
当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、関係者に理解を得られる透明性の高い、健全かつ信頼性の高いコーポレートガバナンス体制の構築が重要と考え、株主との建設的な対話を進めるよう努めております。
機関投資家、アナリスト向けには、定期的な決算説明会を行い、当社事業内容の説明を実施、当社ホームページに決算短信等の適時開示文書や決算説明会資料など近況報告の掲載を継続し投資家の当社に対するご理解を深め、持続的成長のための基盤の充実を目指してまいります。また、定時株主総会後に株主との対話会を開催することにより、多くの株主からの意見・要望の共有ができると同時に、当社経営陣の考えを直接、多くの株主に伝えることができることから、本対話会は非常に重要な株主との対話の場と位置付けております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、直営店舗数が324店舗であり、既存店の売上が重要な指標となります。
毎期既存店売上高前期比100%以上を経営指標とし、新規出店と合わせて毎期、増収、増益を継続することにより企業価値の継続拡大を目指しております。
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